コンテンツにスキップ

京王線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Mover (会話 | 投稿記録) による 2006年8月15日 (火) 09:08個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

京王線(けいおうせん)は、東京都新宿区新宿駅八王子市京王八王子駅間を結ぶ京王電鉄鉄道路線である。

「京王線」の呼称は、京王電鉄の広報物などにおいても、次のように多義的に用いられている。なお、俗に京王電鉄線の意味で井の頭線を含む京王電鉄の路線すべてを含めて「京王線」と呼ぶことがある。

  1. 新宿駅~京王八王子駅間の京王電鉄の路線。後述の「京王新線」を含む。国土交通省への届け出上の「京王線」。「京王本線」と呼ばれることもある。
  2. 上記から「京王新線」を除く路線。「本線」と呼ばれることがある。「京王線新宿駅」というときの「京王線」はこの意味である。この記事では、この意味での京王線について述べる。京王新線については、京王新線の記事を参照。
  3. 京王電鉄の路線のうち、上記の京王線に乗り入れ列車のある路線のすべて。京王新線相模原線競馬場線動物園線高尾線を含む。井の頭線はかつて小田急系の別会社であったことから規格が異なり乗り入れがないので除かれる。


ファイル:京王線多摩川鉄橋0001.jpg
京王線多摩川鉄橋 中河原~聖蹟桜ヶ丘間

路線データ

  • 路線距離:37.9km
  • 軌間:1372mm
  • 複線区間:笹塚~京王八王子間(31.3km)
  • 複々線区間:新宿~笹塚間(3.6km)
    複々線区間のうち、既存の線は京王線、都営新宿線直通のために造られた増設線は京王新線と呼ばれている。新線開通前に新宿~笹塚間にあった初台駅幡ヶ谷駅は新線開通時に新線に移設されたため、現在両駅は新線にしかない。新宿駅は両方にあるが、いくらか離れているため、それぞれ京王線新宿、新線新宿のように呼ばれている。
    このように、構造上、京王線が急行線、京王新線が緩行線であるが、京王線新宿は都営新宿線と直通しておらず、同線との直通は新線経由でなければできないので、新宿を始発・終着とする列車は通例各駅停車も含めて京王線(途中2駅を通過する)、直通列車は急行・快速・通勤快速も含めて新線(途中2駅に停車する)となっている。
    言い換えると、この途中2駅に行くためには、列車種別に関わりなく、新宿からは新線新宿から乗車し、笹塚側からは新線新宿行きまたは都営新宿線への直通列車に乗車することになる。
  • 電化区間:全線(直流1500V)
  • 保安装置:ATS(デジタル式ATCに更新予定)

路線概要

新宿と八王子を結ぶ路線であるので、大まかに言って国道20号首都高速道路4号新宿線中央自動車道と並行し、府中以東は国道20号にほぼ沿っている。また、JR中央本線とも並行であるといえる。また、聖蹟桜ヶ丘以西は川崎街道北野街道に沿いながら浅川をさかのぼっている。建設時の経緯から、府中駅を境にして長い直線区間が少なくなるのも特徴である。

新宿~笹塚

JR新宿駅の西隣、小田急新宿駅のさらに西隣の地下2階に南北に延びる3面3線の新宿駅を南に出て、国道20号を地下でくぐって新宿区から渋谷区に入り、海側(京王八王子に向かって左側)2線が合流しながら右に急カーブを切り、西南西に向きを変える。ここでシーサスポイントを通過。しばらく国道20号の少し南を走りながら旧初台駅跡を通り、幡ヶ谷駅を越えたところで上り線は急勾配(35‰)で地上へ。下り線はしばらくしてから京王新線と同時に地上へ出る。そのまま上下線が京王新線を挟む形で高架の笹塚駅に登る。ここまでの地下区間は主に玉川上水の跡地を転用して建設された。駅の手前で東京都道420号鮫洲大山線(中野通りの延長)を越える。

トンネル内は騒音が大きいことから、下り列車では車内放送は笹塚駅手前で地上に出てから放送する(車掌によっては新宿駅発車後に車内放送する場合もある)。

笹塚~明大前

京王新線の電留線を挟みながら高度を下げ、世田谷区に入る。ここから世田谷区の北端をときおり杉並区に入りながらさらに西南西に向かう。環七通りを越え、玉川上水を越えたところに代田橋駅がある。代田橋駅手前までは高架であるが、ここから先は地上を進む。明大前駅井の頭線と交差する。

