ミスター・ロボット
「ミスター・ロボット Mr. Roboto」 | ||||
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スティクス の シングル | ||||
初出アルバム『キルロイ・ワズ・ヒア』 | ||||
B面 | スノーブラインド | |||
リリース | ||||
ジャンル | プログレッシブ・ロック、シンセポップ | |||
時間 | ||||
レーベル | A&Mレコード | |||
作詞・作曲 | デニス・デ・ヤング | |||
スティクス シングル 年表 | ||||
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ミスター・ロボット (Mr. Roboto) は、スティクスの1983年のコンセプトアルバム『キルロイ・ワズ・ヒア(Kilroy Was Here)』に収録されているデニス・デ・ヤング(Dennis DeYoung)作詞、作曲による楽曲である。この曲はBillboard Hot 100の第3位を記録し、スティクスにとって1981年の"トゥー・マッチ・タイム・オン・マイ・ハンズ(Too Much Time on My Hands)"以来のヒット作となった。"ミスター・ロボット"はスティクスの楽曲の中でも最も人気のあるものの一つで、B面の"スノーブラインド(Snowblind)"(前作のスタジオアルバムである『パラダイス・シアター(Paradise Theater)』から)とのカップリングで45 回転のシングル盤としても発表された。
解説と背景
"ミスター・ロボット"のコーラスにはキャッチフレーズになっている「ドモ アリガト、ミスター・ロボット」という句が含まれている。「ドモ アリガト」は、英語で"thank you very much"と訳される日本語の語句の一つである。
楽曲の冒頭の日本語の歌詞は以下のようなものである。
- どうもありがとうミスターロボット(dōmo arigatō misutā Robotto)
- また会う日まで(mata au hi made)
- どうもありがとうミスターロボット(dōmo arigatō misutā Robotto)
- いつの日にか(itsu no hinika)
この歌は、ロックオペラの『キルロイ・ワズ・ヒア』の中でロバート・オーリン・チャールズ・キルロイ(Robert Orin Charles Kilroy:ROCK)の架空の物語の一部を語っている。反ロックンロール団体の(the Majority for Musical Morality:MMM)とその設立者であるエヴェレット・ライテアス博士(Dr. Everett Righteous、ギタリストのジェームズ・ヤング:James Youngが演じる)により「社会不適格ロックンローラー」の罪で未来の刑務所に収監されているロックンローラーのキルロイ(キーボード奏者のデニス・デ・ヤングが演じる)がこの歌を歌う。「ロボット(Roboto)」は刑務所内の諸任務をこなすロボットを具現化しており、キルロイは看守「ロボット」を乗っ取り、内部を空にした「ロボット」の金属製外殻の中に隠れることで刑務所から脱獄する。歌の最後の最後でジョナサン・チャンス(Jonathan Chance、ギタリストのトミー・ショウが演じる)がついにキルロイと出会うと、様変わりしたキルロイは「私はキルロイである!私がキルロイだ!」と叫び歌は終わる。
この楽曲は、1980年代におけるテクノロジーとロボットの有り様も映し出している。またキルロイ・ワズ・ヒア(キルロイ参上)は、第二次世界大戦頃からアメリカ軍兵士の間で流行している伝統的な落書きの文句である。
機械的な調子で歌われるキャッチフレーズはヴォコーダーにより作り出され、この楽曲ではOberheim OB-XAとPPG Wave・シンセサイザーが多用されている。
スタン・ウィンストンが手掛けた「ロボット」の衣装と仮面は、アルバム『キルロイ・ワズ・ヒア』のカバーを印象的に飾っている。"ミスター・ロボット"はA&Mレコードの要請により最終段階で"ドント・レット・イット・エンド(Don't Let It End)"に代わって同アルバムからの最初のシングルとして発表された。
ビデオ
ブライアン・ギブソン(Brian Gibson)が監督したミュージックビデオは、ジョナサン・チャンスがキルロイに会うためロック博物館の中を歩いていると一体のロボットが近づいてくる場面から始まる。この後、5体のロボットが動き、踊る場面に転換し、そのすぐ後でロボット達が髭をそり落としたデニス・デ・ヤング(彼は1982年のパラダイス・シアター ツアーを最後にトレードマークの口髭をそり落とし、現在まで髭を蓄えずにいる)を含むスティクスのメンバーに変身する。その後のビデオでは舞台上のバンドの演奏や歌と『キルロイ・ワズ・ヒア』の背景映像の場面が繰り返される。それからスティクスのメンバーが再びロボットの姿に戻り、デ・ヤングがロボットと対決し一体のロボットの耳元で叫んだ後で倒れる。目が覚めるとデ・ヤングは自分が実験台にされていることに気付き逃走を計る。それからビデオの冒頭のシーンの最後に戻り、ジョナサン・チャンスが舞台上に上ってくるとロボットはマスクを脱ぎその正体がキルロイであることを表す。ライトが当てられたロボットの別のショットがビデオの最後で使用されている。
メディアでの利用
映画
- 映画『パーフェクト・マン ウソからはじまる運命の恋』内でホリー(Holly)の母親がレニー(Lenny)に誘われデートでスティクスのコピーバンドを見に行き、そこで最初に歌われるのがこの曲である。レニーはヴォーカルがオリジナルほど良くはないことに気付くが、もし目を閉じていれば違いは分からないというのがホリーの反駁の言い分であった。このコピーバンドのヴォーカルはデニス・デ・ヤングが演じている[1]。
