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エル・ディアリオ・バスコ

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エル・ディアリオ・バスコ
種別日刊紙
判型タブロイド版
所有者グルポ・ボセント株式会社
設立者ラミロ・マエツ・ウィトニー
設立1934年11月27日
政治的傾向保守的自由主義・スペイン国家主義
言語スペイン語 英語
本社所在地スペインの旗 バスク州ギプスコア県サン・セバスティアン
発行数49,500(2014年10月)[1]
ISSN2173-1918

エル・ディアリオ・バスコ』(スペイン語: El Diario Vasco)は、スペイン語で発行される日刊紙(一般紙)。本社はスペインバスク州ギプスコア県サン・セバスティアンに置かれている。新聞紙上の言語はほとんどスペイン語で、他は数ページが英語である[2]

歴史

マドリードの日刊新聞ABCとスペイン自治権連盟に所属する、保守の著作家であるフアン・イグナシオ・ルカ・デ・テナやラミロ・デ・マエストゥらによって、1934年、バスク社会出版社が『エル・ディアリオ・バスコ』を創刊した。1936年スペイン内戦が勃発すると、『エル・ディアリオ・バスコ』はナショナリスト派を支援したため、サン・セバスティアンがナショナリスト派によって征服されるまでの2か月間は、ナショナリスト派と敵対するスペイン共和国政府によって新聞社が封鎖された。1945年、ファランヘ党の制御下にある『エル・コレオ』の所有者によって買収され、企業名をエル・プエブロ・バスコ株式会社からビルバオ・エディトリアル株式会社に変更した。

フランコ政権が40年近く続いた時代に、同じくスペインのほとんどの新聞社も法的規制を受けるか政権とパイプを持つ企業家・財閥の傘下に入った[3]

2001年、2人のバスク祖国と自由(ETA)メンバーによって、最高財務責任者(CFO)であるサンティアゴ・オレアガが殺害された。現在、『エル・ディアリオ・バスコ』はボセント・グループによって所有されており、バスク自治州ギプスコア県内で10の地域版を、ギプスコア県外で1の地域版を刊行している[4]

なお、1994年発足のギプスコア県ローカルの衛星ケーブルTV局『テレドノスティ(Teledonosti)』もボセント・グループ傘下である[5]

2001年以降

以下、『エル・ディアリオ・バスコ』をEDV紙と略する。

高速新線およびスビエタ廃棄物焼却炉問題

2002年、EDV紙は高速新線バスクYの路線ルートへの意見、そしてスビエタに廃棄物焼却炉の建設とその支援が必要という報道を強い論調で行った[6]

2017年開通のバスクYは、サン・セバスティアンからビルバオビトリア・ガステイスへ向かう路線がある。ビルバオに向かうルートから外れた地点にウルスビルという基礎自治体(ムニシピオ)があり[7]、その領域内にあるのが問題のスビエタという地区(バリオ)で、現在サン・セバスティアンとウルスビルが所有権を分割している[8]。2017年に完成した路線は、EDV紙の要求通りスビエタとウルスビルを通って西のビルバオに直線的に向かわず、これを迂回して南方へ伸び、エスキオ-イトゥサソ駅[9]を経由して弧を描くようにビルバオへとつながっている。スビエタでは環境に与える悪影響などから[10]複数回の住民投票で焼却炉建設が延期されている[11]。建設費用が1億ユーロという試算もあり、自治体住民の税負担は重くなる見込み[12]。構想開始から約17年が経過した2019年現在も着工が始まっていない[13]

エウスカル・エリア・ビルドゥ批判

2011年バスク州議会総選挙[14]ではEDV紙の地元ギプスコアで、左派民族主義EH ビルドゥが最多得票だった。これに対し、保守本流の立場から猛烈な批判をした。

2015年のバスク州議会総選挙[15]でもビルドゥ批判の論陣を張り続けた。バスク社会党(PSE-EE)やバスク民族主義党(PNV)にも行ってきた、反リベラル・保守的論調は相変わらずである[16]

PNV・PSEという予期せぬ連合

2012年10月のバスク州議会選で地域左派政党PNVが勝利し第一党に躍進、153議席中49議席を獲得した。そして中道右派政党・国民党(PP)が負けたのはEDV紙にとってダブルショックの始まりだった。EDV紙が応援するPPは、PSE-EEと並んで28議席で第三党という惨敗ぶりである[17]。これが1つ目のショック。EDV紙は敗者同士のPSE・PP左右中道の野党連合を画策、これが実現しトータル56議席。政権与党のPNVは既に新政権を樹立していたが[18]、その発言力に歯止めをかけられるはずだった。

ところが、中道左右連合は内部から崩壊してしまう。2012年の敗北で州政府レンダカリを退任した後、財政再建公共サービス・制度的枠組み等の立て直しに失敗したPSE-EE総理パチ・ロペス2014年9月に解任、バスクを離れPSOE中央の役職へ移動させられた[19]。これが2つ目のショックである。

