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つばさ (列車)

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つばさ <翼>
E3系2000番台「つばさ」
E3系2000番台「つばさ」
運行者 東日本旅客鉄道(JR東日本)
列車種別 特急列車
運行区間 東京駅 - 山形駅新庄駅
経由線区 東北新幹線奥羽本線山形新幹線
使用車両 400系電車山形車両センター
E3系電車(山形車両センター)
運行開始 1992年7月1日
備考 2009年10月現在のデータ
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つばさ 運行経路図
leer
記号凡例
BHF
全列車停車
HST
一部列車停車
太字:始発着列車あり

KBHFa
東京駅 JR東山形新幹線東北新幹線
HST
上野駅
BHF
大宮駅
HST
宇都宮駅
HST
郡山駅
BHF
福島駅 ↓JR東:山形新幹線(奥羽本線
BHF
米沢駅
HST
高畠駅
HST
赤湯駅
HST
かみのやま温泉駅
BHF
山形駅
BHF
天童駅
BHF
さくらんぼ東根駅
BHF
村山駅
BHF
大石田駅
KBHFe
新庄駅
400系(旧塗装)つばさ6両編成(山形駅
400系(新塗装)「つばさ」(米沢駅
400系「つばさ」
(2008年7月5日、大宮駅
E3系1000番台つばさ(右)2000番台つばさ(左)(新庄駅

つばさは、東日本旅客鉄道が主に東京駅 - 新庄駅間を東北新幹線山形新幹線奥羽本線)経由で結ぶ特別急行列車である。

運行概況

上下とも概ね毎時1往復、計16往復運行されている。うち東京駅 - 新庄駅全区間を運行するのは下り8本上り9本で、残りの上り8本下り7本は東京駅 - 山形駅間の運行となっている。なお、下り1本のみ山形駅 - 新庄駅間の区間便が設定されている。

東北新幹線区間では、一部便で単独運行の設定があるのを除いて、東京駅 - 福島駅間でE4系Maxやまびこ」と併結運転し、東京駅 - 盛岡駅間に毎時1往復設定されているE2系(および増結のE3系)「やまびこ」とともに、宇都宮駅郡山駅、福島駅といった沿線主要都市の短距離需要に対応している。

夏季、冬季の帰省シーズンや春季、秋季の観光シーズンといった多客期には、定期列車の「つばさ」のほか、臨時の「つばさ」が東京駅 - 山形駅・新庄駅間で運行されている。この臨時の「つばさ」には、東北新幹線区間で「Maxやまびこ」と併結運転しない運用や、途中の宇都宮駅や郡山駅に停車しない運用などがしばしば見られる。

当初、東北新幹線区間で併結する「やまびこ」が8両編成だったため「つばさ」は9 - 14号車(7両化されて9 - 15号車)が割り当てられていた。その後、「やまびこ」が10両化された際に11 - 17号車の割り当てとなり、併結する「やまびこ」が8両編成のE4系に替わった後も11 - 17号車の割り当てとなっている。

停車駅等

号数 運行本数\駅 東京駅 上野駅 大宮駅 宇都宮駅 郡山駅 福島駅 米沢駅 高畠駅 赤湯駅 かみのやま温泉駅 山形駅 天童駅 さくらんぼ東根駅 村山駅 大石田駅 新庄駅 備考
101-132号
172-196号◆
下り1本/上り1本 下り1本は新庄終着
下り2本/上り1本
下り4本/上り4本
下り1本/上り3本
下り2本/上り2本          
下り6本/上り4本          
72-96号◆ 一部の列車は新庄発着
171号 下り1本                    
  • ● - 停車
  • ○ - 一部列車のみ停車
  • - - 通過
※運行本数は定期列車のみ記す。
※72-96・109・132・171号をのぞき、「Maxやまびこ」と福島で分割併合
※不定期列車は発着駅が変更となる日がある。

使用車両

  • 400系(L編成)
  • E3系1000番台(L50番台編成)
  • E3系2000番台(L60番台編成)
    • ともに在来線規格区間である山形新幹線を走ることから車体が他の新幹線より小さい。
    • ともに7両編成で組成され、グリーン車1両、普通車座席指定席4両、自由席2両が基本。
    • 例外的に、171号(12 - 17号車自由席)と132号(平日14 - 17号車自由席)がある。

400系とE3系はグリーン車の配置が違うものの(400系は2+1配置の7列で20席、E3系は2+2配置の6列で23席で、どちらも1席が車椅子対応の座席となっている。)共通運用のため、どの車両がどの列車に使用されるかは日によって異なり、判明するのは運行される前日である。また、400系にしかない7番席と、E3系にしかないC列の席は、前日にならないと指定券の発売がされない。なお、運用情報の一般への公開はしていない。

