コンテンツにスキップ

アブチロン属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Tomomori (会話 | 投稿記録) による 2018年12月17日 (月) 10:34個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (工事中看板撤去。)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

アブチロン属(イチビ属)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : アオイ類 Malvids
: アオイ目 Malvales
: アオイ科 Malvaceae
: アブチロン属 Abutilon
学名
Abutilon Mill.[1]
英名
abutilon
flowering maple[2]

アブチロン属( - ぞく、学名:Abutilon)はアオイ科の属の一つ。和名はイチビ属。世界中の熱帯から亜熱帯に160種程度が分布し、特に南アメリカ大陸で多様である[1]

特徴

一年草多年草または低木[1]。属名はギリシア語の a(否定)bous(牝牛)tilos(下痢)に由来し、本属の植物が家畜下痢止めになると考えられていたことによる[3]

ウキツリボクショウジョウカ、またそれらを元に生み出された園芸品種が観賞用に栽培される[4][5][6]。一部の園芸品種は葉が五裂し、それをカエデの葉に見立てた flowering maple の英名がある[2]。インド原産のイチビタカサゴイチビ繊維植物採油用として栽培される一方、荒地や農地に帰化し難防除雑草として問題ともなっている[2]

主な種

A. megapotamicum
ウキツリボク
A. theophrasti
イチビ
A. vitifolium(藤色)
A. × hybridum
'アプリコット'
A. × hybridum
'ドワーフ・レッド'
インド原産。原産地では繊維植物や種子からの採油用に栽培される。日本では奄美大島喜界島以南に帰化[1][2]
ブラジル原産。赤いと黄色の花弁を持つ花を咲かせ、観賞用に栽培される。
  • A. ochsenii
チリ原産。イギリスに1957年に導入されたヨーロッパでは新しい部類の種。青紫色の花が咲く[3]
ブラジル原産。橙色の花弁に赤い網目状の脈が入る。多くの園芸品種の交雑親として用いられている。
  • A. theophrasti イチビ(キリアサ、ボウマ、ホクチガラ[7]
インド原産。繊維植物として栽培もされるが、現在は帰化植物として世界各地で猛威を振るう。
  • A. vitifolium
チリ原産。5m以上に伸びる場合もある。花は淡紅色・白色・藤色がある[7]

交雑種

ショウジョウカやウキツリボク等の交配や突然変異から選抜された園芸品種群。様々な色や形がある[4]
  • A. × milleri
ウキツリボクとショウジョウカの種間雑種。花は両種の特徴を受け継ぎ、赤い萼と黄色の花弁で、花弁に脈が入る[3]
  • A. × suntense
A. ochseniiA. vitifolium の交配で生み出された園芸用の雑種。丈夫で、淡紫色の花を多数つける[7]

脚注

  1. ^ a b c d 改訂新版日本の野生植物、24頁。
  2. ^ a b c d 世界有用植物事典、29頁。
  3. ^ a b c 園芸植物大事典、116頁。
  4. ^ a b フローラ、71頁。
  5. ^ フローラ、72頁。
  6. ^ 庭の花図鑑500、166頁。
  7. ^ a b c 園芸植物大事典、117頁。

参考文献

  • トニー・ロード他(著)、井口智子(責任翻訳)『フローラ』産調出版、2005年。ISBN 4-88282-405-1 
  • 堀田満(代表編集)『世界有用植物事典』平凡社、1989年。ISBN 4-582-11505-5 
  • 『園芸植物大事典 1』小学館、1988年。ISBN 4-09-305101-1 
  • 『改訂新版 日本の野生植物 4』平凡社、2017年。ISBN 978-4-582-53534-1 
  • 『庭の花図鑑500』主婦の友社、2009年。ISBN 978-4-07-266070-6 
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)