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中央情報局

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[画像:Nazi Swastika.svg|thumb|center|200px|アメリカ共和党はナチ!]]


CIAのアホー!


CIA紋章
本部:マクレーン、バージニア州

アメリカ中央情報局(あめりか ちゅうおうじょうほうきょく、Central Intelligence Agency, CIA)は、アメリカ合衆国諜報機関の1つであり、CIA長官によって統括される。アメリカ合衆国の情報収集と分析・対外工作を行う機関である。

概要

大統領の直轄組織であり、CIA長官(Director of the Central Intelligence Agency )は大統領と国家情報長官(Director of National Intelligence、DNI)に報告する立場である。米軍やその他米国政府内の情報機関からは独立して存在しており、CIA自身の情報収集の他に、国家安全保障局(National Security Agency、NSA)、国家偵察局(National Reconnaissance Office、NRO)や国防情報局(Defense Intelligence Agency、DIA)、各軍の情報部、財務省情報部、原子力委員会情報部などからの情報を集めて分析し大統領とDNIに報告する。

上記で示した米国内の多数の情報組織から構成されるインテリジェンス・コミュニティー国家情報長官(Director of National Intelligence)によって統括され、CIAはその「中央」にある情報機関である。

徹底した秘密主義、度々暴露されるいくつかの悪事から、いかにも怪しい組織といった印象が全世界的に強いため、多くの功績にも拘らず、尊敬の対象というよりむしろ疑念の対象として見られることも多い。イランなど反米国家においては、逆にテロ組織に指定されている。

名称

日本での政府機関の名前では、気象庁のようにAgencyの訳には「庁」が相応しいとする観点から、「アメリカ中央情報庁」とする方が適当とする見方がある[1]

通称

本部所在地のバージニア州ラングレーにちなみ「ラングレー」。または「ザ・カンパニー」、「ザ・エージェンシー」などと呼ばれることもある。

あだ名

反米的な政権に対するクーデターの支援、外国の親米政党に対する秘密援助など、連邦政府・国務省が公的には出来ない“裏稼業”に関わる事から「見えない政府」(Invisible government)、「クーメーカー」(クーデターメーカー)とあだ名される

活動内容

情報機関であるため活動内容は不明な点が多い。映画等の創作物で扱われることが多く、虚実の区別が難しい。

イスラエルのモサッド、イギリスのMI6とつながりが深い。また、米国、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの諜報機関は、アングロ・サクソン連合として横の連携がある。

政治家、官僚、軍人から、会社員、芸能人、ジャーナリスト、NPO活動家、宗教団体、留学生、芸術家、無職者に至るまで広範な職業に偽装させて、また非アメリカ国籍者も組み込んでエージェントを全世界に配置しているという意見がある。末端のエージェントや職員は自分の活動の目的となる作戦の全容を開示されていない、もしくは虚偽の説明を受けていることも多いという考えもある。

CIAは、アメリカの覇権の維持拡大を最終目的として、政権中枢と反政府勢力の双方に介入接触して政策決定をコントロールする分割統治方式を得意とし、反社会集団の活用も辞さない、アメリカが攻撃対象とできる反米集団をあえて育成して、軍事介入ないし戦争のきっかけを長期間かけて仕込む方式も好んで用いるという見方がある。

敵国内での情報操作プロパガンダから民衆扇動を行なうだけでなく、敵国指導者の暗殺も担当することがあると考えられている。

沿革

第二次世界大戦中のOSS(Office of Strategic Service―戦略事務局)がCIG(Central Intelligence Group―中央情報グループ)とOPC(Office of Political Coordination―政策調整局)を経て1947年国家安全保障法により改組。アメリカ合衆国の外交政策・国防政策の決定に必要な諜報・謀略活動ヒューミント)を行い膨大な予算と権限を与えられているが、その活動の詳細は明らかにされておらず、アメリカ国民にとって一般に知られる訳にはいかない機密の保持、または証拠物件等を抹消する任務を帯びた組織であると説明される事が多い。また、第二次世界大戦終了後、アレン・ダレスはドイツから数千人ものナチス出身者を招聘(連行)して、CIAの作戦能力を強化させたと言われている。

