国鉄C56形蒸気機関車160号機
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/23/JRW-C56160.jpg/220px-JRW-C56160.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/2c/SL-shikoku-saburo.jpg/220px-SL-shikoku-saburo.jpg)
C56 160は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の梅小路運転区に所属し、京都鉄道博物館(旧梅小路蒸気機関車館)にて動態保存されている蒸気機関車で、日本国有鉄道(国鉄)の前身である鉄道省が製造したC56形蒸気機関車の1両である。SL北びわこ号の牽引機関車でもある。同じ梅小路運転区に所属するC57 1とともに、現在まで一度も廃車(車籍抹消)にならずに車籍を有し続けているSL動態保存車両である。
経歴
現役時代から動態保存機へ
1939年(昭和14年)4月20日、川崎車輌兵庫工場にて、C56形のラストナンバー機(製造番号 2099)として完成。戦前は津山機関区、戦後鹿児島機関区から横浜機関区を経て、1964年(昭和39年)に上諏訪機関区と移り、その後は小海線・飯山線・七尾線で運用された経歴を持つ。上諏訪機関区所属時には、入換用として虎模様のペイントをされて運用されていた時期もある。
1972年(昭和47年)七尾機関区から梅小路運転区へ異動し、他から転属して来た蒸気機関車の搬入に使用されるなどしたが[1]、梅小路蒸気機関車館開館後は特に目立った動きはなかった。
動態保存機としての運用
国鉄時代ならびにJR時代初期は全国からの貸出依頼が多く、各地を走行した。
1980年(昭和55年)11月22日には、函館本線小樽 - 札幌間で「北海道100周年記念号」の牽引機として抜擢されて以降は、走れる路線を選ばないとの特性から全国各地での出張運転に供されるようになった。
JRとなって全国各地で蒸気機関車が復活した後は、1995年(平成7年)8月19日に運転を開始した北陸本線米原 - 木ノ本間の「SL北びわこ号」をメインに、山口線新山口 - 津和野間の「SLやまぐち号」でC57 1との重連運転、C57 1牽引不能時の代理牽引機関車など、JR西日本管内にて使用されるほか、JR東日本や四国、樽見鉄道など他社での運転実績がある。四国の路線を中心に、脱線事故のおそれがあるとされているバック運転(逆機)も数多く行ってきたが、無事故の運転を行っている。
1995年8月19日の運転開始当初から2003年(平成15年)8月までは木ノ本 - 米原間にて、SL北びわこ号を逆機で牽引していたが、特急列車や貨物列車、さらに琵琶湖線からの新快速列車の新規乗り入れなどによってダイヤ上の制限がかけられたことから中止され、回送列車となった。ただし、定期検査明けの試運転では、木ノ本 - 米原間で逆機で運転される。
2006年(平成18年)、「梅小路の蒸気機関車群と関連施設」として、準鉄道記念物に指定された。
なお、現在の同機の汽笛は、汽笛の鳴りが悪くなったために、2000年代に入ってからは、当機が山口線へ入線される前までにかつて動態保存されていたC58 1のものと交換され使用している。
「SL北びわこ号」や「SLやまぐち号」の牽引運転以外の時期には、梅小路運転区にて整備や試運転が行われているほか、併設する京都鉄道博物館(旧梅小路蒸気機関車館)の展示運転「スチーム号」の代行運用に就くこともある。
2017年9月23日、京都駅ビル開業20周年およびJR(西日本)発足30周年の記念イベント「SL WONDERLAND in 京都駅ビル」において、京都駅7番線 に有火状態で展示された。京都鉄道博物館と京都駅との間の牽引は、同じ梅小路運転区に所属するDE10 1118により牽引された。
今後の去就
