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ベン・トー

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ベン・トー
ジャンル コメディ
小説
著者 アサウラ
イラスト 柴乃櫂人
出版社 集英社
レーベル スーパーダッシュ文庫
刊行期間 2008年2月 -
巻数 既刊7巻
テンプレート - ノート

ベン・トー』は、アサウラによる日本ライトノベル。イラストは柴乃櫂人スーパーダッシュ文庫集英社)より、2008年2月から刊行されている。タイトルは「弁当」と戦争アクション『ベン・ハー』をかけたダブルミーニング。

概要

貧乏学生であった少年が、半額弁当争奪に巻き込まれ、自らその渦中に飛び込む物語である。

このライトノベルがすごい!2009にて新規部門6位、またこのライトノベルがすごい!2010においては総合8位に入賞。 3巻発行に併せて2009年1月にスーパーダッシュ文庫公式ウェブサイトで特集サイトが立ち上げられる。

一部の記述において、2ちゃんねる等のインターネット上で使われる叫び声等の表現が利用される。

ストーリー

寮の近くのスーパーに入った高校1年生の佐藤洋は、目の前で半額シールを貼られた弁当に手を伸ばした直後に意識を失い、気がつくと精肉コーナーの前で倒れていた。すでに半額弁当は消え、残った惣菜もその場にいたほかの人に買われていく。残った梅おにぎりを手に取ろうとした際、同じ学校の白粉花と出会い、またその様子を眺める女生徒を見かける。

翌日からスーパーに通い詰めた佐藤は、《氷結の魔女》と呼ばれるその女生徒槍水仙からスーパーで起きている半額弁当を争奪する人々の話を聞き、自らも半額弁当争奪に足を踏み入れることとなる。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


登場人物

西区の狼

佐藤 洋(さとう・よう)
主人公。私立烏田高等学校1年。父親の影響は自身では否定しているが、同等の変態行為を頻発する。一家そろってセガコンピュータゲームが好きである。
父親が絡んだ小学3年生の夏休みの事件により体力に自信がある。また祖父に様々なトラップ技術を仕込まれており、小学4年生の夏休み自由研究は石岡を被験者にしたトラップ動画を提出している。なおこの動画は作中のネットに流出しており、好評価を得ている。
槍水の策により、半ば無理やりにハーフプライサー同好会に所属する。金城優との共闘で得た初めての半額弁当が月桂冠であり、その勝利の味が忘れられないために《ダンドーと猟犬群》の誘いを断り、ハーフプライサー同好会に継続して所属する。以降、狼としての頭角を現し《帝王》や《オルトロス》と相対する。
二階堂から《変態》の二つ名をつけられている。
槍水 仙(やりずい・せん)
私立烏田高等学校2年。念入りな髪のセッティングと化粧により野性を感じさせる、黒いストッキングと頑丈な厚底のブーツを履く少女。10歳になる妹が一人おり、目に入れても痛くない程可愛がっている良い姉である。
人から疎外されることが苦手であり、負けず嫌いである。カードゲームボードゲームなどのテーブルゲームを得意とするが、コンピュータゲームは不得手である。
《氷結の魔女》の二つ名で呼ばれる名うての狼にして、ハーフプライサー同好会の代表。西地区における代表的な狼の一人であり、佐藤と白粉をハーフプライサー同好会に所属させた。かつて金城の後ろをついて様々な技術を学んでいたが、何らかの事情で金城がハーフプライサーを離れたことから袂を分かっている。なお、彼女の二つ名はジュースと間違えてチューハイの「氷結」を購入しようとしたところからきている。
白粉 花(おしろい・はな)
私立烏田高等学校1年。小柄で、やや長めの髪を後ろで束ねている少女。白梅から過度の寵愛を受けている。「かっこいい」を「かぁこいい」と言う癖がある。
ハーフプライサー同好会以外にライトノベル研究会にも所属しており、小説を書いている。男性同士の同性愛を好んでおり、その作風も同様である。佐藤をモデルにした人物が主人公の「筋肉刑事(マッスルデカ)シリーズ」は、作中のネットの一部で人気がある。
いじめられていた経験から、他人からの接触を極端に嫌がる。そのため著莪に抱きつかれてからは著莪に対して苦手意識と敵愾心を持つ。
佐藤とともに半額弁当争奪を知り、槍水に接触する。《ダンドーと猟犬群》に一時期所属していた際に得た技術を基に、佐藤より高確率で半額弁当を入手する。
金城 優(かねしろ・ゆう)
私立烏田高校3年。長身の少年。オートバイを移動手段として利用する。
烏田高校に所属しているが特待生であり出席を免除されている。代わりに海外の大学の研究機関に所属している。
《魔導士》(ウィザード)の二つ名を持つ、西区最強の狼。東区最強の《オオカバマダラ》に勝利した実績がある。以前はハーフプライサー同好会に所属していたが、何らかの事情により脱会している。佐藤の成長を楽しみにしている。
壇堂 健治(だんどう・けんじ)
私立烏田高校の国語教諭であり、剣道部の顧問であり、《ダンドーと猟犬群》の総指揮者。学生時代がらスーパーを駆けている。
山原(やまはら)
私立烏田高校3年。剣道部に所属している少年。
顧問である国語教師の壇堂を筆頭とする《ダンドーと猟犬群》の代表であり、組織立って半額弁当を得る犬。佐藤と白粉を組織に誘った。
茶髪(ちゃぱつ)
顎鬚(あごひげ)
坊主(ぼうず)
私立烏田高校に所属し、佐藤らとたびたび半額弁当を争う無名の狼。茶髪は3年の女子生徒、顎鬚と坊主は2年の男子生徒である。

