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プロゴルファー猿

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プロゴルファー猿』(プロゴルファーさる)は、藤子不二雄による日本ゴルフ漫画作品、またはそれを原作とするテレビアニメアニメ映画である。

概要

1974年 - 1980年に『少年サンデー』(週刊、増刊)で連載された。少年漫画初のゴルフ漫画となる。

本作における世界観は、現実世界とは異なる「裏のゴルフ界」として設定されており、現実離れした荒唐無稽のキャラクターや技、ゴルフコースも多く登場するが、風速・残り距離・芝目などといった基本情報はしっかり描き込まれている。

また、1982年 - 1988年に『コロコロコミック』(月刊別冊)にて内容をより低年齢向けとした『新プロゴルファー猿』が連載された。

1999年には『ビッグコミック』で20年振りの新作『サル』が不定期連載された。ここでは大人になった猿が、アメリカに渡りゴルフ試合を繰り広げるストーリーとなった。

キャラクター


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


猿谷家

猿谷猿丸(さるたに さるまる)
主人公。通称「猿」。猿谷家の長男。名の通り猿そっくりの野生児だが、実は天才少年ゴルファー。アマチュアであるが、自称「プロゴルファー」(賭けゴルファー)として活躍している。自慢の手作りの木製クラブで日夜勝負を繰広げている。女性に弱く、褒められるとだらしなくなる。関西弁交じりで話す。中学生という設定だが、学校には殆ど行かずゴルフに明け暮れる。ゴルフクラブは主に自作のものを用いるが、市販のクラブにも関心を持っている。後にプロテストを受け、合格。正真正銘のプロゴルファーとなる。
しかし、続編の『サル』では正式のプロではない。猿丸が受験したプロテストは、悪天候で合格者が猿丸だけだったためクレームが出て、救済措置で再試験が行われたのだが、何故か猿丸の合格まで取り消されてしまった。気力を使い果たしていた猿丸は、再試験を断念したのである。なお、連載当時はプロとなるにはプロテスト合格が必須だったが、現在はツアー競技に参加する、いわゆるツアープロの場合、制度が変わっている。詳細はリンク先参照。
猿谷中丸(さるたに なかまる)
三男(アニメ版では次男)。瞳が透けて見えないほどの度の強い眼鏡をかけている。兄弟間では一番の賢さで、猿丸のキャディ兼ブレーン役。パッティングが得意で、モップで作ったパターサム・スニードの得意とする「サイドサドルスタイル」で使いこなす。また、猿丸にサンドウェッジ、小丸にクリークを作成する等、猿丸のクラブ製作技術と同等の手先の器用さがある。続編の『サル』では己の知識の元育て上げたゴルファーと猿どちらが優れたゴルファーか競う為に猿の敵となり現れる。
猿谷大丸(さるたに だいまる)
次男(アニメ版では三男)。大柄でのんびり屋。少々頭が良くないが、ゴルフの腕は良い。特にカップまでの目算に優れる。木の枝を削って作ったパターを所持。物語序盤では「おおまる」と読み仮名が振られていた。後述のおっちゃんにゴルフの腕を見込まれ、自身が果たせない猿丸へのゴルフでの勝利を大丸で果たそうと、地元の奥山カントリークラブの会員登録の必要料金を払い、本格的な高級ゴルフクラブセット、その他を買い与えられる等大きく援助を受けている。
猿谷小丸(さるたに こまる)
四男の末っ子。幼児の癖にいつも一升瓶を抱えて酒を飲んで酔っ払っている。彼の酒は左甚五斎によると、辛口の高級日本酒とのこと。アニメ版では瓶の中身がミネラルウォーターに変更された。兄達を「あんにゃー」と呼ぶ。傘の柄を改造したパターと、猿丸のドライバーと同じ方法で中丸が作ったクリークを所持。
母親
農業で一家を支えている。猿丸の行動をいつも心配している。
長女で猿丸の姉。家計を支える為に、ゴルフ場でキャディをしている。アニメ版ではデパートで働いている。
ゴエモン
猿谷家の飼い犬。温泉好き。アニメ化に伴い登場。

猿を取り巻く人達

おっちゃん
猿丸と賭けゴルフでいつも負けている中年。ゴルフは下手だが、ずるをして勝った事もある。金製のパターを持つなど、結構金持ち。また、前述のように猿丸への勝利の執念から、大丸をゴルフ関連の金銭面その他で大きく援助している。
若葉
おっちゃんの娘で、父親とは似つかぬ美少女。猿丸に好意を抱いている。アニメ版のみ登場するオリジナルキャラ。
左甚五斎
パター(特に木製・竹製パター)製作の名人。彼の製作したパターは登場したものはいずれもショットの際に何らかの音を発する。弟子の闇兵衛に「村正」を持ち出されるが、その後猿に「正宗」を授ける。
鹿島大造
アマチュアゴルフ選手権の大会委員長。
阿古記者
球斎名人

