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新幹線E2系電車

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新幹線E2系電車(しんかんせんE2けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の新幹線車両1997年(平成9年)3月22日東北新幹線やまびこで営業運転を開始した。同年10月1日長野新幹線開業に伴いあさまでの営業運転を開始した。

E2系電車先頭車両 東京駅にて撮影

概要

1997年開業の長野新幹線あさま、および秋田新幹線こまちを併結する東北新幹線やまびこ用として開発された。

1995年の製造当初より、JR東日本の新幹線標準型車両として位置づけられており、200系の置き換えも念頭において増備されている。また、あさまやまびこの他、現在はなすのはやてでも運用されている。1998年12月から上越新幹線での定期運用があったが、2004年3月13日のダイヤ改正前日で終了している。

なお、大きな特長としては、一部の車両(両先頭車とグリーン車)にフルアクティブサスペンションを搭載。これは高速車両としては世界初であり、これにより振動の少ない快適な乗り心地を実現している。

これは新幹線の場合、先頭車両やパンタグラフ搭載車の揺れが激しく、特にトンネル内の上下列車のすれ違いや、軌道部に歪みが生じている箇所などでは、乗客に恐怖感を与えるほど強烈な振動が生じることがあるためで、これら振動を軽減させるために開発・搭載されたもの。スラブ軌道は元々歪みにくい構造ではあるものの、老朽化などで一旦歪みが生じてしまった場合には補正することが困難で、また膨大な資金が必要なこともあり、安全限界に達するまで補修等の施工を行うことができない。そのためJR東日本では、一部の車両にサスペンションを設置するなどの対策を執っている。

製造沿革

製造を開始した1995年当初、この車両には「あさま」用のN編成と「やまびこ」用のJ編成の2種類があった。

共に、8両編成を組んだ同一内容の編成であるが、以下の点が異なっていた。
  • 「やまびこ」用とされたJ編成の8号車(現在は10号車)には主にE3系との連結で使用される自動連結器が設置されている。0番台は1999年の山形新幹線新庄延伸まで製造された。東北新幹線で最高速度275km/hで走行可能。
  • 「あさま」用とされたN編成は、275km/h走行に対応していない。1997年の長野新幹線開業にあわせて製造された。
  • N編成のみ軽井沢佐久平間の交流周波数切り替え装置を内蔵している。


2001年、1000番台車の量産先行車が8両編成で登場し、各種試験を行った。量産先行車(J51編成)は編成の前後に分割併合装置を持ち、8+8の16両編成での走行も想定されていたが、八戸開業にあわせ登場する「はやて」は全車指定席とすることとなり座席定員確保のため、量産車からは10両編成となった。これにともない東京寄りの分割併合装置搭載は省略された。

2002年の東北新幹線八戸開業を機に、10両編成を前提とした1000番台車も登場した。この車両は外観上は従来の車両に比し、普通車の窓幅が座席2列分と広くなると同時に、パンタグラフがシングルアーム式となり、カバーが廃止された程度であるが、車体は中空トラス断面大型形材を使用した構体となり、製造の簡易化(50Hz専用化がその1つ)、遮音性の向上などが図られている。また、乗り心地の改善のため、先頭車両およびグリーン車フルアクティブサスペンション、その他の車両にセミアクティブサスペンションが装備されている。車内はシート形状、室内見付などE4系に近い構造となっている。なお、J編成は2両増結し10両編成となり、車体塗装も一部見直され帯の色をピンク(つつじ色)に変更し、リンゴのエンブレムが施され、N編成との差別化が図られている。

編成

概要

2005年7月現在、以下の編成が存在する。
  • N編成…14本 (N1-N13, N21)
  • J編成…31本 (J2-J15, J51-J67)
0番台J編成も8両時代は「あさま」にも使われていたが、J編成10両編成化に伴い、長野新幹線に乗り入れできなくなったため「あさま」はN編成に統一されている。
J編成は現在、東北新幹線の列車(=「はやて」の全列車と「やまびこ」「なすの」)に使われている。東北新幹線ではE3系R編成(「はやて」と「こまち」、「やまびこ」と「なすの」は増結用として)と併結運転を行う。最高速度は275km(宇都宮~盛岡間のみ)。山形新幹線「つばさ」とも併結できるが行われていない。
N編成は長野新幹線「あさま」専用ではあるが、過去に上越新幹線「あさひ」に使われたこともある。抑速ブレーキ装置を備えており、高崎~軽井沢、長岡間の下り勾配での指定速度以上のスピードを抑える機能が搭載されている。方向幕に「とき」など「あさま」以外の列車名の表示も可能。
最高速度は長野新幹線で260km/h、東北・上越新幹線で240km/h。

路線別でみると、東北新幹線ではN編成は8両編成と短く他の車両と併結できず、最高速度が240km/hとなるためJ編成が使われている。
長野新幹線では50Hz、60Hzの両方の周波数にまたがり、碓氷峠の急勾配があるため、N編成が使われる。J編成は50Hzのみとなるため乗り入れできない。
上越新幹線ではJ編成、N編成とも最高速度が240km/h、全線50Hzとなるためどちらでも運行できる。高崎-長岡間では碓氷峠ほどではないが急勾配があり、N編成のほうが馬力があるため新潟までの所要時間を短縮できる。

特徴等

  • J2・J3・N11編成 - お召し仕様、グリーン車の防弾ガラス、厚い床板など。
  • N21編成 - 製造当時のS7→J1編成。J2編成以降とは異なり,肉厚の薄いシングルスキンの車体構造で,車体剛性が不足しアクティブサスペンションの効果が十分に発揮されないため「はやて」型への改造は見送られた。そこで,東北新幹線八戸開業と共に8両のままN21編成として長野新幹線に転属。1-2号車間にE926-3 (13) の組み込みが可能。
  • N5とJ7・N10とJ9・N12とJ10 - 中間車6両を互いに交換
  • N6編成 - 弾丸発砲、人身事故を経験
  • N7編成 - インバータ素子がN編成唯一のIGBT車(他はGTO車)
  • N8編成 - 1997年10月1日に長野新幹線が開業した時の下り1番列車
  • N12編成 - 長野新幹線開業時上り1番列車
  • J3編成 - 最後に「あさま」運用を退いたJ編成
  • J51編成 - 上り東京方にも自動連結装置を装備
  • J52編成 - 2002年12月1日の東北新幹線八戸開業時の東京八戸行「はやて」下り1番列車使用編成
  • J55編成 - 「はやて」開業時上り1番列車使用編成
  • J56編成 - 時速362kmを達成した

余談ではあるが、日立の携帯電話「W21H」のCMで、液晶画面にE2系が一瞬だけ映っている。