医療機関
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医療機関(いりょうきかん)とは、医療法で定められた医療提供施設のことである。行政においては、病院、薬局、柔道整復師、施術所、訪問看護ステーション、二次検診、義肢採型指導医の機関である。狭義においては、病院、診療所、介護老人保健施設、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設(以下「医療提供施設」という。)をいう。
医業類似行為(いぎょうるいじこうい)とは、「疾病の治療又は保健の目的でする行為であって、医師・歯科医師他の法令で正式にその資格を認められた者がその業務としてする行為でないもの」をいう。誤解が多いが、柔道整復は医師が業として行うことのできる[1]医業の一部ではあり、医業類似行為は認められていないので接骨院(施術所)は施術所以外の医業類似行為施設と区別するために施術所の名称について「マッサージ指圧」、「鍼灸」、「接骨」等を名称につけることが望ましいとされている[2]
また、労災保険指定医療機関には病院の他、訪問看護ステーション・鍼灸院・接骨院があり、労災保険指定医療機関名簿に掲載されている。[3]
厚生労働省の区分
- 病院
- 薬局
- 柔道整復師
- 施術所
- 訪問看護ステーション
- 二次検診
- 義肢採型指導医
厚生労働省 福島労働局 労災保険指定医療機関名簿[4]
法律上の区分
- 名称の規制なし - 医院、産院、診察所、療養所
- 病床が20床以上 - 病院、病院分院
- 病床が無い又は20床未満 - 診療所
- 妊婦、産婦、褥婦10人未満 - 助産所
- 公的医療保険の元に、療養の給付等を実施する医療機関 - 保険医療機関
- 公的医療保険の元に、薬剤師が処方箋に基づき調剤を実施する薬局 - 保険薬局
開設者による区分
厚生労働省大臣官房統計情報部による医療施設調査の開設者分類
公的医療機関
医療法では都道府県、市町村その他厚生労働大臣の定める者(下記参照)が開設する病院又は診療所を公的医療機関と定め(第31条)、厚生労働大臣又は都道府県知事はその開設者または管理者に対して次の事項を命ずることができる。また、該当する医療機関の運営に関して必要な指示をすることができる(第35条)。
- その建物の全部または一部、設備、器械及び器具を、当該公的医療機関に勤務しない医師または歯科医師の診療または研究のために利用させること。
- 医師法もしくは歯科医師法の規定による実地修練または臨床研修を行わせるのに必要な条件を整備すること。
- 所在地の都道府県の医療計画に定められた救急医療等確保事業に係る医療の確保に関し必要な措置を講ずること。
なお医療法第31条に規定する公的医療機関の開設者のうち「厚生労働大臣が定める者」とは告示により下記のとおりとされている(「医療法第三十一条に規定する公的医療機関の開設者」昭和26年8月22日厚生省告示第167号)。国が開設者の場合は公的医療機関に含まれないことに注意。
- 一部事務組合等地方公共団体の組合
- 国民健康保険団体連合会
- 普通国民健康保険組合
- 日本赤十字社
- 社会福祉法人恩賜財団済生会
- 厚生農業協同組合連合会(厚生連が設立した「社会医療法人」も含む)
- 社会福祉法人北海道社会事業協会
医療機関債
医療機関債は医療法第39条に規定されている医療機関を開設する医療法人が発行することができる証拠証券である。厚生労働省医政局長名で通知された『「医療機関債」発行等のガイドラインについて』[5]では金融商品取引法上の「有価証券」には該当せず、「民法上の消費貸借として行う金銭貸借の借入れに際し、借入れたことを証する目的で作成する証拠証券」と定義されている。
平成23年から医療機関債の販売勧誘に伴うトラブルが顕在化しており[6]、金融審議会(首相の諮問機関)・金融分科会第一部会で法制化の審議を進めている「投資サービス法案」において、医療機関債を含む金銭消費貸借契約に対する規制論議がなされている[7]。
なお、平成24年9月に消費者委員会から医療機関債に関する消費者問題について、 被害の拡大を未然に防ぐとの観点から「医療機関債に関する消費者問題についての提言」[8]として、「医療機関債の発行実態等の把握」・「関係機関間の連携の推進」・「消費者保護の観点からのガイドラインの見直しの検討」が示されている。
医療機関債の発行に関する概要
医療機関債については、医政発0420第7号平成28年4月20日厚生労働省医政局長通知により以下のとおり規定されている。
- 発行額が多額の場合は外部監査が必要
