中山トンネル (上越新幹線)
表示
中山トンネル(なかやまトンネル)は、上越新幹線高崎駅~上毛高原駅間にある総延長14,857mの鉄道トンネルである。
概要
中山トンネルは群馬県渋川市から利根郡みなかみ町に至る山岳トンネルであり、小野子山と子持山という2つの火山の岩屑なだれ堆積物、火山噴出物などの間を、約15kmにわたって300m前後の土被りで貫いている。
工事前の地質調査では非常に複雑な地層であることは判ったが、大まかな地質しか判明しなかった。そのため、掘削中に異常出水が何度も発生し、多数の迂回坑の掘削と薬液注入による地質改良を繰り返すことになり、さらにトンネルのルートを2度変更する難工事の末に、当初の計画より6年遅れて1982年(昭和57年)にようやく完成した。当初計画の予算2108億6200万円に対して4倍近い8429億9900万円を費やしている。これは世界最長の青函トンネルの全長53.9kmに要した7455億円を上回っており、1メートル当たり5674万円かかった計算になる。
1982年11月15日国鉄ダイヤ改正のときに供用が開始された。トンネル内にできた半径1500mのS字状のカーブにより、現在もここでは160km/hの減速運転を強いられる。なお、このトンネルの建設工事では日本で初めて新オーストリアトンネル工法(NATM工法)が使われ、1978年に土木学会賞を受賞している。
上越新幹線は当初、東北新幹線と同時開通予定であった。しかし中山トンネルの難工事で手間取り、結局は東北新幹線より5か月遅れての開通となった。
工事経過
- 1971年(昭和46年) 地質調査。
- 1972年(昭和47年)2月 着工。
- 1972年(昭和47年)2月8日 四方木(しほうぎ)立坑(372m)、着工。
- 1973年(昭和48年)3月1日 小野上北斜坑、着工。
- 1976年(昭和51年)8月 四方木立坑、完成。
- 1976年(昭和51年)5月 中山工区にNATM工法を導入。
- 1976年(昭和51年)11月18日 小野上北斜坑、大滞水塊に行き当たり異常出水と切羽崩壊により廃止。
- 1979年(昭和54年)3月11日 四方木工区で毎分80トンの異常出水。本坑と立坑が約35,000トンの湛水により水没。
- 1979年(昭和54年)9月17日 四方木工区の水抜き終了。
- 1979年(昭和54年)9月27日 四方木工区のルートを変更。曲線半径6000mを4000mへ。
- 1980年(昭和55年)3月9日 毎分110トンの異常出水により四方木工区と高山工区が水没。
- 1980年(昭和55年)8月 両工区の水抜き終了。
- 1981年(昭和56年)1月 四方木工区のルートを再び変更。曲線半径4000mを1500mへ。結果としてルート延長が27m伸びた。
- 1982年(昭和57年)3月31日 完工。
- 1982年(昭和57年)11月15日 供用開始。