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Century (書体)

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センチュリー
Century
様式 セリフ
分類 ディドーン英語版、スコッチモダン
デザイナー リン・ボイド・ベントン英語版モリス・フラー・ベントン英語版
制作会社 アメリカ活字鋳造社(ATF)
発表年月日 1894-1923年
派生品 センチュリー・エクスパンデッド、センチュリー・スクールブック、 センチュリー・オールドスタイル、センチュリー・カタログ
上記表示フォント センチュリー・スクールブック

センチュリー(英:Century)とは、特に本文で使うことを意図されたセリフ体の欧文書体の一群(ファミリー)である。

この書体ファミリーの起源となる最初のデザイン、「センチュリー・ローマン」はアメリカ活字鋳造社(A.T.F)のデザイナーであるリン・ボイド・ベントン英語版が1894年に制作したもので、セオドア・ロウ・デ・ヴィネ英語版印刷会社が雑誌『The Century Magazine』で使用するためのものだった[1]。最初のリン・ボイドと後を継いだ息子モリス・フラー・ベントン英語版の尽力により、A.T.Fがセンチュリー書体を非常に大規模なファミリーに急拡張していった。

概要

センチュリーは、アメリカ合衆国で19世紀初頭からよく使われていた英国起源の字体「スコッチローマン英語版」様式に基づいており、19世紀の間ずっと人気のあった「ディドーン英語版」様式の字体の一部だった[2][3]。そのデザインは鮮明さと優雅さを強調していて、細いテーパーで終わるストローク、ケルン(ball terminal)[注釈 1]、きめ細かく尖ったセリフを備えている。しかしながら、このジャンルで以前からあった多くの書体に比べて、ストロークのコントラスト[注釈 2]はかなり低く、シャープさを抑えて読みやすい構造である[5]。もはやA.T.Fが活動しなくとも、様々な特徴と品質を備えた広範なバリエーションおよび復刻版が利用可能となっている。

発端が19世紀にもかかわらず、定期刊行物、教科書、文献でこの書体の使用が強く残っている。合衆国最高裁判所は、訴状をセンチュリー・ファミリーの活字で組むよう要求している[6]。チャールズ・ショウによると「センチュリー・ファミリーの起伏がある簡潔さは、約100年にわたって米国の植字工に愛用され続けている。鋳造活字として始まったセンチュリーは、ライノタイプモノタイプ、ラドロー[注釈 3]写真植字、転写植字(オフセット印刷など)、電算写植、Xeroxのような「トナー方式」[注釈 4]に至る一連の技術的変革でも存続している。[8]」という。

固有の特徴

1912年のATF見本帳にある、複数のセンチュリー書体。当時はまだセンチュリー・スクールブックが未発表。

この書体の特徴は次のとおり。

  • 小文字:小文字cの上部にあるケルンでの巻き終わり。fのフックや、gの耳や、jの尻尾にあるケルン。
  • 大文字:大文字Rのカールした尻尾、Qの跳ねてカールした尻尾、Cの顕著なトップスパー[注釈 5]
  • 数字:3の両尻尾にあるケルンでの巻き終わり、そして2,5,6,9の片側の尻尾も同様。

バリエーション

センチュリー・ローマン

センチュリー・ローマン
Century Roman
様式 セリフ
分類 モダン
デザイナー リン・ボイド・ベントン英語版
委託元The Century Magazine』の出版元セオドア・ロウ・デ・ヴィネ英語版
制作会社 アメリカ活字鋳造社(A.T.F)
制作年月日 1894年
発表年月日 1895年11月に『The Century Magazine 』刊行

The Century Magazine』出版元のセオドア・ロウ・デ・ヴィネは、雑誌で読みやすいフォントを求めていた。彼は、アメリカ活字鋳造社を新たに設立した友人のリン・ボイド・ベントン(以下L.B. ベントン)に、そうした書体を考案してくれるよう依頼した。主にジャンバティスタ・ボドニー英語版の影響により、19世紀全般で一般的な印刷フォントが細身になっていたため、ページ上で弱い印象を与えていた。デ・ヴィネと芸術愛好家のウィリアム・モリスはこの「ひ弱になっていく事」を批判して、もっと黒い書体への転換を訴えた[8]。L.B. ベントンが生みだした書体の「センチュリー・ローマン」は、大半の書体よりもエックスハイト英語版(小文字の高さ)が大きく、一般的なものよりも厚みのあるヘアラインだったが、デ・ヴィネはこれがより読みやすいと確信して、コンデンスド書体[注釈 6]のままにした[9]。これは鋳造活字でのみ作られ、後に付随する通常幅の字体がL.B. ベントンによって製作された。それは「センチュリー・ブロード・フェイス」や「センチュリーNo. 2」など様々に呼ばれている[10]。センチュリーファミリーの起源となっている書体にもかかわらず、より普通の比率である後年の書体ファミリーに比べて人気は芳しくない。