  • 2007年3月18日より、全車両が禁煙となっている。
  • 2007年7月3日付けのJR東日本のプレスリリース[1]において、E3系をベースとした新型車両を導入することが明らかになった(E3系2000番台)。2008年12月から2009年夏頃にかけて400系を順次置き換える計画。
東京方 山形・新庄方
11 12 13 14 15 16 17
G
G=グリーン車座席指定席
指=普通車座席指定席
自=普通車自由席

奥羽本線昼行優等列車沿革

「つばさ」の名称は、東京対山形・秋田間を奥羽本線経由で運行した特別急行列車の名称として名付けられた経緯があることから、本節では名称の起源である在来線特急及びその周辺列車群と山形新幹線開業後に運行された列車である「こまくさ」についても記す。

奥羽本線優等列車創始

  • 1922年大正11年)3月、奥羽本線経由で上野駅 - 青森駅間を結ぶ急行列車として、701・702列車を新設。
  • 1940年昭和15年)10月、701・702列車から列車番号を改めた401・402列車は、秋田駅どまりとなる。
  • 1943年(昭和18年)10月、401・402列車、普通列車へ格下げ。

戦後の展開

特急「つばさ」・「やまばと」と、その周辺列車群

  • 1961年(昭和36年)10月、「サン・ロク・トオ」と称されるダイヤ改正により、上野駅 - 秋田駅間を東北本線奥羽本線経由で運行する特別急行列車として「つばさ」の運行開始。キハ82系気動車を使用。
    運行当初は青森方面との連絡を兼ね、大阪発着の特急「白鳥」と接続し、結合料金制度の適用を受けたが、趣味的には上り列車が秋田駅を同時刻で発車するため、「キハ82系気動車の同時発車」として著名でもあった。
    また、運行開始当時「はつかり」は常磐線経由であり、同時期に設定の「ひばり」は運行開始が半年遅れとなったため、上野駅発着で宇都宮駅福島駅を経由する初の昼行特急列車となった。
    「つばさ」運転開始時の停車駅は以下のとおり。
    ※福島駅(中川信号所) - 米沢駅間は板谷峠越えのため補助機関車を連結した。
  • 1962年(昭和37年)2月、「たざわ」を 仙台駅 - 秋田駅間に1往復増発、(下り)「たざわ2号」・(上り)「たざわ1号」と称する。
    • 7月 「月山」、運転区間を仙台駅 - 鶴岡駅間に延長。
    • 10月 「鳥海」、併結相手を喜多方発着の「ばんだい」に変更。
  • 1963年(昭和38年)10月、このときのダイヤ改正により、以下のように変更。
    1. 「蔵王」の名称をひらがなの「ざおう」に変更し、同時に1往復増発する。
    2. 新庄駅山形駅間を運行する準急列車として、「むらやま」運行開始。
    • 12月、「つばさ」に盛岡駅発着の列車を併結。
  • 1964年(昭和39年)10月、「ざおう」1往復格上げし山形駅発着で運行する気動車特別急行列車として「やまばと」運行開始。
    • 12月、「むらやま」、列車名を「月山(上り)1号」に変更。
  • 1965年(昭和40年)10月、ダイヤ改正に伴い、以下のように変更する。
    1. 「つばさ」の盛岡駅発着の列車を「やまびこ」として分離。「つばさ」秋田発着のみで2往復とする。
    2. 「やまばと」に会津若松駅発着列車を併結。食堂車の連結を中止。
    3. 「鳥海」列車名を「たざわ」に変更。
    4. 「たざわ」の列車名を従来用いていた仙台駅・米沢駅 - 秋田駅間を運行していた準急列車の名称を「千秋」(せんしゅう)に変更する。
  • 1966年(昭和41年)3月、準急列車制度の変更に伴い、「月山」・「千秋」・「もがみ」急行列車化。
  • 1968年(昭和43年)10月、「ヨン・サン・トオ」と称されるダイヤ改正により、以下のように変更。
