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ペルシア文字

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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ペルシア文字
ナスタアリーク体による「ペルシア語」
類型: アブジャド
言語: 現代ペルシア語
時期: 7世紀頃-現在[要検証]
親の文字体系:
アラビア文字
  • ペルシア文字
姉妹の文字体系: マニ文字
Unicode範囲: アラビア文字ブロックに含まれる。
注意: このページはUnicodeで書かれた国際音声記号 (IPA) を含む場合があります。
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メロエ 前3世紀
カナダ先住民 1840年
注音 1913年

ペルシア文字(ペルシアもじ)あるいはペルシャ文字(ペルシャもじ)(ペルシア語: الفبای فارسی)とは、アラビア語から 取り入れた28文字と、ペルシア語にあってアラビア語にない音を表すために作られた4文字とを合わせた32文字のこと。

概要

ペルシア語はイランペルシャ)、アフガニスタンタジキスタンなどに話される。インド・ヨーロッパ語族に属するペルシャ語はヨーロッパ諸語やヒンディー語などと近い親戚にあたる。7世紀にアラブに征服されてから、次第にアラビア語の文字であるアラビア文字を用いてペルシア語が表記されるようになった。特に、9世紀サーマーン朝下において、それは発達した。そうしてできた文字体系が、俗に言うペルシア文字である。

ペルシア語の音韻体系に合わせ、いくつか字母が追加され、またアラビア語と発音が若干異なる文字もある。また、ペルシア文字の基本書体は、ナスタアリーク体であり、この点もアラビア語とは異なる(「イスラームの書法」を参照)。

歴史上のペルシア語表記

ちなみに、このペルシア文字(アラビア系文字)以前のペルシア語の文字体系としては、

などがあった。これら3種の文字体系は、それぞれ異なる系統に属する。

字母

ペルシア文字は32文字からなる(ハムザは除く)。文字の順序はだいたいアラビア文字と同じだが、و (w)と ه (h) の順序が逆になっている。

ペルシア語にあってアラビア語にない音を表すため、以下の4つの文字が追加されている。それぞれ b dʒ z k を表す字を変形させたもので、本来の字の次に配置される。

文字 پ چ ژ گ
音価 p ʒ ɡ

アラビア語にある文字の読みはだいたいアラビア文字と同じ音で発音するが、و は w ではなく v の音を表す。また、アラビア語にあってペルシア語にない音を表す以下の字は、別な音に変えられている。このため、s の音を表す字が3種類、z が4種類ある。

文字 ث ح ذ ص ض ط ظ ع ق
アラビア語の読み θ ħ ð ʕ q
ペルシア語の読み s h z s z t z - ɣ

文字の名称はアラビア語名とほぼ同じだが、ā で終わる文字名は、それを ē に変える。二重母音の ai は ei になる。問題は هح の文字名称がどちらも になってしまい、区別がつかないことだが、前者を hē havvaz、後者を hē hottī と呼んで区別する(havvaz / hottī の名はいずれもアブジャド順に文字を唱えるときの唱え方に由来する)。

アラビア文字の「ك」(k)と「ي」(y)の字形は、それぞれ「ک」と「ی」になっている。

母音の表記

語頭の短い母音(a e o)は、ا で表す。語頭の長母音は آ(ā) ای(ī, まれに ei) او(ū) と表す。

語頭以外では短い母音は表記されず、長い母音は ا(ā) ی(ī, ei) و(ū, ou) と表記する。

語末の ه は発音されず、その語が e で終わっていることを表すことがある。

黙字

و は発音されないことがある(通常 خو の形のとき)。これは歴史的な綴りが残存しているものである。

数字

以下のように数字の4, 5, 6はアラビア語とは異なる字体を用いるのが一般的である。

西洋数字 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
アラビア語 ٠ ١ ٢ ٣ ٤ ٥ ٦ ٧ ٨ ٩
ペルシア語 ۰ ۱ ۲ ۳ ۴ ۵ ۶ ۷ ۸ ۹

コンピュータ

キーボード

Windowsのペルシャ語キーボード。

関連項目