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レイキ

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レイキの施術の様子

レイキ霊気[1][2] 英:ReikiRay-Ki)、レイキヒーリングは民間療法であり、手当て療法エネルギー療法の一種である[3]。患者の治癒反応を促進することを目的とし、施術者が患者に軽く手を当てる、もしくは患者の真上に手をかざして、手のひらから「レイキ」というエネルギーを流す[3]。健康維持や自己啓発に有効であるといわれる[4]。補完療法として行われることもあり、2007年時点で世界で500万人が実践しているともいわれる[5]。宗教で行われる手当て・手かざしといった療法とよく似ているが、レイキ関係者はレイキは宗教ではないとしている。

現在レイキと呼ばれる民間療法は、臼井甕男(1865年 - 1926年)が始めた民間療法臼井霊気療法(臼井靈氣療法)[6]に始まるといわれる。明治から昭和にかけて海外から導入された思想・技術と日本の文化が融合して多種多様な民間療法が生まれたが、臼井の霊気はこの民間療法における霊術精神療法の潮流のひとつであるといわれる[7][4]。当時「霊気」は、手のひらから発する癒しのエネルギーを指す言葉として、霊術で一般的に用いられていた[7]。現在レイキとして知られる療法は、臼井霊気療法が海外で独自に発展・簡略化したものである[8]。臼井から弟子の林忠次郎(1879年 - 1940年)に受け継がれ、さらにハワイ在住の日系アメリカ人ハワヨ・タカタ(高田ハワヨ、1900年 - 1980年)に伝えられた。海外に後継者を得たことで、世界中に広く普及した。(一方日本の霊術は、戦後GHQに禁止されたことでおおよそ終焉している)

現在(2015年)までレイキの存在を示す科学的根拠はなく、疑似科学のひとつと考えられている[9]。科学的研究はレイキの実在の真偽ではなく、症状のマネジメントや健康状態の改善に着目して行われている[3]が、その数は少なく、現時点(2015年)ではエビデンスに基づく医療ではない[9]

「Reiki」は日本発祥の言葉として、欧米を中心とする海外で認知度が高い。2001年に発行されたイギリスの辞書Collins English Dictionaryの新版では、新たに収録する日本語由来の英語の一つとして、「Ramen」「Bento」「Gaijin」などと共に「Reiki」が選ばれている[10]

概要

一般に心身を治療する技法(ヒーリング)と認識されている。創始者臼井甕男(1865年-1926年)が設立した「臼井靈氣療法学会」という名前からも、臼井が療法と認識していたことが分かるが、単に「療法」と見なすか、「療法以上のもの」「単なる療法ではない」とするかは意見が分かれる[5]。レイキを療法とするか、そうではないとするかには、法律との兼ね合いも関係している[5]。毎日臼井による「五戒」(招福の秘法・万病の霊薬であるとされる)を唱え、自分の心身を磨いて、自分も周りの人も幸福を増進することを目的とするという。現在では様々な流派が誕生し、新しい技術や色々な考え方が加えられ多様化してきている。多くのレイキ関係者は、アチューンメント(伝授)[11]という儀式で誰でもできるようになり、儀式を受ける側の知識やトレーニングは不要としており、これがレイキの特異な点となっている[5]。アチューンメントはセミナーの形式で行われることが多く、有料であり、レベルが上がるほど高額になる。レイキ関係者は、レイキはあらゆる療法と併用可能であり、マイナス面はないとしている[5]

レイキを受けながら入眠すると、リラックス効果は高く熟睡しやすという見解もある[要出典]レイキが流れると、深いところからリラックスして、自然治癒力が高まると言う意見もある[要出典]。その効果としては、生命力の活性化をはかり、生体内のエネルギー・バランスを調整し、自然治癒力を高めるとされている。

