下関総合車両所
下関総合車両所 | |
---|---|
基本情報 | |
鉄道事業者 | 西日本旅客鉄道 |
帰属組織 | 広島支社 |
所属略号 | 広セキ 関 |
整備済み車両略号 | SS |
下関総合車両所(しものせきそうごうしゃりょうじょ)は、山口県および広島県にある西日本旅客鉄道(JR西日本)の車両基地および車両工場である。
概要
車両の一元管理によるさらなる品質向上と効率的な組織運営を目指すとともに、車両検修職場の地域性を考慮し、技術継承を確実に行うことのできる体制を構築するために、金沢総合車両所・後藤総合車両所・網干総合車両所に次ぐ4番目の在来線総合車両所として、2009年6月1日に下関地域鉄道部下関車両センターおよび下関車両管理室と、山口鉄道部車両管理室(旧・小郡運転所)を統合した広島支社直轄の車両総合管理組織として発足した。
2012年に広島運転所の検修部門を統合し、広島支社唯一の車両基地ともなった。検修部門は総合車両所発足前の3所体制(下関・新山口・広島)を踏襲している。
本所
下関総合車両所の本所は、下関市幡生宮の下町1番2号の幡生駅構内にあり[1]、敷地面積は73,400m2である。広島支社管内および一部の他支社の在来線車両(電気機関車・ディーゼル機関車・電車・気動車・客車)の全般検査・重要部検査・交番検査・仕業検査などの検修および改造を行っている。また、閉鎖された鷹取工場に替わり、JR西日本で廃車となった車両(主に電車)の解体を広く受け持っている。
1995年に下関地域鉄道部の発足に伴い、同鉄道部傘下の組織である下関車両センターになったが、2009年6月1日付けで実施された組織再編により広島支社直轄の組織として発足した。
日本国有鉄道(国鉄)時代は幡生工場[2]として、国鉄末期には電車の先頭車化改造なども多数施工したほか、広島鉄道管理局所属車両の全般検査を担当した[3]。
-
下関総合車両所 本所
-
下関総合車両所 本所
-
下関総合車両所 入口
運用検修センター
下関市大和町2丁目15番1号にある車両基地で、下関駅構内の門司駅寄り(南側)、築堤上を走る山陽本線の西側にある。敷地面積は、58,600m2。
下関地域鉄道部発足以前は、下関運転所と称する車両および乗務員区所であったが、下関地域鉄道部の発足に伴い廃止となった宇部電車区配置車両の移管を受け、乗務員部門を下関乗務員センターに分離して同部の下部組織となり下関車両管理室に改称した。2009年6月1日付けで実施された組織再編により、下関総合車両所の一部門として独立した。
下関運転所時代に存在した幡生支所は、JR化の際にJR貨物に継承され、幡生機関区として現存している(ただし、車両の所属はなくなっている)。
新山口支所
山口市小郡下郷124にある車両基地で、新山口駅構内の東側、山陽本線と山口線に挟まれた場所にある。敷地面積は、46,250m2。
元は小郡運転所と称する車両基地および乗務員区所であったが、1995年に鉄道部所管エリアの車両基地を鉄道部に統合させる方針により、山口鉄道部(1990年発足)傘下の車両基地である山口鉄道部車両管理室に変更した。2009年6月1日に山口鉄道部と宇部新川鉄道部および下関地域鉄道部の一部区間を統合して山口地域鉄道部が発足するにあたって、検修部門が下関総合車両所の一部門に移管され、現在の名称となった。
広島支所
広島県広島市東区にある車両基地で、山陽本線天神川 - 広島間に位置している。
2012年4月1日に広島運転所の検修部門が分離され、下関総合車両所に統合されて発足した[4]。
車体に記される略号
- 整備済み車両の車体に記される略号
- 整備済み車両の車体に記される略号は「SS」で、幡生工場時代は「HB」だった。
- 所属車両の車体に記される略号
- 旅客車は広島支社の略号である「広」と、下関の電報略号である「セキ」から構成された「広セキ」で、機関車は下関を示す「関」である。ただし広島支所に所属する車両には、統合前に引き続き「広ヒロ」と表記される。
所属車両
所属車両は運用検修センター(下関)、新山口支所・広島支所に分けて配置されている。おおむね車種別に車両配置が振り分けられており、同一車種が複数所で配置されているのは105系電車(下関と広島)、キハ120形気動車(新山口と広島)の2系列と、観光列車用のキハ47形気動車(7000番台)のみである。
2017年4月1日現在の所属車両は以下のとおり[5][6]。
区所 | 電車 | 気動車 | 機関車 | 客車 | 貨車 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