    1. 「つばさ」一部が東京駅発着となる。この後1年間は1往復に「はつかり」の任を解かれたボンネット型のキハ81形が運用される。
    2. 福島駅 - 米沢駅間の電気方式が直流から交流に変更され、「つばさ」は福島駅北方の中川信号所で行っていた補助機関車の連結・解結作業が福島駅構内で行われるようになる。
    3. 「やまばと」483系電車に使用車両を変更。これに伴い、以下のように変更。
      1. 「やまばと」の会津若松駅発着列車を「あいづ」として分離。
      2. 「やまばと」に食堂車が復活。
    4. 「ざおう」1往復を除き電車化。
    5. 「たざわ」列車名を同区間を運行する夜行列車と統合し、「おが」に変更。昼行列車については、「おが1号」(上り・下りとも)を名乗る。
    6. 「もがみ」の運転区間を羽後本荘駅まで延長。
  • 1969年(昭和44年)10月、「千秋(下り)1号・(上り)2号」の運転区間を青森駅まで延長する。
  • 1970年(昭和45年)2月、「つばさ」が奥羽本線板谷峠の自力登坂を目的にキハ181系に置き換えられる。しかしキハ181系は自力登坂や東北本線内での高速運転などの苛酷な運用に伴うエンジントラブルが夏季を中心に多発したため、のちに再び福島駅 - 米沢駅で補助機関車が連結され、それは1975年11月の電車化まで続けられた。
    • 10月、山形駅 - 秋田駅間を運行する急行列車として「こまくさ」が運行される。
  • 1971年(昭和46年)7月、奥羽本線ダイヤ改正に伴い、「つばさ」の混雑緩和を図るため181系気動車10両を新製し、10両から12両に編成増強する。
  • 1972年(昭和47年)3月、ヨン・ナナ・サンのダイヤ改正により以下のように変更。
    1. 「千秋(下り)2号・(上り)1号」 院内駅 - 秋田駅間を普通列車に格下げ。
    2. 12系客車による臨時列車「つばさ51・52号」の運転を開始。
      動力分散方式に比べ到達時分が長くなることをできる限り補うため、大宮宇都宮をも通過としたほか、急行形車両を用いるため特急料金の割引を行うなど、異例の列車となった。
      その後、12系客車をベースに車両設備を特急仕様とした14系客車(座席車)が増備された為、割引措置は終了した。
  • 1973年(昭和48年)4月、東北上越新幹線建設工事に伴い、「つばさ」東京駅乗り入れ中止。
    • 10月、「千秋(上り)1号」の普通列車区間を秋田駅 → 新庄駅間に拡大。
  • 1975年(昭和50年)11月24日、「つばさ」、485系を使用し電車特急化。また、「千秋(下り)2号」の普通列車区間を新庄駅 → 秋田駅間に拡大。
    485系1500番台の「つばさ」(上野駅
  • 1978年(昭和53年)10月2日ゴーサントオと称されるダイヤ改正により、以下のように変更。
    1. 「つばさ」・「やまばと」それぞれ3往復ながら、合計6往復でペアによるエル特急指定。
    2. 「つばさ」に初の自由席設置。
    3. 「こまくさ」運転区間を山形駅 - 青森駅間とする。
    • なお、1980年(昭和55年)9月当時のエル特急「つばさ」の運行概況は以下のとおり。
      • 運行本数・区間:定期列車:485系電車使用:上野駅 - 秋田駅間、3往復、季節列車14系客車使用:上野駅 - 秋田駅間、1往復。
      • 奥羽本線内停車駅:秋田駅・大曲駅横手駅湯沢駅新庄駅楯岡駅(1往復のみ)・天童駅・山形駅・米沢駅福島駅
        現在の新幹線列車である「つばさ」より停車駅が厳選されている。
        なお、14系の「臨時つばさ」は485系電車より全区間で1時間半近く余計に時間がかかっていた。これは客車列車自体の速度が遅い(加減速性能と最高運転速度の差による)ことに加え、山形駅、福島駅、黒磯駅の各駅で機関車の交換に10分前後の停車時間を要していたことによる。