レイキ(霊気)は臼井甕男(1865年-1926年)によって約100年前に日本で誕生し、臼井の弟子・林忠次郎(1879年 - 1940年)から日系アメリカ人ハワヨ・タカタ(1900年 - 1980年)に伝えられ、タカタよってアメリカへ、彼女とその弟子によって世界中に急速に広まった。ただし起源に関しては、バーバラ・レイのように、レイキは古代から存在するという意見もあり、古代チベットあるいは古代インドを起源とする意見も少なくない(バーバラ・レイは文化人類学者であったとされるが、この論の根拠は不明である)[5]。この場合、臼井は再発見者または中興の祖とされる[5]。海外では、レイキは宇宙のエネルギーであり、臼井より以前、古代から存在する(古代の方が現在より優れており、徐々に廃れていった)とする説が主流である[5]。(キリスト教圏には、神が直接作った最古の人間アダムが最も優れており、人類は時間経過と共に徐々に弱体化している、つまり、古いものほど純粋であり優れているという考え方がある。)古代より普遍的に存在するとする立場では、レイキは釈迦イエスが行った癒しと関連付けられる[5]

方法

レイキにおける基本的な施術のやり方は、受け手が横になり施術者が全身の12ヶ所に順に手をあてていく「12ポジション」とよばれるものである[要出典]。終了まで約30分から60分かかるが、レイキは型にはまったものではなく、短縮することもできるとされ、柔軟に変化しながら伝えられている。この基本の12ポジションはハワヨ・タカタによって工夫されたものであり[12]、ある程度は自由なやり方で構わないとされる。また西洋レイキでは、12ポジションに21日間の自己治癒を行うことでレイキを実感出来ると伝えられているが、これもレイキのエネルギーを実感する為のものではなく、手当ての効果を実感する為に海外で創られたプログラムのようだ[要出典]

レイキの施術はセッション、トリートメント、ヒーリングと呼ばれ、そのハンドポジション(手の位置)はインド伝統医学アーユルヴェーダインド哲学におけるチャクラとの関係で語られることが多い[5]。チャクラは粗大身(実体)と微細身(非実体、霊体)の接点であり、エネルギーのセンターともいえるもので、通常はあまり機能していないとされる。レイキの施術はアチューンメントで誰でもできるようになり、行う側には何の工夫も努力もいらないとされている[5]

また、臼井による「五戒」と呼ばれる句を日々唱えることが推奨されている。

レイキとは何か

7つの大きなチャクラ。西洋レイキでよく利用されるインドの概念。

「霊気」は、明治末~昭和期に流行した霊術で、広く使われた用語である[7]。手のひらから放射される癒しのエネルギーを意味し、当時はこの術は「お手あて」「お手かざし」「触手療法」などと呼ばれ、野口晴哉などによる療術でも手技療法などと共に治療に用いられた[7]

霊術の元になったメスメリズムは、18世紀ドイツの医師フランツ・アントン・メスマーが考案した治療法で、人間や動物の体を動かす流体・動物磁気の存在を想定し、その調和を回復させることで病気の治癒を目指すものである[13]。科学として考案されたが、ヨーロッパの伝統的世界観、自然魔術の系譜に連なるものでもある。霊術については日本でも忘却されて久しく、レイキは一般的に、人間に備わっている自然治癒力に対する、東洋の世界観・宗教観に基づいていると認識されている[3]。レイキの施術者は、手から普遍的なエネルギーであるレイキ(生命エネルギー、宇宙エネルギー)を発して患者に送り、患者の回復をうながしていると考えている。海外の文献では、レイキはキリスト教における光またはプネウマ、チベットにおけるルン、インドにおけるプラーナ、ハワイの呪術におけるマナ、疑似科学におけるバイオプラズマなど、様々な文化・用語におきかえて説明している[14][5]

現在レイキは、療法と共にそれに用いるエネルギーを指す。エネルギーとしてのレイキは、ほとんどの場合「宇宙エネルギー」、「生命エネルギー」 、「宇宙生命エネルギー」といった言葉で説明され、人間の身体を流れ、人間を生かすものだとされる[5]。海外の本では、さらにプラーナなどなじみのある伝統的概念におきかえられるが、日本ではこのような喩えはほとんどみられず、簡潔な説明でおわっている[5]