下関 | 233両 | 2両 | 14両 | 0両 | 0両 | 249両 |
新山口 | 0両 | 109両 | 0両 | 6両 | 21両 | 136両 |
広島 | 199両 | 12両 | 0両 | 1両 | 0両 | 212両 |
合計 | 432両 | 123両 | 14両 | 7両 | 21両 | 597両 |
運用検修センター配置
電車
- 105系電車(22両)
- 2両編成9本(U編成8本、広島支所から転入したK編成1本)、増結車両が4本(I編成2本、U編成1本、広島支所から転入したK編成1本)が所属している。
- U01 - U06編成はワンマン運転に対応している。宇部線・小野田線・山陽本線(宇部 - 下関間)で運用され、123系と連結して宇部線の宇部岬駅や宇部新川駅から山陽本線の厚狭駅や下関駅の間を直通する列車もある[7]。
- U08・U09編成とK編成はワンマン運転に対応しておらず、増結車両を連結して運用される。山陽本線(新山口 - 下関間)・宇部線で使用されている。山陽本線では新山口 - 下関間の朝の下り1本と夜の上り1本、小月 - 下関間の朝の1往復や宇部線との直通運用で使用されている。また、宇部線内で完結する列車にも使用される[7]。
- 現在は全車両が新造車グループ。宇部電車区(のちの宇部新川鉄道部)に所属していた旧形電車(40系・51系電車)を一斉置き換えするために1981年に同所に配属された。
- 2016年6月までは103系からの改造車であるクモハ105形500番台も在籍していた。
- U編成は稀に広島地区に貸し出され、呉線・可部線で運用されたことがあった。
- 123系電車(5両)
- 1両編成(U編成)5本が所属している。宇部線・小野田線(本山支線を含む)・山陽本線(宇部 - 下関間)で運用されている。105系のワンマン対応のU編成を連結して、宇部線の宇部岬駅や宇部新川駅と山陽本線の厚狭駅や下関駅の間を直通する列車もある[7]。
- 2002年以降、JR西日本が保有する123系電車の全車が下関に集結している。
- 115系電車(204両)
- 4両編成49本、2両編成4本が配置されている。
- 4両編成は、2扉車で構成されるN編成19本、体質改善車のみで構成されるO編成2本、2015年から翌年にかけて広島支所から転入したL編成22本、先頭車にクハ115形2500・2600番台を含むR編成4本、クハ115形の同番台車を含まないC編成2本の内訳である。
- 2両編成(T編成)は1000番台の体質改善車であるが、座席は固定式クロスシートのままである。
- C・L・O・R編成は山陽本線(三石 - 下関間)・呉線・可部線で、N・T編成は山陽本線(岩国 - 下関間)で運用されている。
- 体質改善車を含む編成は広島更新色、それ以外の車両は瀬戸内色に塗り分けられていたが、2010年1月20日にN-05編成が濃黄色一色に塗装変更されて出場した[8][9]のを皮切りに、順次同塗装に塗り変えられている。
- 42系電車(1両)
- クモハ42形1両(クモハ42001)が所属している。JR西日本では唯一車籍を有する旧形国電で、2003年3月14日まで小野田線本山支線で運用されていた。
- 現在は定期運用はなく、車籍を保持したまま保留車として保管されており、一般公開時に展示される。
- 145系電車(1両)
-
105系
-
123系
-
115系(G編成)
-
115系(C編成)
-
115系(L編成)
-
クモハ42形
気動車
機関車
- EF65形電気機関車(10両)
- 1000番台の10両(1120・1124・1126・1128・1130 - 1135)が所属。
- 現在は定期運用はなく、臨時・団体列車や工事列車の牽引を担当する。
- 1124・1128・1132・1133・1135の5両はATS-Pを装備しており、上郡以東の入線も可能である。
- DD51形ディーゼル機関車(1両)
- 1両 (1043) が所属しており、臨時列車の牽引や山口線でのC57 1の試運転に使用されるほか、SLやまぐち号の補機にも使用される。
- DE10形ディーゼル機関車(3両)
- 3両(1076・1514・1531)が所属しており、美祢線内を中心とした臨時列車牽引・C56 160の試運転・駅構内入れ替えなどに使用される。
新山口支所配置
気動車
- キハ40形気動車(32両)
- 2000番台32両が所属している。全車がワンマン運転に対応している。ただし、後藤総合車両所に貸し出されていたキハ40-2044は広島支社管内用のワンマン運転用の放送に対応しておらず、ワンマン運転用の運賃表が撤去されており、キハ47系の非ワンマン車とペアを組んで2両で運行されている。