新幹線化と新幹線接続列車群

  • 1982年(昭和57年)11月15日上越新幹線開業に伴うダイヤ改正により以下のように運行形態を変更する。
    1. 「やまばと」・「つばさ」…大部分を福島駅発着の「つばさ」とし、同駅で東北新幹線と接続するダイヤを組む。しかし、東北・上越新幹線が大宮駅までの運行であったことから、「やまばと」・「つばさ」はそれぞれ1往復半、合計3往復が上野駅発着として残される。
    2. 「こまくさ」…「つばさ」に吸収され、愛称消滅。なお、その名残で「つばさ1号」については運転区間が山形駅→秋田駅間となった。
    3. 「ざおう」…1往復が上野駅発着で運行される。
    4. 「おが」…昼行列車については廃止。夜行列車は存続する。詳しくはあけぼのを参照のこと。
    5. 「月山」…始発駅を仙台駅から、山形駅に変更。
    6. 「千秋」…廃止。代替として「もがみ」 仙台駅 - 酒田駅間運行の1往復増発。これにより、「もがみ」2往復となる。
  • 1985年(昭和60年)3月14日東北・上越新幹線上野駅乗り入れに伴い、以下のように変更。
    1. 「やまばと」・「ざおう」が廃止。これにより、上野駅発着として運行される奥羽本線方面の昼行列車は、「あいづ」の運用の関係上、「つばさ」1往復のみとなる。なお、この列車は、山形新幹線開業まで運行される。
    2. 山形駅 → 秋田駅間の「つばさ」が青森駅まで延長される。
  • 1986年(昭和61年)11月、このときのダイヤ改正に伴い、以下のように変更。
    1. 「もがみ」 廃止。
    2. 山形駅 → 青森駅間「つばさ」を山形駅 → 秋田駅間に短縮。
「つばさ」(1990年)
  • 1990年平成2年)、このころより、山形駅 - 新庄駅間を運行する快速列車として「もがみがわ」が運行を開始する。なお、この列車の上り1本は酒田駅→山形駅間の運行であった。
  • 1991年(平成3年)8月27日、山形新幹線建設工事に伴い、「つばさ」の東北新幹線接続駅が福島駅だったものが、山形駅で方向転換して仙山線を介し仙台駅に変更となる。上野駅発着列車についても仙台駅・仙山線経由で運行された。この改正によって「つばさ」は東北六県の県庁所在地の駅を全て発着した列車となった。
  • 1992年(平成4年)7月1日、山形新幹線開業。以下のように以下の運行体系とする。
    1. 「つばさ」愛称を新幹線に移行。
    2. 山形新幹線連絡列車として以下の列車が運行される。
      1. 山形駅 - 新庄駅・秋田駅間のエル特急「こまくさ」。この、「こまくさ」の愛称は急行「こまくさ」が格上げでエル特急「つばさ」に編入されて以来の復活となる。「こまくさ」は485系4両編成で運転された。
      2. 「月山」快速列車化。同時に「もがみがわ」を統合する。
      3. 「仙山」1往復を新庄駅まで乗り入れ。
      4. 山形線米沢駅 - 山形駅間を運行する快速列車に「ざおう」の名称が与えられる。
  • 1998年(平成10年)4月、「ざおう」の案内を終了する。
  • 1999年(平成11年)12月4日、山形新幹線新庄駅延伸に伴い、以下のように変更する。
    1. 「こまくさ」は新庄駅以北の快速列車となる。
    2. 「月山」・「仙山」など山形駅 - 新庄駅間を乗り入れていた列車は改軌に伴い全て乗り入れを中止。
  • 2002年(平成14年)12月1日、ダイヤ改正により「こまくさ」の名称が廃止される。

列車名の由来

  • 「つばさ」…「奥羽本線沿線の発展を祈願するために」と言う意味合いからとされる。但し、設定当初に大阪駅 - 青森駅間運行の特急列車「白鳥」との間で結合特急券制度が存在し、秋田駅発着に際して上り列車は同時発車を行う等縁が深かったことから、「白鳥のつばさ」と言う説もある。

山形新幹線「つばさ」

その他

  • 奥羽本線内で上り列車が大幅に遅れた場合、あるいは東北新幹線でダイヤが乱れた場合など)で、「Maxやまびこ」併結の「つばさ」でも福島駅 - 東京駅間で単独運転することがある。また、下り「つばさ」が奥羽本線内での運転ができない場合は、東京駅 - 福島駅間で併結してきた「Maxやまびこ」との切り離しを行わず、そのまま「Maxやまびこ」の終着駅である仙台駅に向かうことがある。
  • 「つばさ」はJR東日本の新幹線の中で最も混雑が激しい。普段の土・日でも山形県が南東北圏内で手軽に行ける事もあり、混雑している。年末年始などの繁忙期を迎えると、ニュースで混雑率が報じられるが、東北新幹線関連で混雑率の高い列車として真っ先に報じられるのが、新庄行き「つばさ」である。要因として以下のことなどが原因と考えられている。
  • はやて」・「こまち」が全車指定席なのに対し、「つばさ」には自由席が設けられている(臨時列車では、全車指定席で運転されるものもある)。
  • 「つばさ」用の編成が少ないため利用客に見合った本数を増やせない。
  • 福島駅構内において、山形新幹線用の発着番線が14番線のみで、また奥羽本線への連絡線が単線であるため。増発が難しい。
  • 東京駅 - 福島駅間で「やまびこ」と併結するために長編成化ができない。
  • 「つばさ」を着席利用したい場合は指定席を利用するのが望ましい。しかし、休日や繁忙期には指定席が満席になっている場合が多い。
  • 本来仙台~愛子間の通勤輸送主体の仙山線も上記の影響から主に繁忙期の快速電車を中心として非常に混雑する。(ただし、こちらも単線のためこれ以上の増発は困難)。

関連項目