明大前~千歳烏山

右に大きくカーブを切るところに、下高井戸駅がある。ここで左から東急世田谷線を迎えることになる。向きを西北西に変え、車両基地もある2面4線の桜上水駅へ。続く京王線では数少ない島式1面の上北沢駅付近からしばらく首都高速道路との距離が離れる。上北沢駅を出ると高架駅の八幡山駅に向け駆け上る。八幡山駅は京王線では唯一、ホームのない通過線のある駅で、本線が外側線となっているのも唯一である。その高架により環八通りを越える。左に高架の電留線を見ながら高架線から駆け下りて、左にカーブを切って芦花公園駅、西南西に向かって、烏山川を跨ぎ、千歳烏山駅である。この付近はバイパスである国道20号と多少離れるが、旧道とは近い。

千歳烏山~つつじヶ丘

仙川の谷に下り、これを渡ると地面は上がっていくが、線路はさらに下って切り通しに入る。調布市となり、仙川駅に着く。このホームは島式1面であったが、近年上り線に専用のホームができて、山手線渋谷駅と同じような構造になった。都道114号をくぐると武蔵野台地の国分寺崖線から入間川の谷に突き出す。高架で進んで入間川を跨ぎ、武蔵野台地の武蔵野面舌状台地へ着地する。

つつじヶ丘~調布

つつじヶ丘駅で左に電留線を見送りながら、本線は崖に突き出しながら国分寺崖線を再び下り、柴崎駅の先で野川を越える。国領駅構内で大きくカーブを右に切る。ここから再び西北西に向きを変え、狛江通りと交差。この踏み切りはいつも渋滞している。布田駅でさらに右に曲がって、2面4線の調布駅へ入る。

調布~府中

相模原線とのポイントを通過したら、都道120号と交差する。相模原線を左に分けると、2003年に完成した鶴川街道の調布鶴川陸橋をくぐる。調布と西調布の駅間はその前後の倍以上ある。西調布駅を過ぎるとすぐ、中央道をくぐる。右手に味の素スタジアムを見ながら、ほどなく飛田給駅である。左右にカーブを切りながら府中市に入る。市道の切り通しを越えて、武蔵野台駅へ。駅端からすぐに土手を上り、市道、西武多摩川線、市道を越え、地上に降りて右にカーブを切って多磨霊園駅へ。東府中駅は下り線のみ待避線を持ち、さらにその南隣に競馬場線専用ホームがある。競馬場線を左に分けて旧甲州街道を斜めに横切り、線路も左にカーブを切りそのまま高架を上ってゆく。小金井街道を越えて2面4線の府中駅に着く。

府中~聖蹟桜ヶ丘

府中を出たらすぐに国分寺街道府中街道を跨ぎ、JR武蔵野線(地下)と交差して、大きく左にカーブを切りながら地上に降りる。進路は南南西になる。ここで再び旧甲州街道の踏切があり、分倍河原駅へ。この駅の途中で立川崖線があり、ここから南は高架駅となる。その崖線下に沿ってJR南武線のホームがある。すなわち南武線ホームは地上駅である。市道(ホーム下)と鎌倉街道旧道を越え、地上に降りる。降りきったところで中央道をくぐる。再び右にカーブを切りながら西南西に向かって高架に上がり、中河原駅である。ここで新道と合流した鎌倉街道を再び越える。左にカーブを切り、進路を再び南南西として多摩川を越え、多摩市に入る。右に急カーブを切って聖蹟桜ヶ丘駅である。この駅は古くはカーブの途中にあったが、高架化の折りに駅ホームの一部を直線としている。

聖蹟桜ヶ丘~高幡不動

ここから川崎街道の右に沿って走る。野猿街道の一部立体交差を越えると、左から多摩丘陵が迫る。日野市に入り、ここからは多摩丘陵と多摩川の間の狭い平野の南端近くを走ることになる。右、左にカーブを切ると百草園。右から程久保川が迫り、これを越えると、多摩モノレールの高幡不動駅をくぐる。同時に都道と交差する。高幡不動駅は、動物園線用のホーム、線路を入れて3面5線の駅である。

