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PowerPC G4

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PowerMac G4のCPUモジュール上のモトローラ PowerPC 7450プロセッサ 800 MHz

PowerPC G4PowerPCの第4世代マイクロプロセッサを呼ぶものとして、アップルコンピュータによって使われた名称である。モトローラ及びモトローラから分離したフリースケールのプロセッサPowerPC 74xxシリーズに対して、アップルはこの名前を使うようになった。

Macintoshコンピュータのシリーズ、PowerBook G4iBook G4のようなノートPCや、Power Mac G4Power Mac G4 CubeのようなデスクトップPCは、このプロセッサの名前からとっている。PowerPC G4はまた、eMacや初代Xserve、初代Mac mini、そしてG5プロセッサ採用前の液晶iMacにも使われた。

アップルは、IBMが開発した64bitプロセッサであるPowerPC 970を採用してから、デスクトップモデルについてはG4シリーズの採用を終了した。G4を採用した最後のデスクトップモデルはMac miniであった。G4を採用した最後のノートPCはiBook G4である。

本来、組み込み向けが用途の中心であり、ルータスイッチ等のネットワーク機器、プリンターエンジンなどで利用され、過去に採用されていたMacintosh向けよりも大量に出荷されている。

PowerPC 7400

7400(コードネームはMax)は1999年夏の終わりにデビューし、G4という愛称をつけられた最初のプロセッサであった。このチップは350MHzから500MHzの間で動作し、1,050万トランジスタを含んでおり、モトローラのHiPerMOS6プロセスを使って製造された。チップのダイサイズは83mm²で銅配線技術を使用している。

モトローラはアップルに対して500MHzまでの動作クロックの製品を出荷すると約束していたが、初期の歩留まりは非常に悪かった[要出典]。このことにより、アップルはPowerMac G4の500MHzモデルの広告を取り消さざるを得なかった。PowerMacシリーズは400、450、500MHzのクロックを突然350、400、450MHzに落とした。アップルとモトローラの関係には溝ができ、これによりアップルはIBMに対してモトローラの7400シリーズの製品歩留まりを上げるのを助けてくれるように頼んだと報じられた。500MHzモデルは2000年2月16日に再度採用された。

設計

アップルとIBMと緊密に協力する中で、7400の大部分はモトローラが設計した。AIM allianceの3番目のメンバーであるIBMは、サマーセットデザインセンターでモトローラと一緒にチップを設計した。しかし、IBMはベクタプロセッシングユニットを必要とは見ていなかったので、チップを製造することは選ばなかった。結局、G4アーキテクチャは、アップルがVelocity Engineと呼称した、モトローラのAltiVecと名づけられた128bitのベクタプロセッシングユニットを含んでいた。

AltiVecユニットと共に、7400マイクロプロセッサは4並列単精度 (32bit) 浮動小数点演算ないし、16並列8bit、8並列16bit、4並列32bitの整数演算を1サイクルで行うことができる。さらに言えば、このベクタプロセッシングユニットはスーパースカラ構造を持っており、2つのベクタ演算操作を同時に行うことができる。当時のIntelのx86マイクロプロセッサに対して、この特徴はAltiVecユニットを利用するように設計されたアプリケーションは、実パフォーマンスを上げることができた。エフェクトやオブジェクトの軌跡をレンダリングする際にAltiVecユニットを利用すると高速化されるAdobe Photoshopや、AltiVecユニットを利用することでオンザフライでファイルのインポートや変換を行うアップルのiLifeアプリケーションスイートはアプリケーションの一例である。

加えて、7400は、改良されたキャッシュコヒーレンシープロトコル (MERSI) や604シリーズのALUをベースとする64ビットALUなどにより、対称型マルチプロセッシングをサポートするよう機能強化されている。603シリーズは32ビットALUを持っていて、64ビット浮動小数点演算を行うのに2クロックかかった。

7400のFPUPowerPC 604のものを持っている。なぜならPowerPC 750のFPUよりもクロック当たりおよそ25%速かったからである。

PowerPC 7410 "Nitro"

PowerPC 7410は7400と同じ設計であったが、200nmの代わりに180nmで製造された。7400と同じく1,050万トランジスタを搭載している。これは2001年1月9日に初代PowerBook G4でデビューした。