- 山陰本線(益田 - 下関間)・山口線・岩徳線・芸備線(三次 - 広島間)で運用されている。原則、岩徳線とそれ以外の3路線とで運用が分けられている。ただしキハ40-2044に限り以下のキハ47形の非ワンマン車と同様の路線で運用されている。
- 後述のキハ47形を含め、全車が一旦は広島色(黄色と白のツートンカラーにグレーの細帯)に塗り替えられたが、2009年12月以降、朱色5号単色への再度塗り替えが進行している[10]。広島色への塗り替え時に側面中央上部にLED式の行先表示器の増設が行われるなどの体質改善が終了している。
- 山陰本線・岩徳線・芸備線充当車両は山陽本線経由で定期的に新山口支所に回送される。
- キハ47形気動車(70両)
- キハ120形気動車(7両)
-
キハ40形
-
キハ47形
-
キハ120形
客車
貨車
広島支所配置
電車
-
105系
-
113系
-
227系
気動車
-
瀬戸内マリンビュー
-
キハ120形
客車
過去の所属車両
電車
- 80系電車
- 山陽本線用。1978年運用終了。
- 103系電車
- 4両編成(B・E編成)と3両編成(D編成)が所属していた。
- B・E編成は1992年に207系電車の投入に伴い関西地区で余剰となった4本が冷房化率向上のために下関に転入したが、年度内に広島に再転属となり、113系の転入により廃車または岡山電車区に転出して2011年3月をもって広島所属の4両編成は消滅し、2008年から実施された113系への置き換えが完了した。
- D編成は最末期には クモハ103 + モハ102 + クハ103 の編成による3本が広島に配置されて、山陽本線(糸崎 - 三原間・海田市 - 岩国間)・呉線で運用。山陽本線三原 - 海田市間では車両性能上の問題から瀬野八を越えることが出来ないため使用されない。呉線の快速安芸路ライナーを中心に運転されていた。D-01編成のクモハ103-48は最後まで現存した唯一のクモハ103形0番台(新製時からクモハ)である[13]。D-02・03編成のクモハ103-2501・2502はモハ103形からの改造である。冷房装置は全車WAU102を搭載。ワンマン運転に対応しており、トイレが設置されていた。塗装はクリームに青帯の瀬戸内色となっていたが、D-01編成は2012年12月11日に濃黄色に変更されて出場した[14]。最終的には全車が濃黄色塗装となった。227系の運用開始時に運用終了となり、2015年3月27日付で廃車となって配置が消滅した。
- 117系電車
- 2015年4月時点では下関に4両編成(C編成)5本が配置されていた。100番台と300番台で、山陽本線(新山口 - 下関間)で運用されていた。臨時列車などで新山口以東でも運行されることがあった。
- JR九州からの乗り入れ廃止に伴う車両不足を補うために貸出扱いで転入し、2007年11月以降正式配置となっていた。100番台の3本は2015年8月・10月に岡山電車区へ、300番台の2本は2015年11月・2016年1月に吹田総合車両所日根野支所新在家派出所へ、それぞれ転属して配置が消滅した。
-
117系
- 153系電車
- 山陽本線用。1983年運用終了。
気動車
- キハ58系気動車
- かつては山陰本線・山口線の急行運用を担い、急行運用がなくなった後もしばらくは広島色に塗り替えられて配備されていたが、2008年3月30日に新山口発下関行きとして廃車回送を兼ねた団体列車で運用された後、2008年4月25日に全車廃車され配備が消滅した。
- キヤ191系気動車
- キハ23形気動車
- キハ181系気動車
- 2001年に山陰本線で運行されていた特急「いそかぜ」の運行区間が益田 - 小倉間に短縮された際、後藤総合車両所から3両編成2本6両(キハ181-8・28・31・32 キハ180-10・17)が転属して旧下関車両管理室に配備されたが、2005年の同特急の運行終了に伴い予備車となり、後に解体された。この間、山陽本線の臨時快速「下関ふくフク号」、「関門・MUSASHI号」や山口線の特急「おき」の臨時列車の運用にも充当されていた。
- キハ48形気動車
客車
- 20系客車
- 50系客車
- 24系客車[18]
- 12系客車(6両)
- SLやまぐち号用に改造されたレトロ客車5両(700番台)と、予備電源車用のスハフ12形が1両(スハフ12 36)所属していたが、本所へ廃車回送された。SLやまぐち号のほか、臨時列車に使用されたこともあった。
機関車
保存車両
-
クモハ11
歴史
幡生工場・下関車両センター関係
