経済連携協定
経済連携協定(Economic Partnership Agreement:EPA)は、自由貿易協定(FTA)を柱として、関税撤廃などの通商上の障壁の除去だけでなく、締約国間での経済取引の円滑化、経済制度の調和、及び、サービス・投資・電子商取引等のさまざまな経済領域での連携強化・協力の促進等をも含めた条約の名称として主に日本が用いているものである。
日本政府が自国の関与するFTAをEPAと呼ぶ理由
日本の外務省や経済産業省は経済連携協定(EPA)について、GATTおよびGATSに基づくFTAによって自由化される物品やサービス貿易といった分野に加えて、人の移動、知的財産権の保護、投資、競争政策など様々な協力や幅広い分野で連携し、締約国・地域との関係緊密化を目指す条約としている[1][2][2]。
ただし、今日では先進国が締結するFTAの多くが日本政府の言うEPAと同様、様々な経済分野での協力を盛り込むようになっている。近年、注目され始めたTPPなどがその一例である。この他、中国と香港およびマカオが締結したCEPAや中国と台湾が締結したECFAのように、当事国が先進国ではないFTAにおいても同様に幅広い協力分野を盛り込んでいる。そのため、EPAは国際的に通報する概念ではなく、日本政府が用いるFTAにつける名称として用いられているというべきである。この点については、東アジアEPAも参照されたい。
日本が締結したEPAの一覧
外務省によると、日本はFTAだけでなくEPAの締結を軸に求めている[3]。理由として、関税撤廃だけでなく、投資やサービス面でも、幅広い効果が生まれることを期待していることによる[3]。
- 日本・シンガポール新時代経済連携協定:2002年11月30日発効
- 日本・メキシコ経済連携協定:2005年4月1日発効
- 日本・マレーシア経済連携協定:2006年7月13日発効
- 日本・チリ経済連携協定:2007年9月3日発効
- 日本・タイ経済連携協定:2007年11月1日発効
- 日本・インドネシア経済連携協定:2008年7月1日発効
- 日本・ブルネイ経済連携協定:2008年7月31日発効
- 日本・ASEAN包括的経済連携協定:2008年12月1日より順次発効
- 日本・フィリピン経済連携協定:2008年12月11日発効
- 日本・スイス経済連携協定:2009年9月1日発効
- 日本・ベトナム経済連携協定:2009年10月1日発効
- 日本・インド経済連携協定:2011年8月1日発効
- 日本・ペルー経済連携協定:2011年5月締結、発効待ち
また2011年5月28日、菅直人首相とEUのヘルマン・ファン・ロンパウ欧州理事会議長およびジョゼ・マヌエル・ドゥラン・バローゾ欧州委員長と、日本とEUの経済連携協定(EPA)について、予備交渉を早期に開始することで合意している[4]。
脚注
- ^ 「EPA/FTAって何?」 外務省 FTA広報動画
- ^ a b 「通商政策 知財・人の移動もカバー」 朝日新聞 2010年5月27日
- ^ a b 「EPA/FTAのメリットとは?」 外務省 FTA広報動画
- ^ 日本とEU、EPA予備交渉へ 巨大市場と自由貿易目指す 共同通信 47NEWS 2011年5月28日