東西冷戦時代は共産主義国の転覆を狙っていたこともある。有名なのは1961年キューバにおけるピッグス湾事件である(詳細は該当記事参照)。しかしこの作戦は失敗し、当時のアメリカ大統領であったジョン・F・ケネディは作戦そのものやその後始末に失敗したことに激怒し、CIAの解体を宣言したこともあったが、実現する前にケネディ大統領が暗殺されたことで結局解体には至らなかった。

2006年7月18日に公開されたアメリカ国務省編纂の外交史料集[2]によると、冷戦時代にはアメリカ政府の反共政策に基づき日本の親米勢力や左派穏健勢力に秘密資金を提供していた。秘密資金の提供を受けたのは岸信介池田勇人両政権下の自民党有力者と社会党右派(後に民社党を結党する勢力)とみられている[3][4]。これ以外にも世界中の数多くの親米政府・ゲリラなどに人材・資金面で交流・援助していると言われる。1950年代には中国に“解放”されたチベットの領土回復の為の、反中武装闘争組織チュシ・ガンドゥクを支援していた[5]

映画小説の中では、上記の理由に拠りかの有名な、ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺にも関与していたとされることもある。CIAが世界有数の強力な諜報機関になった背景には、かつてOSSの幹部を務め、後にアイゼンハワー政権下で8年間長官を務めたアレン・ダレスによる影響が大きいといわれる。

1980年代ソ連崩壊直前には、世界中で主要敵であるKGBの諜報員の離反を成功させるなどして冷戦の終結に貢献したが、冷戦後はCIAの予算も大幅に縮小される傾向にあった。その結果、諜報能力の低下を招きアメリカ同時多発テロを防げなかったという批判から2001年よりブッシュ政権下で予算は大幅に増額された。

一方、CIAはブッシュ政権下では機能が発揮されていないという指摘もある。ブッシュ政権下で勢力を増したネオコンは、CIAに対し不信感を持っていたため、国防総省の情報分析能力強化やネオコン派による独自の情報分析といった行動を行った。その結果、CIAはインテリジェンス・コミュニティーの主流派から外れ、十分に機能しなくなった。こうした流れは、2000年代後半まで続いた[6]

組織

  • 国家秘密局:旧作戦本部。エージェントによる諜報情報の獲得
    • 対外情報局
    • 対外防諜局
    • 技術サービス局
    • 会計計画局
    • 対テロ・センター
    • 麻薬対策センター
    • 特殊作戦部
  • 情報本部:情報の処理・分析、情報資料の作成
    • CIS情報分析局
    • 欧州情報分析局
    • 近東・南アジア情報分析局
    • 東アジア情報分析局
    • アフリカ・南米情報分析局
    • 兵器科学研究局
    • グローバル問題局
    • 情報資源局
    • 外国指導者情報分析局
  • 科学技術本部:技術的情報収集手段の研究・開発
    • 技術システム研究・開発局
    • 傍受局
    • 技術保障局
    • 国外ラジオ放送情報局(FBIS)
  • 行政本部:人事、訓練、施設の保安等
    • 人事局
    • 要員訓練局
    • 保安局
    • 会計局
    • 情報保管・検索局
    • コンピュータ機材局
    • 通信局
  • 計画本部:諜報活動の計画・調整
  • 主任法律顧問課
  • 主任監察官課
  • 会計監査課
  • 秘書室
  • 会計計画課
  • CIA史編纂課
  • 暗号書簡課
  • 公表検討会議

