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トール油(トールゆ、tall oil)は、松材を原料にクラフトパルプを作るとき、副成する樹脂と脂肪酸を主成分とする油である。
松材チップを薬品で煮溶かし(蒸解)、木材繊維(パルプ)を取り出す。その木材繊維を固めていたリグニン・樹脂成分と薬品が混じった液体を濃縮したものを黒液と呼ぶ。黒液を中和すると、樹脂成分が粗トール油として分離される。
粗トール油は蒸留操作により、トールロジンとトール脂肪酸が精製され、それぞれ工業的に利用される。トールロジンはアビエチン酸などの炭素数20のジテルペノイド化合物を主成分とする。トール脂肪酸はオレイン酸とリノール酸を主成分とする。