アメリカ軍
アメリカ軍 United States Armed Forces | |
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![]() 五軍のカラーガード | |
創設 | 1775年 |
派生組織 | |
指揮官 | |
最高司令官 | 第44代大統領 バラク・オバマ |
国防大臣 | 第25代国防長官 アシュトン・カーター |
参謀長 | 第19代統合参謀本部議長 ジョセフ・ダンフォード海兵隊大将 |
総人員 | |
徴兵制度 | |
財政 | |
予算 | 7,136億ドル[3] |
軍費/GDP | 4.6%(2012年)[3] |
産業 | |
国内供給者 | |
関連項目 | |
歴史 | |
アメリカ軍の階級 |
アメリカ軍(アメリカぐん、英語: United States Armed Forces)は、アメリカ合衆国が有する軍隊。アメリカ合衆国軍(アメリカがっしゅうこくぐん)、合衆国軍(がっしゅうこくぐん)とも呼ばれ、日本では米軍(べいぐん)と略される。
概要
アメリカ軍とはアメリカ合衆国が保有する軍隊の総称である。軍種では、陸海空軍及びアメリカ海兵隊の常備軍ほか、平時は海上警備を主とした法執行機関でもあるアメリカ沿岸警備隊を含めた5軍からなる[4]。陸空軍については、普段から連邦政府の指揮下にある連邦軍と、州知事の指揮下にあり必要に応じて、連邦軍に編入される州兵がある。
戦力については、核戦力、通常戦力双方において他国と隔絶しており、実戦経験が豊富なことから、世界最強の軍隊と評されている。
歴史
1775年2月6日、アメリカ独立戦争に際し「大陸軍」として発足。これはアメリカ陸軍の前身でもある。
2011年9月20日、同性愛者であることを公言して軍務に就くことを禁じた軍務規定が撤廃された[5]。
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機構
アメリカ軍は文民統制の下に、アメリカ合衆国大統領が最高司令官であり[6]、同じく文民かつ大統領顧問団の閣僚である国防長官が大統領を補佐し、国防総省を統括する。部隊の作戦指揮は、大統領から国防長官を通じ、地域別及び機能別の各統合軍司令官に直接伝達される[7]。統合参謀本部(JCS)は、作戦指揮命令系統に入っておらず、軍事的な助言や作戦計画の立案や兵站要求など参謀としての業務に携わっている。なお、陸海軍及び民兵団の編成権、軍律制定権、戦争宣言の権限は、合衆国議会が有している[8]。
五軍
アメリカ軍(United States armed forces)は、次の5つの軍種からなる[4]。そのうち国土安全保障省に属する沿岸警備隊を除く四軍は国防総省の管轄下に属し、アメリカ合衆国大統領の指揮統制下にある。
各軍は、部隊の編成・維持・訓練が中心となっており、各統合軍に部隊を拠出するまでの責任を負っている。陸軍は陸軍省[9]、海軍・海兵隊は海軍省[10]、空軍は空軍省[11]が軍政をつかさどる。ただし、指揮系統において、海軍と海兵隊の間に上下関係はない。有事においては、沿岸警備隊も海軍省の管轄となり、海軍に準じた扱いがなされる[12]。なお、四軍の部隊の作戦指揮は統合軍が管轄する。
- 合衆国陸軍(United States Army)
- 合衆国海軍(United States Navy)
- 合衆国空軍(United States Air Force)
- 合衆国海兵隊(United States Marine Corps)
- 合衆国沿岸警備隊(United States Coast Guard)
七武官組織
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連邦政府は、上記の五軍に加え、武官(士官のみ)から構成される以下の2つの組織を併せ、7つの武官組織を有する[4]。これらには、将官・佐官・尉官の階級が定められている
- 合衆国公衆衛生局士官部隊(United States Public Health Service Commissioned Corps) - 保健福祉省公衆衛生局
- 合衆国海洋大気局士官部隊(National Oceanic and Atmospheric Administration Commissioned Corps) - 商務省海洋大気局
この2つの組織は、共に五軍と同様の階級(「中将 = Vice Admiral」など)および制服(冬服 = 黒色 / 夏服 = 白色)が定められ、五軍と同様、ジュネーヴ条約による(傷病者・捕虜としての)保護の対象となる。