このチップはキャッシュの全量ないし半分を「高速なメインメモリ」として使う機能が追加されている。これは、キャッシュを指定のプロセッサの物理アドレス空間に割り当てることができるというものである。この機能はMercury Computer Systemsのような組み込みベンダによって使われた。

PowerPC 7450 "Voyager"

2005年4月、PowerPC 7450は、G4プロセッサにとって最初の(そして唯一の)大きな設計変更を行ったものである。チップには3.300万トランジスタ搭載され、より長いパイプライン、256KBのオンチップL2キャッシュ、そして (2MB) までの外部L3キャッシュをサポートした。AltiVecは7450で改良され、7450の先祖とモトローラ/フリースケールのその後の製品のように、1つの交換命令と1つのVALU命令を1クロックで処理する代わりに、同時に2つの調整されたAltivec命令を実行できるようになった。これは2001年1月9日に、733MHzのPowerMac G4に採用された。モトローラはその後しばらくして、ちょうど7455のようなコードネーム「Apollo 6」と呼ばれる7451をリリースした。

PowerPC 7445/7455 "Apollo 6"

PowerPC 7455で、オンチップキャッシュバスがより広い256ビットになり、180nmのSOIプロセスで製造された。これはアップルにとって1GHzの壁を越えた最初のプロセッサだった。7445は同じチップでL3キャッシュインタフェースを除いたものである。7455はAmigaOne XE G4で採用された。

PowerPC 7447/7457 ""Apollo 7"

2005年初頭、アップルのG4シリーズの中で出荷されたもっとも高速なプロセッサはMPC 7447Bであり、これは1.67GHzで動作するもので、2005年1月のPowerBook G4に採用された。5,800万トランジスタからなる7447は7450/55からほんの少し改良された。これは512KBのオンチップL2キャッシュを持ち130nmで製造され、その後低消費電力化される。7447Aでは、DFS(動的周波数変更)と共にサーマルダイオードも集積し、フリースケールは少しだけクロックを上げることができた。7457はL3キャッシュインタフェースを追加されたものである。しかし、アップルが以前採用していたL3キャッシュ使用可能な7455の代わりに7447を選んだときには、動作クロックの伸びは沈滞していた。この決定がなされたのは、たぶんにコストによるものである。L3キャッシュに高速なSRAMを使うのはかなり高価であったからである。Power Mac G4とPower Mac G4 Cubeをアップグレードするのに7457を使う企業は、ただGiga Designs社とDaystar Technology社(OWCが買収し、今やiMac G4アップグレードに7457を唯一使っている企業となった)とPowerlogix社のみである。Pegasosコンピュータもまた7447を使ってPegasos-II/G4を現在販売している。

PowerPC 7448 "Apollo 8"

7448は7447が進化したもので、本質的に1MBのL2キャッシュと200MHzのFSBを持つ、90nmで製造された7447の高速かつ低消費電力版である。フリースケールの新しい標準コアであるe600はこれらの機能を備えている。Daystar社は、2GHzまで動作する、アルミニウムPowerBook G4に対する7448アップグレードキットを出荷している。

将来

e600

745xに見られる多重化バスインタフェースによって、帯域が抑えられているという問題が思い起こされる。また、フリースケールのSoCチップの商品ラインアップ計画と対照的だと思わせる。このラインアップは、シングルないしデュアルのe600コアを用いRapidIOPCI Expressを通してより速いシステムインタフェースと接続できる。またIO同士を667MHzで動作する多重化バスで接続し、コアとDDR/DDR2メモリコントローラは非同期マルチプロセッサをサポートする。このアーキテクチャはフリースケールのMPC8641およびMPC8641Dプロセッサモデルで登場し、2005年の10月にリビジョン1.0としてテープアウト、2006年中頃に特定顧客向けにサンプル出荷される。商品化されるのは2007年初頭を予定され、出荷時のコアクロックは1-1.5GHz、メモリクロックは400-600MHzを予定している。

e700

2004年、フリースケールは新しい処理能力の高いコアであるe700を発表した。これまで公表された2、3の詳細情報から、このコアはe600とよく似ていて、64bitプロセッサで、3GHzないしそれ以上のクロックで動作し、MPC87xxと名づけられている。