飢餓
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飢餓(きが)とは、食糧の不足によって栄養失調が続き、体調の維持が困難になっている状態である。栄養失調の状態を経て、それが原因で死んだ場合、餓死といわれる。飢饉の際には地域全体が飢餓状態となる。
飢餓問題
現在十分に栄養の取れない飢餓人口は9億6300万人おり、その数は毎年増加傾向にある。毎年約1500万人、4秒に1人の割合で飢餓が原因で死亡している[1]。
原因
牛肉 | 豚肉 | 鶏肉 | 鶏卵 | 大豆油 | なたね油 | |
11kg | 7kg | 4kg | 3kg | 5kg | 2kg |
1971年には、フランシス・ムア・ラッペが、食べものを富めるものが浪費してしまうという富の格差が、飢餓の根本的な原因であり政治的な問題であると告発した本がミリオンセラーとなった[3]。
1日1ドル以下で生活する絶対的貧困の状態がある。2007年後半からの穀物の価格高騰は、貧困層が買うことができる食糧の量を減らした[4]。
上智大学のビセンテ・ボネット名誉教授は、UNDPの「1日1人あたりキロカロリー供給量」、FAOの「世界の食肉消費量」の統計などをもとに、「世界に飢えている人々がいるのは、世界で生産されている食料が不足しているから」という説明に下記の疑問を投げかけている。
- 世界の食料生産総量は、世界中の人々を養うに十分な量がある
- 世界の肥満(食料の摂取しすぎ)の人数は、世界で飢えている人とほぼ同じ人数である
- 豊かな国は、必要量以上の食料を輸入している
- 豊かな国は、食料を捨て過ぎている(例。東京都23区の家庭から1日に捨てられる食物は、アジアの50万人以上が1日に食べる食料に相当)
- 貧しい国の貧しい生産者は、家族がもはや生活できないほどの低価格を、商社(値段を決める権限を持つ)から強制されている
- 貧しい国の貧しい生産者は、家族の生活を維持するために必要な穀物は、商社に売り渡され、豊かな国の人々の肉類生産用家畜飼料にされている
- 肉類の消費量増加の意味は、飼料用の穀物消費量が増える→国際市場における穀物の価格が上昇→貧しい人々が必要とする穀物を買えなくなる、ことである(注:したがって、完全放牧による飼育などの場合には別である)
- 肉類は食べないほうが健康に効果がある、と主張する医師がいる
- 各家庭が必要以上に購入しなければ、商社は輸入量を減らすかもしれない
- 戦争をしないこと
- 軍隊に入れば食べることができるので、子供達は食べるために軍隊に入る
飢餓に関連する国連の規定
- 世界人権宣言:第3条、第17条、第25条
- 「貧困は、人権侵害の結果であり、人権侵害を生み出す原因である」(国際人権高等弁務官Louise Arbour)
分布
世界的に見ると、特に南アフリカに集中している。
参考事例
- ガダルカナル島の戦い
- 戦死者よりも餓死者を多く出し飢餓の島「餓島」と呼ばれた
- インパール作戦
- 戦争中の補給を無視したことによる飢餓
- バターン死の行進
- 戦争中の捕虜の飢餓
- 天明の大飢饉
- 冷害などによる不作が原因の飢饉
- 大躍進政策
- 人為的な食物連鎖破壊と農業破壊による大饑饉
- ホロドモール
- ウクライナ人大量虐殺を目的とした当時のソ連指導者ヨシフ・スターリンによる計画的な大飢饉
脚注
- ^ 国連食糧農業機関の統計(2008年)
- ^ 『我が国の食料自給率-平成15年度食料自給率レポート』農林水産省(農林水産省)
- ^ フランシス・ムア・ラッペ『小さな惑星の緑の食卓』 奥沢喜久栄訳、講談社、1982年。i、16~17、62~63頁。
- ^ 2008年02月24日放送「NHK海外ネットワーク 」NHKデジタル総合
関連項目
- 栄養失調
- 飢饉
- 餓死
- World Community Grid - 飢餓対策の為の、高収穫・高栄養で耐病性に優れた米のタンパク質構造予測を行う分散コンピューティング。
参考文献
- フランセス・ムア・ラッペ、ジョセフ・コリンズ 『世界飢餓の構造 いま世界に食糧が不足しているか』 鶴見宗之介訳、三一書房、1988年。ISBN 978-4380882210。
外部リンク
- WFP 国連世界食糧計画
- 世界飢餓にまつわる12の神話 (食糧第一:食糧と開発のための政策研究所 日本)