統合軍
![統合軍の地域管轄地図](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e6/Unified_Combatant_Commands_map.png/300px-Unified_Combatant_Commands_map.png)
2007年10月時において、アメリカ沿岸警備隊・合衆国公衆衛生局士官部隊・合衆国海洋大気局士官部隊を除く、陸海空軍及び海兵隊は6個の地域別、3個の機能別、計9個の統合軍 (Unified Combatant Commands, UCC, 旧略称COCOM)に編制されている。それぞれの統合軍に属する陸海空軍及び海兵隊部隊を1人の統合軍司令官が運用するという編制は統合作戦の円滑な遂行と軍事学的な指揮統一の原則を同時に達成するためである。
- 管轄地域別
- アメリカ北方軍(USNORTHCOM)- 北米担当
- アメリカ中央軍(USCENTCOM)- 中東担当
- アメリカアフリカ軍(USAFRICOM)- アフリカ担当
- アメリカ欧州軍(USEUCOM)- 欧州担当
- アメリカ太平洋軍(USPACOM)- アジア・太平洋地域担当
- アメリカ南方軍(USSOUTHCOM)- 中南米担当
- 機能別
駐留国
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/50/US_military_bases_in_the_world_2007.svg/350px-US_military_bases_in_the_world_2007.svg.png)
アメリカは米ソ冷戦における安全保障政策を受けて、多くの国家に現在も軍部隊を駐留させている。防衛条約並びに協定によってアメリカ軍が常時駐留している国家は以下の通り。〔〕内数値は駐留兵力[13]を示す。
基地によってはその存在が航空機の騒音や、一部兵士による犯罪の温床となっているため、周辺住民との間でトラブルが起きるケースもある。反面、基地の兵士が地元商店街の客層となり、また地元住民が基地の従業員として雇用されるなど、経済的に重要な存在になっている場合も多く、撤収の是非はどこの国でも賛否両論である場合が多い。
なお、政治的・戦略的な理由ではなく、自然災害がきっかけとなり閉鎖となった基地も存在する。
- 北大西洋条約機構(NATO)加盟国
イギリス〔10,620人〕(海外領土含む):相互防衛援助協定、通信傍受協定(エシュロン)、軍事情報包括保全協定(GSOMIA)、サイバー攻撃対処に関する覚書(MOU)
- 英国と米国は第二次世界大戦以来、政治軍事両面で強いつながりを持っており、冷戦期の米国の外交には英国の意向が強く反映されていた。このような特殊な関係から、特に英米同盟(UKUSA、米英同盟)と呼ばれる。
イタリア〔10,790人〕
オランダ
カナダ:相互防衛委員会設立協定、通信傍受協定、GSOMIA、MOU
- 防空任務について、北アメリカ航空宇宙防衛司令部を通じ、アメリカと共同で行っている。
スペイン〔2,160人〕
デンマーク
ドイツ〔68,400人〕:相互防衛援助条約。第二次大戦後の分割占領軍から駐留している。中東での作戦時には重要な輸送基地となっている。
トルコ〔3,860人〕
ノルウェー NATO軍北方司令部要員など
ベルギー〔1,290人〕NATO軍最高司令部要員及び空軍基地を維持。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b7/Gates_meets_Ishiba_8_November_2007.jpg/240px-Gates_meets_Ishiba_8_November_2007.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/73/US_sailors_japan_cleanup_2011.jpg/240px-US_sailors_japan_cleanup_2011.jpg)
- 平時作戦統制権は韓国軍に移譲されており、戦時作戦統制権も移譲予定。米軍再編の一環により、段階的に兵力が削減されることが決定している。このような特殊な関係から、特に米韓同盟と呼ばれる。
- 太平洋安全保障条約(ANZUS)
オーストラリア:相互防衛援助協定、通信傍受協定、GSOMIA、MOU。新基地建設などが決まっていて今後増員が予想される。
アメリカ軍が国防を担う各国
- その他
アフガニスタン〔7,500人〕(アフガン攻撃から継続。最盛期は約2万人。2006年にNATOに指揮権が移譲
