ワッセナー・アレンジメント
ワッセナー・アレンジメント(Wassenaar Arrangement 正式名称『通常兵器及び関連汎用品・技術の輸出管理に関するワッセナー・アレンジメント(The Wassenaar Arrangement on Export Controls for Conventional Arms and Dual-Use Goods and Technologies)』)とは、通常兵器の輸出管理に関する国際的な申し合わせのひとつ。ワッセナーとはオランダ・ハーグ近郊のワッセナーで設立交渉が行われたことに由来する。通称「新COCOM」。
概要
対共産圏への戦略物資輸出規制を目的にした対共産圏輸出統制委員会(COCOM)の終了に伴い、二年半の経過措置を経て1996年7月に設立された。通常兵器及び関連汎用品・技術の責任ある輸出管理を実施することにより、地域の安定を損なうおそれのある通常兵器の過度の移転と蓄積を防止すること、ならびにテロリストに通常兵器や関連技術が渡る事を防ぐのが目的。したがってココムがその対象を共産圏に絞っていたのに対し、ワッセナー・アレンジメントでは特定の対象国・地域に的を絞ることなく全ての国家・地域及びテロリスト等の非国家主体も対象としている。
なお、ワッセナー・アレンジメントは条約ではないため、法的拘束力を有さない。ただし、非公式にワッセナー条約などと呼ばれることも時々ある。
活動内容
- 輸出管理
輸出管理対象品目リストが定められている。その内訳は、「汎用品リスト」及び「軍需品リスト」に分かれ、「汎用品リスト」はさらに先端材料やエレクトロニクス等9カテゴリに分かれる「基本リスト」とより機微なものとされた「機微リスト」に分かれる。
- 情報交換
参加国
現在41か国[1]。
アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、クロアチア(2005年6月)、チェコ、デンマーク、エストニア(2005年5月)、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、日本、韓国、ラトビア(2005年5月)、リトアニア(2005年5月)、ルクセンブルク、マルタ(2005年4月)、メキシコ(2012年1月)、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、スロバキア、スロベニア(2005年2月)、南アフリカ(2006年2月)、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、ウクライナ、イギリス、アメリカ
日本の対応
日本政府はワッセナー・アレンジメントに基づき、外国為替及び外国貿易法によって輸出管理を行っている。輸出管理対象品目リストに基づき作成された輸出貿易管理令別表第1に掲載された貨物は、経済産業大臣の許可を得ることなく輸出することが禁止されている。
脚注
- ^ 外務省ウェブサイト 通常兵器及び関連汎用品・技術の輸出管理に関するワッセナー・アレンジメント、2012年3月10日閲覧。
関連項目
- 米国武器輸出管理法
- 国際武器取引規則 (ITAR)
- 対共産圏輸出統制委員会 COCOM(ココム)