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モービッド・エンジェル

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モービッド・エンジェル
2008年
基本情報
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
フロリダ州
タンパ
ジャンル デスメタル
活動期間 1983年 -
レーベル イヤーエイク・レコード
ジャイアント・レコード
トイズファクトリー
ビクターエンタテインメント
メンバー トレイ・アザトース (ギター
デヴィッド・ヴィンセント (ボーカルベース
ピート・サンドヴァル (ドラムス
デストラクター(ギター)
旧メンバー マイク・ブラウニング (ドラムス)
ダラス・ウォード (ボーカル、ベース)
リチャード・ブルーネル (ギター)
エリック・ルータン (ギター)
スティーヴ・タッカー (ボーカル、ベース)
ジャレッド・アンダーソン (ボーカル、ベース)
トニー・ノーマン(ギター)

モービッド・エンジェル (Morbid Angel) は、1983年に結成された、アメリカフロリダ州タンパ出身のデスメタルバンド。当該ジャンルの草創期から活動を続ける大御所的存在である。

トレイ自身は「モービッド・エンジェルはライブバンドである」と公言しており、数多くのライブをこなしている。しかしながら、メンバーに関しては1990年代に入ってからもトレイとピート以外のラインナップは安定せず、しばしばメンバー交代が行われてきた。

日本ではライナーノーツでは、「デスメタルの魔王」とも表現されている。

デスオビチュアリーディーサイドらと共にフロリダを中心に活動を行い、カンニバル・コープスサフォケイションマルヴォレント・クリエイションニューヨーク勢と共に、1990年代初頭のアメリカデスメタルシーンの創生期を支え、世界中のデスメタルバンドに影響を与えた。

イギリスの音楽雑誌『Terrorizor』における「デスメタルアルバムベスト40」では彼等のアルバム2枚がランクインし、その内「Alters of Madness」は1位に輝いた。また同じく音楽雑誌である『Decibel』においては、トレイが「デスメタルのギタリスト」で1位にランクインしている。

彼らがレコーディングに使用したフロリダ州タンパのモリサウンドとそこを拠点に活躍していたプロデューサーのスコット・バーンスが作り出すサウンドは世界中のデスメタルバンドの憧れになり、世界中から次々とデスメタルバンドがレコーディングに訪れるようになった。

略歴

  • 1983年 トレイ・アザトース(ギター)をリーダーとし、マイク・ブラウニング(ドラム)、ダラス・ウォード(ベース)の三人で結成される。メンバーを入れ替えながら活動を続ける。ヴォーカルが不在の場合にはマイクがヴォーカルを兼任することもあった。
  • 1985年 リチャード・ブルーネル(ギター)が加入。
  • 1986年 デヴィッド・ヴィンセントのプロデュースにより『Abominations of Desolation』を録音し、デヴィッドがオーナーのレコード会社よりリリースする予定であったが、完成度に満足していなかったことに加え、録音後にメンバーが交代したため、結局1991年までリリースせずお蔵入りとなる(ただしそのうちの数曲はリメイクされ、後のアルバムに収録されることとなる)。その後、デヴィッドがバンドに加入する。
  • 1988年 7月4日に元ロサンゼルスのバンド「テロライザー」のピート・サンドヴァルが加入する。以降、トレイとピートのみが固定メンバーとなる。
  • 1989年 1stアルバム『Altars of Madness』(邦題:狂える聖壇)をリリース。
  • 1991年7月 「病める者は幸いなるかな」を意味するタイトルを冠した2ndアルバム『Blessed are the Sick』(邦題:病魔を崇めよ)をリリース。
  • 同年9月 1986年に録音していたアルバム『Abominations of Desolation』をリリース。メンバー曰く「音質の悪い海賊盤(Scream Forth Blasphemies)が出回っていたのを見かねて公式にリリースをした」とのことで、メンバーは公式の1stアルバムではないと否定している。
  • 1993年 3rdアルバム『Covenant』をリリース。
  • 1995年 セカンドギタリストとしてRipping Corpseで活動していたエリック・ルータンを加え、4人編成で4thアルバム『Domination』をリリース。
  • 1996年 ライブアルバム『Entangled in Chaos』をリリース。デヴィッドが脱退。
  • 1997年 後任としてスティーヴ・タッカー(ヴォーカル、ベース)が加入。
  • 1998年 5thアルバム『Formulas Fatal to the Flesh』をリリース。セカンドギタリストは一時的に再加入したリチャード・ブルーネル。
  • 2000年 6thアルバム『Gateways to Annihilation』をリリース。セカンドギタリストはエリック・ルータン。
  • 2001年 日本のラウドロックフェスティバルBEAST FEAST 2001に出演。スティーブ・タッカーが脱退し、ジャレッド・アンダーソンが加入。
  • 2002年 ジャレッドとエリックがHate Eternalでの活動に専念するために脱退。
  • 2003年 スティーブ・タッカーを呼び戻し、そのまま3人編成で7thアルバム『Heretic』をリリース。ライブではトニー・ノーマンがヘルプとして参加。長らくセカンドギタリストが不在となる。
  • 2004年 スティーヴが再び脱退。デヴィッド・ヴィンセントが8年ぶりにバンドに復帰する。
  • 2008年 デストラクター(元Zyklon、Myrkskog)が正式なセカンドギタリストとしてメンバーに加入。
  • 2010年 ピート・サンドヴァルが長年わずらっていた腰の手術を受けるためバンドから一時離脱。セッションメンバーとしてティム・イェング(元Hate Eternal)を加え、新作のレコーディングを行うことを発表した。
  • 2011年 7thアルバム『Illud Divinum Insanus』をリリース。10年ぶりの来日も予定されている。