- アダム・サンドラー主演の2002年の映画『エイト・クレージー・ナイツ』(Eight Crazy Nights)でこの曲が使用されている[2]。
- 『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』内の悪者の一人が「ミスター・ロボット」という名の日本のロボット人間である。オースチンは「ドモ アリガト、ミスター・ロボット」と言って彼に挨拶をする。
- 2012年の日本映画『ロボジー』の主題歌として採用され、主演の五十嵐信次郎を含むユニット「五十嵐信次郎とシルバー人材センター」によってカヴァーされた。
テレビドラマ
- この楽曲は日本のTVドラマの『電車男』の中で何度も流される。
- 『マイネーム・イズ・アール』のシーズン2、第5話「Van Hickey」の最後でアールとランディがストロボスコープで映し出される中でこの曲に合わせてロボットダンスを踊る。
- 『チャック』のシーズン2ファイナルでジェフ(Jeff)とレスター(Lester)がエリー(Ellie)とデヴォン(Devon's)の結婚式でこの曲を演奏し、この場面で銃撃戦が勃発する。この場面では3つのヴァージョンを聴くことができる。1つは俳優でジェフ役のスコット・キンスキー(Scott Krinsky)とレスター役のヴィク・サヘイ(Vik Sahay)が歌う版、この回のためのオーケストラ版とスティクスのオリジナル版である。[3]。
- 『ベリー・フル・オブ・ターキー』(Belly Full of Turkey)内「How I Met Your Mother」の回の最終場面(ストリップクラブの中)でこの曲が流れる[4][要出典]。
- 『ドレイク&ジョシュ』の挿話の中でドレイクがジョシュを苛立たせる「ドモ アリガト、ミスター・ロボット」のフレーズを繰り返す。
アニメーション・ゲーム
- 『ザ・シンプソンズ』の第7シーズンの挿話『チーム・ホーマー』(Team Homer)の中、ボウリング場でホーマーがオットーの声援を始める。声援は、
- 「為せば成るオットー、それが俺達の明日のモット。助け合いが俺達のモット。」("You can do it Otto, that could be our motto! Help each other out that'll be our motto".)- ホーマー
- 「スペアをとったら奢ってやるぜ、只でジェラート!」("Make this spare, I give you free gelato!")- アプー
- 「戻ってきたら飲ませてやろう、キツいスピリット!」("Then back to my place where I will get you bloto!")- モー
- 「ドモ アリガト、ミスター・ロボット!」("Domo Arigato, Mr. Roboto!")- ホーマー
- 「ドモ アリガト、ミスター・ロボット」のフレーズは『フューチュラマ』の挿話『30% アイアンシェフ』(The 30% Iron Chef)でベンダーに向けて発せられる。
- この曲は、ゲームの『バンド・ヒーロ』(Band Hero)で使用されている。
テレビ番組
- コメディアンのトム・グリーンは、MTV向けに『サブウェイ・モンキー・アワー』の特別挿話の撮影に日本を訪れたときにこのフレーズを使用していた。グリーンは自身のインターネットのトーク番組『トム・グリーンズ・ハウス・トゥナイト』(Tom Green's House Tonight)で日本にイタズラ電話をかけるときにも頻繁にこのフレーズを使用していた。
- 発掘!あるある大事典Ⅱ、おじゃマンボウ、お願い!ランキングのオープニングで、POLYSICSによるカヴァー・ヴァージョンが使われている。
- ライオンのごきげんようでCOROZO(コロゾー)が登場する際にBGMとして使われているほか、ロボットに関連するあらゆるシーンで多用されている。
音楽
- アルバム『ゴードン』(Gordon)からの「キング・オブ・ベッドサイド・マナー」(King of Bedside Manor)の歌の中でベアネイキッド・レディースが「スティックス」と叫んだ後で「ドモ アリガト、ミスター・ロボット」のフレーズを歌い、最後には歌の終わりまで徐々に速く「ドモ」のフレーズを繰り返し歌う。
その他
- 1999年のフォルクスワーゲン社のCMの中で俳優のトニー・ヘイル(Tony Hale)がフォルクスワーゲン車の車内でこの楽曲に合わせて踊っている。更にこのCMは後にアレステッド・ディベロプメント シリーズでトニー・ヘイルがバスター(Buster)役を演じた時に引用された。フラッシュバック状態でバスターにこの曲が聞こえると車の中で曲に合わせてロボットダンスを始め、義肢の鉤爪をダッシュボードに突き立てる[要出典]。
- 「ドモ アリガト、ミスター・ロボット」というフレーズは、『シャーロック・マシーナリー』の2009年11月16日月曜日の回で使用された[5]。
- YouTubeの『Evolution Of Dance』でジェドソン・ライプリーがこの曲に合わせてロボットダンスを踊っている。[要出典]。
- アニメーション監督の加藤久仁生が2009年にアカデミー賞の一部門である短編アニメーション賞を受賞した際、勤務先の社名にひっかけ「ドウモアリガトウ、ミスターロボット」と言って受賞スピーチを締めくくり、会場の笑いを誘った。
出典
- ^ http://www.imdb.com/title/tt0380623/trivia
- ^ Eight Crazy Nights (2002) - Soundtracks
- ^ Interview with Chris Fedak: April 27, 2009: What's Alan Watching
- ^ en:Belly_Full_of_Turkey
- ^ Schlock Mercenary 2009-11-16"