JR西日本は2017年(平成29年)を目処に、梅小路蒸気機関車館にて「SLスチーム号」として構内運転程度にて動態保存されているD51 200を本線で運用できるように大規模な修理を施し復活させ、「SL北びわこ号」および「SLやまぐち号」(C57 1の代理牽引)の牽引機関車をD51 200に置き換えることを2014年(平成26年)10月17日に発表した[2]。これにより同機は置き換えが予定されているが、車籍の扱いなどについては未定である。
運転記録
「SLやまぐち号」と「SL北びわこ号」以外の臨時列車としての運転記録は以下のとおりである。 客車は基本的に12系客車を牽引する。
- 1980年(昭和55年)11月22 - 30日 - 函館本線小樽 - 札幌間
- 北海道鉄道開業100周年を記念して運転された。旧型客車牽引。
- 1981年(昭和56年)8月25 - 31日 - 小浜線敦賀 - 小浜間「SLわかさ号」
- 福井県置県100周年を記念して運転された。
- 1985年(昭和60年)4月28日 - 5月11日 - 水郡線水戸 - 常陸大子間「SL奥久慈号」
- 1986年(昭和61年)4月29日・5月3 - 5日 - 東海道本線・武豊線名古屋 - 武豊間「SL一世紀号」
- 武豊線開通100周年を記念して運転された(愛知の鉄道100年フェアの行事の一環)。
- 1986年(昭和61年)4月30日 - 5月2日 - 東海道本線名古屋 - 木曽川間「SL一世紀号」
- 愛知の鉄道100年フェア開催を記念して運転された。
- 1986年(昭和61年)8月1 - 7日 - 桜井線奈良 - 王寺間「SL大和路号」
- キャンペーン「あなたとなら大和路」の一環として運転された。
- 1987年(昭和62年)7月18日 - 8月2日・9月12 - 23日 - 東北本線仙台 - 仙台臨海鉄道仙台西港線東北博覧会前(臨時駅)間「SL東北100年号」[3]
- '87未来の東北博覧会開催を記念して運転された[3]。
- 1987年(昭和62年)8月24 - 25日 - 成田線成田 - 内房線木更津間「SL毎日号」
- 1988年(昭和63年)2月11 - 14日 - 七尾線金沢 - 和倉温泉間「SLときめき号」
- 12系客車4両とマイテ49 2牽引。
- 1988年(昭和63年)6月24 - 26日 - 中央本線辰野 - 塩尻間「SLホタル号」
- 旧型客車牽引。逆機時急勾配のためDE10形を最後尾に連結。
- 1989年(平成元年)2月11・12日 - 七尾線金沢 - 穴水間「SLときめき号」
- C57 1も牽引機に加わり、重連で運転された。
- 1989年(平成元年)4月2 - 16日 - 小浜線敦賀 - 小浜間「SL味わいふれあい越前若狭号」
- 1989年(平成元年)4月29日 - 5月1日 - 吉備線岡山 - 総社 - 倉敷間「SL吉備路号」
- 1989年(平成元年)5月19 - 28日 - 土讃線多度津 - 琴平間「SLどっきん号」
- 1989年(平成元年)11月 - 予土線宇和島 - 土佐大正間「SLしまんと号」
- 50系客車4両牽引。
- 1990年(平成2年)3月26 - 31日 - 宮津線宮津 - 西舞鶴間「ありがとう宮津線・SL丹後路号」
- 12系客車5両牽引。
- 下り西舞鶴発宮津行き列車は逆機。
- 1991年(平成3年)7月20 - 26日 - 越美北線福井 - 越後大野間「SL奥越メルヘン号」
- 1994年(平成6年)7月24日 - 伯備線総社 - 新見間「SL備中路若鮎号」
- 1994年(平成6年)12月9 - 13日 - 高山本線高山 - 飛騨古川間「SL飛騨路号」
- JR東海における唯一のSL復活運転。1日2往復で12系5両牽引の運転だが、13日の1往復目のみ旧型客車2両を牽引。
- 1996年(平成8年)11月23 - 26日 - 大糸線松本 - 信濃大町間「SLあづみ野号」
- 真岡鐵道のSL整備により、JR東日本への貸出は現時点ではこれが最後。