長官

2005年4月21日以前、CIAの長官はCIAだけでなく 情報共同体(Intelligence Community)の長でもあったため、中央情報長官DCI (Director of Central Intelligence) と呼ばれていた。この日以降は CIA 専属の長官 DCIA (Director of the Central Intelligence Agency) となり、 インテリジェンス・コミュニティーアメリカ合衆国国家情報長官が統括している。

これはThe Intelligence Reform and Terrorism Prevention Act of 2004(2004年の情報改革及びテロ予防法)により国家安全保障法が改正されたことを受けた措置である。副長官も、中央情報副長官DDCIがおり、通常軍人(中将)が任命される(もっともCIA本部で勤務するが)。CIAには副長官がおらず、次官だけ複数いる。例えば工作担当次官はDDO、情報担当次官はDDIなど。

なお、CIAの日々の業務は Exective Director of the Central Intelligence Agency (EXDIR) が総括することとなっている(2004年4月時点での組織図では、CIA長官の Deputy として DDCI、EXDIR の Deputy として D/EXDIR が記載されている)。

歴代長官

氏名 任期
シドニー・W・ソワーズ海軍少将 1946年1月23日 - 1946年6月10日
ホイト・S・ヴァンデンバーグ空軍中将 1946年6月10日 - 1947年5月1日
ロスコー・H・ヒレンケッター海軍少将 1947年5月1日 - 1950年10月7日
ウォルター・ベデル・スミス陸軍中将 1950年10月7日 - 1953年2月9日
アレン・ウェルシュ・ダレス 1953年2月26日 - 1961年11月29日
ジョン・マコーン 1961年11月29日 - 1965年4月28日
ウィリアム・F・レイボーン退役海軍中将 1965年4月28日 - 1966年6月30日
リチャード・ヘルムズ 1966年6月30日 - 1973年2月2日
ジェームズ・R・シュレシンジャー 1973年2月2日 - 1973年7月2日
ウィリアム・E・コルビー 1973年9月4日 - 1976年1月30日
ジョージ・H・W・ブッシュ 1976年1月30日 - 1977年1月20日
スタンズフィールド・ターナー退役海軍大将 1977年3月9日 - 1981年1月20日
ウィリアム・J・ケーシー 1981年1月28日 - 1987年1月29日
ウィリアム・H・ウェブスター 1987年5月26日 - 1991年8月31日
ロバート・M・ゲイツ 1991年11月6日 - 1993年1月20日
R・ジェームズ・ウルジー 1993年2月5日 - 1995年1月10日
ジョン・M・ドイッチ 1995年5月10日 - 1996年12月15日
ジョージ・J・テネット 1997年7月11日 - 2004年7月11日(2004年6月3日に辞任)
ジョン・E・マクラフリン 2004年7月11日 - 2004年9月24日
ポーター・J・ゴス 2004年9月24日 - 2006年5月5日
マイケル・ヘイデン 2006年5月5日 - 2009年1月20日
レオン・パネッタ 2009年1月20日 -

ヘルムズには McGarrah というミドルネームがあるが、本人が嫌って M をつけないとされる。

特記

冷戦終結後、双子の赤字に苦しむアメリカ政府がCIAの人員や経費の削減等を行なう危機に直面したCIAは、日本等の友好国の経済情報などの非軍事分野での情報収集と分析をはじめた。1990年4月にはウェブスターCIA長官が「日本やヨーロッパ諸国の経済上の競争相手に対する情報戦略を扱う企画調整室を設けた」と発言し、1992年4月にはゲーツCIA長官が「業務の約4割、予算の2/3は経済分野に当てる」と演説した[1]