高幡不動~京王八王子

左にカーブを切り、右折した川崎街道と交差し、さらにその直進方向である北野街道に沿う。左に曲がって南西を向く。さらに左折すると南平駅である。右に曲がって、平山橋を渡る道と交差し、左に曲がると平山城址公園駅である。八王子市に入って、浅川、北野街道に挟まれるように右に大きく曲がり、西進すると長沼駅である。その先で北野街道が左から迫り、これと交差する。なお都道を左に見ながら直進し、右にカーブして湯殿川を渡り、高架2面4線の北野駅となる。国道16号八王子バイパスを越え、直進する高尾線に分かれて右にカーブし、西北西を向く。左からJR横浜線が迫り、並ぶところで野猿街道の陸橋をくぐる。横浜線を左に分けると、すぐに中央線、八高線の高架をくぐる。左にカーブしながら地下に潜ってゆき、北西を向いて1面2線の京王八王子駅に至る。

歴史

京王電気軌道1913年笹塚駅調布駅を開通させた。その後、小刻みに延長を繰り返し、新宿駅~府中駅間を1916年に全通させた。当初、新宿駅~笹塚駅、調布駅~府中駅~国分寺駅はバス連絡を行っていた(東京で最初のバス営業)。

府中駅~東八王子駅(現:京王八王子駅)間は、関連会社の玉南電気鉄道1925年に開業した。同区間は国から補助金を得るため、軌道法に基づく軌道ではなく、地方鉄道法に基づく鉄道として、軌間1067mmで建設された。そのため、京王電軌と玉南とは直通運転できなかった。 玉南は結局、中央線との競合を理由に補助金を得られなかった。そのため、1926年に京王電軌は玉南を合併。改めて軌道特許を取得して同区間を軌間1372mmに変更した。新宿~東八王子間の直通運転が開始されたのは1928年のことである。

京王線の幡ヶ谷駅以東は戦前、甲州街道を走る軌道だった。新宿方の起点は、現在は新宿駅西側の京王百貨店地下二階であるが、古くは、南口のJRの線路をのりこえた先の新宿追分(新宿伊勢丹前交差点。現在の新宿三丁目駅に相当)であった。1936年、幡ヶ谷より新町までは玉川上水を暗渠とした上に専用軌道を敷設。新宿起点も追分交差点上から脇の四谷新宿駅(のちの京王新宿駅。現在は京王新宿三丁目ビルが立地)に移転した。戦争末期の1945年、新宿~初台間にある天神橋変電所が空襲に遭って電圧が低下した時、新宿駅南口の跨線橋の坂を電車が上れなくなったため、西口の現在の場所にターミナルが作られた。(この場所は東横線新宿延伸計画用の土地だった。詳しくは、東京横浜電鉄新宿延伸計画を参照)以降も、新宿駅と文化服装学院前までの間は甲州街道上に軌道が敷設されていたが、1953年道路中央を専用軌道化した。しかし、新宿駅周辺の甲州街道上り線を横切る踏切に遮断器が設けられていなかったことによるトラブルが相次ぎ、また甲州街道自体拡幅の必要に迫られ、京王線軌道敷を移設することになった。こうして新宿駅は1963年4月に現在の地下駅が完成し、同区間が地下化された。翌1964年に地下区間は初台駅の先まで、1983年には笹塚駅東側まで延長された。

