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南方開発金庫

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南方開発金庫(なんぽうかいはつきんこ)とは、預かり金、地金の売買、通貨の交換、為替の売買を行う目的で1942年(昭和17年)に作られた会社。出資金は総て政府支出のもので、総額1億円であった。

南方開発金庫定款

朕帝国議会の協賛を経たる南方開発金庫法を裁可し茲に之を交付せしむ

昭和十七年二月十九日

法律第二十三号

南方開発金庫法

第一章 総則

第一條 当金庫は南方開発金庫法に依りて設立し南方開発金庫と称す

第二條 当金庫は南方地域に於ける資源の開発及び利用に必要なる資金を供給し併せて通貨及び金融の調整を図ることを目的とす

第三條 当金庫は主たる事務所を東京市に於き之を本金庫と称す

  当金庫は大蔵大臣の認可を受け必要の地に従たる事務所を置き之を支金庫又は出張所と称す

第四條 当金庫は大蔵大臣の許可を受け銀行其の他大蔵大臣の定る法人をして業務の一部を取り扱わしむることを得

第五條 当金庫の広告は官報に掲載し且従たる事務所の掲示して之を為す

第二章 資本金

第六條 当金庫の資本金は一億圓とす

第七條 政府は一億圓を当金庫に出資するものとす

  前項の出資は国債を以て之を為すことを得

第八條 政府出資の第一回の払込額は一千八十万円とし第二回目以後の出資の払い込みの時期及び金額は当金庫大蔵大臣の認可を受け之を定るものとす

第三章 職員

第九條 当金庫に役員として総裁副総裁各一人、理事三人以上及び監事二人以上を置く

第十條 総裁は当金庫を代表し其の業務を総理す

  副総裁は総裁の定る所に依り当金庫を代表し総裁を補佐して当金庫の業務を掌理し総裁事故あるときは其の職務を代理し総裁欠員の時は其の業務を行う

  理事は総裁の定る所に依り当金庫を代表し総裁及び副総裁を補佐して当金庫の業務を掌理し総裁予め定めたる順位に依り総裁及び副総裁共に事故あるときは其の職務を代理し総裁及び副総裁共に欠員の時は其の職

  務を行う

  総裁前二項により副総裁又は理事の代表権を加えたるときは之を布告す

  監事は当金庫の業務を監査す

第十一條 総裁及び副総裁は勅令を経て政府之を命じ力及び監事は大蔵大臣之ヲ命ずるものとす

  総裁、副総裁、理事及び幹事の任期は二年とす

第十二條 総裁、副総裁、理事及び監事の報酬及び手当の額は大蔵大臣の認可を受けて総裁之を完

第十三條 総裁、副総裁、及び理事は従たる事務所の業務に関し必要と認るときは其の権限の範囲内に於いて一切の裁判上又は裁判外の行為を為す権限を有する代理人(支配人)を選任することを得

