コンテンツにスキップ

ナナカマド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。126.200.18.42 (会話) による 2018年11月19日 (月) 09:50個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎関連項目)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ナナカマド
ナナカマド
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
: ナナカマド属 Sorbus
: ナナカマド Sorbus commixta
学名
Sorbus commixta
和名
ナナカマド
英名
Japanese Rowan

ナナカマド(七竈、学名;Sorbus commixta)は、バラ科落葉高木。赤く染まる紅葉果実が美しいので、北海道東北地方では街路樹としてよく植えられている。

特徴

北海道本州四国九州の山地〜亜高山帯に分布する。

高さ7〜10m程度になり、夏には白いを咲かせる。は枝先に集まって着き、奇数羽状複葉。秋にはあざやかに紅葉し、赤い実を成らせる。実は鳥類の食用となる。果実酒にも利用できる。

北欧などで魔よけとされているのは、ナナカマド (Japanese Rowan) と同じナナカマド属だが別種のセイヨウナナカマド (European rowan, Sorbus aucuparia) である。

語源

「ナナカマド」という和名は、"大変燃えにくく、7度竃(かまど)に入れても燃えない"ということから付けられたという説が広く流布している。

牧野富太郎は『牧野日本植物図鑑』で本種の項に

材ハ燃エ難ク、竈ニ七度入ルルモ尚燃残ルト言フヨリ此和名ヲ得タリト伝フ。

と記している。[1]

現在でも辞典類ではこの説が取り上げられる。下はその1例である。

  • 七度かまどに入れても燃えないという俗説がある。(広辞苑 第六版、岩波書店、2008年)

ただしこれは現実的には正しくないようで、実際にはナナカマドの薪は良く燃えるとの記述もある。例えば『植物名の由来』で中村浩は

わたしは越後の山荘で何度か冬を過ごしたことがあるが、よくナナカマドの薪をたいて暖を取ったものである。この木の材はよく燃えて決して燃え残る事は無い。[2]

と自らの経験を述べている。鶴田知也は『草木図誌』で同様に事実を経験として述べ、『名前の由来には別の意味がある』可能性を示唆している。

中村浩は『植物名の由来』で

この備長のことを記した古書[注釈 1]には、“備長は木炭の中の上物なり。紫珠及び花鍬樹を極上品とす”という記述がある。

と述べている。花鍬樹とはナナカマドのことである。[3]

利用

北海道では果実を用いてジャムやマーマレードなどの製造がおこなわれている。[4]

生の果実中に存在するソルビン酸はナナカマドの学名より取られた。現在は合成したものが保存料として使用される。[5]

セイヨウナナカマドの生果実にはパラソルビン酸が 0.4%-0.7% 含まれるが、加熱処理や乾燥でソルビン酸に変わる。[注釈 2]「健康食品の安全性・有効性情報」のサイトではヨーロッパナナカマドの新鮮な果実を過剰に摂取することに注意を喚起している。[6][注釈 3]

市町村の木に指定する自治体

脚注

参考資料

  • 中村浩『植物名の由来』(第2版)東京書籍、東京、1998年9月16日。ISBN 978-4487795574 
  • 鶴田知也『草木図誌』東京書籍、東京、1979年10月1日。ISBN 978-4487721450 
  • 牧野富太郎『牧野日本植物図鑑 増補版』北隆館、東京、1956年3月20日。 (初版は1940年9月29日)
  • 俵浩三『牧野植物図鑑の謎』平凡社、東京、1999年9月21日。ISBN 978-4582850178 

出典

注釈

  1. ^ 出典には古書としか書かれていないため書名は不明。
  2. ^ en:Rowan#Usesに "The raw fruit also contain parasorbic acid (about 0.4%-0.7% in the European rowan)" とあり、出典として Sorbus aucuparia L. が挙げられている。なお、Japanese rowan に関する言及は無かった。
  3. ^ こちらも、日本のナナカマドに関しては言及していない。

外部リンク

関連項目