  • 1913年4月15日 京王電気軌道笹塚~調布間(12.1km)開業
  • 1913年10月11日 代々幡~笹塚間(1.3km)開業
  • 1914年4月8日 幡代小学校前~代々幡間(0.3km)開業
  • 1914年6月11日 代々木~幡代小学校前間(0.7km)開業
  • 1914年11月19日 新町~代々木間(0.6km)開業
  • 1915年3月31日 葵橋~新町間(0.4km)開業
  • 1915年5月1日 停車場前~葵橋間(0.4km)開業
  • 1915年5月30日 新宿三丁目(新宿追分)~停車場前間(0.1km)開業
  • 1916年9月1日 調布~飛田給間(1.8km)開業
  • 1916年10月30日 飛田給~府中間(4.2km)開業
  • 1920年3月27日 笹塚~上高井戸(芦花公園)間複線化
  • 1920年4月5日 上高井戸~烏山(千歳烏山)間複線化
  • 1920年4月15日 金子(つつじヶ丘)~調布間複線化
  • 1920年6月25日 烏山~金子間複線化
  • 1923年5月1日 調布~府中間複線化
  • 1925年3月24日 玉南電気鉄道府中~東八王子間(16.3km)開業(地方鉄道)
  • 1926年12月27日 玉南電気鉄道を合併
  • 1927年6月1日 府中~東八王子間(16.3km)開業(軌道)
  • 1928年5月22日 新宿~東八王子間直通運転開始
  • 1929年4月1日 関戸(聖蹟桜ヶ丘)~北野間複線化
  • 1929年4月7日 府中~中河原間複線化
  • 1944年5月31日 陸上交通事業調整法により、東京急行電鉄に合併され、同社の経営となる
  • 1945年7月24日 新宿起点を現在地(新宿西口)に移転
  • 1945年10月1日 軌道から地方鉄道に変更
  • 1948年6月1日 京王帝都電鉄発足に伴い、同社に譲渡される
  • 1963年4月1日 新宿地下駅営業開始
  • 1963年8月4日 架線電圧を1500Vに昇圧
  • 1963年10月1日 京王線新宿~東八王子間特急運転開始。 
  • 1963年12月11日 東八王子駅を移設し、京王八王子駅に改称。
  • 1964年4月21日 中河原~聖蹟桜ヶ丘間複線化
  • 1978年10月31日 新宿(新線新宿)~笹塚間複々線化(京王新線開通)
  • 1980年3月16日 都営地下鉄新宿線開通。相互直通運転開始

運転

新宿駅の出発案内

京王電鉄の基軸となる路線であり、相模原線高尾線といった支線区や、相互乗り入れを行う都営地下鉄新宿線への直通列車も多数運転される。なお、都営新宿線との相互乗り入れについては、京王相模原線を参照されたい。

多様な列車種別と緩急結合に配慮したダイヤによって各駅の利便性の確保に努めるとともに、最高速度110km/hという関東の民鉄ではつくばエクスプレス京浜急行電鉄に次ぐ高速運転の実施によって都市間輸送にも対応している。準特急の登場は好評だが、停車駅の増えた快速は遅すぎると不評である。

また、調布駅での平面交差、加速性能の悪さ、さらに余裕のないダイヤなどから、慢性的な遅延が問題になっている。定時で走る時は少ないとも言われている。

中央快速線との競争は日中は高速運転や運賃の安さで大きく優位に立っているが、朝夕は低速のため大きく水をあけられている。原型競争区間は新宿~八王子・高尾であるが、中央線に通勤特快が走る時間帯は、分倍河原駅では南武線立川駅まで行って中央線の通勤特快で行くほうが、京王線一本で行くより早く新宿に着けるほどである。ただ、ラッシュ時の上り電車は京王もJRも酷い混雑で、この時間の乗客の流動性は極めて低い。そのため改善される様子はない。

平日、土曜・休日オフ(1~3・7・8・12月)、土曜・休日シーズン(4~6・9~11月)の各ダイヤは、基本的に大きく朝間、昼・夜間、深夜に分けられ、早朝を除く朝間は不規則ながらほぼ10分ヘッド、昼・夜間は20分ヘッド(但し特急と準特急、急行と快速を同一視すればほぼ10分ヘッドと言える)、深夜は15分ヘッドである。昼・夜間は、昼間、夕方、夜間に細分できる。

なお、土曜・休日オフダイヤと土曜・休日シーズンダイヤは2006年(平成18年)8月一杯で終了し、翌9月から土曜・休日ダイヤが一本化される。

特急(Special Express)

本路線における最速達列車。区部は明大前駅のみの停車、市部は基本的に1市につき1停車駅である。

  • 通常は京王線新宿駅~京王八王子駅間のみの運転となる。
  • 2001年3月までは相模原線系統の特急も運転されていたが、廃止された。
  • 2006年6月までは土曜・休日シーズンダイヤでの京王線新宿~京王八王子・高尾山口間(高幡不動で分割併合)が運転されていたが、同年9月に行われるダイヤ改定でこの系統の運転は6月をもって一旦幕を下ろす形となった。また、同ダイヤ改定より土曜・休日ではこの特急が走らなくなる可能性が非常に高い。

