ラブカ
ラブカ | |||||||||||||||||||||||||||
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![]() ラブカ Chlamydoselachus anguineus
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保全状況評価 | |||||||||||||||||||||||||||
NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Chlamydoselachus anguineus Garman, 1884 | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Frilled shark | |||||||||||||||||||||||||||
![]() ラブカの生息域
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![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/72/Chlamydoselachus_anguineus_mouth.jpg/250px-Chlamydoselachus_anguineus_mouth.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/93/Chlamydoselachus_anguineus_toothrow.png)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/60/Chlamydoselachus_anguineus_NOOA.jpg/250px-Chlamydoselachus_anguineus_NOOA.jpg)
ラブカ(羅鱶、Chlamydoselachus anguineus、英: Frilled shark)は、カグラザメ目ラブカ科に属するサメ。ラブカ科の現生種は2種のみ。
分布・生息地
分布域は広く、ほぼ全世界の海域から知られている。日本では相模湾や駿河湾で比較的多く見られる。水深1,500mまでの深海に生息し、普通は水深500〜1,000 mの間に多い。ごく稀に海表面近くに現れることもあるが、基本的には大陸斜面に沿って海底付近で生活する。
形態
全長 200 cm[1]。体型は細長い円筒型。体色は黒褐色か灰色である。背鰭は1基のみで、体後方に存在する。尾鰭は上葉が長く伸び、下葉は発達しない。鰓裂は6対あり、鰓隔膜は大きくヒダ状になる。口は体の正面に開く。内側に向いた歯は、三尖頭をもち先は鋭くとがる。外見からウナギザメ(鰻鮫)と呼ばれることもある。
絶滅したクラドセラケと形態的に類似し、原始的なサメの特徴をよく残している事から生きている化石と呼ばれる。一方、最近の研究では、頭の骨格構造にツノザメ類に近い部分もあるとされ、この説に疑問を呈する声もある[2]が、それならクラドセラケと同様の歯形状と、鰓穴の数が6つあるという説明と解明まではされていない。
生態
数が少なく、さらに、比較的海の深い所に生息する種であるため、観察が難しく、詳しい生態はほとんど分かっていない。
普段動きは緩慢で、ウナギのように体を波打たせて遊泳する。遊泳速度は速くない。自分よりも小柄なサメや硬骨魚類、頭足類などを補食する。歯はあまり大きくないとはいえ鋭い。他のサメに比べて、歯自体の硬度はそれほど強くはないが、顎の筋肉は発達している。
胎生。ただし胎盤は形成せず、卵は子宮内で孵化する。一度に6〜12尾の幼魚を産む。産まれてくる子どもの大きさは、全長40〜60cmである。成熟サイズは雄で全長97〜117cm、雌で全長135〜150cm。約2年という非常に長い妊娠期間をもつ[3]。
近縁種
近縁種にアフリカ産のC. africana (Ebert & Compagno, 2009) が知られている。ラブカ科はC. anguineusおよびC. africanaの2種で構成される。
人との関わり
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/56/Chlamydoselachus_anguineus%28specimen%29.jpg/200px-Chlamydoselachus_anguineus%28specimen%29.jpg)
稀に底曵き網や底延縄で混獲されるが、漁業の対象にはならない。駿河湾ではサクラエビ漁の網にかかる事がある。
1884年、相模湾で捕獲された個体の標本を以て、アメリカの動物学者Samuel W. Garman により初記載された。以前から地元の漁網にかかることがあったが、その容貌から縁起が悪いとそのまま船上で捨てられているらしいと、静岡県清水市(現・静岡市清水区)三保にできた東海大学海洋学部の研究者たちが聞きつけ、捕まえたものを捨てずに持ち帰ってもらうように依頼をすることで標本が集まるようになったという。
人に危害を加えることはない。ただし漁網にかかったものを引き揚げる際に咬まれることもある。
捕獲例・展示
生体の展示は非常に稀で、あったとしてもごく短期間である。固定標本の展示は各所の水族館や博物館で行われている。
神戸市立須磨海浜水族園では、1978年に千葉県犬吠埼沖の水深780mで捕獲された個体の標本展示を行っている。
1997年3月11日 静岡県熱海市沖の相模灘の、水深70〜80mに仕掛けたヒラメ刺網に混獲。全長1806.0mmの雌の個体で、神奈川県立生命の星・地球博物館に保管されている。
2007年1月21日 静岡県沼津市の水族館あわしまマリンパークが全長1.6mの雌の個体を奥駿河湾の内浦湾で捕獲、生きている姿を撮影した。衰弱が激しく、捕獲後数時間で死亡した[4]。
2008年4月2日、神奈川県横須賀市長井漁港沖でヒラメ刺し網漁により全長1.5mの雌の個体が混獲され、翌三日、藤沢市片瀬海岸の新江ノ島水族館で生体展示された。衰弱が予想され一日のみの公開となった[5][6]。
2010年11月17日、長崎県野母崎沖の水深600 mで長崎大学水産学部の練習船「長崎丸」がビームトロールによって捕獲した。2011年9月より学部棟内に個体標本が展示されている。
脚注
- ^ FishBase_Chlamydoselachus anguineus
- ^ 『深海生物ファイル』 北村雄一著 ネコパブリッシング ISBN:9784777051250
- ^ 深海ABYSS 著者クレール・ヌヴィアン 訳者伊部 百合子 2008年 晋遊舎 ISBN:978-4-88380-850-2
- ^ ロイター通信 「あわしまマリンパーク、珍しい深海ザメの撮影に成功」
- ^ “ラブカ:生きた化石、相模湾で捕獲 100年間に6例報告 /神奈川” ( エラー: 月日を month や day に分けずに date にまとめて記入してください。). 4月5日閲覧。accessdateの記入に不備があります。
- ^ “深海にすみ、生きた化石と呼ばれるサメの一種「ラブカ」の生体を収容” ( エラー: 月日を month や day に分けずに date にまとめて記入してください。). 4月3日閲覧。accessdateの記入に不備があります。