ドリ車
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ドリ車(ドリしゃ)とは、自動車(四輪自動車)の走行でも特殊な走行法であるドリフト走行をする事を主な目的として使われている車両の総称・俗称。
概要
この節に雑多な内容が羅列されています。 |
- ドリ車には、専用の改造を施しているものから無改造に近いものまで様々な状態の車両が存在する。しかし、多くのドリフト族が機械式LSDの導入を薦めているため、多くの車両はチューニングが施されている。
- 上記のように基本的にドリ車のほとんどがチューニングカーである。公道を走行するのに合法な仕様の車両(公認仕様)もあれば、マフラーの改造・交換による爆音など整備不良とされる状態の違法改造車も数多く存在する。
- ドリフト走行は元々想定されていない走行方法であり、ドリ車はそれを多用するために各部の傷みが激しく、中古として出回っているものには状態が良い車両が存在しても稀である。
- 過酷な走りであるドリフト走行を続けた結果、バンパーなどがボロボロになった車両が存在する一方で、ドリフトよりもドレスアップ方面(スポコンなど)に重点的にシフトされた車両も存在する。D1グランプリでは見た目のドレスアップも若干ながら審査の対象になるため、この傾向が高い。
- ドリフト走行を主な目的としているため、駆動方式はドリフト状態に入りやすくコントロールしやすいFRが主流であるが、FFや4WDでも少数ながら存在する(それぞれFドリ、ヨンドリなどと呼ばれる)。
- 日本では主に国産FRスポーツカー・セダンが用いられることが多いが、海外では様々な車が用いられ、RVなどで行う者も多く存在する。
- ドリ車は派手な走行でアピールすることが主な目的であるため、前項に挙げるようなドリフト走行に特化したチューニング(LSDの装着など)やドレスアップを施した車であることが多いが、あえて無改造の車両でドリフト走行してアピールする事例もある。そのためドリフト族がドリフト走行する車は改造内容や車種によらずすべてドリ車である」という見方もある。逆にドリフト走行をしていない車、所有者がドリフターでない車はどんなドリフトに特化したチューニングが施されていようとドリ車とは呼べないという見方もある。
主な改造内容
- 基本的には前述のマフラーを含めた吸排気系、ショックアブソーバーなどの足回りやLSDおよびデフロック、社外ロードホイール、軽量化などの改造・交換が多く、峠仕様とあまり大差は無いとされるが、バケットシート(もしくはそれに準じるホールド性の高いシート)への変更を多くのドリフターやD1ドライバーが推奨している。これは通常ありえない角度の横Gがかかる事に加え、路面やクルマからの振動が伝わりやすくリアタイヤの滑り出しが分かりやすいという理由がある。
- タイヤは初心者のうちはフロントに適度なハイグリップタイヤ、リアは純正程度のローグリップタイヤを装着し、リアを滑りやすくするが、上級者になるとフロントにフラッグシップ相当のハイグリップタイヤ、リアにもハイグリップタイヤを装着する。谷口信輝は前後Sタイヤでドリフトするという離れ業を持つ。しかし、最近では前後とも並のグリップ、もしくは、あえてフロントだけ並以下のグリップにして、フロントを滑らせることにより、大きな角度をつけたまま長い距離をドリフトしたまま走るという人もいる。
- D1グランプリに出場するぐらいのハイチューンマシンになると、タービンを大型化させて高回転でのトルクを増し、タイヤからの白煙を出しやすくするが、一般的にはブーストアップ~ポン付けタービン程度にとどめ、低回転域のトルクを稼いだ方がドリフトはしやすい。そのためD1グランプリに出ている車の一部はNOSを使ってトルクを稼いでると思われる。
- 走行中は横に向けてる都合上、車両正面に風が入りづらくなりラジエターが本来持つ熱交換性能を低下させることになるため、エンジンをオーバーヒートさせやすい。対策案として、ラジエターの大容量化、オイルクーラーの設置などがある。
- ドリフトアングルの維持や操作軸の耐久性アップのため、タイロッドを強化品に変更させたり、カラーを組み込む、ナックル加工を施すことによってタイヤ切れ角や強度をアップさせてるなど、ドリフト仕様独自の改造も存在する。中には単純に走行性能を求めるだけでなく、例えばショックアブソーバーの取り付け位置変更などでシャコタン(ローダウン)化させるというドレスアップ的な要素もある改造も存在する。
- パワーを追求するために、排気系の触媒装置(キャタライザー)や消音装置(サイレンサー)を排除している車両も多い。しかし、これらは公道走行するには完全に違法な仕様という事に注意しなければならない。メジャー大会であるD1グランプリでも触媒+サーキットごとの規制音量、D1ストリートリーガルでは触媒+車検に通る音量(E-車両で103db、GF-車両で96db)という規制を行っている。
- ドリフトにはコントロール性が要求され、また「クラッチ蹴り」「シフトロック」といった、MTで無ければ使えないドリフト状態に持ち込む技が存在するため、トランスミッションはMTが基本であり、ATの車両は構造変更をしてMT化する事もあるが、中にはATのままでドリフトを行う者もいる。D1ドライバーの田中一弘の過去の愛車であるチェイサーやドリフト天国の二代目デモカーのチェイサ―が有名である。
- エクステリアのイメージチェンジも多い部類にあり、主に社外エアロパーツがその代表格となっている。これは、ドリフトには事故(クラッシュ)が付き物で、その際に破損してしまった個所を修復する際に純正部品ではなく、前述の社外パーツを使う事が多いのも1つの要因となっている。極稀に純正部品より安い社外部品も存在するのも、これに拍車をかけている。足回りを含めた外見のイメージチェンジとしてはD1などのコンテストをメインとしたメイキングの場合は派手なグラフィックデカールや大型ウイングなどを装着し、トラクションをきちんとかけてパワーを伝えるために比較的高めの車高(ノーマルと比較すると当然低い)にセットしている車両が多い。逆にコンテストなどには殆ど参加しないオーナーの中にはVIPカーやラグジュアリーカーの車両メイキングを参考にした極端な車高ダウンや大径ホイールなどでドレスアップしている車両も多く見かけられる。
- コンフォートやクルーは教習車やタクシーで使われることがもっぱら多いのだが、値段が安い上に5ナンバーサイズのFR駆動、おまけに5速MTを搭載していてエンジン換装の自由度も高い(コンフォートは純正で3S-FEを搭載する上、プラットフォームはJZ系エンジンやG型エンジンを搭載していたJZX81型マークIIであった。また、クルーには純正でRB20Eを搭載したガソリン車も存在し、他のRBエンジンへの換装が容易、またベースのC32型ローレルにはS13型シルビアに搭載されていた4気筒のCA18が搭載されていたのでSR20DETの換装も可能)ため、意外性を狙ったチューナーがベースに用いることがしばしばある。
- 上記にあるフロントタイヤのグレードダウンだが、中にはフロントタイヤにテンパータイヤを装着して走る人もいる。