準特急(Semi Special Express)

2001年3月に、急行、平日夕夜間の通勤快速に置き換えて新設された高尾線方面への速達列車の主力。府中駅まで特急停車駅とそれ以降の急行停車駅に停車。全体では特急停車駅に分倍河原駅北野駅を追加した形となる。

  • 平日昼間と土曜・休日はは京王線新宿駅~高尾山口駅間の運転となる。
  • 平日の夕方・夜間、土曜・休日の昼間の一部時間帯(上り)は京王線新宿駅~京王八王子駅間の運転。
  • 旅客案内上は全区間準特急であるが、ダイヤ上は府中以西は急行扱いとなっている。仕業表に差し込む種別表示の板は府中停車中に裏返しにされる(表は特急、裏側は急行になっている)。TNSの表示は自動的に変わる。
  • 土曜・休日シーズンダイヤで準特急に使用される車両は7000系が多い。
  • 2005年3月25日の改定から6000系(10両すべて6000系。5両+5両)が土曜・休日のみ運用に入るようになった。

急行(Express)

相模原線方面へ直通する急行は、分岐駅の調布でその性格を変える。同駅で特急に接続する事により相模原線内では新宿に向かう最速達ルートの一部となるが、京王線内(新宿~調布間)では特急・準特急の停車しない主要駅を対象とした速達列車となる。通勤急行の種別があった1992年まではつつじヶ丘駅を通過していた。

  • 京王新線内は、各駅に停車。
  • 朝間は京王線新宿駅~京王八王子駅・高尾山口駅間である。平日は相模原線系統の急行があり、この時間帯の上りは行先表示が急行の新線新宿駅行の表示で、新線新宿から各駅停車の本八幡駅行と表示が変わる
  • 昼間は都営新宿線に乗り入れ、本八幡駅~橋本駅間の運転となる。同線内も急行運転される。土曜・休日シーズンダイヤには京王線新宿駅~多摩動物公園駅間の列車が加わる。
  • 東京競馬場での競馬開催日の夕方には、府中競馬正門前駅から京王線新宿駅・新線新宿駅間への上り列車が運転される。
  • 平日17時から下り19時半・上り20時半頃までは、京王線新宿駅~橋本駅間の列車と、都営新宿線内各駅停車・新線新宿~橋本間急行運転の電車が交互に運転されている。
  • 夜間は京王線新宿駅~橋本駅間の列車と本八幡駅~調布間快速・調布~橋本間急行という変則的な列車が交互に運転されている。
  • 深夜は京王線新宿駅~京王八王子駅間の運転となる。終電近くの下り急行は新宿発の高幡不動駅行の表示で、そこから各駅停車の京王八王子駅行に表示が変わるものがある。
  • 2001年3月までは昼間でも京王線新宿駅~高尾山口駅間で夕方ラッシュ時を除き運行されていた。

通勤快速(Commuter Rapid)

2001年のダイヤ改正までの快速との違いは下高井戸駅を通過するだけの違いであった。平日の朝ラッシュ時に京王線系統と都営新宿線~相模原線系統で、平日深夜には新宿→橋本で数本運転される。2006年現在では新宿駅~分倍河原駅間は急行と同じ、その他は各駅に停車する。

  • 仕業表に差し込む種別表示の板を府中停車中に急行から普通に変える。同時にTNS表示が通勤快速から普通に自動的に変わる。
  • 京王新線開通までは笹塚を通過していた。

快速(Rapid)

通勤快速より3駅停車駅が多い。2001年のダイヤ改正から、各駅停車減便の代償として八幡山駅仙川駅が新たに停車駅となった。これにより、かなり遅く感じられる。相模原線系統の快速は、本線では急行と対を成し、相模原線では急行を補完する列車である。そのため、所要時間は各駅停車並であるが利用者は多く、混雑する。

