パンポン
パンポンは茨城県日立市で生まれた球技。日立製作所の日立工場（山手工場）で1922年頃に始められた。木の板で作られた「ラケット」と同じく木製の「ネット」で行うテニスと卓球に似た球技で、軟式テニスのボールを用いる。
歴史
1920年前後の日立製作所山手工場では、正門が閉じられ外出できないこともあり、休み時間にキャッチボールがさかんに行われていた。しかし頻繁にボールで窓ガラスを割るものがおり、そのため工場内でのキャッチボール自体が禁止された。それをきっかけに、地面に線を引いてコートを描き、ゴムボールを手で打ち合うようになった。その後、手の代わりに廃材の板きれを用いるようになった。
1929年にルールが作成され、当時の日立製作所日立工場長であった高尾直三郎によって「パンポン」と命名された（その後、高尾によって「板球」という名称も付けられた）。
このパンポンは、日立市内の地域や学校に広まるとともに、日立製作所の工場の拡張に伴って日立市の外へも伝えられていった。日立製作所の本社があった新丸ビルの屋上で行われていた記録もある。
現在でも、日立市内では、日立市パンポン大会が開催されたり、学校のクラブ活動になるなど、市民に愛されるスポーツである。
また、パンポンにちなんだ「ぱんぽん」という文芸誌が1947年に発刊され、現在も刊行され続けている。
ルール
コートは、7×2.5mの長方形で、その中に5.5×1mのサービスコートを設ける。ペンキや白いテープで地面に枠線を引いたもので、広場や駐車場、舗装された住宅地の道路などに数多く作られた。
コート中央に高さ0.4mの板を立て渡して「ネット」とし、0.3×0.2mの木の板（文房具の下敷きをイメージすると判りやすい。持ちやすくするために短辺に添って木片を打ち付ける。）をラケットにしてボールを打ち合う。
ルールは卓球に準拠するが、1ゲーム4点先取の3セットマッチで行われる。
サービスはコートのエンドライン外から、腰の下の高さから打つ。
ダブルスでは、卓球と同じく交互にプレーする。