編集部が仕立てたPSE・PP=中道左派・中道右派野党連合は、その後にPNVとPSEが秘密裏に合意し、新たな連合を作ってしまうまで存続した。だが保革連合の崩壊を重く見たEDV紙は、やむなく「自分たちのシナリオ」ではないPNV・PSEという地域的中道左派連合政権の支持・静観を、小さな勝利(迎合・販売増)のための新たな戦略とした[20]

PNV・EH ビルドゥ連立政権批判

バスク州議会のPNV・EH ビルドゥ連立政権に対して常に批判的な報道ををしている[21]

「これはナシオナリスモ(国家主義)と全然違う」[22][23]。これを口実に批判報道が開始された。

しかし2009年-2012年のPSE・PP野党連合はバスク的・スペイン的にも保守色が強く、バスク民族主義者らに失望を与えた。それに比べるとPNV・EH ビルドゥ連立政権は、バスク民族主義者の大部分の民意を反映したものである。 彼らにとってバスク州、特にギプスコア県におけるスペイン主義への根強い支持は不愉快であり、形成を変えるため何か対策を講じるとしている[24]

バスク主義対スペイン主義党争への報道姿勢

EDV紙の編集方針、オピニオン・コラムやニュース内容、政治報道には一つの傾向がある。

バスク民族主義者対スペイン国家主義者の抗争におけるインタビューや記事は、EDV紙が政治論争系ニュースで積極的・歴史的にやってきた方法を応用する[25]

分かりやすいのは「支持勢力が選挙に勝ったら大きく報じる」事だが、その時は細かい論争を後回しにする[26]。過去を振り返ると、販売数増加は和平プロセス(連立提案など)に言及し続ける事、一時休戦を主張した時ほど上手くいった[27]。バスク主義担当・スペイン主義担当いずれの編集班も、オピニオン・コラムや記事作成も同じ政治部に属する[28]

スポーツ欄

スポーツ欄はサッカー情報が最も多い。特にレアル・ソシエダアスレティック・ビルバオ関連のニュースは、他のクラブよりもかなり大量である[29]

2018年1月、スペイン代表にも選ばれているイニゴ・マルティネスに対して、レアル・ソシエダからアスレティック・ビルバオに移籍した事を批判した[30][31]

なおEDV紙の本拠地はレアル・ソシエダと同じドノスティア=サン・セバスティアンである。レアル・ソシエダのファンの大多数が主要なライバルと見ているのは、レアル・マドリードアトレティコ・マドリードである[32]。だが同じ2018年に、レアル・ソシエダのアルバロ・オドリオソラのレアル・マドリード移籍に際し、マルティネスの時と違って肯定的な報道をした[33][34]

ナバラ州CDオサスナに関しては、上記の対立構造と無関係なクラブという見方をしている[35]

近年の発行部数

2004年から2014年までの10年間で、読者数を約半分も失った。2004年は約94,000部発行・販売。2014年10月は49,500部発行・販売。2013-2014年度の読者数は5%の減少。2013年の60,000部から2014年の49,500部という減少は、記録的レベル[36]。最新のデータによれば月別の読者数・販売数の減少は小幅だが、しかし継続的に減り続けている[37]

