コンテンツにスキップ

リスボン条約

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。村人A (会話 | 投稿記録) による 2009年10月15日 (木) 13:41個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

リスボン条約調印式にて

リスボン条約(リスボンじょうやく)は、既存の欧州連合基本条約を修正する条約。改革条約(かいかくじょうやく)とも呼ばれる。2009年までにすべての欧州連合加盟国の批准が完了し、発効する予定となっている。また2005年に一部の加盟国で行われた国民投票で批准が拒否された欧州憲法条約で実施される予定だった多くの機構改革もリスボン条約でなされることになっている。

本条約の正式な名称は「欧州連合条約および欧州共同体設立条約を修正する条約」。2009年6月に行われた欧州議会議員選挙の前となる2009年1月1日の発効を目指していた。ただし批准手続きに遅れが生じた場合、その完了の翌月の1日に発効することになっている[1]

2005年にフランスオランダにおける国民投票で欧州憲法条約批准が否決された。EUの基本条約の枠組み改定には全加盟国の賛成が必要であるため、欧州憲法条約は発効が断念された。これを受けて2007年6月、欧州理事会において新条約の枠組みが合意され、政府間協議 (IGC) において起草、条約案が承認された。

草案は2007年10月19日に合意に達し、欧州憲法条約に大幅な変更が加えられたものの欧州憲法条約とは異なり、既存の基本条約と置き換えられるのではなく、修正する形をとっている。また欧州連合の旗のような超国家機関的な性格は取り除かれ、特定の国には適用除外条項が規定されている。

背景 - 欧州憲法条約

2004年の10か国が新規加盟するということが差し迫るなどの状況で、2001年のニース条約で付帯された宣言書に定められた欧州連合 (EU) の基本的な枠組みの再検討が求められるようになった。ニース条約では将来の加盟に備えて議決手続きの改革が行われたが、それでは不十分であったとされている。2001年12月のラーケン宣言では、EUの民主性、透明性、効率性を高め、欧州憲法条約の制定に向けた過程を定めた。また欧州の将来に関する協議会が設置され、議長に元フランス大統領ヴァレリー・ジスカール・デスタンが就任、ヨーロッパ諸国に広く受け入れられるような憲法草案の起草という作業が与えられた。協議会は主に、既存の加盟国だけでなく加盟候補国からの各国議会の代表者で構成され、このほかに各国政府の代表も加わった。2003年6月最終草案が発行され、条約案はアイルランドが議長国を務める2004年6月18-19日の欧州理事会において合意された。

25か国からの合意を得た憲法条約は2004年10月29日にローマにおいて署名式典が行われ調印された。欧州憲法条約が発効するにはすべての加盟国の批准がなされなければならないとされていたが、2005年にフランスとオランダにおいて国民投票が実施された結果、欧州憲法条約は拒否された。多くの加盟国が批准手続きを完了させていた一方で、EU基本条約の修正には全加盟国の承認が求められるため、この両国での国民投票の結果を受けて「熟慮期間」が設定され、その後欧州憲法条約案は政治的に終焉を迎えることになった。

新たな動き

2007年、ドイツEU議長国となり、熟慮期間の終わりを宣言した。3月、ローマ条約調印50周年を迎え、全加盟国によりベルリン宣言が採択された。この宣言では全加盟国が2009年中ごろの欧州議会議員選挙までに新たな基本条約を策定・批准することが盛り込まれている[2]

ベルリン宣言が出されるまでに、バローゾ委員会から2人の委員も加わったヨーロッパの政治家で構成される「ヨーロッパの民主主義のための行動委員会」(通称、アマート委員会)では非公式ながらも欧州憲法条約の改訂に着手していた。2007年6月4日、フランスにおいて63,000語、448条からなる欧州憲法条約が、12,800語、70条にまで簡素化された改訂版が発表された。EU首脳の間では非公式に新たな条約に向けた以下のようなタイムラインを策定していた。

リスボン条約調印式
  • 2007年6月22-23日 ブリュッセル欧州理事会において新条約の策定に関する作業をIGCに付託することを決議
  • 2007年7月23日 リスボンにおいて「改革条約」策定作業のためのIGCを開始
  • 2007年9月7-8日 外相会合
  • 2007年10月18-19日 リスボン欧州理事会、「改革条約」最終草案に合意
  • 2007年12月13日 リスボンにおいて調印
  • –2008年末 全加盟国による批准完了
  • 2009年1月1日 発効

2007年6月欧州理事会

2007年6月21日、欧州理事会の会合がブリュッセルで行われ、拒絶された欧州憲法条約に代わって新条約を作成することで合意された。会合はドイツが議長国を務めるもとで行われ、ドイツ連邦首相アンゲラ・メルケルが議長として協議を牽引した。会合ではキプロスマルタユーロ導入決定など、ほかの分野に関する議論が手早く行われ、その後新条約の協議が6月23日の午前5時まで続けられた。

IGCに付託する16ページにわたる文書に合意がまとまり、その中で欧州憲法条約から「憲法」のような性格を持つ用語やEUのシンボルといったものが除去される旨が盛り込まれた。そのうえでIGCに対して、欧州連合理事会での立法手続きや外交政策といった重要な点について欧州憲法条約の規定の修正を求めた。イギリスポーランドの圧力を受け、潜在的にイギリスに対する例外条項を設けるなど、EUにおける基本的人権条項の適用に関して限定的にするよう求めている。また特定分野の立法手続きに関しては例外的な対処がなされる余地を含めており、また欧州憲法条約で規定されていた新たな議決制度については2014年まで凍結することとされた[3]

6月の会合において新条約について「改革条約」という名称がつけられ、このため「欧州憲法」という名称は消し去られることになった。正確には改革条約でマーストリヒトローマ両条約を欧州憲法条約にあった多くの規定に修正することとなるが、両条約を統合するようなものにはなっていない。また実質的にEU法の主要な規定のほとんどが含まれ、法的に実効性を持つ文書であるローマ条約の正式名称「欧州共同体設立条約」について、これを「欧州連合の機能に関する条約」に改称することが決められた。さらに、欧州憲法条約では基本的人権条項が含まれていた点とは異なり、改革条約では既存の欧州連合基本権憲章について法的拘束力を持つものとして言及し、独立した文書とすることとなった[3]。修正の多くはアマート委員会が提示した内容となっている。

政府間協議

ポルトガルはドイツを後押しし、IGCへの付託に対する合意取りまとめを支えた。6月の協議や16ページにわたる改革条約の枠組みが決まり、同月23日にIGCでの新条約の起草作業が開始された。ドイツの後を受け議長国となったポルトガルは「欧州連合条約および欧州共同体設立条約を修正する条約草案」と題した、145ページにわたる条約本体文書と132ページにわたる12の付帯議定書と51の宣言書を提示し、起草作業の開始点として欧州連合理事会のウェブサイト上に公開した[4]。IGCには各国政府の代表や法学者のほかに欧州議会からも欧州人民党・民主主義グループからエルマー・ブロク欧州社会党からエンリケ・バロン・クレスポ欧州自由民主主義者連盟からアンドルー・ダフの3人の代表が送られた[4]

IGCが開かれるまで、ポーランドは6月に合意された内容の撤回を求めており、とくに議決方式について反発していたが、協議の進行をただ1か国が妨害すると見られることを恐れ、またほかの加盟国からの政治的圧力を受けてその姿勢を弱めた。しかし一部の報道によると起草過程の期間中、ポーランドとアイルランドはイギリスとともに人権条項の例外規定に加わり、またポーランドは加盟国が立法手続きを遅らせることができる規定を加えるよう求めていたとされている[5]。アイルランドに対する例外規定が協議されていたにもかかわらず、アイルランド労働組合会議 (ICTU) は、例外規定が適用されていれば国民投票での反対を呼びかけていたという声明を出した[6]。結局アイルランドに対する人権分野に関する適用除外は実施されなかった[7]

