塩崎氏

塩崎氏（しおざきし）の多くは、紀伊国潮岬を発祥とする津守系／桓武平氏系。信濃国塩崎氏は清和源氏系。その他として藤原系、楠系とその名を継続している。

出自

• 紀伊国塩崎氏 - 津守氏系、桓武平氏の末裔。我が国の塩崎氏の多くはこの家系。

• 信濃国塩崎氏 - 信濃国塩崎氏(塩﨑、塩嵜)は、15世紀末、信濃国更級郡塩崎村塩崎城(現在、長野県長野市篠ノ井塩崎)に拠る豪族で、清和源氏小笠原氏赤澤氏の末裔、桑原六郎次郎源貞光を初代とする。しかし、この貞光を赤沢氏の家老で郷士とする説もあり、真偽は定かでない。

更科郡は、古来、建御名方刀美命の御子武水別命跡を聖山と定め、山を巡る地を開拓し、後世、更科郡と名付けた。 武水別命は、更科郡開拓の祖神で四ノ宮と称した。 武水別命の子孫で、代々この神社に奉仕する神官家を四宮氏という。 その隆盛時には、郡司をも兼ねて神領私領を合わせ、二万五千石の地頭であったと言う。

塩崎村の古老口碑に五万長者(白助翁)があり、後に五人の子供に１万づつ分与したが、次第に家が衰退していった。四宮神官家は、口碑のように五家になり、正流は源平時代に嫡子が絶えて、埴科郡水上山に鎮座する出速雄神社の神官家関屋氏の子を養子とし、これを四宮太夫成宗といい鎌倉幕府に仕えた。

建武二(1335)年、成宗から数世を経て、北条時行党であった四宮氏を破った小笠原貞宗は、四宮神官家と武水別神の社里を滅ぼし、四宮庄の半分を同族赤沢経興に分与した。 四宮南北の庄は長く小笠原氏の領地になった。 赤沢氏は、郷士桑原氏に小坂城（現在、更埴市桑原）を築かせて、自らは塩崎城を要害とし四宮庄を支配した。

応永七(1400)年9月、大塔合戦で、信濃守護小笠原長秀が塩崎城に入城したものの、小笠原・赤沢軍の敗戦となり、塩崎城は村上満信の支配になった。

永享八(1436)年、小笠原政康は信濃守護となり、永享の乱に乗じて村上頼清を破り、塩崎城を回復、一族赤沢対馬守を配属した。この赤沢対馬守は、四宮(塩崎)と桑原を支配し、桑原対馬や藤原幸光とも呼ばれた。

諏訪御符礼之古書による頭役についての記録は、 康正二(1456)年、寛正三(1463)年、桑原の藤原幸光、 応仁二(1468)年、文明六(1474)年、桑原の藤原対馬守幸光、 文明一二(1480)年、四ノ宮は桑原六郎次郎源貞光、桑原は桑原平政光がそれぞれ支配した。

文明十三(1484)年、頭役名が、桑原源貞光から塩崎源貞光となり、ここに信濃国塩崎氏が誕生した。

この頃、小笠原家の騒乱に乗じて、赤沢氏家臣の桑原氏(六郎次郎か？諏訪神氏か?)が塩崎城を支配し、塩崎氏を名乗ったともあるが詳細は不明。

この「塩崎六郎次郎」の名は、文明一二(1480)年～天正十一(1583)年の約100年にわたって踏襲されている。その期間の活動は、川中島地方の豪族屋代氏と連携している。

天文十六(1547)年、楽岩寺(室賀氏)家老塩崎六郎左衛は、武田氏家臣によって討たれる。 天文二十二(1553)年、塩崎氏は村上義清の家臣であったが、屋代氏等とともに、武田晴信（信玄）に出仕した。以後、塩崎氏は、信濃先方衆二十騎の将として、平時は城番、合戦時は後備えを務めた。

天正十一(1583)年、武田氏の滅亡後、六郎次郎は、小笠原貞慶を通じ、屋代秀正と徳川家康に投降。大久保忠世預かりとなったが、徳川氏へ従属の誓詞には塩崎氏の記録はない(理由は不明)。屋代氏は徳川家旗本としてその名を残している。また、小笠原家家臣として、塩崎氏の名もあるが詳細不明。 文禄三(1594)年の記録に尾崎三郎左衛門の同心として塩崎中太郎、米沢上杉氏に仕える。

• 越中高岡の塩崎家 - 総本家宗四郎家の祖は信濃国塩崎村の出で、守護職小笠原貞宗の後裔と称す。応永7(1400)年、小笠原長秀が大塔合戦で越中に逃れ、孫の宗資が塩崎を名乗ったとされる。

• 遠江掛川の塩崎家 - 満水に戦国時代末期まで遡る塩崎氏(江戸時代は庄屋)あり。代々の当主には六郎の名が江戸時代末期まで引き継がれているが、信濃国塩崎氏の正流か定かでない。家紋は丸に桔梗だが由縁は不明。家伝によると、今川家家臣の朝比奈泰以、田丸助太夫、塚原卜伝、奥平休賀斎(奥山新陰流祖)との交流ありとのことだが詳細は不明。その他、口伝はあるがその真偽を正すことが出来ない。

この家系は、上家(次郎右衛門)、下家(六郎左衛門)を中心にして、藤右衛門系など諸分家あり。 近世では、遠江浜松、尾張知多郡に分家あり、その家名を伝えている。

• その他の塩崎氏 - 楠正成の末裔が西条神戸に居住し塩崎と称した。その他、徳島に藤原系の塩崎氏あり。

関連項目

• 塩崎城
• 武田氏
• 小笠原氏
• 赤沢氏
• 村上氏
• 屋代氏

出典

(1)鹽崎村史 塩崎村史編集委員編 塩崎村史刊行会, 1971.10(非売品) (2)塩崎一族 日本家系協会, 1980.2(絶版) (3)都道府県別姓氏家紋大事典(東日本) (4)甲陽軍鑑 (5)甲州武田家臣 著者 土橋治重 1984年(初版)