コンテンツにスキップ

ダールグレン砲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Yelm (会話 | 投稿記録) による 2010年2月20日 (土) 13:39個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (+commons)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

USSメリマックのダールグレン砲。1861年

ダールグレン砲( - ほう、Dahlgren gun)とは、南北戦争中(及びその前)に北部の海軍が使用した滑腔砲の一種である。表記はダルグレン砲とも。あるいはより説明的にダールグレン式滑腔砲とも。

鋳造時に一体成型されたのはごく原始的な大砲だけであって、19世紀の大砲は、発射に耐えるための強度と可能な限りの軽さを実現するため、多様な形状の金属製部品を組み合わせて作られた。

合衆国海軍の火器開発部の長、ジョン・A・ダールグレンは着火時の砲尾において爆発の力が最大で、一方、砲弾が砲口近くにある時は掛かる力が最小であることを認識していた。そこで彼は砲尾が非常に太く、砲口が細く、滑らかな外形をした大砲を開発した。これはより先進的な型の大砲に較べて安価であった。ダールグレン砲は、ビールびんに似た形状から"bottle cannon"と綽名された。またダールグレンの名にちなんで呼ばれることもあった。

1864年、訓練航海中の合衆国海軍砲艦でダールグレン砲を操作する砲手

しかしながら彼の設計思想は、他の海軍関係者には受け容れられなかった。大砲の装填方式が前装式から後装式へ転換したことと冶金技術の発展は、20世紀になる前に彼の設計を時代遅れなものとした。

彼の設計の欠点は、砲尾のhoisting-knobが小さい(壊れやすい)ことと、大砲にとって不可欠である照準角の設定機構を欠いていたことである。これらの不備はロッドマン砲の開発によって改善が試みられた。