2007年10月欧州理事会

2007年10月18-19日の欧州理事会の会合において全加盟国の主に法学者が参加する協議の場はその役割を終えた。10月にリスボンにおいてIGCおよび欧州理事会の会合が開かれ、新条約を1992年のマーストリヒト条約、1997年のアムステルダム条約、2001年のニース条約といった過去の基本条約にならって「リスボン条約」とすることが決まった。新条約は同年12月に調印されることになった。欧州理事会の会合は議長国ポルトガル、同国首相ジョゼ・ソクラテスのもとで進められた。

この会合の最後に条約の調印に向けて寸前の協議が行われ、以下のことが合意された。

  • イタリアに配分される欧州議会の議席数を増加する。その一方で750人の議員定数の上限を守るなかで欧州議会議長を議員として数えないこととする。
  • ポーランドの求めに応じて、「ヨアニーナの妥協」[8]の改定を実施する。欧州司法裁判所法務官のポーランド出身者の任命する。ポーランド出身の常任の法務官が加わることで、その全体の人数は従来の8名から11名に増やすこととなった[9]
  • オーストリアは学生定員に関する裁判所判決の効力停止を受けることになった。
  • ブルガリアはユーロのキリル文字への転写として、欧州中央銀行が求めていた “еуро”(エウロ)ではなく、 “евро”(エヴロ)とすることが認められた。

構成

リスボン条約は以下のような構成となっている。

  • 前文
  • 欧州連合条約に対する変更(第1条、3–40ページ)
  • 欧州共同体設立条約に対する変更(第2条、41–150ページ)
  • 最終規定(第3条から第7条、151–152ページ)
  • 議定書
  • 宣言書

リスボン条約第5条において、欧州共同体設立条約(ローマ条約)は「欧州連合の機能に関する条約」と改称され、条文番号も変更される。欧州憲法条約がEUの2つの主要な基本条約と欧州連合基本権憲章に代わり、またこれらを単一の条約に統合する形をとっていたのとは異なり、リスボン条約は既存の条約の修正と基本権憲章の法的拘束力を与えるものとなっている。リスボン条約草案で提唱されている変更を理解するためには、既存の複数の条約にまたがっている規定の相互の関連性を把握しなければならない。このためリスボン条約は可読性が低く見苦しいと評されることが多い。典型的な例として、次の規定文が挙げられる(マーストリヒト条約第7条の修正に関する規定)。

Article 7 shall be amended as follows: (a) throughout the Article, the word “assent” shall be replaced by “consent”, the reference to breach “of principles mentioned in Article 6(1)” shall be replaced by a reference to breach “of the values referred to in Article 2” and the words “of this Treaty” shall be replaced by “of the Treaties”;

(日本語訳)第7条は以下の通り修正する。 (a) 本条を通して、「同意 (assent)」という単語は「承諾 (consent)」と置き換え、「第6条 (1) で謳われている諸原則 (of principles mentioned in Article 6(1))」の違反に対するくだりは、「第2条で言及されている価値観」の背信と置き換え、「この条約 (of this Treaty)」という語句は「諸条約 (of the Treaties)」と置き換える。

内容

特筆される点

基本権憲章
2000年に発布された欧州連合基本権憲章に法的拘束力を与える。
外交担当職の統合
欧州委員会の外交担当委員とハビエル・ソラナが務める共通外交・安全保障政策上級代表
欧州議会の権限拡張
直接選挙による欧州議会について、共同決定手続きによる議決の対象分野を拡大する。国内議会についてもその役割を拡張する。
EUの政策分野の再構成
2014年以降の欧州理事会における「二重の多数決」での表決対象分野を拡大する。
欧州理事会議長
現在の半年ごとの輪番制に変え、任期2年半の常任の議長をおく。
単一の国際法人格
国際法人格を有することで、EUとして条約を調印することができるようになる。

リスボン条約では欧州憲法条約で合意されていた、常任の欧州理事会議長(EU大統領)やEU外相(「欧州連合外交・安全保障政策上級代表」に改称)、欧州議会の国別の議席数の配分、欧州委員会委員の削減、EUからの脱退、国際協定調印など外交政策で独立した機関として活動することが認められる国際法人格の付与(現在は欧州共同体にのみ付与されている)といった機構改革に関する規定の多くが継承されている。加えて欧州憲法条約における政治的変更や既存の条約の修正なども含まれている。以下に挙げる点は欧州連合条約や既存の条約と比べて大きく変更されているものである。

名称、基本的原理

欧州共同体設立条約(ローマ条約)は「欧州連合の機能に関する条約」に改称される。欧州連合条約と異なるのは、EUの2つの主要な条約が単一の基本条約文書に統合されないという点である。

さらにEUの機構にも変更がなされる[4]

  • 欧州理事会と欧州中央銀行がともに条約上の正式なEUの機関となる。
  • 欧州連合理事会は条約において「理事会」、あるいは「閣僚理事会」と表記される。
  • 欧州司法裁判所の正式名称について、「欧州共同体司法裁判所」から「欧州連合司法裁判所」となる。
  • 条約上、「欧州共同体委員会」とされていた正式名称が「欧州委員会」とされる[4]

一方で、EUのシンボル(旗、歌、標語)や「憲法」といった、国家のような特徴を表す規定や表現は取り除かれている。しかし、このようなシンボルはすでに使われていて、欧州旗については1980年代に使用されており、これらについて欧州憲法条約では正式に法的地位を与えられるはずだった。条文からは除かれたものの今後もシンボルは使用されることになっており、欧州議会でもそのことが確認されている。「国歌のような」用語やシンボルが取り除かれたことと同様に、EUのさまざまな形態の法令に関して従来の規則や指令といった用語が「EU法」と改められることについても断念された[3][10][11][12][13][14]

基本権憲章

54か条からなる欧州連合基本権憲章では、EU市民の政治、社会、経済に関する権利がうたわれている。同憲章ではEUの規則や指令が、EUのすべての加盟国が批准している(またEU全体としてもこの条約に加わっているとみなされている[4]人権と基本的自由の保護のための条約に反してはならないとされている。廃案となった欧州憲法条約では、基本権憲章が憲法条約の一部として取り込まれ、法的拘束力を持つことになっていた。ところがEUでコモン・ローの制度を持つ2つの国の1つで、憲法が成典化されていないイギリスは基本権憲章が法的拘束力を持つことに強く反対した[11]。議長国ドイツは改革条約において1か条で基本権憲章に言及し、そのうえで法的拘束力を持たせようとした[10]。その条文により基本権憲章はマーストリヒト条約やローマ条約と法的に同等の価値を持つこととなる。

Article 6
  1. The Union recognises the rights, freedoms and principles set out in the Charter of Fundamental Rights of 7 December 2000, as adapted [at..., on... 2007], which shall have the same legal value as the Treaties. The provisions of the Charter shall not extend in any way the competences of the Union as defined in the Treaties. The rights, freedoms and principles in the Charter shall be interpreted in accordance with the general provisions in Title VII of the Charter governing its interpretation and application and with due regard to the explanations referred to in the Charter, that set out the sources of those provisions.
  2. The Union shall accede to the European Convention for the Protection of Human Rights and Fundamental Freedoms. Such accession shall not affect the Union’s competences as defined in the Treaties.
  3. Fundamental rights, as guaranteed by the European Convention for the Protection of Human Rights and Fundamental Freedoms and as they result from the constitutional traditions common to the Member States, shall constitute general principles of the Union's law.