カタール〔3,300人〕
キューバ〔2,039人〕(グァンタナモ米軍基地)
クウェート〔8,388人〕
サウジアラビア〔4,408人〕
ジブチ〔2,120人〕(ジブチ共和国には米軍のほかに800名ほど仏軍、独軍なども駐留)
バーレーン〔4,200人〕
- この他に
ナイジェリアや
インドネシア、
香港などに(主として米国製装備の)教官やパイロットとして、あるいは通信要員などとして少数(数十〜数百人)が派遣されている。
- 駐留していないが緊密な同盟関係にある国
イスラエル:相互防衛援助協定、GSOMIA
スウェーデン:MOU
ニュージーランド:通信傍受協定、MOU
- ANZUS同盟から脱退するも事実上継続中。
フランス:相互防衛援助条約、GSOMIA
- NATOの軍事機構からは一時脱退していたが、復帰した。
台湾(中華民国):台湾関係法
- 米華相互防衛条約終了後、後継法として制定され、これにより装備供与と軍事支援を行う。
戦歴
- アメリカ独立戦争(1775年〜1783年)
- 米英戦争(1812年〜1814年)
- 米墨戦争(1846年〜1848年)
- 南北戦争(1861年〜1865年)
- インディアン戦争(1876年〜1890年)
- 米西戦争(1898年)
- キューバ介入(1898年〜1902年)
- 米比戦争(1899年)
- ドミニカ共和国介入(1905年保護領化)
- キューバ内戦介入(1906年)
- ニカラグア革命介入(1912年〜1933年)
- メキシコ革命介入(1914年)
- ハイチ介入(1915年〜1934年保護国化)
- メキシコ軍事衝突(1916年、1917年)
- ドミニカ共和国介入(1916年〜1924年)
- 第一次世界大戦参戦(1917年〜1918年)
- サンディーノ戦争介入(1927年〜1933年)
- 第二次世界大戦参戦(1939年〜1945年、41年まで宣戦布告しないが義勇兵が参加)
- 冷戦(1946年〜1989年)
- 朝鮮戦争(1950年〜1953年、国連軍)
- グアテマラ革命介入(1954年)
- キューバ介入(1961年)
- キューバ危機(1962年)
- トンキン湾事件(1964年)
- ドミニカ共和国介入(1965年〜1966年)
- ベトナム戦争(1961年〜1973年)
- イラン米大使館人質事件(1980年)
- リビア空軍機撃墜(1981年)
- レバノン内戦介入(1982年〜1984年)
- グレナダ侵攻(1983年)
- リビア爆撃(1986年)
- イラン・イラク戦争介入(1987年〜1988年)
- リビア空軍戦闘機撃墜(1989年)
- パナマ侵攻(1989年)
- 湾岸戦争(1991年、国連多国籍軍)
- ソマリア内戦介入(1992年〜1994年、国連PKO)
- イラク攻撃(1993年)
- ハイチ介入(1994年)
- ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争介入(1995年、NATO軍)
- イラク攻撃(1996年)
- 台湾海峡危機(1996年)
- スーダン・アフガニスタン攻撃(1998年)
- イラク攻撃(1998年)
- ユーゴスラビア空爆(1999年、NATO軍)
- アフガニスタン攻撃(2001年)
- イラク戦争(2003年)
- イラク占領(2003年〜2004年)
- イラク駐留(2004年〜2011年、国連多国籍軍)
- ハイチ介入(2004年)
- ソマリア内戦介入(2007年)
- リビア内戦(2011年、NATO軍)
各軍記念日
1950年以降各軍独自の公式記念日は廃止され、5月の第3土曜日の軍隊記念日 (Armed Forces Day) に統合された。
- アメリカ陸軍(United States Army)
- アメリカ海軍(United States Navy)
- 海軍に理解のあったセオドア・ルーズベルトの誕生日を記念して、1922年に10月27日が制定された。現在は、民間団体により祝賀行事が行われている。
- アメリカ空軍(United States Air Force)
- アメリカ海兵隊(United States Marine Corps)
その他
- 最年少の兵士は18歳である。志願するには高等学校卒業程度の学力を有する事を要する(中退者でもよい。従来は卒業証明書の提出が必要だった)。