メンバー

現在のメンバー

  • トレイ・アザトース Trey Azagthoth - ギター
    本名、ジョージ・エマニュエル・3世(George Emmanuel III)。正確にはアツィグトートと発音する[1]
    1965年3月26日生まれ。MORBID ANGELのリーダー。既婚者。
    アルバムではシンセサイザーも操り、ギターシンセローランドのGK-2A)なども導入していることが写真から確認できる。アイバニーズジャクソンのギターも使用しているが、B.C.リッチ真紅のアイアンバード)の愛用者として知られる。ギターテクニックはタッピングに加え、アーミングワウペダルの使用を得意とする。これらのテクニックはヴァン・ヘイレンジミ・ヘンドリクスに影響を受けているとのこと。また、メロディにおいてはモーツァルトからの影響を受けている。
    この業界では珍しく、有能なギタリストながらMORBID ANGEL以外での活動を一切行っていない。
    アザトース(Azagthoth) の名は、1977年にハードバックが出版された「サイモン・ネクロノミコン(Simon Necronomicon)ISBN 0380751925」 に由来し、一部の曲の歌詞はこの本に由来する。モービッド・エンジェルがクトゥルフ神話から直接的影響を受けているというのは間違い。
    日本のアニメファンで、セーラームーンガンダムを好んでいる。特にらんま1/2はお気に入りらしくアルバムのサンクスリストに入っている。好きなテレビゲームは「ストリートファイター」や「デビルメイクライ」、「メタルギアソリッド」など。
  • デヴィッド・ヴィンセント David Vincent - ヴォーカル、ベース
    1965年4月22日生まれ。4thアルバム『Domination』収録後に脱退し、インダストリアルメタルバンド「ジェニトーチャーズ」にてEvil Dの名義でベーシストとして活動していたが、2004年に再びモービッド・エンジェルに再加入した。テロライザーの1stアルバム『World Downfall』でもベースを担当していた。
  • デストラクター Thor Anders "Destructhor" Myhren - ギター (2008- )
    2008年に加入。元「ザイクロン(ZYKLON)」、「MYRKSKOG」のギタリスト。ブラックメタルバンドである1349ではライブサポートでギターを務めていた。
  • ピート・サンドヴァル Pete Sandoval - ドラムス (1988-)
    1965年5月21日生まれ。南米エルサルバドルサンタアナ出身。テロライザーを経てモービッド・エンジェルに加入。ドラムは18歳の時に初めて触れ、ツーバスはモービッド・エンジェルに加入してから練習したという(テロライザー時代はワンバスでブラストを叩いていた)。粒揃い、正確さ、スピードなどで圧倒的なテクニックを持ち、デスメタル界を代表するドラマーである。その凄まじいドラムテクニックから、『The Commando』や『Pete the Feet』などの異名を付けられている(最も多い記述はPete“Commando”Sandoval)。その一方で、モービッド・エンジェルでは叙情的なインストも数曲書いている。
    6th Album「Gateways to Annihilation」以降、作曲者がDTMで書いたドラムパートを忠実に演奏している。特にその切っ掛けとなった6thアルバムではシンバルの細かなタイミングに至るまで作曲者の意向を尊重した演奏を行ったとされる。来日時のインタビューで「ドラムマシーンだって超えたいよ」と発言している。2010年、腰の手術のため一時離脱。
  • ティム・イェング Tim Yeung - ドラムス(2010-)
    ピートの代理としてセッションメンバーとして参加。元ヘイト・エターナルのメンバーとしても知られる他、Decrepit Birthなど多数のバンドに参加していた。現在は主にDivine Heresyで活動している。

