鳩時計
鳩時計(はとどけい、独: Kuckucksuhr、英: cuckoo clock)は、壁掛け時計の一種である。
概要
ドイツ南西部にあるシュヴァルツヴァルト地方で普及されたといわれる、重りで動かす木製の振り子時計である。毎時ちょうどに時計上部の小さな窓から小鳥の模型が顔を出し、時刻の数だけ鳴き時報を教え、半にも一度鳴く。
人形の付いているタイプは小鳥と同時に針金などを使い、薪割りを始める動きなどを時計の中に入れ、ほとんどの場合(サイズの小さいものを除く)はポッポの時報と同時に鐘が鳴り、スイス製シリンダー式オルゴールが流れるものもある。1783年、ドイツで発明されたと伝えられているが、発祥時期の明らかな文献は残っていない。ドイツとスイスの国境に近いシュヴァルツヴァルト地方がその原産地で、スイスでも一部作られている。
ドイツにはシュヴァルツヴァルド時計協会があり、おもり式鳩時計の品質証明書を発行している。この証明書は、シュヴァルツヴァルト時計協会が定める品質をクリアしている証であり、その基準を満たしている伝統のシュヴァルツヴァルト産機械式鳩時計にのみ、その認定書が付けられている。
日本では鳩時計と呼ばれるが、本来はカッコウが鳴く時計である。カッコウの別名が閑古鳥(不景気なときに鳴くとされる鳥)であるため、縁起が悪いと変えられたという説がある[1]。鳴声は時計内部にある高音と低音の2つの鞴(アコーディオンのような蛇腹)により発音される。
造形・仕組み
本体のデザインは、伝統的に葉のついた巣箱型の物や山小屋型のものが多い。振り子には葉の形をしたバランスが付いており、その上下によって振幅の速度を調整する。時計の文字盤はローマ数字である。
動力源は鎖に付いた重りの重力である。重りは細長い松ぼっくり形状で、通常2つまたは3つあり、1つは時間を動かすため、もう1つは時報(鳩や鐘の音)、そしてもう1つはオルゴールを動かすためである。
ムーブメントには8日巻と1日巻があり、重りの付いていないもう一方の鎖を手で引くことで巻き上げる。オルゴールが付いたものは通常、時報とともに針金などを使って木製の人形を動かし、オルゴールがその後に流れる。その曲に合わせ、人形が回りだす。
伝統の重り式鳩時計が普及している一方、現在ではドイツ国内市場はもちろん、アメリカ、日本、中国などでも新しいムーブメントを組み込んだクォーツ式の鳩時計タイプが多く販売され始めている。
重り式同様、電池式でも時報は小鳥が出てきてカッコーを録音したものが流れ、時間を知らせる。メロディを搭載したものもあり、メロディーに合わせてモーター駆動の人形が動く。
脚注・参照
- ^ 柿川鮎子 (2018-01-04), “そう呼ぶのは日本人だけ!実は鳩じゃなかった「鳩時計」の謎”, サライ.jp
関連項目
外部リンク
- Juan F. Déniz (2013), “Designer Cuckoo Clocks”, NAWCC Watch & Clock Bulletin (NAWCC)