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トラニオン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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トラニオン(: trunnion)とは、大砲の砲身の横に突き出た、台車に載せ傾動や角度を変えるための支持回転軸。砲耳(ほうじ)とも。荷役対象物の両側面から各々突出する一対のピボット(pivot)からなる。

鉄道台車のトラニオン

上田丸子電鉄ED25 1ブリル27MCB-2台車。トラニオン(関節の付いた小さな斜めの部品)が台車枠中央の揺れ枕上部とガゼットステー上面を結ぶ形で残されている。

20世紀初頭にアメリカの鉄道車両メーカーであるJ.G.ブリル社が、Brill 27MCBをはじめとする一連のインターアーバン向け高速2軸ボギー台車を開発した際に導入した、揺れ枕の過剰な揺動を抑止する機構をトラニオンと呼称する。

これは車体直下で台車の旋回を支える心皿と側受が作り付けられた上揺れ枕[1]の左右両端上面に突き出したピンと、台車の主要構造物である左右の側梁とそれらの間に渡されたトランサム(横梁)を強固に結合するガゼットプレートと呼ばれる部品に設けたピンの間に、両端にユニバーサルジョイントを組み込んだトラニオン・タイロッドと呼ばれるリンク機構を組み付けて連結、各ピンおよびジョイント部の摩擦力で鋭敏な揺れ枕の揺動を抑制することで高速走行時に発生する蛇行動現象やビビリ振動を阻止する機構である。

この機構は高速運転時の乗り心地改善に大きな効果を発揮したが、開発元であるJ.G.ブリル社が特許申請しその保護対象となり、しかも同社が特許ビジネスを展開したためその期間中は一般化しなかった。

もっともこの機構は高速台車の乗り心地改善に有用であったため、特許が切れた第二次世界大戦後、同種の原理に基づく機構がボルスタアンカーとして急速に普及している。

脚注

  1. ^ 枕木方向に配された梁。ボルスターと呼称する。通常はその下部にばね装置を置いて台車枠からリンクでつり下げられた下揺れ枕と呼ばれる梁で荷重を受け、弾性支持を行う。