元メンバー

  • マイク・ブラウニング Mike Browning - ドラムス
    モービッド・エンジェル脱退後、「ノクターナス(NOCTURNUS)」を結成しイヤーエイク・レコードより2枚のアルバムをリリースしたが後に脱退している。現在はインディーズにてノクターナスのメンバーとともにデスメタルバンドAFTER DEATHを結成、ヴォーカル兼ドラムとして活動中。
  • ウェイン・ハートセル Wayne Hartsell - ドラムス
  • ダラス・ウォード Dallas Ward - ヴォーカル、ベース
  • リチャード・ブルーネル Richard Brunelle - ギター
    PATHS OF POSSESSIONでも活動していたが、既に脱退している。
  • ケニー・バンバー Kenny Bamber - ボーカル
  • スターリング・フォン・スキャボロウ Sterling Von Scarborough - ベース
    バンド「INCUBUS」、「USURPER」でベース兼ヴォーカルとして活動していたが、どちらも既に解散している。
  • エリック・ルータン Erik Rutan - ギター
    モービッド・エンジェル加入以前はRIPPING CORPSEで活動。現在は「ALAS」、「ヘイト・エターナル(HATE ETERNAL)」での活動のほか、フロリダに自分のスタジオMana Recording Studiosを持ち、「インターナル・サファリング(INTERNAL SUFFERING)」 、「カンニバル・コープス」、「ゴートホア」などのアルバムのプロデュースを行っている。モービッド・エンジェルの2006年のヨーロッパ・ツアーでは2ndギタリストとして、ライブ・サポートを務めた。
  • スティーヴ・タッカー Steve Tucker - ヴォーカル、ベース
    元Ceremony。
  • ジャレッド・アンダーソン Jared Anderson - ヴォーカル、ベース
    1976年1月生、2006年10月14日
    エリック・ルータンと共に「ヘイト・エターナル」でも活動をしていた。元INTERNECINE。
  • トニー・ノーマン Tony Norman - ギター
    ライブでのヘルプギタリスト。元MONSTROSITY。現在はBELLIGERENT、LOVER OF SIN在籍。再結成したテロライザーにも参加した。


アルバム

3rdアルバム『Covenant』を除いて、今までのフルアルバムは全て イヤーエイク・レコードからリリースされている。日本盤は初期はトイズファクトリー、それ以降はビクターエンタテインメントより発売されている。

また彼等のアルバムの売り上げは非常に高く、2003年の時点でカンニバル・コープスディーサイドに次いでアメリカだけでも(CD,DVDを含め)総合445,147枚を売り上げている。

アルバム単体で言えば、『Convenant』がデスメタルアルバムとしては最も売れている(2003年の時点で127,154枚)。



意図的に、アルバム名の最初の文字がリリース毎に、「A」からはじまり順に「Z」へ向かっている。なお、1991年リリースの『Abominations of Desolation』は『Blessed are the Sick』リリース後に発売された、ピート加入前のデモ音源のリマスターである。本人たちは正式なアルバムとして認めていない。

外部リンク