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マッチポンプ

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マッチポンプとは「マッチで火をつけておきながら、それをポンプで消す」というように、自分でわざわざ問題を作り出しておきながら、そ知らぬ顔で、自分がそれを解決することで賞賛や利益を得るような、偽善的な自作自演の手法を意味する和製英語である。マッチ(match)は元は英語、ポンプ(pump)は元はオランダ語である。

1966年黒い霧事件第一弾の田中彰治代議士事件で初めて使われ、元々は金品を巻き上げる意味で使われた。1974年刊の「現代流行語辞典[1]」では「デスク日記3[2]」1966年8月5日の項にマッチポンプの記述があると紹介している。

マッチポンプの実例

  • 医療産業が病気の症状を悪化させる薬物を処方し、患者を増やして医療費を徴収する。(癌産業、精神医学など)
  • 消防マニアの消防団員が気晴らしのため、放火してすぐ自宅に戻り、消防服に着替え火災現場に駆けつけて消火活動を行った。当初は迅速な対応とみられたため賞賛されたこともあり、何度もそれを繰り返した。時には消防署からの指令が来る前に出動していたこともあったという。しかしあまりにも連続して、またどう考えても早すぎるため調査が入り放火が発覚した。文字通りマッチポンプの象徴的な事件。
  • 新聞社が、あることを煽動する記事を執筆し、そのことが原因で世間に影響(害悪であることが多い)が及んだが、後になり責任回避のため別記事でそれを何食わぬスタンスで否定すること。
  • 上記と類似するが、テレビの情報番組などである健康法などを紹介し、浸透したころに「○○式健康法は間違い!」などと称して別の説を紹介する。
  • 無料で診断してあげるといい、その診断で「このままでは重大な問題となる」などと不安を煽り、すかさず「丁度私なら解決できる」「今なら格安でお譲りする」と金品を取ったり、明らかに過剰な対処を行って大金を巻き上げる。問題を作り上げ、解決して金品を取る詐欺。霊感商法悪質リフォームなど、悪徳商法の殆どがこの方式を取っている。厳密にはマッチポンプではない(前段としての実害・問題がない)のが多いため、あまりマッチポンプと呼ばれないが、診断時に傷をつけるなどして問題を作り上げる場合もある。
  • 新聞記者が、ダイバーのモラルを通して環境問題に警鐘を鳴らす記事を書くために、自らが珊瑚礁にKYというイニシャルを刻みつけて珊瑚礁を破壊。記事に仕立て上げた(朝日新聞珊瑚記事捏造事件)。
  • 未公開株販売業者などの詐欺会社が未公開株を売るために営業をかけた見込み客に他の業者を装い、その銘柄を買い取りたいと電話をかけ、見込み客に未公開株を買わせる手法。
  • 韓国を中傷するデマ情報が書かれた中国人のブログが、中国系のニュースサイトによって日本に紹介された[3]。その後、そのデマに心を痛める韓国人ブロガーの声がYahoo!ニュースに掲載されたが[4]、それは、そのデマを広めた張本人である中国系ニュースサイトから配信されたものであった[5]
  • 新聞編集局員が、部落差別を助長する表現をインターネットの掲示板に書き込む[6]。マッチポンプの「マッチ」(部落差別を助長する)役となる編集局員が、「ポンプ」(部落差別を糾弾する)役の新聞社内に存在する事を、さらにはマスメディアの存在そのものがマッチポンプである事を強く示唆させる事件であった。
  • 自称予言者が、「私はこれまで行ってきた予言により、事件や事故、災害などをほぼ的中させてきた。○年○月○日にこの地域で大地震が起こるであろう。地震を回避させたければ私の言うとおりにせよ」とその地域の住民を煽り立てて、寄付金等を貰ったりする。そして予言が外れると、「あなたたちの願いがかなった」「回避できたのは私のおかげである」などと謝罪どころか自分の言動を正当化したりする。その予言者を利用して(または無理やり予言者に仕立てて)商売を行う者がいるのも事実である。

関連項目

脚注