ディストピア パンドラの少女
ディストピア パンドラの少女 | |
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The Girl with All the Gifts | |
監督 | コーム・マッカーシー |
脚本 | マイク・ケアリー |
原作 | マイク・ケアリー『パンドラの少女』(東京創元社刊) |
製作 |
ウィル・クラーク カミーユ・ガティン アンガス・ラモント |
出演者 |
ジェマ・アータートン パディ・コンシダイン グレン・クローズ セニア・ナヌマ |
音楽 | クリストバル・タピア・デ・ヴィア |
撮影 | サイモン・デニス |
編集 | マシュー・カニングス |
製作会社 |
アルティテュード・フィルム・セールス BFI映画基金 ポイズン・シェフ |
配給 |
ワーナー・ブラザース サバン・フィルム クロックワークス |
公開 |
2016年9月23日 2017年2月24日 2017年7月1日 |
上映時間 | 111分[1] |
製作国 | イギリス |
言語 | 英語 |
製作費 | 500万ドル |
興行収入 | $1,352,325[2] |
『ディストピア パンドラの少女』(原題:The Girl with All the Gifts)は2016年にイギリスで公開されたホラー映画である。監督はコーム・マッカーシー、主演はジェマ・アータートンが務めた。本作はマイク・ケアリーが2014年に上梓した小説『パンドラの少女』を原作としている。
ストーリー
未知の細菌によって人類の大半が死滅した近未来。感染者は自由意志を喪失し、人肉を食べるゾンビ(ハングリーズ)と化してしまった。人類に残された唯一の希望はハングリーと人間のハイブリッド第2世代であった。彼らは人肉を好むものの、思考能力と学習能力は保持していた。彼らは軍事基地にある学校で訓練を受ける一方で、コールドウェル博士の実験の被験者となっていた。軟禁状態の下で、彼らは囚人のような扱いを受けていたが、ヘレンだけは彼らを血の通った人間として接していた。そんなヘレンはハイブリッドの中でも特に高いIQを有するメラニーと交流を深めていった。パンドラの箱の物語を読み聞かせることもあった。そんなある日、メラニーが「少女がモンスターから女性を守り抜き、やがて2人はずっと一緒に仲良く暮らすになる」という主旨の自作の物語―それは明らかにメラニーとヘレンをモデルにしていた―をヘレンに読み聞かせたとき、ヘレンは感極まって取り乱してしまった。その様子を見たパークスはヘレンを厳しく叱責した。パークスがゲル状の物質を子供たちの一人の鼻の下に塗ると、その子供は野獣のように猛り狂った。パークスはヘレンに「ハイブリッドは人間とは違うんだ」ということを示したかったのだが、ゲルを塗られたメラニーは必死に理性を保とうとしていた。その姿を見たヘレンは一層ヘレンを愛おしく思うのだった。
コールドウェル博士は子供たちを被験者にしてワクチンの開発に打ち込んでいたことを周囲に明らかにした。博士がメラニーになぞなぞやパズル問題を出すと、高い知能を持ったメラニーはそれを造作もなく解いていった。そんなある日、博士はメラニーに「1から20の数字から1つ好きな数字を選んでちょうだい」と言った。メラニーは13を選んだ。その日から、13号室に収容されていた子供が姿をくらました。数日後、博士はまた数字を選ぶようにメラニーに言った。メラニーは4を選択した。それは自分が収容されている部屋の番号であった。博士は動揺しつつも、メラニーを自分の研究所へ連れて行った。そこには13号室にいた子供の脳が保存されていた。博士が実験を始めようとしたとき、実験室にヘレンが駆け込んできた。博士はワクチン開発のために、子供たちの脳と脊髄を摘出していたのである。博士とヘレンが激しい口論をしている最中に、軍事基地の防護壁がハングリーズに突破されてしまった。その混乱に乗じて、メラニーは基地を脱出することに成功した。しかし、基地の外はハングリーズと防衛軍が激しい戦闘を繰り広げる地獄のような場所だった。
メラニーは余りにも惨い光景にショックを受けていたが、2人の兵士がヘレンを拘束しようとしているのを見た瞬間、落ち着きを取り戻した。そして、兵士たちを組み伏せ、その場からヘレンを救出することに成功した。道中、パークス、コールドウェル博士、ギャラガー、ディロンの4人が乗った装甲車に遭遇する。4人はヘレンとメラニーを乗せることを渋々了承し、基地から遠く離れた平原を目指すことにした。
キャスト
- ジェマ・アータートン - ヘレン
- パディ・コンシダイン - エディ・パークス、ヘレンの上官。