  • 昼間は京王線新宿駅~橋本駅間の運転。
  • 通勤快速および都営線内各駅停車の急行が運転される時間帯は運転されない。
  • 休日夜間は都営新宿線に直通し、本八幡駅~橋本駅間の運転となる。60km近くの長距離を走るが全線で通過するのはたった6駅であり、そのうち3駅は調布市内である。しかも1駅通過してはまた停車するのが3回あり、3駅続けて停車するのも2回あり、その上笹塚駅~調布駅間はどこも駅間距離が短く、スピードを出してもすぐに徐行してしまう。それでも大半の列車はつつじヶ丘駅各停を追い越す(詳しい停車駅は後述)。
  • 平日夜間は都営新宿線に直通し、本八幡駅~調布駅間の運転となる(調布駅~橋本駅間は同じ車両で急行となる)。
  • 京王線系統の列車が土曜・休日の朝間に運転されている。平日は早朝の上りが1本が運転される。
  • 急行に追い抜かされる快速があり、2003年の改定までは通勤快速に抜かれる快速も設定されていた。特急にも抜かされることがある。このような場合、所要時間は各駅停車とほぼ同じである。
  • 通勤快速と同じく府中(相模原線は調布)でTNSが普通に変わる。

各駅停車を名乗るものの、京王線新宿駅に発着する列車は、初台駅、幡ヶ谷駅は(京王線にはホームがないため)通過する。

京王線の各駅停車が「各停」の種別幕を上げるようにあったのは2002年初頭頃からであり、それまでは無地の黄色い種別幕であった。2001年3月のダイヤ改正まで表示は「普通」だったが、放送では以前から「各駅停車」である。

  • 大半は京王線新宿駅~高幡不動駅・京王八王子駅・高尾山口駅間ないし高幡不動駅~高尾山口駅間の運転となる。
  • ラッシュ時や深夜には桜上水駅、つつじヶ丘駅、府中駅発着の列車も運転される。
  • 最早朝・最深夜には新線新宿駅発着となる。
  • 都営新宿線からの直通列車は大半が笹塚駅発着であるが、平日夕方と深夜はつつじヶ丘駅発着の列車が、朝と深夜には桜上水発着の列車もある。

過去の列車種別

平日朝の上り列車のみで運転されていた。京王新線の開通により通勤急行が通勤快速とともに笹塚駅に停車するようになってからは、急行と通勤急行の違いは、つつじヶ丘駅に停車するか通過するかだけであった。1992年に急行のつつじヶ丘駅停車により統合され、消滅した。

特急(相模原線系統・通称「橋本特急」)

1992年5月から2001年3月27日までの間は相模原線系統の特急も運転されていた。新宿駅と橋本駅を速達で結ぶため、停車駅は新宿駅、明大前駅、調布駅、京王多摩センター駅、橋本駅と少なく、調布駅での各停への接続廃止後は相模原線の大半の駅では利用出来なくなり、また、新宿駅~調布駅間で急行の後追いとなり本線系統の特急より到達時間がかかる(調布駅の手前で停止することが日常茶飯事だった)こともあって、2001年3月のダイヤ改正で停車駅を見なおし合わせて急行に格下げされ、調布で本線系統の特急または準特急と接続するダイヤを最速とする形に修正され廃止された。

登場時は主に6000系を中心とした運用だったが(本線系統の優等列車を8000系として区別するため)、1995年に8000系の8両編成が登場した後には8000系を中心とした運用だった。末期には登場したばかりの9000系も運用に就いていた。