脚注

  1. ^ 2014年10月の統計 [1] 2018年12月29日閲覧
  2. ^ " Ia osoki gaztelaniaz argitaratzen da eta euskaraz orrialde pare bat."”. 2018年12月28日閲覧。
  3. ^ "Erregimen frankistak iraun zituen 40 urteetan zehar gainontzeko espainiar egunkari legeztatu edo ofizialen antzera frankismoarekin lerrokatua egon zen "”. 2018年12月29日閲覧。
  4. ^ ETA kills El Diario Vasco's CFO with seven shots from behind. エル・パイス, 2001年5月25日
  5. ^ EMPRESA”. Teledonosti. 2018年12月30日閲覧。
  6. ^ "Abiadura Handiko Trenaren Euskal Y Ibilbidea eta Zubietako errauskailua eraikitzearen aldekotasunak nabarmendu izan ditu."”. 2018年12月29日閲覧。
  7. ^ “Usurbil” (英語). Wikipedia. (2018-08-27). https://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Usurbil&oldid=856817189. 
  8. ^ “Zubieta (Guipúzcoa)” (スペイン語). Wikipedia, la enciclopedia libre. (2018-11-04). https://es.wikipedia.org/w/index.php?title=Zubieta_(Guip%C3%BAzcoa)&oldid=111758098. 
  9. ^ “Ezkio-Itsaso” (バスク語). Wikipedia, entziklopedia askea.. (2018-09-26). https://eu.wikipedia.org/w/index.php?title=Ezkio-Itsaso&oldid=6442152. 
  10. ^ “[https://elpais.com/ccaa/2012/05/13/paisvasco/1336931163_962748.html LA POLÉMICA DE LAS BASURAS Rebelión en Gipuzkoa contra la recogida de la basura ‘puerta a puerta’]”. El País. 2018年12月29日閲覧。
  11. ^ Tensión en Lezo al instalar los colgadores del puerta a puerta” (スペイン語). www.eitb.eus. 2018年12月30日閲覧。
  12. ^ The incinerator debt: A bad deal for towns of Gipuzkoa”. ARGIA. 2018年12月30日閲覧。
  13. ^ “Hondakinen kudeaketari buruzko eztabaida Gipuzkoan (2002-)” (バスク語). Wikipedia, entziklopedia askea.. (2018-06-26). https://eu.wikipedia.org/w/index.php?title=Hondakinen_kudeaketari_buruzko_eztabaida_Gipuzkoan_(2002-)&oldid=6325014. 
  14. ^ “2011ko udal eta foru hauteskundeak Hego Euskal Herrian” (バスク語). Wikipedia, entziklopedia askea.. (2016-06-26). https://eu.wikipedia.org/w/index.php?title=2011ko_udal_eta_foru_hauteskundeak_Hego_Euskal_Herrian&oldid=5509245. 
  15. ^ “2015eko udal eta foru hauteskundeak Hego Euskal Herrian” (バスク語). Wikipedia, entziklopedia askea.. (2018-09-14). https://eu.wikipedia.org/w/index.php?title=2015eko_udal_eta_foru_hauteskundeak_Hego_Euskal_Herrian&oldid=6433622. 
  16. ^ “aldiz EAJ eta batez ere PSE alderdien alde azaldu da””. 2018年12月30日閲覧。
  17. ^ “2012ko Eusko Legebiltzarrerako hauteskundeak” (バスク語). Wikipedia, entziklopedia askea.. (2017-06-08). https://eu.wikipedia.org/w/index.php?title=2012ko_Eusko_Legebiltzarrerako_hauteskundeak&oldid=5896332. 
  18. ^ Urkullu, elegido lehendakari”. エル・ムンド. 2018年12月30日閲覧。
  19. ^ Idoia Mendia, primera mujer que dirige al socialismo vasco en 125 años de historia”. El Diario. 2018年12月30日閲覧。
  20. ^ "Eta euskal abertzaletasunaren garaipena txikiarazteko estrategia berri modura."”. 2018年12月29日閲覧。
  21. ^ ”EAJ-EH Bilduren arteko akordioen aurka gogor egin ohi du,””. 2018年12月30日閲覧。
  22. ^ "ez nazionalistak" (espainiar nazionalistak)”. 2018年12月30日閲覧。
  23. ^ 「ナシオナリスモ」(ナショナリズム)というスペイン語が、バスク人の愛郷心にも、スペイン人の愛国心にも使われているため。
  24. ^ “Diario Vasco” (バスク語). Wikipedia, entziklopedia askea.. (2018-12-23). https://eu.wikipedia.org/w/index.php?title=Diario_Vasco&oldid=6520790. 
  25. ^ "elkarrizketa eta artikuluak Euskal gatazkaren espainiar nazionalismoaren bertsioaren aldekoak izateaz gain bere kontakizuna ezartzearen joera dute, "”. 2018年12月30日閲覧。
  26. ^ alegia "garaileen eta garaituen" edota "gatazkaren ezaren" kontakizuna,”. 2018年12月30日閲覧。
  27. ^ ”hau bereziki Bake Prozesua jazo zenetik behin eta berriz aipatu ohi du,””. 2018年12月30日閲覧。
  28. ^ “Diario Vasco” (バスク語). Wikipedia, entziklopedia askea.. (2018-12-23). https://eu.wikipedia.org/w/index.php?title=Diario_Vasco&oldid=6520790. 
  29. ^ ”Kirol mailan, futbolari dagokionez, Erreala eta Athletic Clubaren lehia neurriz kanpo auspotzeko joera du,””. 2018年12月30日閲覧。
  30. ^ Iñigo, ¿una aspirina?” (スペイン語). Real Sociedad - Diario Vasco (2018年4月29日). 2018年12月30日閲覧。
  31. ^ Mampaso, Ana (2010). “"La Fortuna, por siempre y para siempre”, a cross-generational and participatory documentary”. Encounters/Encuentros/Rencontres on Education. doi:10.15572/enco2010.03. ISSN 1925-8992. http://dx.doi.org/10.15572/enco2010.03. 
  32. ^ ”usadioz txuri-urdin zalegoaren etsai nagusiak Real Madril eta Atletico Madril taldeak direnean:””. 2018年12月29日閲覧。
  33. ^ Álvaro Odriozola, un lateral moderno en campo contrario” (スペイン語). Real Sociedad - Diario Vasco (2018年7月5日). 2018年12月30日閲覧。
  34. ^ El Disneyland de Odriozola” (スペイン語). El Diario Vasco (2018年7月18日). 2018年12月30日閲覧。
  35. ^ "Bestalde, Osasuna futbol taldea ez du euskal taldetzat jotzen.″”. 2018年12月30日閲覧。
  36. ^ redaccionpr. “OJD: La bajada de ventas en los regionales se suaviza a excepción de ‘La Voz de Galicia’ (9,7%)” (スペイン語). prnoticias. 2018年12月30日閲覧。
  37. ^ redaccionpr. “OJD: La bajada de ventas en los regionales se suaviza a excepción de ‘La Voz de Galicia’ (9,7%)” (スペイン語). prnoticias. 2018年12月30日閲覧。

関連項目