(日本語訳)マーストリヒト条約(修正後)第6条

  1. 連合は2000年12月7日の基本権憲章で定められた権利、自由、原則を2007年12月13日にリスボンにおいて採択され、諸条約と同等の価値を持つものとして承認する。憲章の規定は諸条約で定義されている連合の能力を超えて適用されることはない。憲章に定めのある権利、自由、原則は、解釈や適用を司る憲章の第7部の一般規定に従い、また憲章において言及されている規定の由来を定めた解説によって解釈されるものとする。
  2. 連合は人権と基本的自由の保護のための条約に加わる。この加入は書条約で定義されている連合の能力に影響を与えないものとする。
  3. 人権と基本的自由の保護のための条約で保障されている基本権および加盟国に共通するそれらの権利に由来する習慣は連合の法の一般原則であり続けるものとする。

対外関係

ハビエル・ソラナ
CFSP上級代表の役職は欧州委員会の対外関係担当委員と統合される。

リスボン条約では、対外関係はEU加盟国が一致した意見を要する政策分野であるとされている。また同条約で欧州委員会委員の人数を削減する一環として共通外交・安全保障政策 (CFSP) 上級代表と、欧州委員会対外関係・近隣政策担当委員の統合がなされ、上級代表は欧州委員会の副委員長となり外交を一手に引き受けることになる。欧州憲法条約ではEU外相として規定されていたが、リスボン条約では欧州連合外交・安全保障政策上級代表として言及されている[3]。加盟国の中にはこの役職が各国独自の外交政策を蔑ろにするのではないかという不安があるが、欧州理事会ではIGCが次の宣言について合意することを求めている。

In addition to the specific procedures referred to in [paragraph 1 of Article 11], the Conference underlines that the provisions covering Common Foreign and Security Policy (CFSP) including in relation to the High Representative of the Union for Foreign Affairs and Security Policy and External Action Service will not affect the existing legal basis, responsibilities, and powers of each Member State in relation to the formulation and conduct of its foreign policy, its national diplomatic service, relations with third countries and participation in international organisations, including a Member State’s membership of the Security Council of the UN. The Conference also notes that the provisions covering CFSP do not give new powers to the Commission to initiate decisions or increase the role of the European Parliament. The Conference also recalls that the provisions governing the CFSP do not prejudice the specific character of the security and defence policy of the Member States.

(日本語訳)条約本文第11条の第1段において言及されている特定の手続きに加えてIGCは、欧州連合外交・安全保障政策上級代表と対外使節などの共通外交・安全保障政策 (CFSP) についての規定が、第3国との関係や国際連合安全保障理事会の理事国に就くといった国際機関への参加などに関する外交の方針や運営、使節について、加盟国の既存の法的原則や義務、権限に影響しないことを明確にする。 IGCはまた、CFSPについての規定が欧州委員会に対して新たな決定権を与えたり、欧州議会の役割を増やしたりしないよう配慮する。さらにIGCはCFSPを司る規定が加盟国の安全保障や防衛に関する政策の特性を阻害しないことを確認する。(議長声明)[3]

対外関係に関する変更点は一部で、単一欧州議定書における単一市場の設置や、マーストリヒト条約におけるユーロの導入、アムステルダム条約における司法・内務協力の強化と同様に、本条約の最重要点とみなす向きがある。

欧州議会と国内議会

直接選挙で選ばれる欧州議会の権限はリスボン条約の下で強化される。従来、ほとんどの政策分野は共同決定手続きにおいて表決される。リスボン条約批准後、共同決定手続きは実質的にすべてのEUの政策分野で適用されることになり、これによって欧州議会は欧州連合理事会と等々の権限を持つようになる。ただし、わずかではあるがいくつかの分野では諮問手続きが適用される。欧州議会は通常の立法手続きで持って、非義務的支出だけでなくEUの予算全般にわたって権限を得ることになる。

加盟国の国内議会はマーストリヒト条約修正後第33条(修正前第48条と置き換えられる)に定められる基本諸条約の改定に関して、また修正後第34条(修正前第49条)の新規加盟の申請に関して重要な役割が与えられることになっている。国内議会はローマ条約修正後第69d条の民事に関するさらなる司法協力について拒否権を行使することができるようになる。

(日本語訳)マーストリヒト条約修正後第8c条 国内議会は連合が正常に機能するために、以下の手段によって能動的に貢献するものとする。

  1. 欧州連合の国内加盟国の役割に関する議定書にしたがって、欧州連合の機関によって通知、送付された欧州連合の法令案への対処
  2. 補完性および比例性原理の適用に関する議定書で規定されている手続きに従って、補完性原理の尊重への配慮
  3. 欧州連合の機能に関する条約第64条にしたがって自由、治安、司法の枠組み内におけるこれらの分野の連合の政策実施に対する評価メカニズムへの参加、および第69k条と第69h条にしたがって欧州刑事警察機構の政治的監視と欧州司法機構の活動の評価への関与
  4. 本条約第33条にしたがって、諸条約の改定手続きへの参加
  5. 本条約第34条にしたがって、連合への加盟申請の通知の受理
  6. 欧州連合の各国議会の役割に関する議定書にしたがって、各国議会および欧州議会との間での相互協力への参加
ヤン・ペーター・バルケネンデ
国内議会に国民投票の実施決定に関する権限を与えるべきだと主張した。

上記の点は、EUの意思決定の過程における国内議会により大きな役割を求めていたオランダの首相ヤン・ペーター・バルケネンデの最大限の譲歩の結果である。

付属第2議定書ではEUの施策が補完性原理を遵守していることを確かなものにするために、国内議会により大きな役割を与えている。欧州憲法条約と比べ、リスボン条約では国内議会に対して欧州委員会が提出した法案の調査期間を6週間から8週間とし、また国内議会は法案が補完性原理に反している理由を述べた意見を送付するかについてを決定することができる。国内議会は施策の再検討を求める決議を採択することができる。再検討が必要であるとする票が3分の1(自由、司法、治安に関するEUの施策案については4分の1)を上回った場合、欧州委員会は施策案の再検討をしなければならず、再検討後に施策案に変更を与えないと決定した場合は補完性原理にかなっているとする欧州委員会の根拠を議会に提示しなければならない。

理事会における表決

リスボン条約では欧州連合理事会での全会一致を要しない法令について、新たな表決手続きが導入されることになる。いわゆる特定多数決方式について、可決に要する票数が理事会の各国代表の55%かつ、賛成を投じた出席者の出身国の人口がEU全体の人口の65%とされた。理事会が欧州委員会の提案に従わない場合は、必要とされる多数は、人口については同じとされているが、代表者については全体の72%とされている。法案成立の阻止には少なくとも4か国が反対しなければならない。

従来のニース条約の表決の規則(加盟国数(半分、場合によっては3分の2超)、表決での賛成割合(74%超)、人口要件(62%超))は2014年まで残ることになっている。2014年から2017年の間は移行期間が設定され、新たな特定多数決方式が適用されるが、加盟国の求めに応じて旧方式が適用される場合もある。また2014年以降は1994年の「ヨアニーナの妥協」の新たな方式も用いられることになっており、これによってEUの規模の小さい国は支持しないEUの意思決定の再考を求めることができる。

政策分野

リスボン条約では、EUの3つの「柱」構造は廃止されることになっている。EUの2つの大きな「柱」にたとえられる政策分野、すなわち共通外交・安全保障政策 (CFSP) と警察・刑事司法協力 (PJCC) に関するEUの権能は拡張されることになる。ところがイギリスは条約の是非を問う国民投票の実施を回避するためにこれらの分野について、EUの超国家的権限の拡大に反対していた。2007年6月の合意によって、イギリスは内務・警察分野でのEUの協力体制への参加義務を免れることになった。外交政策や防衛に関して、各国政府には拒否権が残されたが、一方で欧州憲法条約からはほかの分野の変更点が継承されている。

リスボン条約において、EUの政策分野は次の3つに大別される。

  • 排他的権限 - 当該分野では、EUは排他的に指令を策定する権限を持つ。またEUの法令で授権されている場合、国際的な合意についての最終決定を下す排他的な権限を持つ。
  • 共有権限 - 当該分野では、加盟国とEUとの間で権限を共有する。
  • 支持権限 - 当該分野では、EUは加盟国の行動への支持、調整、補完といった行動を実行することができる。
排他的権限 共有権限 支持権限
  • 人間の健康の保護・改善
  • 工業
  • 文化
  • 観光
  • 教育、青少年、スポーツ、職業訓練
  • 市民保護
  • 政府協力