- 1997年(平成9年)12月6 - 9日 - 予土線宇和島 - 土佐大正間「SL牛鬼号」
- 1998年(平成10年)4月10 - 12日 - 多度津 - 茶屋町間「海走SL瀬戸大橋号」
- 瀬戸大橋開通10周年を記念して運転された。
- 2000年(平成12年)11月21・23・25日 - 松山 - 宇和島間「SL坂の上の雲号」
- 鉄道唱歌誕生100周年および宇和島城築城400周年を記念して運転された。
- 2000年(平成12年)11月22・24・26日 - 宇和島 - 松山間「SL花神号」
- 「SL坂の上の雲号」と同じく、鉄道唱歌誕生100周年および宇和島城築城400周年を記念して運転された。
- 2001年(平成13年)11月23 - 25日 - 土讃線高知 - 土佐山田間「SL土佐龍馬号」
- 高知城築城400年を記念して運転された。客車はマイテ49 2と、アイランドエクスプレス四国IIを牽引。
- 2002年(平成14年)5月18・19日 - 徳島線徳島 - 阿波川島間「SL阿波四国三郎号」
- 徳島線全通88周年を記念して運転された。
- 2002年(平成14年)9月14 - 16日 - 氷見線高岡 - 氷見間「SLシーサイド号」
- 氷見線全通90周年を記念して運転された。
- 2002年(平成14年)11月1 - 4日 - 「SL山陰路」[4]
- 2005年(平成17年)10月28 - 30日 - 予讃線高松 - 多度津間 - SL急行「讃岐路義経号」
- 2006年(平成18年)11月23 - 26日 - 土讃線高知 - 須崎間 - SL急行「土佐二十四万石博 一豊&千代号」
- 大河ドラマ『功名が辻』の放送やイベント「土佐二十四万石博」に合わせて運転された。
- 2013年(平成25年)2月16 - 17日 - あおなみ線名古屋 - 名古屋貨物ターミナル間「SLあおなみ号」
- 2015年(平成27年)5月11・28日 - 6月16日 - 梅小路蒸気機関車館内展示運転「SLスチーム号」
- 通常牽引を担当するD51 200が2014年10月に本線復帰が発表されて以降、8630が2015年2月に担当後、C61 2が2015年4月に担当後、整備のためそれぞれ担当から離脱したため、SL北びわこ号牽引の後に、SLスチーム号の牽引を担当した。なお、過去にもSLスチーム号の牽引を担当した実績がある。
- 2016年(平成28年)5月9 - 13日 - 京都鉄道博物館内展示運転「SLスチーム号」
- 牽引担当であったC62 2がコンプレッサー故障のため、代理牽引となった。
脚注
- ^ 鉄道ファン編集部「梅小路蒸気機関車館が開館」p.22 - p.24 鉄道ファンNo.140 (1972年12月)。
- ^ 持続的なSL動態保存の体制の整備について
- ^ a b 『鉄道ジャーナル』第21巻第12号、鉄道ジャーナル社、1987年10月、93頁。
- ^ a b 外山勝彦「鉄道記録帳2002年11月」『RAIL FAN』第50巻第2号、鉄道友の会、2003年2月1日、21頁。
- ^ "「SL山陰路」運行及び記念事業の実施について" (PDF) (Press release). 島根県地域振興部交通対策課. 30 October 2002. 2014年11月29日時点のオリジナル (pdf)よりアーカイブ。2012年9月5日閲覧。
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は無視されます。 (説明) - ^ “名古屋のSL実験走行 観覧場所を設置”. CHUNICHI WEB (中日新聞社). (2013年2月15日). オリジナルの2013年2月18日時点におけるアーカイブ。 2013年2月19日閲覧。
関連項目
- 動態保存中の蒸気機関車
- 国鉄C57形蒸気機関車1号機
- 国鉄C58形蒸気機関車1号機
- 国鉄C56形蒸気機関車44号機
- 国鉄D51形蒸気機関車200号機
- 梅小路蒸気機関車館(京都鉄道博物館)
- SL北びわこ号