- 全てのアメリカ合衆国に『居住』する18〜26歳までの男性(米国籍や永住権者に限らず、違法移民や一時就労ビザなども含む。外交官ビザ、特殊ビザ、ビジタービザ、学生ビザなどは除外[14])は、「Selective Service System」と呼ばれる選抜徴兵制度に登録することが義務付けられている。18〜26歳までの男性永住権保持者がSelective Serviceに登録しなかった場合は在留期間の条件を満たしても市民権申請を拒否される場合がある。逆に永住権保持者が志願・入営すると、忠誠を誓ったと看做されて、最低居住期間条件が免除になり、居住期間に関わらず入隊時(申請時)に市民権申請が可能になる(受理されるだけで認められるか却下されるかは別問題)。既に入隊済みで1年以上経過した者も居住期間に関係なく市民権申請資格があるが、入隊後1年未満あるいは除隊後6ヶ月を経過した者は特例条件を満たさず、通常の5年ルールが適用される。
- 大学生ではあるが、同時に軍事訓練を積み軍人教育を受ける予備役将校訓練課程が存在する。卒業後数年間は軍役に就く事を誓約し、大学在学中も非常事態時には召集される可能性がある。在学中は学費全額支給に加え奨学金数百ドルを受け取り、卒業後は最低でも少尉で入隊出来る。米国の大学の学費は日本に比較すると異常に高額であり学費も学生自身が捻出している場合も多い。経済的な理由で進学を断念する者が多い為、軍費補助による学位取得制度への競争率は高い[15]。
- 2012年度の軍事費(歳出推定額)は、7,163 億ドルGDP比は4.6%、政府歳出比は18.8%[3]。
- 同性愛者ではない男性の兵士による下級の男性兵士へのレイプが最近明るみに出た。性交渉が目的ではなく、脅しや支配欲を満たす為に行われている。2009年に、110人以上の男性兵士が男性の同僚から性暴力を受けたと報告した(ニューズウィーク日本版2011 4/20号)。
- 上官の命令は絶対とする風土があるが、この「精神」を悪用する上官による性的暴行の被害にあった女性将兵が多数存在する。レイプなど性的暴行は、2011年だけで3192件が報告されているが、被害が届けられないケースが多いとされ、アメリカ国防総省では、実態は年間約1万9000件とみている[16]。
脚注
- ^ Persons 17 years of age, with parental permission, can join the U.S. armed services
- ^ http://siadapp.dmdc.osd.mil/personnel/MILITARY/ms0.pdf
- ^ a b c Whitehouse>OMB>Historical Tables>Fiscal year 2013
- ^ a b c 合衆国法典第10編第101条 10 U.S.C. § 101
- ^ “米軍の同性愛者入隊規制、撤廃される”. (2011年9月21日) 2013年1月24日閲覧。
- ^ アメリカ合衆国憲法第2章第32条
- ^ 合衆国法典第10編第162条 10 U.S.C. § 162
- ^ アメリカ合衆国憲法第1章第8条
- ^ 合衆国法典第10編第3013– 3014条 10 U.S.C. §§ 3013–3014
- ^ 合衆国法典第10編第5013– 5014条 10 U.S.C. §§ 5013–5014
- ^ 合衆国法典第10編第8013– 8014条 10 U.S.C. §§ 8013–8014
- ^ 合衆国法典第10編第5013a条 10 U.S.C. § 5013a合衆国法典第14編第3条 14 U.S.C. § 3
- ^ 『The Military Balance 2003』
- ^ 観光などの滞在は『居住』とはみなされない
- ^ 基本的に大卒は士官から高卒は兵からのスタートであるので、ROTC出身者が初任階級上で特に優遇されているわけではない。なお入隊前に学費補助で大学へ通うROTC制度の他に、軍役中に大学(日本で言う二部もしくは基地内にある大学分校)へ通える制度や退役後の大学資金積み立て制度などもある。
- ^ “【今、何が問題なのか】「上官の命令は絶対」で沈黙…日常的に性的暴行受ける米軍新兵女性”. 産経新聞. (2012年7月4日)
参考文献
関連項目
- アメリカ合衆国退役軍人省
- 州兵
- アメリカ合衆国の大量破壊兵器
- AFN
- 多国籍軍
- 有志連合
- ミニットマン
- 米軍に関する書籍一覧 (英語)
- 情報機関一覧
- 特殊部隊一覧
- 準軍事組織一覧
- 在日米軍
- 慰安婦#米軍
- 在韓米軍慰安婦問題
- アメリカ軍内部における性的暴行
- 都道府県別の全ての米軍施設規模と都道府県別の米軍施設
- ダイニング・イン
- アメリカの戦争と外交政策
- アメリカ軍の旗
- 軍服 (アメリカ合衆国)