加盟国はこれらの政策分野の一部について適用除外をうけることができる。例えばイギリスは自由、治安、司法分野の法令について例外規定が設定されている。さらにイギリスの働きかけとチェコの支持により、リスボン条約では警察・刑事法分野についてEUの政策から対象外とされる規定がもうけられている。2007年6月の欧州理事会で策定された条約草案の枠組みの規定において、加盟国とEUの間での権限の区分は、EUから加盟国へ権限が戻されうる双方向の経路を持つ。

欧州理事会議長

ジョゼ・ソクラテス
2007年10月のリスボンでの会議を議長として牽引した。

従来の欧州理事会議長の役職は明確に規定されておらず、既存の基本条約においては任期6か月で輪番制の欧州連合理事会の議長国の首脳がこれを務めるとうたわれているのみである。リスボン条約が発効すれば、新たな欧州理事会議長は2年半の任期を持って選出されることになる。議長の選出は欧州理事会において各国首脳の特定多数決でなされ、また解任も同様の方法が採られる。欧州委員会委員長と異なり、欧州議会の承認を要しない[15]

議長の職務は理事会の業務の調整や会合の開催において統括的にこれを行う。しかしながら理事会やEUの対外的な代表を務めるものの、理事会の会合後や任期の開始と満了時に欧州議会に対して報告することとされている。

メディアでは欧州理事会議長の役職について「EU大統領」と表現することがある。これには語弊があり、欧州理事会議長には立法権や執行権がなく、これらは専ら欧州委員会委員長の権限である。

拡大・脱退

  既存の加盟国
  加盟候補国
  潜在的加盟候補国
  加盟が国民投票で拒否された国
  国民投票により加盟協議が凍結された国
  欧州理事会により加盟を拒否された国

リスボン条約では欧州憲法条約と同じく、潜在的加盟候補国についてEUへの加盟を希望するのであるならばEUの価値観を遵守させる規定がある。オランダはリスボン条約にコペンハーゲン基準を正式に含めることを提案していたが、これは加盟の是非を加盟国の首脳ではなく欧州司法裁判所が最終的に判断することになりかねないとして受け入れられなかった。2007年6月の首脳会議でオランダ首相ヤン・ペーター・バルケネンデは条約により強い拡大基準を含めるべきだと主張していた。実際のところそれらに関する規定は加盟希望国の申請が承認されにくくなる内容となっており、またEUの法令案についての国内議会の権限強化や、新条約が加盟国の公共サービス提供を行う権利に影響を与えないとする内容の議定書を付帯させている。

また欧州憲法条約と同様に、リスボン条約でははじめてEU加盟国が法的、公式的に加盟国の資格を剥奪する規定が盛り込まれている。欧州共同体 (EC) の一部が領域から離脱したことになる1985年のグリーンランドの例はあるが、従来EUを離脱する機会は規則化されていなかった。

欧州憲法条約から引き継いだ特長にはこのほかに、フランス、デンマーク、オランダの海外領土の地位の変更について、条約の修正を要しないこととなった点がある。代わりに欧州理事会において、当事国の発案により海外領土や外部領域などの特別領域の地位を変動することができるようになった[16]。この規定はオランダの提案で組み込まれ、オランダでは同国領のアンティルアルバのEUにおける将来についてもEUの機構改革の一環として調査してきた経緯がある。

気候変動・エネルギー分野での連帯

リスボン条約では気候変動地球温暖化に対する戦いに関する追加的合意が含まれており、これらはEUの目標にも加えられている。さらに条約のいくつかの規定はエネルギー供給関連の連帯やEU域内におけるエネルギー政策について修正がなされている。

加盟国に対する特別規定

イギリス・ポーランド

イギリスとポーランドはともに自国に対する、欧州司法裁判所による欧州連合基本権憲章の適用を免れることを定めた議定書を付帯させることでともに行動した。

Article 1

1. The Charter does not extend the ability of the Court of Justice of the European Union, or any court or tribunal of Poland or of the United Kingdom, to find that the laws, regulations or administrative provisions, practices or action of Poland or of the United Kingdom are inconsistent with the fundamental rights, freedoms and principles that it reaffirms. 2. In particular, and for the avoidance of doubt, nothing in Title IV of the Charter creates justiciable rights applicable to Poland or the United Kingdom except in so far as Poland or the United Kingdom has provided for such rights in its national law. Article 2

To the extent that a provision of the Charter refers to national laws and practices, it shall only apply to Poland or the United Kingdom to the extent that the rights or principles that it contains are recognised in the law or practices of Poland or of the United Kingdom.

第1条

1. 憲章は、ポーランドの、あるいは連合王国の法令、規則、政令、習慣、行動が、憲章に言及される基本権、自由、原理と相反することを指摘するような、欧州連合司法裁判所およびポーランドの、あるいは連合王国のいかなる裁判所の権能を拡張することはない。 2. とりわけ誤った理解がなされないために、憲章第4部におけるいかなる規定も、ポーランドあるいは連合王国が国内法において先の権利を規定する限りにおいて、ポーランドあるいは連合王国に対して適用されうる裁判で争われるような権利を生じることはないものとする。 第2条

憲章が国内法や慣習法に言及する規定の範囲において、憲章はポーランドあるいは連合王国の法令または慣習法において認証されている、憲章に含まれている権利や原理の範囲において、ポーランドあるいは連合王国に適用される。リスボン条約付帯第7議定書[17]

ポーランドの政党市民プラットフォームは2007年の議会選挙期間中、基本権憲章の適用除外を受けるとはしないとしていたが、同国首相ドナルド・トゥスクは、ポーランドは憲章に調印しないと発言している。トゥスクはかつて、いずれは憲章に調印することになることを示唆していたが[18]、その後前政権が協議してきた内容は尊重すると宣言した[19]

イギリス・アイルランド

アイルランドとイギリスは警察や司法での分野について全会一致から特定多数決での表決に変更することについての適用除外を受けることになった。この決定は(国民投票で賛成されて)条約が発効したのち、3年以内に再検討されることになっている。両国ともこれらの表決については案件ごとに適用除外を受けることができる。

批准手続き

批准手続きの状況
  批准書寄託済
  議会・国民投票承認済

ドイツによって計画され2007年6月の首脳会議で合意されたタイムテーブルの下、すべての加盟国は2007年6月の首脳会議で合意された付託文書を新条約の協議の基本文書として使うことになり、新条約は2007年末までにその協議を終了させ、2007年末までにすべての加盟国での批准を完了させて、2009年1月1日に、次回の欧州議会選挙に備えて発効させることになった。発効には全加盟国の批准が必要であり、アイルランドを除く加盟国は新条約に関する国民投票の実施を回避した。アイルランドだけは憲法の規定により国民投票の実施が義務付けられているが、そのほかの加盟国は各国の議会で批准手続きを完了させたいとしている。デンマークでは、リスボン条約に関する国民投票の実施を求める声が高まっていた[20]。しかし中立委員会は条約調印後に国民投票の実施に反対し、デンマーク首相アナス・フォー・ラスムセンは2007年12月11日に、新条約を国民投票で諮らないと表明し、議会も同日この方針を確認した[21]スコットランドおよびスコットランド政府はリスボン条約について諮問的な住民投票の実施を示唆しているが、スコットランド議会の権限は外交政策については与えられておらず、住民投票が法的に効力を持つものであるかは不透明である。

