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ゲパルト型フリゲート

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ゲパルト型フリゲート


Татарстан:2012Астрахани撮影

艦級概観
艦種 警備艦コルベット/フリゲート
所属  ロシア海軍カスピ小艦隊
 ベトナム人民海軍
前級 グリシャ型コルベット
(1124型小型対潜艦)
パルヒム型コルベット
(133.1型小型対潜艦)
コニ型フリゲート
(1159型警備艦)
次級 ステレグシュチイ級コルベット
(20380型警備艦)
就役期間 2002年 - 現在
完成 4隻
建造中 1隻
要目
排水量 基準:1,500 t
満載:1,930t
全長 102.14m
全幅 13.09m
吃水 5.3m
機関 CODOG方式 2軸推進
DS-71ガスタービン×2基 (29300hp)
D-61ディーゼルエンジン×1基 (8000hp)
速力 最大: 28 kt
航続距離 4000nmi / 10kt
乗員 98 - 110名
兵装 AK-176 76.2mm単装速射砲 1基
AK-630 30mmCIWS 2基
4K33 オサーM (SA-N-4) 短SAM 連装発射機
(9K33ミサイル20発)
1基
3M24 (SS-N-25) SSM 4連装発射筒 2基
RBU-6000 12連装対潜迫撃砲 1基
533mm連装魚雷発射管 2基
機雷12~20個
艦載機 Ka-27/31哨戒ヘリコプター 1機
C4I シグマ-E戦闘情報システム
レーダー クロス・ドーム 対空捜索 1基
パーム・フロンド 対水上 1基
МР-123(バス・テイルト) 砲射撃指揮 1基
バンド・スタンドSSM射撃指揮 1基
2Р33(ポップ・グループ)短SAM射撃指揮 1基
ソナー MGK-335EV-03 船底装備式
可変深度・曳航式
電子戦
対抗手段
ベル・シュラウド ESM装置 2基
ベル・スクオート ECM装置 2基
Pk-16 16連装チャフフレア発射機 4基

ゲパルト型フリゲート(-かたふりげーと Gepard class Frigate)は、ソヴィエト/ロシア海軍警備艦。西側諸国ではフリゲートと分類されることが多いが、文献によってはコルベットとも称される。ソ連海軍の計画名は11661号計画型[1]警備艦(ゲパルト[2]СКР проекта 11661 "Гепард")である。

概要

ゲパルト型フリゲートは、リガ型フリゲートの更新を考慮した輸出型沿岸小型対潜艦として開発が始まった。直接的にはコニ型フリゲートグリシャ型コルベットあるいはパルヒム型コルベットの後継艦として、またその設計はグリシャ型の拡大発展型として建造が始まったが、ソ連崩壊の混乱による資金不足で停滞した。2002と2012年に2隻が竣工し、ベトナム海軍にも2隻が輸出された。 だが既により新しい技術 (ステルス性デザインとミサイル垂直発射システム) を使用し一隻60億円程度の価格といわれるステレグシュチイ級が量産に入っており、ベトナム海軍は此方にも購入意欲を見せたと言われるので今後も同型艦が増加する可能性は低い。

ネームシップは最初Ястреб (鷹) と命名予定だったのが、恐らく資金不足から建造された造船所の連邦内共和国の名前を取って最終的にТатарстан(Tartarstan)と命名された。

実際にГепардの名前が付けられたソ連/ロシア海軍艦艇には、以下の艦艇がある。

  1. リガ型フリゲートの25番艦ゲパルト (1,400t) 1952年竣工
  2. プロジェクト971型(アクラII型)原子力潜水艦のK-335ゲパルト(水中7,900-9,500t)2001年竣工。

2番艦はАльбатрос (アホウドリ)、改名後はДагестан (ダゲスタン共和国: カスピ海の配置先所属国)、3番艦はБуревестник (ブレヴェスニク、ウミツバメ亜科) と、当初の艦名は鳥関係が多かった。

艦容としては、コニ型において76.2mm連装砲1基が配置されていた前甲板にRBU-6000対潜迫撃砲、その後方、上部構造物の前端一段上がった所にAK-176 76.2mm単装速射砲、三段式に主砲の上部に視界が来るようAK-630 30mmCIWS、船体一杯に拡張された船首楼型艦橋、艦橋上にマストとドラムチルト、レーダーレドーム2基、後方に煙突が続き、船体上左右両側に3M24艦対艦ミサイルが装備されている。