駅データ

  • この書体は始発・終着列車がある駅。
  • 数字は京王線新宿発の標準所要時間(特急・準特・快速は日中、急行は夕ラッシュ時。注…京王八王子駅の準特の所要時間は夕ラッシュ時)。なお、各駅停車は表記されているすべての駅に停車するため省略。
  • 臨印は休日のイベントが行われる時のみに停車する。
駅名 駅間
キロ
累計
キロ
快速 通勤快速 急行 準特急 特急 接続路線 所在地
新宿駅 - 0.0 0 0 0 0 東日本旅客鉄道中央線(快速)中央・総武線(各駅停車)山手線埼京線湘南新宿ライン
小田急電鉄小田原線
東京地下鉄丸ノ内線(M-08)
都営地下鉄新宿線(S-01)、大江戸線(E-27、新宿西口駅:E-01)
東京都
新宿区
この間の初台駅幡ヶ谷駅は、京王新線にのみホームがある。
笹塚駅 3.6 3.6 5 5 京王電鉄:京王新線(一部列車直通) 東京都 渋谷区
代田橋駅 0.8 4.4   世田谷区
明大前駅 0.8 5.2 6 8 5 5 京王電鉄:井の頭線
下高井戸駅 0.9 6.1 7 東京急行電鉄世田谷線
桜上水駅 0.9 7.0 9 11  
上北沢駅 0.8 7.8  
八幡山駅 0.6 8.4 11   杉並区
芦花公園駅 0.7 9.1   世田谷区
千歳烏山駅 0.8 9.9 13 14  
仙川駅 1.6 11.5 15   調布市
つつじヶ丘駅 1.0 12.5 17 17  
柴崎駅 0.8 13.3  
国領駅 0.9 14.2  
布田駅 0.7 14.9  
調布駅 0.6 15.5 20 20 14 14 京王電鉄:相模原線
西調布駅 1.5 17.0  
飛田給駅 0.7 17.7  
武蔵野台駅 1.1 18.8 西武鉄道多摩川線白糸台駅 府中市
多磨霊園駅 0.8 19.6  
東府中駅 0.8 20.4 京王電鉄:競馬場線
府中駅 1.5 21.9 19 19  
分倍河原駅 1.2 23.1 21 東日本旅客鉄道:南武線
中河原駅 1.6 24.7  
聖蹟桜ヶ丘駅 1.6 26.3 24 24   多摩市
百草園駅 1.7 28.0   日野市
高幡不動駅 1.7 29.7 28 27 京王電鉄:動物園線
多摩都市モノレール多摩都市モノレール線
南平駅 2.4 32.1  
平山城址公園駅 1.3 33.4  
長沼駅 1.5 34.9   八王子市
北野駅 1.2 36.1 34 京王電鉄:高尾線
京王八王子駅 1.8 37.9 40 34 東日本旅客鉄道:中央線(快速)、横浜線八高線(すべて八王子駅

新宿~調布間の連続立体交差化事業および複々線化計画

京王線の新宿~調布間は相模原線からの直通電車が多いため、朝夕の混雑が非常に激しく、またいわゆる開かずの踏切が多く存在し、沿線の交通事情を悪化させている。抜本的な対策としては同区間の連続立体交差化および複々線化を行う必要がある。このうち新宿~笹塚間は京王新線として事業が完了しており、現在は柴崎~調布~西調布間ならびに、調布~京王多摩川(相模原線)間の地下化工事が進められている(2012年に完了予定)。この工事により国領・布田・調布の3駅が地下駅となり、加えて調布駅が2層式ホームになり、相模原線との平面交差が解消され、慢性的な遅延の緩和が期待される。また調布~つつじヶ丘間は地下を利用した複々線計画が検討されている。また八幡山駅周辺は交通量の多い環状八号線が通っており、早めに高架化が行われた。その際に待避線を増設したため、八幡山駅構内のみ事実上複々線化工事は完了している。この待避線を利用して八幡山駅は平日朝夕ラッシュ時には各駅停車が通過待ちをする。

なお国土交通省は笹塚~調布間の複々線化について「今後整備について検討すべき路線(沿線の開発プロジェクトの進捗状況、輸送需要動向、投資能力などを踏まえつつ、整備の必要性、整備方策などについて検討すべき路線 )」と位置付けている。具体的な課題としては工事に必要な用地取得の問題、工事にかかる資金調達による経営上のリスク、沿線の人口減による将来の鉄道収入減少への懸念などが考えられる。

その他

京王全線のうち、約半数の駅で電車が接近する時に接近メロディが流れる。メロディが流れるのは分倍河原駅とめじろ台駅以外は各駅停車のみ、もしくは各駅停車と快速電車(下高井戸駅・八幡山駅・仙川駅以外は通勤快速電車も含む)のみが停車する駅である。上りが「牧場の朝」、下りが「野ばら」である。大まかに分けて急行停車駅と飛田給駅・八幡山駅と通過駅(実際の区分は運行管理システムと連動するかしないか)でメロディーが異なる。その他、相模原線のみだが、一時期「アマリリス」も使用されていた。近年機器更新で廃止になった駅が非連動駅(通過駅タイプ使用)を中心に多いが、井の頭線を含めて新タイプの導入も進んでいる。余談であるが、非連動駅タイプの「牧場の朝」は八高線箱根ヶ崎駅でも使用されているほか、「野ばら」も宇都宮線黒磯駅などで使用されているものと同一である。

関連項目