チェコ、オランダ、イギリスでは国民投票の実施の是非について検討がなされ、いずれの政府も議会での批准を決めている。オランダとイギリスでは、議会が政府の決定に反して国民投票を強行する権限を持つが、実施反対派が多数を占めておりその見通しはほとんどなかった[22][23]。チェコは2007年10月30日に国民投票ではなく議会でのリスボン条約批准を議会で決しており、この採決にはボヘミア・モラビア共産党や与党市民民主党の造反議員3名が実施賛成に回った[24]。その後2008年4月24日に元老院はリスボン条約について、憲法裁判所で条約の規定がチェコ国内法に適うものか確認するよう求めることを議決し、その作業が完了するまで批准手続きを保留していたが[25]、2008年11月26日、憲法裁判所はリスボン条約が合憲であるという判断を下した[26]

ポルトガルでは首相で2007年後半の欧州連合議長国首脳でもあるジョゼ・ソクラテスが欧州憲法条約については国民投票の実施を公言していたこともあって、リスボン条約についても国民投票の実施を求める勢力にさらされているが、左派ブロックを除くすべての政党が国民投票について、他国への波及を危惧していることもあって実施に後ろ向きで、ソクラテスもまた明言は避けていたが、その後議会での手続きのみとし、国民投票は実施しないことを決めた。

条約批准手続きの結果

調印国 賛否決定日 議会 賛成 反対 棄権 批准書寄託日[27]
 ハンガリー 2007年12月17日 チェック 国民議会 325 5 14 2008年2月6日
マルタの旗 マルタ 2008年1月29日 チェック 代議院 65 0 0 2008年2月6日
フランスの旗 フランス 2008年2月7日 チェック 国民議会 336 52 22 2008年2月14日
2008年2月8日 チェック 元老院 265 42 13
 ルーマニア 2008年2月4日 チェック 元老院代議院合同会議 387 1 1 2008年3月11日
スロベニアの旗 スロベニア 2008年1月29日 チェック 国民議会 74 6 0 2008年4月24日
 ブルガリア 2008年3月21日 チェック 国民議会 195 15 30 2008年4月28日
 オーストリア 2008年4月9日 チェック 国民議会 151 27 0 2008年5月13日
2008年4月24日 チェック 連邦議会 58 4 0
 デンマーク 2008年4月24日 チェック フォルケティング 90 25 0 2008年5月29日
 ラトビア 2008年5月8日 チェック サエイマ 70 3 1 2008年6月16日
ポルトガルの旗 ポルトガル 2008年4月23日 チェック 共和国議会 208 21 0 2008年6月17日
スロバキアの旗 スロバキア 2008年4月10日 チェック 国民評議会 103 5 1 2008年6月24日
イギリスの旗 イギリス 2008年3月11日 チェック 庶民院 346 206 81 2008年7月16日
2008年6月18日 チェック 貴族院 全会一致 "Content"
ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク 2008年5月29日 チェック 代議院 47 1 3 2008年7月21日
イタリアの旗 イタリア 2008年7月23日 チェック 元老院 286 0 0 2008年8月8日
2008年7月31日 チェック 代議院 551 0 0
ギリシャの旗 ギリシャ 2008年6月11日 チェック ギリシャ議会 250 42 8 2008年8月12日
キプロスの旗 キプロス 2008年7月3日 チェック 代議院 31 17 1 2008年8月26日
 リトアニア 2008年5月8日 チェック セイマス 83 5 23 2008年8月26日
オランダの旗 オランダ 2008年6月5日 チェック 第二院 111 39 0 2008年9月11日
2008年7月8日 チェック 第一院 60 15 0
 エストニア 2008年6月11日 チェック リーギコグ 91 1 9 2008年9月23日
 フィンランド 2008年6月11日 チェック エドゥスクンタ 151 27 21 2008年9月30日
スペインの旗 スペイン 2008年6月26日 チェック 代議院 322 6 2 2008年10月8日
2008年7月15日 チェック 元老院 232 6 2
ベルギーの旗 ベルギー 2008年3月6日 チェック 連邦元老院 48 8 1 2008年10月15日
2008年4月10日 チェック 連邦代議院 116 18 7
2008年5月14日 チェック ワロン地域議会(地域案件) 56 2 4
チェック ワロン地域議会(共同体案件) 53 3 2
2008年5月19日 チェック ドイツ語共同体議会 22 2 1
2008年5月20日 チェック フランス語共同体議会 67 0 2
2008年6月27日 チェック ブリュッセル首都圏地域議会 65 10 1
2008年6月27日 チェック 合同共同体委員会議会 66 10 0
2008年7月10日 チェック フランデレン地域議会(地域案件) 76 21 2
チェック フランデレン地域議会(共同体案件) 78 22 3
2008年7月11日 チェック フランス語共同体委員会議会 70 1 1
 スウェーデン 2008年11月20日 チェック リクスダーゲン 243 39 13 2008年12月10日
ドイツの旗 ドイツ 2008年4月24日 チェック 連邦議会 515 58 1 2009年9月25日
2008年5月23日 チェック 連邦参議院 65 0 4
ポーランドの旗 ポーランド 2008年4月1日 チェック 共和国下院 384 56 12 2009年10月13日
2008年4月2日 チェック 共和国上院 74 17 6
 チェコ 2009年2月18日 チェック 代議院 125 61 11
2009年5月6日 チェック 元老院 54 20 5
アイルランドの旗 アイルランド 2008年4月29日 チェック ドイル・エアラン(憲法改正) 可決
2008年5月9日 チェック シャナズ・エアラン(憲法改正) 可決
2008年6月13日 × 国民投票(1回目) 46.6% 53.4% n/a
2009年7月8日 チェック ドイル・エアラン(憲法改正) 可決
2009年7月9日 チェック シャナズ・エアラン(憲法改正) 可決
2009年10月3日 チェック 国民投票(2回目) 67.13% 32.87% n/a
ドイル・エアラン(条約批准)
シャナズ・エアラン(条約批准)
欧州連合の旗 欧州連合 2008年2月20日 チェック 欧州議会 525 115 29 n/a

アイルランドにおける国民投票

ファイル:Lisbon Treaty posters.jpg
リスボン条約批准の是非を問う国民投票を控えたダブリン市内 (2008年5月25日)

アイルランドでは2008年6月12日にリスボン条約批准に伴う憲法改正の是非を問う国民投票が実施され、翌日に開票された結果、投票率53.13%(1,621,037票、うち無効6,171票)で、賛成46.6%(752,451票)、反対53.4%(862,415票)となり憲法改正、条約批准に国民の同意が得られなかった[28]。この国民投票は、ほかの加盟国政府が欧州憲法条約失敗の繰り返しを恐れて国民投票の実施を見送るなか、アイルランドでは欧州連合の基本条約を批准・改廃するときは憲法第29条の規定を改正する必要があるという最高裁判所判決[29]が下されたという経緯があり、リスボン条約の批准にあたっても憲法改正が必要となったためである。

アイルランドでは国民投票実施の前月に首相に就任したばかりのブライアン・カウエンを筆頭に与野党を問わず主要政党がリスボン条約批准賛成を呼びかけていた。その一方で有権者の間でリスボン条約に対する理解が浸透せず、これに受けて議会で少数派のシン・フェイン党などが「わからないものには反対を」という運動を起こし、有権者も同調したことも反対が上回った原因に考えられている[30]

アイルランドでは2001年にもニース条約批准に有権者の同意が得られず、2度目の国民投票で批准にこぎつけたということがある。ニース条約のときは2002年末までに全加盟国が批准しなければ破棄されるという規定があったが、リスボン条約第6条第2項では2009年1月1日の発効が目標とされているものの、同日に発効されなければすべての加盟国での批准手続きが完了した翌月の月初日に発効することが同時に規定されている。そのため2008年6月19-20日にブリュッセルで開かれた欧州理事会では、各国首脳が批准の議決を完了させていない加盟国での手続きを進め、そのうえでアイルランドに受け入れられるような適用除外規定を付属議定書の形で加えることなどの対応が協議され、リスボン条約を発効させるための努力を続けることを確認した[31]。しかしながら欧州連合に対して批判的な有力政治家からはアイルランドの No に勢いづき、2008年4月に議会での批准手続きを完了させているポーランドの大統領レフ・カチンスキからは「アイルランドが批准しない限り批准法に署名しない」[32]、チェコの大統領ヴァーツラフ・クラウスからは「リスボン条約は死んだ」[33]といった発言がなされた。

