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天然ボケ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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天然ボケ(てんねんボケ)とは、外面的な性格の類型のひとつ。

漫才におけるボケは、笑いとツッコミを誘うために計算されてわざと行われるが、このような「ボケ」的な行動を無自覚に行うとされる性格類型を指す。若者の間では単に「天然」とも言う。

概要

言動が常識から少々ずれており、しかも自分が何をしているのかはよく理解しているものの、それが周囲の一般的観点から少しばかりずれていることに気がついていない人に対して用いられる。単に知識や経験の不足であったり、育った環境により間違った知識を植え込まれたことが原因で起こりうる。

その言動によって周囲が困惑しても、悪意が無いのと実質的な被害がほとんど発生しないのとで、基本的には否定的な意味ではなく、むしろ「幼さ」を連想させる「かわいらしさ」や笑いの要素と捉えられる。その無邪気(あるいは素直)な行動が周囲を和ませる点で、しばしば癒し系と同様に語られることもある。

しかし、一方では馬鹿という言葉の代わりに使われたり(はっきりとバカと言ってしまうと、角が立つので)、厳密には天然ボケではないものの、ちょっとしたミス、またただ単に雰囲気や言動がおっとりしているというだけで、天然と言ったり、何でもかんでも少しでも周りとは異なるところがあるだけで、簡単に天然と言ってしまうような傾向も見受けられ、天然ボケの定義があいまいなまま、言葉だけが独り歩きしているようでもある。

実在の人物では、ロックミュージシャンのチバユウスケがこの性格類型に該当し、その天然ボケに由来する数々の逸話で知られる。英語でeccentric(エキセントリック)と称される人物類型がこれに近いが、これは常軌を逸した変人を示す言葉であり、軽い意味で使われる天然ボケとはいささか意味が異なる。

類義語・対義語

知識や行動が常識から大きく逸脱し、周囲がその行動様式をとうてい理解不可能な場合は不思議ちゃんと呼ばれ区別される。例えばある問いかけに対して、通常予想される返答とは異なるものの、その返答に至るまでの経緯や勘違いの具合を周囲が察することができたり理解できる場合は「天然ボケ」と受け取られるが、通常予想される返答とは異なり、さらに周囲の理解の範疇を超える場合は「不思議ちゃん」と受け取られる。

注意力の散漫(たとえば料理や皿の運搬に頻繁にへまをする)や技能の不足などが主な要因の場合は「ドジっ娘」と呼ばれる。また年齢層を問わずに使用される類義語として、その壊れた言動の様子から「ポンコツ」とも言われる場合がある。

本人がその行動の効果を承知した上で、予めある意図を持ってわざと天然ボケのように装うことを指して、「計算」や「狙う」という表現が使用される。またそのような行為を行う人のことを「ニセ天然」「エセ天然」「養殖」「ぶりっ子」「カマトト」と呼ぶこともあるようである。

これらは否定的な意味で用いられることが多い。

精神医学における天然ボケ

専門家の間では、天然ボケと言われる人は少なからず発達障害、主に注意欠陥・多動性障害 (ADHD) を中心とする高機能広汎性発達障害を持っていると考えられている[1]。100人に1 - 6人の割合で発症するものとされる統計や、学習障害 (LD) を含めると全人口の6 - 12%にものぼる人数が15歳未満までに発症していることが確認されているという統計も存在している(仮に日本全人口を1億2千万人と仮定してあてはめた場合、うち720万人 - 1440万人がADHDまたはLD、もしくはその両方であるということになる)[2]

サブカルチャーにおける天然ボケ

サブカルチャーにおいては萌え要素の一つと見られ、男性の視点による女性の魅力とみなされる傾向が強いが、男女を問わず、かなり広い年齢範囲で適用が可能である。

創作作品の中では、コミックリリーフと位置付けられることもある。

脚注

  1. ^ 『おっちょこちょいにつけるクスリ』ぶどう社
  2. ^ 『発達障害に気づかない大人たち』祥伝社新書、星野仁彦著