- 1903年(明治36年)6月 - 山陽鉄道の下関工場として下関市豊前田町に開設。
- 1931年(昭和6年)10月 - 現在地へ移転。
- 1942年(昭和17年)10月 - 幡生工機部に改称。
- 1950年(昭和25年)8月 - 幡生工場に改称。
- 1985年(昭和60年)3月 - 幡生車両所に改称。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により、西日本旅客鉄道に継承。
- 1995年(平成7年)10月1日 - 下関地域鉄道部の発足により、下関車両センターに改称。
下関総合車両所の発足
- 2009年(平成21年)6月1日 - 下関総合車両所が発足。下関地域鉄道部下関車両管理室は同所の下関運用検修センターに、山口鉄道部車両管理室は同所の山口支所になる[4]。
- 2012年(平成24年)4月1日 - 広島運転所の検修部門が下関総合車両所に統合され、同所の広島支所になる[4]。
脚注
- ^ "下関総合車両所一般公開「鉄道ふれあいフェスタ2014」について" (Press release). 西日本旅客鉄道. 5 September 2014. 2015年5月24日閲覧。
- ^ 1985年3月20日に国鉄の全国工場再編成により、広島・後藤・多度津とともに工場から車両所(幡生車両所)に名称変更されて、JR西日本に継承された。
- ^ 機関車は広島工場(現・JR貨物広島車両所)が担当。
- ^ a b c ジェー・アール・アル編 (2016) (日本語). JR気動車客車編成表2016 . 交通新聞社. p. 227. ISBN 978-4330690162
- ^ 「JR旅客会社の車両配置表」『鉄道ファン(別冊付録)』第57巻第7号、交友社、2017年7月、21-27頁。
- ^ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』2017夏 ジェー・アール・アール、交通新聞社、2017年、p.196-203。ISBN 9784330787176。
- ^ a b c d ジェー・アール・アール編『普通列車編成両数表』Vol.37ジェー・アール・アール、交通新聞社、2017年。ISBN 9784330788173。
- ^ 115系セキN-05編成が黄色となって出場 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2010年1月21日
- ^ 幸福の黄色い電車”山陽線・JR西の塗り替え第1号 - 山口新聞 2010年1月21日
- ^ 広島支社 車体塗装の変更について(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2009年12月9日
- ^ “新型車両227系、岩国駅を出発”. 読売新聞. (2015年3月16日) 2015年3月27日閲覧。
- ^ "平成28年春のダイヤ改正について" (PDF) (Press release). 西日本旅客鉄道広島支社. 18 December 2015. 2016年1月2日閲覧。
- ^ 1989年に自動解結装置取付等でクモハ103-5001に改番されたが、後に元番復帰している。
- ^ 103系D01編成が黄色一色で出場
- ^ キハ23 1が解体される - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2009年6月18日
- ^ “リバイバルトレイン急行“ちどり”運転”. 鉄道ファン鉄道ニュース (2013年9月1日). 2015年1月6日閲覧。
- ^ “キハ48形2両が金沢へ”. 鉄道ファン鉄道ニュース (2014年6月24日). 2015年1月6日閲覧。
- ^ 「ブルトレ新系列客車のすべて」 2012年1月20日発行
- ^ 『国鉄気動車客車情報』61.11.1改正号 ジェー・アール・アール 1986年
- ^ 【JR西】EF66配給輸送 - 鉄道ホビダス ネコ・パブリッシング RMニュース 2010年9月22日
- ^ 嵯峨野観光鉄道様からEF66機関車をモニュメント用に改良する工事を受注しました。 - ジェイアール貨物北陸ロジスティクス
- ^ 下関総合車両所が一般公開される - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2011年10月30日
参考文献
- 『 Rolling stock & machinery 』2009年9月号 日本鉄道車両機械技術協会 p.52 - 53