アチューンメント・シンボル・マントラ

レイキは普遍的なエネルギーであり、レイキ・マスターあるいはレイキ・ティーチャーによりアチューンメント(Attunement または伝授、イニシエーション。国内の伝統では、靈授(霊授)と呼ばれる[15][16])という儀式を受けることで、直後より自他ともにヒーリングができるようになるとされる。アチューンメントとは 、「エネルギーの回路を開く」、「エネルギーの流れを大きくする」、「エネルギーへのアクセスを可能にする」ものだとされ、この儀式はセミナー(講習)という形で行われることが多い[5]。高いレベルの霊気ヒーリングを受けたことがあれば、アチューンメントを受けていなくてもレイキが使えるという意見もある[5]。セミナーでは様々なことが教えられるが、知識でレイキが使えるようになるわけではないと考えられるため、重視されるのはアチューンメントとシンボル、マントラである[5]。レイキの能力の段階は3段階または4段階とされる。アチューンメントで伝えられるシンボルマントラによって能力が向上し、遠隔ヒーリングも可能になるとされている。(直傳靈氣では、シンボルは「印」、マントラは「呪文」と呼ばれる。[15])シンボルは特定の印、マントラは特定の言葉であり、シンボルは梵字との関連性が指摘されている[12]。シンボルとマントラがひとつずつ組になっており、一般的には4組とされる。うち3組がセカンド・ディグリーで、1組がサード・ディグリーで伝授される[5]。シンボル・マントラは秘伝・非公開とされ、多用を慎むといった慎重な扱いもされ、多くの本では掲載されない[5]。しかし、掲載している本も複数あり、ネットでの掲載も見られる[5]。この風潮に対し、「現代レイキ」を主宰する土居裕は、秘伝を売りものにセミナーで荒稼ぎをする風潮に歯止めがかかるかもしれないが、多くの人が秘伝として大切にしてきたものを、 何の関係もない人たちの目に触れさせたという心ない行為であると苦言を呈している[5]

海外では様々なルートで伝わり、多くの流派があるため、シンボルの種類、アチューメントの方法、ヒーリングの方法、アチューメントの金額も様々であるという[5]。レイキを習得するには、アチューンメントを受けさえすればよいという考えもあるが[5]四日市大学の寺石悦章は、「レイキの10大特徴の1、2 の内容(後述)などからすれば、「アチューンメントを受けさえすればよい 」という考えが生じるのは当然ともいえよう」と指摘している。)技術だけでは不十分と考え、臼井が伝えた心をより重視する意見もある[5]。またウェブ上では、遠隔でアチューンメントを行えるとするものがあるが、寺石(2008)の調査によれば書籍においてはそのような説はない[5]

レイキ関係者が述べるレイキの特徴

レイキ実践者は、レイキの特徴を簡単かつ効果があることであると主張している[5]。寺石悦章は、レイキ関係者が述べるレイキの特徴の一例として、望月俊孝による「レイキの10大特徴」をあげている[5]

  1. トレーニングや修行・訓練が不要。
  2. 修行・訓練を怠っても永久にそのパワーが失われない。
  3. ヒーリング中に強力な注意集中が不要。
  4. 気を入れたり、抜いたりする必要がない。
  5. 相手の邪気を受けにくい。
  6. 時間・空間を超えた遠隔ヒーリングが身につく。
  7. 他のテクニックと無理なく併用できる。
  8. レイキは信じようが信じまいが、必要に応じてエネルギーが流れる。
  9. レイキはあなたの素晴らしい本質を向上させる。
  10. 効果例、実践例が具体的かつ豊富。

寺石悦章は、勧誘のために都合のよい文句を並べたようにも見えるが、これに類する内容が大部分のレイキの本に見られるため、多くのレイキ関係者の共通認識であると考えて差し支えないと述べている[5]。訓練や集中を必要としないとされる点は、ほかの手当て療法と大きく異なる。同じくニューエイジで支持を集めた超越瞑想では、集中しない、努力が必要ない、効果が証明されているなど、同様の主張が見られる。

五戒

五戒(ごかい)は臼井の教えとされる「招福の秘法・万病の霊薬亅の通称である[5]。臼井甕男は、五戒を朝夕合掌して心に念じ、口に出して唱えることが、招福の秘法・万病の霊薬であるとした[17]。元々五戒とは、仏教において在家の信者が守るべきとされる基本的な五つの戒のことであるが、それとは異なる。臼井の五戒は明らかに精神修養のためのものであり、レイキにおいても日々唱えることを推奨する場合が多い。努力を必要としないとするレイキにおいても、日常的な努力が推奨されていることが分かる[5]