フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック
クラシック音楽 |
---|
「Template:クラシック音楽」を このページに使わないで ください。代わりに 「Template:Portal クラシック音楽」を ご利用ください。 ![]() |
作曲家 |
ア-カ-サ-タ-ナ ハ-マ-ヤ-ラ-ワ |
音楽史 |
古代 - 中世 ルネサンス - バロック 古典派 - ロマン派 近代 - 現代 |
楽器 |
鍵盤楽器 - 弦楽器 木管楽器 - 金管楽器 打楽器 - 声楽 |
一覧 |
作曲家 - 曲名 交響曲 - ピアノ協奏曲 ピアノソナタ ヴァイオリン協奏曲 ヴァイオリンソナタ チェロ協奏曲 フルート協奏曲 弦楽四重奏曲 - オペラ 指揮者 - 演奏家 オーケストラ - 室内楽団 |
音楽理論/用語 |
音楽理論 - 演奏記号 |
演奏形態 |
器楽 - 声楽 宗教音楽 |
イベント |
音楽祭 |
メタ |
ポータル - プロジェクト カテゴリ |
『フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック(Fitzwilliam Virginal Book )』は、エリザベス朝からジェームズ1世時代までのイングランドにおける鍵盤楽曲の筆写譜のことをいい、ルネサンス音楽末期から初期バロック音楽にかけての一次資料の一つである。曲集の名前は、この曲集を入手し、1816年にケンブリッジ大学に寄贈したフィッツウィリアム子爵にちなんでいる。それ以前は「エリザベス女王のヴァージナル曲集Queen Elizabeth's Virginal Book 」と呼ばれていたが、これをエリザベス1世が所有したためしがないこと、それどころか、曲集全体のコピストで元来の所有者が、カトリック信仰を理由に1609年から1619年まで投獄されたウェールズ系貴族フランシス・トレギアン(Francis Tregian)だったことから、呼称(名称)が今のように改められた。
1612年に鍵盤楽曲集の『パーセニア(Parthenia )』が出版されるまで、当時のイングランドでこの種の曲集というものは公表されなかった。この曲集は『フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック』のように、演奏家によって編纂された最大の曲集となっている。このほかの例としては、ウィル・フォースターのヴァージナル曲集(Will Forster's Virginal Book )やクレメント・マチェットのヴァージナル曲集(Matchett's Virginal Book )、ウィリアム・ティスデイルのヴァージナル曲集(Tisdale's Virginal Book )があるにすぎない。
収録作品の年代は、1562年ごろから1612年ごろまでの半世紀にまたがっており、ウィリアム・バード、ピーター・フィリップス、ヤン・ピーテルスゾーン・スウェーリンク、ジョン・ブル、ジャイルズ・ファーナビーらの作曲家が名を連ねている。収録数は300曲以上に及ぶ。当時の鍵盤楽曲の筆写譜にはよくあることだが、どの曲もいちいち楽器が指定されてはいないが、ヴァージナルやスピネットから、オルガン・ポルタティフに至るまでの当時の鍵盤楽器で演奏すると、うまく響く。収録曲はたいてい小品で、多くはひょうきんで印象深い題名がついている。ジャイルズ・ファーナビー作曲の《剣を収めてくれよ、ジェミーPut up thy Dagger, Jemy 》《新しいサ・フーThe New Sa-Hoo 》《クォドリングの楽しみQuodlings Delight 》、リチャード・ファーナビーの《誰のためでもないジグNobody's Gigge 》、ウィリアム・バード作曲の《お化けThe Ghost 》《オックスフォード伯爵の行進曲The Earle of Oxford's Marche 》、トマス・トムキンズ作曲の《ウスターのどんちゃん騒ぎWorster Braules》、作者不詳の《パキントンの報酬Pakington's Pownde》《アイルランドの憂鬱なダンスThe Irishe Dumpe 》などはその例である。ジャイルズ・ファーナービー編曲の、ダウランドの《涙のパヴァーヌ》も収録されている。ジョヴァンニ・ピッキの《トッカータ》やオーランド・ギボンズの《パヴァーヌ》など、この曲集のみによって伝えられている作品も少なくない。
この曲集は当時は出版されず、自筆譜のまま個人蔵となっていた。1899年にブライトコプフ・ウント・ヘルテル社が、校訂報告つきで新たに出版譜を発表した。この版は、今は権利が失効したため、ドーヴァー社などによって著作権切れの版が復刻され、廉価で購入できるようになった。
参考文献
- The music collections of the Cambridge libraries, Woodbridge, Conn. : Research Publications, 1991, in which a microfilm facsimile of the manuscript is included.
- The New Harvard Dictionary of Music, ed. Don Randel. Cambridge, Massachusetts, Harvard University Press, 1986. ISBN 0674615255
- Article "Sources of Keyboard Music" in The New Grove Dictionary of Music and Musicians, ed. Stanley Sadie. 20 vol. London, Macmillan Publishers Ltd., 1980. ISBN 1561591742
- Harold Gleason and Warren Becker, Music in the Middle Ages and Renaissance (Music Literature Outlines Series I). Bloomington, Indiana.