文鎮状の上部構造物が船尾1/5まで続き、煙突から少し後部の一段高い所にもう1基のAK-630 30mmCIWSが装備され、1段下がった構造物後端に4K33 オサーM (SA-N-4) 個艦防空ミサイルが装備され、艦尾に可変深度ソナーが装備されている。

上部構造物はアルミニウムマグネシウム合金が使用され、軽量化と海水の腐食への耐抗が図られている。またフィンスタビライザーエア・コンディショナー・システムの完備で居住性の向上が図られた。

実戦

2015年10月、シリア内戦でアサド政権側を支援するため、「ダゲスタン」率いる艦隊がカスピ海から巡航ミサイルを発射して反政権側の拠点を攻撃した[3]


派生型

海外諸国向けの装備の違いで大きく5タイプに分類される。 Gepard-3.2, Gepard-3.9(ベトナム向け), Gepard-5.1, Gepard-5.3, etcの分類もある

-1 型
艦尾にヘリコプター用の飛行甲板を新設、ただしハンガーは無し。代償として可変深度ソナーを撤去。
-2 型
艦尾にヘリコプター用飛行甲板ハンガーを新設。代償として可変深度ソナー4K33 オサーM個艦防空ミサイルを撤去。
-3 型
喫水を13.8mに広げた事により満載排水量は2100トンに増加。前部のAK-630 30mmCIWSを複合式のコールチクCIWSに換装。
艦尾にヘリコプター用飛行甲板ハンガーを新設。代償として可変深度ソナー4K33 オサーM個艦防空ミサイルを撤去。
-4 型
非武装バージョン、調査・救助パトロール船。
-5 型
艦尾にヘリコプター用の飛行甲板を新設、ただしハンガーは無し。ガスタービン2基を8000馬力ディーゼルに換装し、航続距離が10ノット時で6,000海里 (11,000 km)に増加、代りに最高速度は23ノットに減少。

同型艦一覧

ゲパルト型フリゲート側面図
11661型「タタールスタン」側面図
クロンシュタットで建造中の「ディン・ティエン・ホアン」(2010年9月30日)
艦型 建造番号 艦名 起工 竣工 備考
11660号計画型 [1-й корпус] 1988年 同年末に建造中止
11661号計画型 СКР-200 タタールスタン
Татарстан
1992年9月 2002年7月 「ヤーストレプ」(Ястреб)から改名、
カスピ小艦隊旗艦。
11661号計画型 СКР-201 ダゲスタン
Дагестан
1993年5月 2012年11月28日[4] 「アルバトロス」(Альбатрос)から改名。
11661号計画型 СКР-202 ブレヴェスニク
Буревестник
3.9型 954
HQ-011
ディン・ティエン・ホアン
Đinh Tiên Hoàng
2007年7月10日 2009年12月12日 ベトナム向けに建造、2011年3月に引き渡し
3.9型 955
HQ-381
リー・タイ・ト
Lý Thái Tổ
2007年11月27日 2010年3月16日 ベトナム向けに建造、2011年8月に引き渡し

  1. ^ 11660号計画型(本型の原型、ver.0)は1988年に起工されたが建造中止になった。
  2. ^ 小型対潜艦(Малые противолодочные корабли 11661 "Гепард")とも。
  3. ^ “Russian Defence Ministry published a video on the Youtube-channel featuring a massive precision weapon strike at ISIS infrastructural facilities on the territory of Syria”. ロシア国防省公式サイト. http://eng.mil.ru/en/news_page/country/more.htm?id=12059977@egNews 
  4. ^ http://rusnavy.com/news/newsofday/index.php?ELEMENT_ID=16565

参考文献

  • 「今日のロシア海軍」『世界の艦船』第548集、海人社、1999年2月。 

関連項目

外部リンク

  • [1]ロシア語のページ、同型艦名は此処から、全体図
  • [2]ロシア語のページ、各国の駆逐艦と分類
  • [3]ロシア語のページ、大き目の全体図
  • [4]英語のページ、各艦のリスト有り
  • [5] 英語のページ、性能表
  • [6] 英語のページ、ベトナム海軍写真集、Project 11660 KBO-200 Gepardとして完成想像図
  • [7] 英語のページ、完全同型艦名リスト