2008年12月11-12日にブリュッセルで開かれた欧州理事会において、リスボン条約は欧州連合の拡大とより効率的、より民主的な運営のために必要なものであるということが再確認された。この首脳会議に先立ってアイルランド政府は2008年6月の国民投票について分析し、アイルランドから欧州委員会委員を出せなくなるという点が反対された大きな原因であると判断した。そこで各国首脳はリスボン条約が発効していても欧州委員会では各国から1人ずつ委員を出す従来の制度を維持することで合意した。またアイルランドの税制、国防における中立性や、妊娠中絶、安楽死、同性婚などのアイルランドの伝統的な考え方について特別な配慮をまとめた付属議定書を作成することになった。これらの対応を受けてアイルランドはバローゾ委員会の後任の欧州委員会が発足する2009年11月までに再び国民投票を実施することとなり、2009年6月18-19日に行なわれた欧州理事会で議定書案が合意された。2009年7月8日、カウエンは議会において2度目の国民投票を同年10月2日に実施することを発表した[34]

2009年10月2日に2度目の国民投票が実施され、翌日に開票された結果、投票率59%(1,816,098票、うち無効7,224票)で、賛成67.13%(1,214,268票)、反対32.87%(594,606票)となり、憲法改正、条約批准が国民に承認された[35]。前回と結果が異なった背景として、1990年代後半からおよそ10年続いた「ケルトの虎」と呼ばれる好景気で外資や輸出に経済を依存してきたアイルランドは世界金融危機の影響によって一転し、失業率も2009年中に17%にまで達するという見込みがなされるなど[36]深刻な不況に見舞われているなかで、有権者の間で欧州連合に対する評価が再確認されたことが挙げられる[37]

2回目の国民投票にあたって与野党を問わずほとんどの政党が賛成に投票するよう呼びかけたほか、元ポーランド大統領レフ・ヴァウェンサや欧州議会議長イェジ・ブゼクといった国外の政治家もアイルランドで条約批准への支持を有権者に求めた[38][39]。また経済界からもアイルランド産業雇用者連合会長ダニー・マッコイライアンエアー最高経営責任者マイケル・オリアリーなどが批准賛成を打ち出してキャンペーンを展開するなど、リスボン条約への支持が広まっていった[38][40]

カチンスキの反応

リスボン条約批准法に署名するレフ・カチンスキ(2009年10月10日)

ポーランドでは大統領レフ・カチンスキがリスボン条約に懐疑的な立場をとってきた。2008年4月に議会両院でリスボン批准が承認されたが[41]、カチンスキはただちに批准法に署名しなかった。2008年6月にアイルランドの国民投票でリスボン条約批准が拒否されると、カチンスキは「アイルランドが国民投票で承認しない限りは、ポーランドの批准法に署名しない」と表明した[32]。カチンスキは「リスボン条約の障害になるつもりはないが、アイルランド国民が yes と言わないような条約に署名するつもりもない」という意思を繰り返し述べていった[42]

2009年10月、アイルランドの2度目の国民投票で賛成が大きく上回ったという結果を受けて、カチンスキはただちに批准法に署名することを表明した。同月10日、カチンスキは欧州委員会委員長ジョゼ・マヌエル・ドゥラン・バローゾ、2009年後半の欧州連合理事会議長国であるスウェーデンの首相フレドリック・ラインフェルト、欧州議会議長イェジ・ブゼクを大統領宮殿に招いて式典を行い、その場で批准法に署名した[43]

ドイツにおける違憲審査

ドイツでは野党左翼党や与党キリスト教社会同盟に所属する連邦議会議員ペーター・ガウヴァイラーらによって、リスボン条約がドイツ連邦共和国基本法に違反するとして連邦憲法裁判所に違憲審査を求めた。ドイツでは議会での批准手続きを2008年5月までに終えていたが、違憲審査の開始を受けて連邦大統領ホルスト・ケーラーは連邦憲法裁判所が合憲と判断するまで、ドイツでの批准手続き完了に必要な連邦大統領の署名をしないことを表明した[44]

2009年6月30日に連邦憲法裁判所は違憲審査の結果を明らかにし、結論としてはリスボン条約はドイツ連邦共和国基本法に反しないと判断した一方で、欧州連合の政策決定に関与する点で国内法の改正が必要であるとした[45]。この判断を受けて、同年9月27日に総選挙が実施されるという日程上の余裕がないなかで8月27日から議会における議論を開始し[46]、連邦議会で9月8日に、連邦参議院で9月18日にそれぞれ改正法案を可決した[47][48]。議会での改正法成立を受けてケーラーは9月25日に批准文書に署名し、ドイツの批准手続きを完了させた[49]

チェコの欧州懐疑派による反発

ヴァーツラフ・クラウス(中央左)とレフ・カチンスキ(同右)(2008年10月12日、チェシンにて)

チェコでは2008年4月24日、元老院において議員全70人中48人が、リスボン条約がチェコ国内法に反しないかどうかを憲法裁判所に審査することを求める決議を採択した。この決議によりチェコでは元老院、代議院ともにリスボン条約の批准についての審議を保留することとなった[44]

2008年11月26日、憲法裁判所はリスボン条約について判事全員が国内法に反しないと判断した[50]。ところがこの判断に対してリスボン条約に批判的な立場をとる大統領ヴァーツラフ・クラウスは「憲法裁判所の判断はもっぱら政治的なものであり、司法の立場からなされたものではない」と述べている[50]。他方で議会はリスボン条約批准の手続きを開始し、2009年2月18日、代議院は批准承認に必要な全議員(200人)の5分の3をわずかに上回る125人が賛成した[51]。ところが3月24日、チェコが2009年前半の欧州連合理事会議長国であるにもかかわらず、代議院においてミレク・トポラーネク政権に対する不信任決議が与党市民民主党の一部の議員の造反によって可決されるという波乱が起きる[52]。政治情勢が流動化するなかで元老院での批准の見通しが一時は不透明となったが、5月6日に採決を行い、全議員79人中54人が賛成して批准が承認された[53]

議会での批准手続きは完了したものの、クラウスは「アイルランドでの2度目の国民投票の結果が出るまで批准文書に署名しない」と発言してきており、さらには憲法裁判所に再度の審査を求めるよう、自分に近い元老院議員に促してきた[54]。この動きに同調してイギリスの野党保守党党首のデービッド・キャメロンは、2010年に実施が見込まれている総選挙で政権を奪取したさいにはイギリスで国民投票を実施する意向を表明しており、この国民投票実施まで批准文書への署名延期をクラウスに求めた[55]。くわえて2009年9月29日にイルジー・オベルファルゼルら市民民主党所属の元老院議員が憲法裁判所に対して再度の審査を求め[56]、10月1日に憲法裁判所は審査を開始することを発表した[57]

2009年10月にアイルランドの国民投票でリスボン条約の批准が承認されたものの、クラウスは上述の憲法裁判所における審査の結果を待つとしたうえに、リスボン条約によって欧州連合基本権憲章が法的拘束力を持つようになると、第二次世界大戦後に旧チェコスロバキア政府がいわゆるベネシュ布告によって、追放したドイツ人などから没収した財産の返還請求訴訟を欧州司法裁判所に提起することができるようになると指摘した。クラウスはこのような事態を懸念し、条約協議のさいに盛り込まれたイギリスやポーランドに対する欧州連合基本権憲章の適用除外をチェコに対しても認めるように要求した[58]。 本件に対し、フランスのクシュネル外相は「(2010年頭の条約発効のためには)これ以上の条約修正はない」として不快感を示している[59]