ライバルたち

剣崎健
連載初期からのライバルで、将来を有望視されるアマチュアゴルファー。初登場時は中学生である。
猿の自宅近くにあるゴルフコース「奥山カントリークラブ」の御曹司。
大神猛
大海浜カントリークラブでのアマチュア選手権で登場。
高校野球(打者)から転向したゴルファーで、出で立ちも黒の野球ユニフォームで固めている。
得意技は、バンカーからボールを砂でくるんで打ち上げ、正確にグリーンに止める「砂爆弾」。
日影
大海浜カントリークラブでのアマチュア選手権で登場。周囲に流されないパープレイが信条。
鷹巣一雄
ゴルフ特訓道場でプロテスト受験資格を猿と争ったゴルファー。普段は優しく親切だが、プロテストをかけた勝負や秘技を見られるなどのプレーヤ生命に関わるような事態の場合は人格が変わったように恐ろしい表情を見せる。
切り札「フラミンゴ打法」で、本来のゴルフクラブの飛距離以上に距離を伸ばすことができる。

敵サイド

ミスターX
いつも覆面に黒いサングラスをしている、正体不明の影のプロゴルファー組織のボス。しかしテレビ出演したこともある。猿丸のゴルフの腕に目を付け、影の組織に引き込もうとする。
コング・拳(こんぐ・けん)
怪力を誇る元野球選手だったがオフのゴルフ中に事故を起こし引退。姿をくらましミスターXの組織入りした。猿丸とのドライビング競争の刺客となる。野球バットでゴルフボールを打つ豪快なドライビングショットは300ヤードを優に超える。猿丸との勝負の後は主に影プロ側のキャディとして頻繁に登場している。原作連載当時の名称は「フラン拳」。
闇兵衛(やみべえ)
盲目のパット名人にして影のプロ組織第2の刺客。パター職人・左甚五斎の弟子だったが、ある時師の傑作の一つ「村正(後述の『正宗』と対を成す漆黒のパター。スィートスポットに当たると刀で斬ったような共鳴音を発する)」を持ち逃げした。原作での名称は「闇の市」。
黄金仮面
冷静なプレーで猿を初めて破った影のプロゴルファー。その正体は、アルコール中毒で選手生命を絶たれた全米プロ、キャプテン・イーグル。
紅蜂(べにばち)
本名:紅初子(くれない はつこ)。容姿端麗な美女だが影のプロゴルファーで謎が多い。主にミスターXの側近として行動し、変奇プロのクニャクニャドライバーを手にしてすぐ使いこなしたり、シャドウマスターズではコブラを圧倒するなどそのセンス、実力ともに並の影プロとは段違いである。正体を明かす前の初対面で、猿丸のドライバーをゴルフ素人の偶然と見せかけて折った事もあった。猿丸との対戦後は彼に味方するシーンも見受けられ、ミスターXにも時として逆らう事も。妹の「レッド・スコルピオ」も影のプロゴルファーで、シャドウマスターズでは一旦敗北するもミスターX直々の指名によって猿の2回戦の相手に抜擢される。
ドラゴン打ちの竜
香港からやってきたミスターXの組織最強の刺客。「ヌンチャクドライバー」「トンファーウエッジ」などの武器とカンフーを駆使したプレースタイルで猿丸を最後まで苦しめた。武道家のため、勝負に対しては非常にストイックでフェア。
死神
プレー相手が死ぬ(しかしその全てが偶然の事故として処理される)ことから、ゴルフの殺し屋の異名をとる刺客。ただし、最終的には自ら打った球で誤って絶命。正体は日影。
スナイパー・ジョー
SWAT出身の影プロ。クラブにスコープをつける。紅蜂と同じく猿には組織に入ってほしくないと思っている。猿との対決で敗れ、「君なら優秀なSWAT隊員になれる」と賞賛して去っていった。シャドウマスターズではベスト8まで勝ち残る。
変奇プロ(へんきぷろ)
シャフトが曲がるドライバー「クニャクニャドライバー」や、ハンマーのような形のクラブ「パワーポッド」など、特殊なクラブを使う曲打ちの影プロ。
球心
ゴルフ寺こと修羅球寺の住職で師範、自身も凄腕の影プロである人物。失態を重ねゴルフ寺送りになった紅蜂を救い出すためにやってきた猿と勝負した。後、猿のアドバイザー的役割を果たしたこともある。

