札樽線 (北海道中央バス)
札樽線(さっそんせん)とは、北海道中央バス(中央バス)が運行するバス路線の名称である。本記事では、派生路線である札樽自動車道(札樽道)経由の高速バス路線についても記述する。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/fa/Chuo-bus_s22ka2965.jpg/220px-Chuo-bus_s22ka2965.jpg)
概要
終戦後の中央バス路線網は、札幌から石狩・空知方面と小樽から後志方面へ運行しており、札幌 - 小樽間は分断されていた。営業面からもマイナスであることから札樽線の開設が計画されたが、この区間は1934年(昭和9年)から国鉄バス(省営バス)が独占運行しており、函館本線も並行していることから開設は極めて困難な状況であった。国鉄バスは木炭バスで運行していたが、道路状況が悪く片道2時間30分かかっており、運賃は列車より5割高とあって利用客は低調であった。こうした状況から民営バスの運行を望む声が高まり、1948年(昭和23年)9月に路線免許申請を行ったが、当時はガソリンやタイヤなどの配給制が解除になっておらず、1路線に2社の営業は時期尚早として却下された。
1949年(昭和24年)12月に再度申請を行った。これを知った国鉄バスは翌年より大型車を導入、所要時間を1時間30分程度に短縮すると同時に運行本数を2倍に増やしたところ利用客が増加し、その後も増回→利用客増加を繰り返したため、1路線1社とする必要性は無いことを証明する形となった。当時の専務は陸運局長に対し、国鉄バスとの無用の競争は避け、運行本数や運賃は国鉄バスと協議して決める、途中停留所での乗降はできるだけ行わず急行バスとして運行するなどの約束をし、国鉄本社自動車局へ足を運び了解を取り付けるなど奔走した結果、1950年(昭和25年)12月に路線免許が認可され、1951年(昭和26年)4月より急行バス6往復の運行を開始。分断されていた営業路線が繋がることとなった。
札樽バイパス(現:札樽自動車道)開通を機に、1972年(昭和47年)2月より札幌 - 小樽・岩内間に札樽道経由便を11往復開設、従来からの国道5号経由便20往復と合わせると31往復に増加した。以降、毎年札樽道経由便の増回や、小樽 - 札幌 - 千歳空港の開設などを行い、着実に利用客が増加していった。対する国鉄バスは札樽道経由便の特急バスを6往復運行したが、利用客低迷を理由に1978年(昭和53年)12月に休止している。その後1986年(昭和61年)になって再開計画が明らかになり、8年間の休止は廃止に等しく今になって再開するのは納得できないと異議を唱えたものの、新規開設ではなく休止路線の再開であるため認めざるを得なく、同年11月に再開された[1]。
バス事業の規制緩和を目前とした2001年(平成13年)には、札樽道経由便にてジェイ・アール北海道バスとの共同運行を開始した。両社で異なっていた愛称も「高速おたる号」に揃えられ、一部に利用制限は残るものの[2]、札樽間高速バス共通カードの発行や乗り場・停留所の統一などにより、合わせた運行回数は市内線並みの120往復となり、利便性は格段に向上した。国道経由便は2004年(平成16年)11月限りで直通便が廃止され、小樽市桂岡町を境に分断されている。ジェイ・アール北海道バスの国道経由便も途中で分断されており[3]、札幌 - 小樽直通は両社とも札樽道経由便が主体となっている。
-
JRバス北大経由便は札幌ターミナルへ乗り入れ
-
札幌駅前ターミナルは北レーンJRバス乗り場に統一
-
小樽駅前は中央バス乗り場に統一
年表
- 1951年(昭和26年)4月20日 - 札樽線運行開始。
- 1972年(昭和47年)2月 - 札幌岩内線、札樽線札樽道経由便運行開始。
- 1978年(昭和53年)12月15日 - 特急かもめ号(後の高速かもめ号)運行開始。