さらには、近年の対テロ戦争においては、時に軍部と協力し合い、時に単独に、オサマ・ビンラディンサダム・フセインなどの捜索任務に当たっていたともいわれているが、秘密任務につき情報源も定かではなく、双方共に予測や噂の範囲を出ていない。2006年5月、“テロリスト関係者若しくはそれらと接触した人物”をアメリカ上陸の際に拉致し、国内法の及ばない地域(シリア――現在はイラク問題やレバノン問題において米国とシリアの関係が再度悪化しているので撤退した可能性が高い――やグァンタナモ米軍基地)の秘密収容所に、取調べを口実に収監していた事が判明して、アムネスティ・インターナショナルや母国政府が調査に乗り出す事態になっている。2006年9月、ジョージ・W・ブッシュ大統領が秘密施設の存在を認め、この秘密施設でのCIAによる取調べを「CIAプログラム」と表現した。

FBIとの情報統合機関、国家情報局が設置され、発展的に解散すると言われている。

CIAが主導ないし関与したとされる作戦・事件

この他にエジプトイラクでの王制打倒クーデター、エルサルバドルパナマニカラグアなどラテンアメリカ諸国のみならず全世界で親米化工作、独裁政権の確立、あるいは政権や特定社会集団の破壊に活躍し、工作費用の捻出のために現地で麻薬を販売する方式をいまだに採用すること、および破壊工作に使用することから麻薬流通にも国際的に大いに一役買っているとの主張もある。

日本での展開

有名なCIA局員 (長官を除く)

  • ジム・アングルトン(Angleton, James Jesus "Jim" )
  • レイ・S・クライン(Cline, Ray S.)
  • エドワード・G・ランズデール大佐(Lansdale, Col.Edward G.,USAF)
  • ジェリー・ドローラー(Droller, Jerald F.)
  • テッド・シャクリー(Shacley, Theodere "Ted")
  • E・ハワード・ハント(Hunt,Edward Howard "Ed")
  • キム・ルーズベルト(Roosvelt, Kermit "Kim")
  • ピアー・デ・シルバ
  • ビル・ハーベイ(Harvey, William King "Bill")
  • ビクター・マルケッティ
  • J・C・キング大佐
  • リチャード・ビッセル
  • クレア・ジョージ(George, Clair Erloy)
  • ルシアン・コネイン大佐(Conein,Lucien Emile Phellipe)
  • ジョン・リチャードソン(Richardson, John Hammond "John")
  • ジム・マッコード(McCord Jr.,James Walter "Jim")
  • ロバート・エイムズ
  • オルドリッチ・エイムズ
  • ロバート・ベア

CIAを取り扱ったフィクション

小説

※欧米の主なスパイ小説の殆どに登場している。日本の小説にも『007』シリーズによって名が広まることとなった。

映画

テレビドラマ

漫画

アニメ

ゲーム

関連項目

注記・参考資料

  1. ^ a b 田岡俊次著 『日本を囲む軍事力の構図』 中経出版 2003年9月18日第1刷発行 ISBN 4806118729
  2. ^ Foreign Relations of the United States, 1964-1968, Vol. XXIX, Part 2, Japan(英語)
  3. ^ C.I.A. Spent Millions to Support Japanese Right in 50's and 60's New York Times, October 9, 1994(英語)
  4. ^ 左派弱体化狙い、秘密資金提供~CIAが50年前、日本の保革両勢力に U.S. FrontLine, 2006年07月19日
  5. ^ Lama Group Says It Got Money From C.I.Aニューヨークタイムス1998年10月6日
  6. ^ 『米国が12月に公開した国家文書に注目せよ 2008年米国の対外政策を読む』2008年1月21日付配信 日経ビジネスオンライン
  7. ^ 角間隆 (1979). ドキュメント日商岩井. 徳間書店 
  8. ^ 川端治 (1963). 自民党 その表と裹. 新日本出版社 
  9. ^ 松浦総三 (1977). 現代ジャーナリズム事件誌. 白川書院 
  10. ^ 森川 哲郎 (1976). 日本疑獄史. 三一書房 
  11. ^ 日本共産党 (1978). 韓国の謀略機関―国際勝共連合=統一協会 . 日本共産党中央委員会出版局 

外部リンク