猿の用具

裸足
シューズをはかない(用具ではないが便宜上本項に記述)。猿丸の野生児ぶりを象徴するスタイルでもある。足で芝目を読むことも出来る。雨天時には足を滑らせる危険もあり、黄金仮面との一度目の対戦時にはそれが元で敗戦を喫するが、リターンマッチの際は、松脂をグリップ代わりに足の裏に塗り、その欠点を克服した。
ドライバー
シャフトからヘッドまで全て木製で、猿丸の自作。ヘッドはコブ状の根部分を利用している。
パター「正宗」を得るまでは、これ1本でティーショットからパットまでこなしていた。折れるなどして3本を製作。3本目は「雷電」と名づけられた。
パター「正宗」
パター作りの名人、左甚五斎の作品。スイートスポットに当たると鍔鳴りのような澄んだ共鳴音が出る。闇兵衛とのパット対決時に初登場。甚五斎から山で助けたお礼として譲り受けた。闇兵衛との対戦後しばらくは再びパットもドライバーで行うスタイルに戻ったが、猿がパット病にかかった際に再登場し、ウッドドライバーと共に猿にとっては欠かせない武器の一つになった。
クリーク
小丸用に作られた5番ウッドだが、時々借りて使う。
サンドウェッジ
プロテスト受験前、猿丸が山にこもっている間に中丸が作成した木製クラブ。「ウッドウェッジ」とも呼んでいた。
オールマイティ
付属の鍵で角度を変えることで、一本で複数のアイアンを再現できる市販高級クラブ。デパートでのゴルフイベントで見事に的である風船を割ったため景品として入手。ただし、試合では一度も使用したことはない。

猿の技

旗つつみ
猿の最も得意な技であり、作品中頻繁に登場する。カップの上で風にはためく旗にゴルフボールを命中させる。ボールは旗に包み込まれそのまま落下してカップインする。当然ながら無風の日や、風が舞い乱れている日にはこの技は使えない。作中では先に打った敵ゴルファーのボールで旗竿を折られたり、最初から旗の中央に穴が開けられたり、旗を鉄板製にして技を封じられたこともある。類似の技でピン(カップに刺さった旗ざお)に当ててそのままチップインさせる技もある。作者いわく自らゴルフをしていた時に、偶然ボールが旗に当たり包まれたのが元。
岩返し
岩にボールをぶつけて、その跳ね返りで狙った場所にボールを落とす。
もず落とし
上空を飛ぶモズを打ち落とす程高く打ち上げ、そのまま急降下させる打法。林や障害物を越える際や飛距離を加減する場合に使用。
ブレーキ打ち
木の枝などの障害物を貫通させる事で飛距離を調節する打法。

以前TBS系で放送されていた「ギミア・ぶれいく」で、日本を代表するプロ・ゴルファー青木功が、旗つつみと岩返しにチャレンジしたことがあるが、やはりプロでも漫画の技はムリという結果に終わった(大型の旗を巨大な扇風機ではためかせてようやく命中した)。しかし藤子不二雄はこの企画について、猿の技の多くが実行可能であると証明されたと解釈し、自身の思いつきが絵空事ではなかったことが分かってうれしかった、と回想している[1]


以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。


単行本

  • 『プロゴルファー猿』 小学館〈少年サンデーコミックス〉 全19巻
  • 『新・プロゴルファー猿』小学館〈てんとう虫コミックス〉全11巻
  • 『新版 プロゴルファー猿』中央公論社藤子不二雄ランド〉全22巻
  • 『新・プロゴルファー猿』中央公論社〈藤子不二雄ランド〉全9巻
  • 『プロゴルファー猿』中央公論社〈愛蔵版〉全4巻
  • 『プロゴルファー猿』中央公論社〈中公文庫コミック〉全13巻
  • 『新版 プロゴルファー猿』ブッキング〈藤子不二雄ランド〉全22巻
  • 『新・プロゴルファー猿』ブッキング〈藤子不二雄ランド〉全9巻
  • 『サル』小学館〈ビッグコミックス〉全5巻

アニメ

シンエイ動画が制作。テレ朝チャンネルの「シンエイアニメシアター」にて再放送されている。

テレビ

2011年1・2月には、下記に記した全てを収録した「プロゴルファー猿Complete BOX」がDVDボックス全2箱形式で発売予定。(Vol.1がSP版+シリーズ前半73話、Vol.2がシリーズ後半70話+「新~」10話)

スタッフ

キャスト

主題歌

映画

「スーパーGOLFワールドへの挑戦!!」

1986年3月15日から東宝系で公開。

キャスト

「甲賀秘境!影の忍法ゴルファー参上!」

1987年3月14日から東宝系で公開。

ちなみにビデオ化に際しては上記作品群とではなく「エスパー魔美・星空のダンシングドール」とともに収録された。

キャスト

  • 猿丸 - 頓宮恭子
  • 中丸 - 高木早苗
  • 大丸・ゴエモン - 峰あつ子
  • 小丸 - 原えりこ
  • おっちゃん - 富田耕生
  • 若葉 - 堀江美都子
  • 霧の大老 - 槐柳二
  • トビ丸 - 坂本千夏
  • 胡蝶 - 江森浩子
  • カラス麻呂 - 青森伸
  • 福助 - 増岡弘
  • 影王丸 - 三ツ矢雄二
  • ミスターX - 内海賢二
  • 紅蜂 - 平野文
  • 銀仮面 - 佐藤正治
  • ナレーション - 野島昭生
  • カラス - 柴本浩行、田中真弓

その他

ゲーム

パチンコ

パチスロ

脚注

  1. ^ 藤子不二雄『プロゴルファー猿』第1巻、中公文庫、1994年、297ページ。

外部リンク