- 1984年(昭和59年)12月1日 - 高速いわない号運行開始。
- 1985年(昭和60年)12月1日 - 高速おたる号運行開始。
- 1986年(昭和61年)10月1日 - 高速くっちゃん号運行開始。
- 1987年(昭和62年)8月24日 - 高速しゃこたん号運行開始。
- 1988年(昭和63年)6月5日 - 高速くっちゃん号の夏期1便をニセコまで延長し、ニセコ延長便を高速ニセコ号(初代)とする[4]
- 1991年(平成3年)12月1日 - キロロ線運行開始。
- 1992年(平成4年)10月1日 - 札樽道全線開通
- 高速かもめ号の札幌市内区間を札樽道・道央道直行に切り替え。
- 高速おたる号北大経由便運行開始。北大経由に限り、札幌市内相互乗降の扱いはなし。
- 従来からの系統を「円山経由」とする。
- 1995年(平成7年)12月1日 - 高速よいち号運行開始。
- 1997年(平成9年)12月1日 - 高速かもめ号を翌年2月28日まで冬期運休とする。
- 1998年(平成10年)12月1日 - 高速かもめ号廃止。
- 1999年(平成11年)3月11日 - 高速おたる号マイカル小樽経由運行開始。
- 2000年(平成12年)11月1日 - 高速おたる号望洋台経由の試験運行開始[5]。
- 2001年(平成13年)
- 4月1日
- 高速おたる号マイカル小樽経由廃止。
- 高速おたる号望洋台経由本運行開始。
- 7月1日 - 高速おたもい号試験運行開始[6]。
- 12月1日
- ジェイ・アール北海道バスの札樽道経由便と共同運行開始。同時に、北大経由の札幌市内相互乗降が可能となる。
- 冬期のみ高速おたる号天狗山スキー場系統運行開始。
- 4月1日
- 2002年(平成14年)5月20日 - 高速くっちゃん号全便をニセコまで延長し、高速ニセコ号(2代)として運行開始。
- 2003年(平成15年)12月1日 - 高速おたる号天狗山スキー場系統廃止[7]。
- 2004年(平成16年)12月1日 - 国道経由便の直通系統を廃止し、札幌 - 桂岡と小樽 - 桂岡に分断。
運行路線
札樽道経由の札幌 - 小樽間と札幌キロロ線はジェイ・アール北海道バス共同運行区間。
- 札幌桂岡線
- 小樽桂岡線
- 高速おたる号
- 高速よいち号
- 札幌駅前ターミナル - (円山経由と同経路) - 小樽駅前 - 余市駅前(十字街) - 余市梅川車庫前
- 高速しゃこたん号
- 札幌駅前ターミナル - (高速よいち号と同経路) - 余市梅川車庫前 - 美国( - 積丹神威岬:夏期)
- 高速いわない号
- 札幌駅前ターミナル - (高速よいち号と同経路) - 余市駅前十字街 - 国富事業所 - 岩内ターミナル
- 高速ニセコ号
- 札幌駅前ターミナル - (高速いわない号と同経路) - 国富事業所 - 倶知安十字街 - ニセコいこいの村
- 札幌キロロ線(冬期運行)
- 札幌ターミナル - 札幌駅前ターミナル - (札樽道) - キロロリゾート
廃止路線
- 高速かもめ号
- 小樽駅前 - 潮見台 - (札樽道・道央道) - 千歳ターミナル - 新千歳空港
- 高速おたもい号(試験運行のみで終了)
- 札幌ターミナル - 札幌駅前ターミナル - 西町北20丁目 - (札樽道・臨港線) - 色内小学校下 - おたもい団地 - おたもい入口
- 高速おたる号
- マイカル小樽経由:札幌駅前ターミナル - 西町北20丁目 - (札樽道 朝里IC経由) - 小樽自動車学校前 - マイカル小樽 - 小樽駅前
- 天狗山系統(冬期運行):札幌駅前ターミナル - (円山経由と同経路) - 小樽駅前 - 天狗山スキー場
期間限定路線として、小樽旭川線、小樽富良野線、新千歳空港キロロ線も運行された。
関連項目
参考文献
- 北海道中央バス四十年史編纂委員会編『北海道中央バス四十年史』(1984年)
- 北海道中央バス五十年史編纂委員会編『北海道中央バス五十年史』(1996年)