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7.62x39mm弾

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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ファイル:Yugo 7.62x39 M67.jpg
ユーゴスラビア製7.62x39弾。弾頭にはエアホールと呼ばれる中空がある

7.62x39ライフル実包(正式名称M43)は第二次世界大戦中、SKSカービン用の弾薬としてソビエトで開発された。開発に当たって世界の様々な実包の影響を受けたと見られ、とりわけ、第二次世界大戦前のドイツのGeCo7.75x39弾(試験弾)や第二次世界大戦中にドイツで開発された7.92x33弾、通称7.92mmクルツ(クルツとはドイツ語で"短い"という意味)がその原型であるといわれている。

概要

世界で最も有名なライフルの一つと言われているAK-47はこの弾を使用する銃器として戦後すぐに開発された。1970年代までソビエトでは最もスタンダードな銃弾であり、現在においても世界中で軍用から猟用にいたるまで幅広く使用されている。

弾頭は舟形(boat-tail)をしており、弾芯は鉄製でその周りに鉛がかぶせられ、さらに銅めっきが施されている。弾芯が鉄な事から、よく「アーマーピアシング弾」と誤解されるが、貫通力は鉛弾芯銅コートの7.62×51mm弾とほとんど変わらないため、単に高価な鉛の使用を減らすための処置である。プライマーは共産圏でよく使用されるベルダンプライマーで薬莢は鉄製である。テーパーが掛かっているため弾の装填、排莢が簡単に行える。これはテーパーのおかげで薬室内に完全装填されるまで弾と薬室とのコンタクト(接触)が少ないからである。AK-47のマガジンが”バナナマガジン”と形容されるほど曲がっているのはこの強いテーパーのためである。弾頭の形は改良されたこともあったが、薬莢は開発されてからほとんど手を加えられていない。

7.62x39弾はセンターファイヤーライフル弾(雷管が薬莢の真ん中にある弾)としては屈指の安さを長年誇ってきた。ライフル弾の中では最安の部類に入り、2006年初頭に軍用の7.62x39弾の値段が跳ね上がり、ロシアからアメリカに輸出される高品質な7.62x39弾が一発17セントになるまで長らく1発10セント(約12円)ほどの値段であった。

日本では狩猟用ライフル弾は種類にもよるが最低一発200円弱するのでいかに安いかが理解できよう。この安さは驚異的で拳銃弾や種類によっては22ロングライフル弾といった弾よりも安い場合がある。しかし近年、弾薬のアメリカにおける市場価格は二倍近くに高騰している。これはアフガニスタンイラク軍隊をアメリカが再建支援しているためで、そのために大量の7.62x39弾を発注したためである。(アフガニスタンやイラクの軍、警察では大量のAK-47とその派生型が使用されている)しかしながら2007年の時点でアメリカ市場において最も安いライフル弾であることに変わりはない。

日本の狩猟では、スターム・ルガーMini30ヴァルメハンターモロトハンターなどのライフル銃がこの実包を使用するものとして知られる。

7.62x39の後継は5.45x39弾であり、物理的なパワーは7.62mm弾に劣るが、小口径であるがゆえ銃口初速が速く、より長射程になっている。また弾頭重量が軽いため反動が小さく、フルオートマチックでの射撃もより容易になっている。これは米軍が使用弾薬を308ウィンチェスター弾から5.56x45弾(現在はSS109)に変えたことに呼応したためである。

参考ページ