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地磁気逆転

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新生代後期(鮮新世以降)の地磁気極性。黒い箇所は現在と同じ極性、白い部分は現在と逆の極性。AgeのMaは百万年

地磁気逆転(ちじきぎゃくてん)とは、地球地磁気の向きが、かつては現在と南北逆であったとすること。

研究の前提・端緒

1600年に、ウィリアム・ギルバートが地球は一つの大きな磁石であると主張した。1828年には、カール・フリードリヒ・ガウスが地磁気の研究を開始した。さらに1906年には、現在の地磁気の向きとは逆向きに磁化された岩石が発見された。

研究の歴史

1926年、京都帝国大学(現在の京都大学)教授の松山基範が、兵庫県玄武洞の岩石が、逆向きに磁化されていることを発見した。松山はその後、国内外36か所で火成岩の磁気の調査を行い、他にも逆向きに磁化された岩石を発見した。松山は1929年、地磁気逆転の可能性を示す論文を発表した。当時の常識に反する考え方だったため、当初の評判はよくなかった。その後、古地磁気学が盛んになり、年代測定の技術も進歩した。その結果地磁気が逆転を繰り返していることがはっきりしてきた。

1964年には、アメリカの研究グループが地磁気極性の年代表を発表した。このとき、アラン・コックス英語版は2つの「逆磁極期」(反対は「正磁極期」)のうちの1つに、松山の名前を選んだ。

現在判明している逆転期

過去360万年の間に11回は逆転し、現在では、2つの逆磁極期があったことが判明している。約500万年前から約400万年前の逆転期は、「ギルバート」と名づけられ、258万年前から78万年前の逆転期は「松山」と名づけられている。なお、国立極地研究所らの研究によれば、より精密な年代決定を行った結果、最後の磁気逆転の時期は約77万年前と報告されている[1][2]

地層

磁場逆転した証拠となる地層は、千葉県市原市田淵養老川沿いの崖面[3](千葉セクション)とイタリアのモンテルバーノ・イオニコビィラ・デ・マルシェに存在する[2]

原理

地磁気逆転がどうして起きるかは、いまだに分かっていない(地球が磁石になる仕組みは、解明されつつある)。

影響

地磁気エクスカーションや地磁気反転期など双極子成分が弱くなり相対的に4重極成分が卓越する地磁気イベントにおいては特に中低緯度域 で宇宙線降下量の大幅な増加が予想され、それまでは地磁気によるローレンツ力で弾かれていた宇宙線の大気圏への入射量が増え、それにより大気が電離する事により、氷結核が増加して過冷却状態の水蒸気が凝結して雲の発生が増え、日射量が減少して気候が寒冷化することにより氷河期の到来等の気象変動の要因になるという説がある[4]。また過去の火星のように水蒸気水素酸素に分離して水素分子が大気圏から離脱することにより大気が減少するとの予測もある[5]。宇宙線の入射量が増えることにより通常より極端に炭素14ベリリウム10塩素36のような同位体の生成量が増え、内部被曝等で生物の突然変異の発生する確率が高まる可能性も示唆されている[6]

脚注

参考文献

  • 2011年2月1日の朝日新聞朝刊32面 (どの部分が?)

関連項目

外部リンク