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シラヌヒ

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不知火(しらぬひ)
不知火(しらぬひ)の果樹
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: ムクロジ目 Sapindales
: ミカン科 Rutaceae
亜科 : ミカン亜科 Aurantioideae
: ミカン属 Citrus
学名
(Citrus unshiu × C. sinensis) × C. reticulata
和名
不知火(しらぬひ、品種)
デコポン(登録商標)
英名
Dekopon

不知火(しらぬひ)は、日本交配された柑橘類の果樹であり、果実果物として食用にする[1]

2009年時点 農林水産統計による県別生産順位は熊本県愛媛県広島県佐賀県和歌山県鹿児島県長崎県宮崎県静岡県大分県の順になり、上位5県で全国の生産量の8割を占める[2]

果樹の栽培歴史

1972年、長崎県南高来郡口之津町(現・南島原市)にある農林水産省果樹試験場口之津支場(現・独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所カンキツ研究口之津拠点 担当:奥代直巳、高原利雄、松本亮司、山本雅史、内原茂、七條寅之助、石内傳治、生山厳)で、清見(きよみ)タンゴールと中野3号ポンカンを交配して誕生した。 果形は果梗部にデコが現われやすく不揃いになりやすく、果皮は見た目が粗く成熟するとややくすんでしなびるなど、外見上の弱点が目立ち育成試験場では選抜対象とはならず品種登録はされなかった。

農林水産省による地域系統適応性検定による正規の選抜過程を経ずに、新種苗法の制定で厳しく管理される以前に何者かにより、何らかの経路で育成場所から直接産地へ品種が流失[3]、熊本県宇土郡不知火町(現・宇城市不知火町)に伝わり、品種名を「不知火」として栽培の取り組みが始まった。古くから甘夏の産地として知られていた不知火町および周辺地域では1975年頃から甘夏に代わる柑橘を模索していたという事情も重なって、不知火海(八代海)沿岸の宇土半島天草諸島葦北地方などを中心に広がり、その後、愛媛県や広島県、佐賀県、和歌山県、静岡県等の全国へと普及していった。平成22年時点 愛媛県では、八幡浜市伊方町松山市での生産が盛んである[4]。全国で一番生産量が少ない県は奈良県で2t程度である[2]

デコポンの名称

流通果実としての「デコポン」は熊本県果実農業協同組合連合会が所有する登録商標であり、不知火のうち、全国のカンキツ関係農協県連合会を通じて出荷されたもののうち、高品質を保つ一定の基準(糖度13度以上、酸度1度以下)をクリアしたものだけがその名を使用することができる[5]。よって生産者個人での販売やカンキツ関係農協県連合会を経由しない販売についてはデコポンの名称は使用できない[6]。全国統一糖酸品質基準を持つ日本で唯一の果物の登録商標である。

1991年より不知火の中で糖度13度以上のものを選択して「デコポン」の名称で商品化・出荷が開始された。歪な外見上の特徴を逆にセールスポイントにしようとして命名されている。1993年7月には熊本県果実農業協同組合連合会(熊本果実連)が出願していた「デコポン」「DEKOPON」の登録商標が認可された(種苗登録はされていない)。熊本果実連は初出荷日の3月1日を「デコポンの日」として制定し、日本記念日協会に登録された[7]

果実

は、およそ初冬から翌春にかけて。

熊本県では主に宇城、芦北、天草地域の沿岸部で、温暖な気候を利用して栽培されている。加温ハウス栽培されたものが、12月 - 翌1月、雨除け栽培ものが2月 - 3月露地栽培されたものが3月中旬 - 4月一杯まで出荷される。その後も、低温貯蔵されたものが6月上旬まで出荷される。

実の外見上の凸が特徴であるが、凸のあるなしは味や品質に関係ない[8]。果皮は厚いが剥き易く、じょうのう膜も薄く袋のまま食べられ種もほとんど無い。日持ちも良く、糖度が高く、食味にも優れる事から市場や消費者の支持を得て、価格が低迷していた甘夏ハッサク等に代わる有望な中晩生柑橘として、平成以降急速に栽培面積が増加した。収穫したての露地物で酸味の強いものは、貯蔵させて酸味を取ることがある。

ケーキ菓子や、加工してジュースジャム果実酒としても利用される。

整枝・剪定

早川式坊主枝剪定

小田原市浦井貫之が考案したシラヌヒはるみで行われる剪定方法。整枝は開心自然形を基本とするが、主枝を途中で切り返し20~30cmを坊主枝にすることにより、結果枝を除去し、発育枝を発生させ樹勢の低下を防ぐのと同時に亜主枝上の二年枝を予備枝に設定し樹勢維持を図る剪定方法。神奈川県で普及をしている[9]

果実ギャラリー

育種親として

交雑実生
珠心胚実生

脚注

  1. ^ 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (n.d.). “育成品種紹介”. 2012年10月25日閲覧。
  2. ^ a b 果物ナビ (n.d.). “不知火 収穫量”. 2012年10月27日閲覧。
  3. ^ うるおいのある食生活推進協議会 (n.d.). “デコポン 果物辞典”. 2012年10月27日閲覧。
  4. ^ 愛媛県農林水産部 (n.d.). “愛媛かんきつ 情報缶”. 2012年10月28日閲覧。
  5. ^ 日本園芸農業協同組合連合会 (n.d.). “デコポン”. 2006-不明閲覧。
  6. ^ 熊本県果実農業協同組合連合会 デコポンの商標登録について (PDF)
  7. ^ 熊本県果実農業協同組合連合会 デコポンの日制定 (PDF)
  8. ^ 全農月刊誌 Apron 2009年1月号 pp. 2 - 5
  9. ^ 日本農業新聞16面 2010年2月5日

参考文献