トール油
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トール油(トールゆ、tall oil)は、松材を原料にクラフトパルプを作る時に副成する、樹脂と脂肪酸を主成分とする油である。外観は、暗褐色の稠密液。
概要
クラフト法の製紙工場では木材チップを、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)などの薬品を加えて煮溶かし(蒸解)、木材繊維(パルプ)を取り出す。その木材繊維を固めていたリグニン・樹脂成分と薬品が混じった液体を濃縮したものを黒液と呼ぶ。松材を原料としてクラフトパルプを製造した時にできる黒液を酸で中和すると、樹脂成分などが粗トール油として分離される。
粗トール油は蒸留塔を用いて蒸留することにより、トールロジン(トール油ロジン)とトール脂肪酸が精製され、それぞれ工業的に利用される。他に、ヘッドと呼ばれる揮発成分と、黒いピッチが副成する。トールロジンはアビエチン酸などの炭素数20のジテルペノイド化合物を主成分とする。トール脂肪酸はオレイン酸とリノール酸を主成分とする。
成分比は、スラッシュマツ、ヨーロッパアカマツ、バビショウなど、使用する松の種類によって異なる。
産地
主にアメリカ合衆国、カナダ、ロシア、中国などの製紙工場で産する。日本にも主に北米から輸入され、日本でトールロジンに精製されている。