東区の狼

著莪 あやめ(しゃが・-)
丸富大学付属高校1年。イタリア人の母を持つ、佐藤のいとこ。長い金髪を乱雑にし、普段は眼鏡をかける少女。金城と同じくオートバイを移動手段として利用する。
幼いころから佐藤家に出入りし、兄弟のように育つ。佐藤同様にセガのコンピュータゲームが好きである。
ファミリーコンピュータ部(ファミ部)に所属し、同部に所属している井上と親友。井上の不幸の影響を受けないように内緒で神社のお守りを持ち歩いている。白粉に抱きついたところを白梅に見咎められて家に連れて行かれてからは、白梅に恐怖を覚えている。
東区の実力のある狼として《湖の麗人》の二つ名を持つ。《帝王》の謀略を西区に伝える役割を担わされるが、《帝王》の真の目的に気づき、佐藤・《魔導士》とともに相対する。
遠藤 忠明(えんどう・ただあき)
丸富大学3年。白いコートを羽織る大柄な青年。
庶民経済研究部に所属し、《ガブリエル・ラチェット》を率いる。かつては《パットフット》と呼ばれていたが、《オオカバマダラ》に勝利し《帝王》(モナーク)の二つ名を得た。買い物用のカートを片手で持ち上げる膂力がある。
最強の名前を求めて《魔導士》と相対することを望み、謀略を練る。
二階堂 連(にかいどう・れん)
丸富大学2年。片方の耳にピアスをつけた青年である。
庶民経済研究部に所属する《ガブリエル・ラチェット》の頭目。情報処理に長け、不明なことは自ら赴いて情報を得る活動家。
《オオカバマダラ》に憧れ、仲間とともに《ガブリエル・ラチェット》を組織立てた。現在は組織を解散し、無名の狼として弁当を求める。
井ノ上 あせび(いのうえ・-)
丸富大学付属高校1年。長めの前髪で片目を隠し、季節に合わない厚めの服装をした少女。
自身では自覚していないが、頻繁に不幸に見舞われる。高所からの落下や車両に跳ねられるのは日常茶飯事であり、現在は長期間風邪に悩まされている。また、写真を撮ると必ずこの世のものでは無い物が写る。
ファミ部に所属しており、著我の友人。ゲームショップでアルバイトをしており、そこで格闘ゲームの腕を鍛えている。
半額弁当を求める狼の一人だが弁当を入手したことがないことが明かされている。ただし井上が赴くところでは不幸が多発するため異例だが《死神》の二つ名を得ている。
沢桔 梗(さわぎ・きょう)
丸富大学付属高校2年にして同高生徒会長。鏡の双子の姉。長い髪の半ばから緩やかなカールがかかっている。
夢と現実を混同し奇矯な発言を行うが、語彙が不足しているため頻繁に言葉が詰まる。また嬉しいときも言葉に詰まり、悲しいときは滑らかに言葉を発する。
幼い頃から親が経営するスーパーマーケットを遊び場にしており、その縁で半額弁当争奪に参加した経験を持つ。妹とともに《オルトロス》の二つ名を得ていたが、ある事情により親元を離れて妹と二人で暮している。
長らく半額弁当争奪から離れていたが、《ガブリエル・ラチェット》が残した情報に触れ、近隣のスーパーに現れるようになる。買い物カゴを利用し、二人で連携した戦いを行う。
沢桔 鏡(さわぎ・きょう)
丸富大学付属高校2年にして同高副生徒会長。梗の双子の妹。髪は短めだが、左右のもみ上げからひと房づつ髪が伸びている。
姉のフォローを行うことが自分の役割と認識しているが、奇矯すぎる発言に対しては自重を求める。
佐藤と二階堂が二人で姉妹を追いかけてきたことから、「ツードックス」の二つ名提案を行う。

