フランチャイズ・プレイヤー

フランチャイズ・プレイヤーとは、スポーツ用語で長期に渡って同一のチームの第一線で活動し続ける選手を指す。狭義では入団から引退まで同一のチームで活躍した選手を指す。サッカーではバンディエラ（Bandiera＝旗頭）とも呼ばれる。NFLではフランチャイズ・プレイヤー制度として制度化されている。

概要

長期に渡って同一のチームで活動を続ける事はプロスポーツでは困難であり、選手側には相応の実力の維持が要求される。実績に伴って契約金や年俸が高騰したために選手が残留の意志を表明しても放出されるケースも少なくない。伝統を重んじるチームに多い傾向にあり、そのようなチームでは監督などに当該チームのフランチャイズプレイヤーだった人物を起用する傾向がある。

近年はフリーエージェントなど移籍制度の充実により長期に渡って同一のチームで活動する選手は少なく、フランチャイズ・プレイヤーはチームを象徴する選手を指す言葉として使用される。逆に複数のチームを渡り歩き活躍する選手はジャーニーマン（Journeyman＝旅人）と呼ばれる。

新人時代を他球団で過ごし、移籍後の球団で長期間活動し引退した選手はフランチャイズ・プレイヤーの範疇に含まれる事が多いが、逆に長期間同一球団で活動したにも拘らず現役晩年に移籍した選手はフランチャイズ・プレイヤーの範疇に含まれない場合もある。たとえば、南海ホークスのフランチャイズ・プレーヤーとして広瀬叔功（1955年～1977年在籍）が下記にあげられているが、広瀬よりも野村克也（1954年～1977年、解雇されたため1978年から他球団に移籍）のほうが在籍期間が長い（ただし野村は一軍出場のない年が1年ある）。

NFLのフランチャイズ・プレイヤー制度

NFLのフランチャイズ・プレイヤー制度はフリーエージェント制度の対抗策として導入された制度。NFLでは1球団につき1人の選手をフラインチャイズ・プレイヤーとして指定する事ができ、フランチャイズ・プレイヤーに指定された選手は所属球団と同一のリーグに所属する他球団で同一のポジションの選手のうち、年俸が上位5位の選手の平均年俸以上、もしくは自身の前年の120%以上の年俸のうち高い方の金額の契約金で契約する事ができる。球団はフランチャイズ・プレイヤーに指定された選手に対し移籍を拒否できる拒否権を持ち、フランチャイズ・プレイヤーが他球団と契約した場合、同等の契約条件を提示すれば移籍を拒否できる。球団が拒否権を放棄した場合、フランチャイズ・プレイヤーの旧所属球団は移籍先の球団から2つのドラフト1巡目の指名権が保障される。

関連制度としてトランジション・プレイヤー（Transition Player）制度があり、各球団につき2人までをトランジション・プレイヤーに指名でき、指定された選手は所属球団と同一のリーグに所属する他球団で同一のポジションの選手のうち、年俸が上位10位の選手の平均年俸以上、もしくは自身の前年の110%以上の年俸のうち高い方の金額の契約金で契約する事ができる。フランチャイズ・プレイヤー同様、球団は選手の移籍に対し拒否権を持つ事ができるが、拒否権の放棄に対する保障はない。

現役フランチャイズ・プレイヤー

在籍期間は下部組織在籍期間も含む。

野球

日本プロ野球

• 鈴木尚広（読売ジャイアンツ、1997年-）
• 宮本慎也（東京ヤクルトスワローズ、1995年-）
• 三浦大輔（横浜ベイスターズ、1992年-）
• 山本昌（中日ドラゴンズ、1984年-）
• 桧山進次郎（阪神タイガース、1992年-）
• 前田智徳（広島東洋カープ、1990年-）
• 金子誠（北海道日本ハムファイターズ、1995年-）
• 西口文也（埼玉西武ライオンズ、1995年-）
• 堀幸一（千葉ロッテマリーンズ、1988年-）
• 日高剛（オリックス・バファローズ、1996年-）
• 松中信彦（福岡ソフトバンクホークス、1997年-）

メジャーリーグ

• マリアノ・リベラ（ニューヨーク・ヤンキース、1990年-）
• ティム・ウェイクフィールド（ボストン・レッドソックス、1995年-）※
• チッパー・ジョーンズ（アトランタ・ブレーブス、1993年-）※
• トッド・ヘルトン（コロラド・ロッキーズ、1995年-）