反応

2007年6月の合意を受けて、ドイツの外相フランク=ヴァルター・シュタインマイアーは「もはや残されたことは6月に合意された妥結案を法定化することだけだ」と述べている。オーストリア外相ウルズラ・プラスニックもこれに同意し、そのうえで「残されているのは多言語での正文作成と法的な詳細をまとめること」と付け加え、12週間以内に調印の準備を完了させることへの自信を覗かせた[60]。この考え方には欧州委員会委員長ジョゼ・マヌエル・バローゾも同調し、10月までに27のEU加盟国が新たな改革条約に政治的合意に達するということに自信を見せた。またバローゾは「われわれにはいまや条約文の草案がある。先の欧州理事会で得られた政治的なコンセンサスが法典化されているのだ」とも述べている[61]

しかしながらポーランドといった国には、一部の分野で議論の再開を望む空気がある。2007年6月、ポーランド首相ヤロスワフ・カチンスキは、ポーランドは第2次世界大戦が起こらなければ今よりもずっと人口が多かっただろうと、物議をかもす発言をしている[62]。欧州議会議長ハンス=ゲルト・ペテリングは、条約について実質的に新たな議論を行う余地はなく、またポーランドなどが示唆しているような議論の再開などもありえないと述べている。IGCに参加した欧州議会代表団の1人であるエルマー・ブロックはペテリングの発言に加える形で、もはやこの付託文書は条約草案にされる段階となっていると述べている[60]

イギリス

2007年6月、イギリス首相トニー・ブレアは改革条約に合意した。リスボン条約の批准手続き完了後、初代欧州理事会議長の候補に名前が挙がっている。

イギリスにおいてリスボン条約は議論を呼んでいる[63]。与党労働党は欧州憲法条約の批准にあたって国民投票の実施を掲げていたが、同国首相トニー・ブレアは、新たな改革条約については国民投票の実施の必要はないと述べている。リスボン条約には憲法条約で提唱されたEUの基本的な枠組みへの変革策を多く含まれているため、メディアではイギリス世論において新たな改革条約についての国民投票が実施されるべきだと報じている[64]。これに応じて、ブレアとその後任のゴードン・ブラウンは、新条約では、EUとしての外交政策やコモン・ロー(基本権憲章がイギリスに対して法的効力を持たない内容)、社会政策、税法について拒否権が残ることから「レッド・ライン」を越えていないとして、国民投票の実施は必要ないと述べている[65]。ブレアが妥結に至ったと主張しているが、EUは外交担当機関が数多く残っており、つまりはEUはイギリスの関心とは関係なく外交政策を運営することとなるため、ブレアの外交政策に関する適用除外の実際の有効性に疑問が投げかけられた[66]。またEUの目的から「自由で歪みのない」という言葉が除かれたことも関心を集めた。これはフランス大統領ニコラ・サルコジが求めたことで、サルコジはこの文言について思想的な目標ではなく目的達成のための手段として用いられていると考えていた。

3. The Union shall establish an internal market (where competition is free and undistorted). It shall work for the sustainable development of Europe based on balanced economic growth and price stability, a highly competitive social market economy, aiming at full employment and social progress, and a high level of protection and improvement of the quality of the environment. It shall promote scientific and technological advance.

(日本語訳)3. 連合は(競争が自由で歪みのない)域内市場を設置する。域内市場は完全雇用と社会の発展、環境の質の高い水準での保護と改善を目的として、均衡の取れた経済成長と物価安定、競争力を持つ社会市場経済に基づく欧州の持続的な発展のために機能する。(マーストリヒト条約第2条)

イギリス議会の議員には当初改革条約の草案がフランス語版しかなかったことに批判するものがおり、それらの議員は庶民院に英語版の草案が用意されなかったとして新条約を適切に精査できないと主張した[67]。2007年10月、庶民院欧州監視委員会は、改革条約は大筋で欧州憲法条約と同質のものであり、この条約でイギリスのために規定された特例は実際のところでは効果を持たないと主張した[68][69]。この見解は外相デイヴィッド・ミリバンドの意見と対立するものとなっている[70]