- グレン・クローズ - キャロライン・コールドウェル博士
- セニア・ナヌマ - メラニー
- アナマリア・マリンカ - セルカーク博士
- ドミニク・ティッパー - デヴァニ
- フィサヨ・アキナデ - キーラン・ギャラガー、兵士。
- アンソニー・ウェルシュ - ディロン、兵士。
製作
原作小説の執筆と並行して、ケアリーは自ら映画向けの脚色を行っていた。その脚本は2014年のブリット・リスト(映画化されていない秀逸な脚本の一覧)に掲載された[3]。当初、映画のタイトルはShe Who Brings Giftsとなる予定であったが、後に原作小説と同じタイトルに変更された[4]。2015年3月23日、主要キャストが発表された[5]。
ケアリーは原作小説と映画版の相違について「我々は映画版では原作と少し異なった道を歩むことにした。特に語り手の視点は大きく異なるものになった。原作小説では、ある一つの出来事が5人のメインキャラクターの視点から語られた。こうすることで、読者は5人が何を思って行動していたのかを知ることができる。しかし、映画版ではメラニーの視点からのみ語ることにした。」「ただし、映画版の結末は原作小説に忠実なものになっている」と語っている[6]。
製作費500万ドルの半分はBFI映画基金とクリエイティヴ・イングランドから調達した。後者が数百万ドル規模の出資に応じたのは、本作が初めてのことであった[7]。
2015年5月17日、本作の主要撮影はウェスト・ミッドランズで始まり、7週間も続いた[8]。撮影はバーミンガム中心部やキャノック・チェイス、ダドリー、ストーク=オン=トレントなどの都市でも行われた[9]。荒廃したロンドンとして劇中で使用されている映像は、ウクライナのプリピャチ(1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故で住民が全員退去した町)をドローンで空中撮影したものである[6]。
評価
本作は批評家から高く評価されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには91件のレビューがあり、批評家支持率は85%、平均点は10点満点で7.2点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「『ディストピア パンドラの少女』は怖さを減ずることなく、観客を考え込ませるような問いに向き合っている。ゾンビ映画はやりつくされた感のあるジャンルであるが、本作によって、それは新鮮味を少し取り戻した。」となっている[10]。また、Metacriticには20件のレビューがあり、加重平均値は67/100となっている[11]。
出典
- ^ “ディストピア パンドラの少女”. 2017年3月30日閲覧。
- ^ “The Girl with All the Gifts”. 2017年3月30日閲覧。
- ^ “Gemma Arterton, Paddy Considine, Glenn Close join 'She Who Brings Gifts'”. 2017年3月30日閲覧。
- ^ “Glenn Close says her new zombie movie is "more of a character-driven thriller", actually”. 2017年3月30日閲覧。
- ^ “Gemma Arterton, Paddy Considine, Glenn Close to Star in ‘She Who Brings Gifts’”. 2017年3月30日閲覧。
- ^ a b “Sundays With Writers: The Girl With All the Gifts by M.R. Carey”. 2017年3月30日閲覧。
- ^ “The story behind 'The Girl With All The Gifts'”. 2017年3月30日閲覧。
- ^ “‘The Girl with All the Gifts’ producer – Camille Gatin – In Conversation”. 2017年3月30日閲覧。
- ^ “What is She Who Brings Gifts about?”. 2017年3月30日閲覧。
- ^ “The Girl with All the Gifts”. 2017年3月30日閲覧。
- ^ “The Girl with All the Gifts”. 2017年3月30日閲覧。