- 発行目的は資産の取得に限られる
- 発行前に発行要項などを監督庁に届出
- 発行にあたり情報開示・利率・勧誘方法などの規制あり
- 医療法人は、他の医療法人が発行する医療機関債を購入することができるが、その場合に一定の規制あり
医療機関債の発行実績など
厚生労働省が実施した医療機関債 の発行状況を調査(平成25年3月8日公表)によると18 の医療法人が、計 41 件の医療機関債を発行しており、発行総額は43億900万円である(平成24年9月1日時点)。[9]
平成23年度以降の医療機関債の発行事例としては、一般社団法人全国地方銀行協会[10]によると鹿児島銀行、大分銀行、常陽銀行、滋賀銀行において受託・引き受け事例が確認できる(平成30年1月2日閲覧時点)。
平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | 平成20年度 | 平成21年度 | 平成22年度 | 平成23年度 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 6 | 2 | 2 | 25 |
休診日
休診日や診療時間の設定は各医療機関の方針により、自由裁量で定めることができる[11]。なお、これは行政が関与できるものではない[12]。
多くの医療機関では日曜日を休診としている。これは他のサービスやスタッフとの連携に問題があるためとされている[13]。
開業医が運営する規模が小さい医療機関(医院、診療所)では水曜日もしくは木曜日も半日ないしは全日休診にしているところがある。これは土曜日に診察する医療機関が多く、その振り替えもあることや医療機関が所属している学会や勉強会が水曜日もしくは木曜日に開催されるところがあるためとされている[14]。
もっとも、医師には応召義務が定められていて(医師法第19条、歯科医師法第19条)、診療時間を制限していることをもって急患の診療を拒むことは許されないこととされている(昭和24年9月10日医発752号)。なお診療時間外の診察については保険外併用療養費の対象として、別途料金の徴収が可能である。
脚注
- ^ 柔道整復師法第十五条
- ^ http://www.city.kita.tokyo.jp/seikatsueisei/kenko/ese/imu/sejutsujo/tebiki/documents/sejyutujyotebiki.pdf
- ^ http://fukushima-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/rousai_hoken/hourei_seido/rousaisitei.html
- ^ http://fukushima-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/rousai_hoken/hourei_seido/rousaisitei.html
- ^ 厚生労働省ホームページ 「医療機関債」発行等のガイドラインについて(最終改正医政発0420第7号平成28年4月20日)http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000135213.pdf(平成30年1月2日閲覧)
- ^ “新手の儲け話、医療機関債の販売勧誘トラブル!”. 国民生活センター. 2013年2月11日閲覧。
- ^ “JCR | Q&A”. 日本格付研究所. 2013年2月11日閲覧。
- ^ 内閣府ホームページ 医療機関債に関する消費者問題についての提言(2012年9月4日消費者委員会) http://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2012/0904teigen.html(平成30年1月2日閲覧)
- ^ a b 厚生労働省ホームページ 医療法人における医療機関債の発行状況調査結果を公表http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002wx91.html(平成30年1月2日閲覧)
- ^ 一般社団法人全国地方銀行協会 http://www.chiginkyo.or.jp/(平成30年1月2日閲覧)
- ^ 木曜午後が休診なのはなぜ? - 岡空小児科医院
- ^ 平成23年7月から9月に寄せられた主な提案と市の考え方 - 平塚市
- ^ なぜ、土日に開いている病院が少ないのでしょうか? - アメーバニュース
- ^ 歯医者の定休日はいつが多い?素朴な疑問に即、お答え致します! - どくらぼ