脚注

  1. ^ Reform/Lisbon Treaty: Finalization, Ratification and Entry into Force EU Law Blog 2007年11月25日 (英語)
  2. ^ Constitutional Treaty: the "reflection period" EurActiv.com 2007年6月1日 (英語、ほかドイツ語、フランス語)
  3. ^ a b c d e Presidency Conclusions Brussels European Council 21/22 June 2007 欧州連合理事会 2007年6月23日 (英語、PDF形式)
  4. ^ a b c d e [Draft Reform Treaty - Projet de traité modificatif] 欧州連合理事会 2007年7月24日 (英語)
  5. ^ [1] 英国放送協会 2007年7月23日 (英語)
  6. ^ ICTU threatens to oppose EU treaty アイルランド放送協会 2007年7月3日 (英語)
  7. ^ Poland's new government will adopt EU rights charter: official EU Business 2007年10月22日 (英語)
  8. ^ 1994年にギリシャのヨアニーナで定められた、欧州連合理事会での少数意見に配慮し、議論期間の確保と慎重な合意形成を行うことを定めた欧州連合理事会の決定。Council Decision of 29 March 1994 concerning the taking of Decision by qualified majority by the Council (Official Journal C 105 , 13/04/1994 p.1) および COUNCIL DECISION of 1 January 1995 amending the Council Decision of 29 March 1994 concerning the taking of decisions by qualified majority by the Council (Official Journal C 001 , 01/01/1995 p.1) (英語ほか)
  9. ^ Declaration ad Article 222 of the Treaty on the Functioning of the European Union on the number of Advocates-General in the Court of Justice 欧州連合理事会 2007年10月18日 (英語、PDF形式)
  10. ^ a b LinksDossier, The 'Treaty of Lisbon' EurActiv.com 2007年4月26日 (英語、ほかフランス語、ドイツ語)
  11. ^ a b Mark Tran, How the German EU proposals differ from the constitution ガーディアン 2007年6月21日 (英語)
  12. ^ 。ただ16の加盟国はこれらのシンボルについて、付帯宣言書で法的拘束力を持たないにもかかわらず、それに準じて扱うことを宣言している
  13. ^ Andrew Porter, Germany seeks to enshrine EU flag デイリー・テレグラフ 2007年12月12日 (英語)
  14. ^ Final Act 欧州連合理事会 2007年12月3日 (英語、PDF形式)
  15. ^ SCADPlus: The Institutions of the Union EUポータルサイト "EUROPA" (英語ほか)
  16. ^ ローマ条約修正後第311条
  17. ^ Protocol (No 7) - On the Application of the Charter of Fundamental Rights to Poland and to the United Kingdom IGC 2007 (英語、PDF形式)
  18. ^ Russia poll vexes EU and Poland 英国放送協会 2007年12月4日 (英語)
  19. ^ No EU rights charter for Poland 英国放送協会 2007年11月23日 (英語)
  20. ^ DF forsøger at true VK til EU-afstemning Politiken 2007年7月18日 (デンマーク語)
  21. ^ No Danish vote on Lisbon Treaty 英国放送協会 2007年12月11日 (英語)
  22. ^ Katerina Ossenova, Netherlands rejects EU reform treaty referendum ピッツバーグ大学ロースクールニュースサイト "JURIST" 2007年9月21日 (英語)
  23. ^ Commons battle looms on EU treaty 英国放送協会 2007年10月19日 (英語)
  24. ^ Czech lawmakers reject referendum over EU treaty EUbusiness 2007年10月30日 (英語)
  25. ^ Czech Senate postpones vote on EU treaty, asks court to rule if it is in line with Czech law インターナショナル・ヘラルド・トリビューン 2008年4月24日 (英語)
  26. ^ Court says unanimously Lisbon treaty is compatible with Czech law”. ČeskéNoviny.czlanguage=English (2008年11月26日). 2008年11月26日閲覧。
  27. ^ リスボン条約第6条第1段目において、条約の発効のためにはイタリア政府に批准書が寄託されることが求められている。いずれの締結国も必要とされる機関(議会および国家元首)すべてにおける国内での批准過程が完了したのち、批准書を寄託することになる。ここにおける国の順番は批准書の寄託順とし、2以上の国が同日に寄託したときは国名のアルファベット順とする。なお寄託日については欧州連合理事会のデータベース(英語)による。
  28. ^ Lisbon Treaty rejected by Irish electorate アイリッシュ・タイムズ 2008年6月13日 (英語)
  29. ^ Crotty v. An Taoiseach [1987] IESC 4; [1987] IR 713 (9th April, 1987)
  30. ^ Henry McDonald, James Sturcke, Ireland rejects EU reform treaty 英国放送協会 2008年6月13日 (英語)
  31. ^ European Council to analyse further and return to Lisbon Treaty in October; meanwhile, ratification continues 議長国スロベニアのプレスリリース 2008年6月20日 (英語)
  32. ^ a b Polish President will not ratify Lisbon Treaty” (English). EurActiv.com (2008年7月1日). 2008年11月30日閲覧。
  33. ^ Vucheva, Elitsa (2008年6月16日). “Sarkozy heads to Prague for emergency EU treaty talks” (English). EUobserver.com. 2008年11月30日閲覧。
  34. ^ Mahony, Honor (2009年7月8日). “Ireland announces Lisbon referendum date” (英語). EUobserver.com. 2009年7月11日閲覧。
  35. ^ Referendum: Treaty of Lisbon 2009” (英語). Website of the Referendum Returning Officer. 2009年10月3日閲覧。
  36. ^ McDonald, Henry (2009年4月29日). “Irish unemployment could hit 17% this year” (英語). gurardian.co.uk. 2009年10月3日閲覧。
  37. ^ Irish support for Lisbon Treaty on the rise” (英語). EurActiv.com (2009年4月20日). 2009年10月3日閲覧。
  38. ^ a b 'Yes' to Lisbon first step to fix economy, say Irish employers” (英語). EurActiv.com (2009年9月3日). 2009年10月3日閲覧。
  39. ^ Pop, Valentina (2009年9月11日). “Walesa to campaign in Ireland for the Lisbon Treaty” (英語). EUobserver. 2009年10月3日閲覧。
  40. ^ Phillips, Leigh (2009年8月27日). “Ryanair launches pro-Lisbon treaty campaign” (英語). EUobserver. 2009年10月3日閲覧。
  41. ^ Vucheva, Elitsa (2008年4月1日). “Polish parliament approves EU treaty” (英語). EUobserver. 2009年10月10日閲覧。
  42. ^ Vucheva, Elitsa (2009年1月21日). “Polish president won't sign Lisbon before Irish referendum” (英語). EUobserver. 2009年10月10日閲覧。
  43. ^ President signs the Lisbon Treaty” (英語). Prezydent.pl (2009年10月10日). 2009年10月10日閲覧。
  44. ^ a b Mahony, Honor; Kubosova, Lucia (2008年4月25日). “EU treaty set to be examined by Czech and German courts” (英語). EUobserver. 2009年10月3日閲覧。
  45. ^ Pressemitteilung Nr. 72/2009 vom 30. Juni 2009” (ドイツ語). Bunderverfassungsgericht (2009年6月30日). 2009年10月3日閲覧。
  46. ^ German parliament hears new EU treaty law as ratification clock ticks” (英語). Deutsche Welle (2009年8月27日). 2009年10月3日閲覧。
  47. ^ German parliament approves EU reform treaty” (英語) (2009年9月8日). 2009年10月3日閲覧。
  48. ^ Germany passes laws that pave the way for Lisbon Treaty” (英語) (2009年9月18日). 2009年10月3日閲覧。
  49. ^ Buzek welcomes German ratification of the Treaty of Lisbon” (英語). European Parliament (2009年9月28日). 2009年10月3日閲覧。
  50. ^ a b Court says unanimously Lisbon treaty is compatible with Czech law” (英語). ČeskéNoviny.cz (2008年11月26日). 2009年10月3日閲覧。
  51. ^ Mahony, Honor (2009年2月18日). “Czech lower house passes EU treaty” (英語). EUobserver. 2009年10月3日閲覧。
  52. ^ Czech government ends, lower house expresses no confidence in it” (英語). ČeskéNoviny.cz (2009年3月24日). 2009年10月3日閲覧。
  53. ^ Mahony, Honor (2009年5月6日). “Czech senate approves EU's Lisbon treaty” (英語). EUobserver. 2009年10月3日閲覧。
  54. ^ Mahony, Honor (2009年6月24日). “Klaus pledges to be last to sign the Lisbon Treaty” (英語). EUobserver. 2009年10月3日閲覧。
  55. ^ Cameron confirms Tories' Lisbon referendum plan” (英語). EurActive.com (2009年9月24日). 2009年10月3日閲覧。
  56. ^ Czech senators file new complaint against Lisbon treaty” (英語). ČeskéNoviny.cz (2009年9月29日). 2009年10月3日閲覧。
  57. ^ Czech court starts dealing with "Lisbon complaint" within month” (英語). ČeskéNoviny.cz (2009年10月1日). 2009年10月3日閲覧。
  58. ^ Klaus links EU treaty signature to WWII claims” (英語). EurActiv.com (2009年10月12日). 2009年10月14日閲覧。
  59. ^ Kouchner: No change to Lisbon Treaty” (英語). news.ie.msn.com (2009年10月8日). 2009年10月15日閲覧。
  60. ^ a b Konferenz über neuen EU-Reformvertrag eröffnet Die Neue Epoche 2007年7月23日 (ドイツ語)
  61. ^ EU's Barroso confident on EU reform treaty agreement by October フォーブス 2007年7月23日 (英語)
  62. ^ George Pascoe-Watson, EU can't mention the war ザ・サン 2007年6月22日 (英語)
  63. ^ Press views: The new EU treaty 英国放送協会 2007年6月24日 (英語)
  64. ^ Liam Halligan, Robert Watts and Justin Stares, New treaty is just 'constitution in disguise' デイリー・テレグラフ 2007年7月2日 (英語)
  65. ^ Patrick Wintour, Blair lays down lines over EU deal ガーディアン 2007年6月22日 (英語)
  66. ^ Melissa Kite, Referendum demand over Blair 'sell-out' デイリー・テレグラフ 2007年6月24日 (英語)
  67. ^ Bruno Waterfield, EU treaty published - but only in French デイリー・テレグラフ 2007年7月27日 (英語)
  68. ^ EU treaty 'same as Constitution' 英国放送協会 2007年10月8日 (英語)
  69. ^ European Scrutiny - Thirty-Fifth Report 庶民院 2007年10月2日 (英語)
  70. ^ Miliband denies 'giving in' to EU 英国放送協会 2007年10月8日 (英語)

外部リンク

公式文書

署名
発効
条約
1948年
1948年
ブリュッセル
1951年
1952年
パリ
1954年
1955年
パリ協定
1957年
1958年
ローマ
1965年
1967年
統合
1986年
1987年
単一議定書
1992年
1993年
マーストリヒト
1997年
1999年
アムステルダム
2001年
2003年
ニース
2007年
2009年
リスボン
                   
欧州諸共同体 (EC) 欧州連合 (EU) 3つの柱構造
欧州原子力共同体
I

I
欧州石炭鉄鋼共同体 (ECSC) 2002年に失効・共同体消滅 欧州連合
(EU)
    欧州経済共同体 (EEC) 欧州共同体 (EC)
     
III
司法・内務
協力
  警察・刑事司法協力
欧州政治協力 共通外交・安全保障政策
II
(組織未設立) 西欧同盟    
(2010年に条約の効力停止)
                   

Template:Link FA