第十四條 総裁、副総裁及び理事は他の職業に従事することを得ず但し大蔵大臣の許可を受けたるときは此の限りに非ず

第四章 業務及び其の執行

第十五條 当金庫は資源の開発及び利用の為必要なる融資又は投資を為すの外左の業務を行う

  一.預かり金

  二.地金銀の売買

  三.通貨の交換

  四.為替の売買

  当金庫は前項の業務に付帯する業務を行うことを得

第十六條 当金庫は大蔵大臣の認可を受け前条の業務の外当金庫の目的達成上必要なる業務を行うことを得

第十七條 当金庫は業務開始の方法を定め大蔵大臣の認可を受くるものとす之に重大なる変更を加えんとするとき亦同じ

  当金庫は毎事業年度の初めに於いて事業計画及び収支予想計画を定め大蔵大臣の認可を受くるものとす

第十八條 業務の執行に関する諸規定は総裁之を定

第五章 債権及び借入金

第十九條 当金庫は払込出資金の十倍を限り債券を発行することを得

第二十條 当金庫は債権借換の為一時前条の制限に依らず債券を発行することを得

  前条の規定に依り債券を発行したる時は発行後一月以内に其の発行額面に相当する旧債券を償還するものとす

第二十一條 当金庫債券を発行銭とするときは大蔵大臣の認可を受くるものとす

第二十二条 債権は無記名利札付とす但し応募者又は所有者の請求に依り記名式と為すことを得

  債権は割引の方法を以て発行することを得

第二十三条 債券を償還する場合に於いて欠缺せる利札あるときは之に相当する金額を償還額より控除す但し既に支払期の到来したる利札については此の限りに在らず

  前項の利札の所持人の請求ありたるときは之と引換に控除金額の支払いを為すものとす

第二十四條 債権は売り出しの方法を以て之を発行することを得

第二十五条 売り出しの方法に依り債券を発行せんとするときは予め必要なる事項を公告す

第二十六条 無記名式債権を記名式と為し又は記名式債券を無記名式と為さんとするときは其の請求書に債権を添え当金庫に提出することを要す

第二十七条 記名式債権の名義書換を為さんとするときは譲渡人及び譲受人双方の署名又は記名捺印したる請求書に債権を添え当金庫に提出することを要す

  相続、遺贈、競売等に因り記名式債権を取得したる場合に於いて前項の規定に依ること能わざるときは其の取得を証する書面を添え名義書換を当金庫に請求することを得

第二十八条 無記名式債権又は其の利札を滅失若しくは紛失したる場合又は盗取せられたる場合に於いては公示催告手続により除権判決を受けタル後に非れば其の代債権又は代利札を交付せず

第二十九條 記名式債権災害に因り滅失したるときは所有者は其の事由、券面金額及び番号を詳記し二人以上の保証人を立て当金庫に届出で代債権の交付を請求することを得

  前項の請求ありたるときは当金庫は其の証跡明らかなる場合に限り代債権を交付す其の証跡明らかならざる場合については紛失の例に依る

第三十條 記名式債権を紛失したるとき又は之を盗取せられたる時は所有者は其の事由、券面金額及び番号を詳記し当金庫に届出で代債権の交付を請求することを得

  前項の請求ありたるときは当金庫は請求者の費用を以て其の旨公告し一月以内に其の債権を発見したる旨の届出でなきときは二人以上の保証人を立てしめ代債権を交付す

第三十一條 記名式債権の滅失、紛失又は盗取の届出に関し異議の申し立てを為す者あるときは当金庫は管轄裁判所の判決確定後に非れば代債権を交付せず

第三十二條 債権を汚染又は毀損したるときは所有者は其の事由を詳記し其の債権を添え当金庫に提出し代債権の交付を請求することを得

  前項の請求ありたるときは当金庫は其の債権を審査し真正なりと認るものに限り代債権を交付す      其の真正なることを鑑別しがたき者に付いては紛失の例に依る

第三十三條 記名式債権を無記名式と為し若しくは無記名式債権を記名式と為す場合又は債権若しくは其の利札を滅失、紛失若しくは毀損したる等の為代債権若しくは利札を交付する場合に於いては請求者より一通に

  付三十銭の手数料を徴収す

  記名式債権の名義書換を為す場合に於いては請求者より債権一通に付十五銭の手数料を徴収す

第三十四條 前七條の規定に依り難き場合に於いては総裁は大蔵大臣の認可を受け特別の規定を設くることを得

  前項の規定は之を公告す

第三十五條 当金庫借入金をなさんとするときは大蔵大臣の認可を受くるものとす

第六章 会計

第三十六條 当金庫の事業年度は四月一日より翌年三月三十一日迄とす

第三十七條 当金庫は設立の時及び毎事業年度の初めに於いて財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し大蔵大臣の承認を受くるものとす

第三十八條 当金庫余剰金の処分を為さんとすることきは大蔵大臣の認可を受くるものとす

第七章 定款の変更

第三十九條 本定款を変更せんとするときは総裁より大蔵大臣に認可を申請し其の認可を受けるものとす

附則

第四十條 当金庫の初年度は第三十六條の規程に拘わらず成立の日より昭和十八年三月三十一日迄とす

関連項目