その他

白梅 梅(しらうめ・うめ)
佐藤の同級生でかつ学級委員長。腰まである長髪を白いリボンで止めている少女。春の選挙で私立烏山生徒会長となった。
白粉を溺愛しており、白粉の近くに現れた佐藤には事あるごとに制裁を行うが、白粉が風邪で倒れた際に佐藤に女子寮まで送っていくようお願いする。白粉が男性同士の同性愛をネタにした小説を書いていることには気付いていない。
松葉 菊(まつば・きく)
東区に新しくできたスーパーの半額神。「マっちゃん」と親しみを込めて呼ばれる女性。先端は黄褐色に染色されているが根元は黒色の長髪をポニーテールにまとめている。
かつては東区の最強の狼《オオカバマダラ》あるいは《女帝蝶》(モナークバタフライ)として半額弁当争奪に参加していたが、《魔導士》に敗北したこと、付き合っていた男性から結婚を申し込まれたことから身を引く。
自分についてきた《ガブリエル・ラチェット》を放置したことに後悔を覚えていたが、《帝王》の謀略の際に決着をつけた。
《毛玉》(けだま)
細身の体にアフロヘアー、銀色のサングラスをかけた青年。拠点を持たず各地を放浪するため、様々な情報に通じており、情報屋を自称するが二階堂曰く、「浅く広い情報網しか持たない、ただ騒ぎ立てるだけの三流ゴシップ」である。
石岡 勇気(いしおか・ゆうき)
佐藤の幼馴染。佐藤とは別の高校に進学した。劇中には登場せず、彼自身の間抜けなエピソードと、佐藤が彼に対して行った非道な仕打ちが佐藤の口から語られるのみである。
内本 宏明(うちもと・ひろあき)
佐藤の同級生。マゾヒストであり、佐藤が白梅に制裁を受けている場面を見ては佐藤に同好の士になるよう求めている。
広部 蘭(ひろべ・らん)
佐藤や著莪の小中学校時代の同級生であり、当時のクラスのマドンナ的存在。佐藤の初恋の相手でもある。小学校時代に芸能界にスカウトされ、『鬼灯ラン(ほおずき・-)』の芸名で売り出し中の妹系アイドル。交換留学生として烏田高校にやってきた事で佐藤と再会する。
非常に負けず嫌いの努力家であり、当時クラスの人気を二分していた著莪とは親友同士の間柄ではあったが非常に対抗心を燃やしていた。
鬼灯ランのファンは一般に『お兄ちゃん』と呼ばれている。
大谷 昌義(おおたに・まさよし)
有名国立大学に通う2年生の狼。小柄な体格を活かした機敏な動きに定評がある。美人の女性狼を見ると見境無く手を出そうとする為人喰いにして娘攫いのゴブリンの名である《ホブヤー》の二つ名を持ち、女性狼からは嫌われている。
鬼灯ランのお兄ちゃんの一人である。
有名国立大学に通う女性狼。非常に大柄で恰幅がいい。大谷とは幼稚園から大学までずっと一緒の幼馴染である。
牧とは幼稚園から大学まで一緒の幼馴染である。

用語

西区(にしく)/東区(ひがしく)
作品の主な舞台となる土地の大まかな区分け。東区に所属する狼が主に使用する。西区には私立烏田高校、東区には丸富大学及び付属高校が存在する。
狼(おおかみ)
礼儀を持って誇りを懸け、半額弁当争奪を行う人たちの総称。
豚(ぶた)/アラシ/大猪(おおじし)
礼儀を持たず半額弁当を求める人たちへの蔑称。指す相手はそれぞれ個人/複数の弁当を一人で持っていく個人/主婦である。
犬(いぬ)
豚とは違い、最低限の礼儀をわきまえた人たちへの呼称。おおよそ豚と狼の境目に当たる。
二つ名(ふた-な)
狼の中でも実力のある人を示す称号。まれに特別な事情により二つ名がつく場合がある。
半額神(はんがくしん)
スーパーマーケット惣菜担当であり、惣菜や弁当に半額シールを貼る人。西区には「ジジ様」「アブラ神」、東区には「マっちゃん」などがいる。狼たちは各スーパーを半額神の名前で呼んでいる。
月桂冠(げっけいかん)
長時間置いた半額弁当の中にはより深い味わいをかもし出すものがあり、半額神がその太鼓判を押した弁当。通常の半額シールではなく、店ごとに特別な半額シールが貼られる。

以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。


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