サッカー

Jリーグ

• 山田暢久（浦和レッズ、1994年-）
• 伊東輝悦（清水エスパルス、1993年-）
• 中山雅史（ジュビロ磐田、1990年-）
• 下田崇（サンフレッチェ広島、1994年-）
• 千葉直樹（ベガルタ仙台、1996年-）
• 松田直樹（横浜F・マリノス、1995年-）

レガ・カルチョ

• アレッサンドロ・デル・ピエロ（ユヴェントス、1993年-）※
• フランチェスコ・トッティ（ASローマ、1992年-）
• マッシモ・アンブロジーニ（ACミラン、1995年-1997年、1999年-）※
• ハビエル・サネッティ（インテル・ミラノ、1995年-）※

イングランドプロサッカーリーグ

• ライアン・ギグス（マンチェスター・ユナイテッド、1990年-）
• ジェイミー・キャラガー（リヴァプール、1996年-）
• ジョン・テリー（チェルシー、1997年-）
• レドリー・キング（トッテナム・ホットスパー、1998年-）　
• トニー・ヒバート（エバートン、2000年-）

リーガ・エスパニョーラ

• ラウル・ゴンサレス（レアル・マドリード、1992年-）
• カルレス・プジョル（FCバルセロナ、1996年-）
• ラウール・タムード（RCDエスパニョール、1996年-1997年、1999年-）
• ホセバ・エチェベリア（アスレティック・ビルバオ、1995年-）※

オランダ・プロサッカーリーグ

• イェルーン・ヒューバッハ（FCトゥヴェンテ、（1994年-1997年、1999年-）

フランスプロサッカーリーグ

• ジェレミー・ジャノ（ASサンテティエンヌ、1995年-）
• シドニー・ゴブ（オリンピック・リヨン、1999年-）

バスケットボール

NBA

• コービー・ブライアント（ロサンゼルス・レイカーズ、1996年-）
• ティム・ダンカン（サンアントニオ・スパーズ、1997年-）
• ジードルナス・イルガスカス（クリーブランド・キャバリアーズ、1996年-）※
• ポール・ピアース（ボストン・セルティックス、1998年-)

アメリカンフットボール

NFL

※他球団に所属経験があるが、チーム最長の活動歴を持つ選手

過去のフランチャイズ・プレイヤー

球団史上において在籍期間が最長かつその球団で引退した選手。在籍期間は下部組織在籍期間も含む。

野球

日本プロ野球

• 王貞治（読売ジャイアンツ、1959年-1980年）
• 藤村富美男（阪神タイガース、1936年春-1958年）
• 八重樫幸雄（ヤクルトスワローズ、1970年-1993年）
• 衣笠祥雄（広島東洋カープ、1965年-1987年）
• 緒方孝市（広島東洋カープ、1987年-2009年）
• 伊東勤（西武ライオンズ、1982年-2003年）
• 広瀬叔功（南海ホークス、1955年-1977年）
• 村田兆治（ロッテオリオンズ、1968年-1990年）
• 佐藤義則（オリックスブルーウェーブ、1977年-1998年）
• 田中幸雄（北海道日本ハムファイターズ、1986年-2007年）
• 板東里視（近鉄バファローズ、1960年-1979年）
• 鈴木啓示（近鉄バファローズ、1966年-1985年）
• 立浪和義（中日ドラゴンズ、1988年-2009年）

メジャーリーグ

• カル・リプケン（ボルチモア・オリオールズ、1978年-2001年）
• トニー・グウィン（サンディエゴ・パドレス、1982年-2001年）
• クレイグ・ビジオ（ヒューストン・アストロズ、1987年-2007年）

サッカー

Jリーグ

• 本田泰人（鹿島アントラーズ、1992年-2006年）
• 北澤豪（東京ヴェルディ、1991年-2002年）
• 福田正博（浦和レッズ、1989年-2001年）
• 澤登正朗（清水エスパルス、1992年-2005年）
• 松波正信（ガンバ大阪、1993年-2005年）
• 森島寛晃（セレッソ大阪、1991年-2008年）

レガ・カルチョ

• パオロ・マルディーニ（ACミラン、1984年-2009年）
• ジュゼッペ・ベルゴミ（インテル、1980年-1999年）

リーガ・エスパニョーラ

• ルイス・カルロス・クアルテロ（レアル・サラゴサ、1993年-2009年）

ブンデスリーガ

• フリッツ・ヴァルター（1.FCカイザースラウテルン、1937年-1959年）
• ゼップ・マイヤー（バイエルン・ミュンヘン）（1958年-1979年）※

バスケットボール

NBA

• レジー・ミラー（インディアナ・ペイサーズ、1987年-2005年）

関連項目

• 永久欠番
• ジャーニーマン