センチュリー

センチュリー
Century
様式 セリフ
分類 モダン
デザイナー モリス・フラー・ベントン英語版
委託元 アメリカ活字鋳造社(A.T.F
制作会社 アメリカ活字鋳造社(A.T.F)
制作年月日 1900年
発表年月日 1900-1910年
提供元 Barnhart Brothers & Spindler, Linotype, Intertype, Monotype, Ludlow
別名 センチュリー・エクスパンデッド
ベース書体 センチュリー・ローマン+ブルース#16 ローマン

L.B. ベントンの息子であるモリス・フラー・ベントン英語版(以下M.F.ベントン)は、1892年に23の鋳造所をアメリカ活字鋳造社に併合すると、これら製造業者の書体を取捨選択して統合する任務を請け負った。これに続き、彼は当時の国際活版印刷組合(ITU)の基準を満たすよう「センチュリーNo. 2」を適合させる任務を与えらた。スミソニアン協会の記録では、M.F.ベントンは父親の書体を再設計しただけでなく、A.T.Fが最近買収したブルース活字鋳造所英語版 の「#16 ローマン」 も参考にしたことが示されている(そして恐らく偶然ではないだろうが、デ・ヴィネによって印刷された1877年のブルース鋳造所のカタログにそれが紹介されていた)[8]。その結果生まれた「センチュリー・エクスパンデッド」は、大成功を収めた。1912年までにA.T.Fのカタログはもはや元祖のセンチュリー・ローマンを提供しなくなり、センチュリーファミリーの他のサンプルを64ページ表示した[11]

この活字導入が成功した後、M.F.ベントンは最初に計画された字体ファミリー(type family)の作成に着手しており、この「字体ファミリー」という概念はおそらくベントン単独の最大の功績である。この書体は10年間にわたって発行されたが、その全てがベントンによりデザインされたもので、A.T.Fによって発行された[10]

  • センチュリー・エクスパンデッド (1900)
  • センチュリー・イタリック+センチュリー・ボールド (1905)
  • センチュリー・ボールド・コンデンスド (1909)
  • センチュリー・ボールド・エクステンデッド(1910)

溶銑組版

センチュリーは非常に人気があり、ライノタイプ社Intertype社、Monotype社を含め機械的な組版機の全メーカーによってライセンス取得またはコピーされることとなった。Barnhart Brothers & Spindler社は自分たちのバージョンを「センチュリー・ローマン」と呼び、Ludlow社は1953年のバージョンを「センチュリー・モダン」と呼んだ。いくつかの亜種が追加された[10]

  • センチュリー・ボールド・コンデンスド・イタリック(1938,Monotype社,Sol Hess)
  • センチュリー・エクストラ・ボールド・エクステンデッド (ライノタイプ社)、新聞や雑誌の見出しに使用するために設計された。

写植

センチュリーの人気と有用性は、写真植字の時代もずっと続いており、主要な全ての製造業者が次の名前で写真植字に利用できるようにした[12]

  • センチュリー・エクスパンデッド- AutologicBertholdDymoHarrisMergenthalerMonotypeen:Varityper
  • センチュリー・X - Alphatype
  • センチュリー・ライト- Compugraphic
  • センスター(Censtar)・エクスパンデッド- Star/Photon
  • ケンブリッジ(Cambridge)・エクスパンデッド- Graphic Systems Inc.
  • デジ=アンティカ(Digi-Antiqua) - Hell AG
  • ITC・センチュリー - ITC: これはエックスハイト(小文字の高さ)を増やした、あまり忠実ではないバージョンだが、非常に人気があり、デジタル化されている。

センチュリー書体はまた、IBMセレクトリック・タイプライター英語版でも使用できた。

デジタルの変種

「ベントン・モダン・テキスト(Benton Modern Text)」というデジタル版は、最初にフォント・ビュロー英語版社によってボストン・グローブ 紙とDetroit Free Press紙のために作製された。それはトビアス・フレア=ジョーンズ英語版によって設計されたもので、センチュリー・エクスパンデッドに基づいているが、イタリック体と太字体はセンチュリー・スクールブックに基づいており、こちらはリチャード・リプトン英語版クリスチャン・シュワルツ英語版によって設計されたものである。 ベントン・モダンは、一般的なテキストと大きなテキストサイズ表示の2つの光学サイズでリリースされた[13]。フォント・ビュロー社は既に別事業として、特に新聞の見出しを意図するセンチュリー・ボールド・コンデンスドそれ自体をデジタル化していた[14]

センチュリー・オールドスタイル

センチュリー・オールドスタイル
Century Oldstyle
様式 セリフ
分類 オールドスタイル
デザイナー モリス・フラー・ベントン英語版
委託元 アメリカ活字鋳造社(A.T.F
制作会社 アメリカ活字鋳造社(A.T.F)
制作年月日 1909年
発表年月日 1909-1915年
提供元 Linotype社, Intertype社, Monotype
別名 オールドスタイルNo.9(Linotype社)
ベース書体 センチュリー・ローマン+ Caslon

「センチュリー・オールドスタイル」は、ブラケットセリフのある重い書体に流行が戻ってきた時にリリースされた。全てがベントンによって設計されてATFにより発行されたこの書体は、6年間にわたって発行された[10]。センチュリー・オールドスタイルは、ベントン父子が45年後にPhemister's Miller&Richard Old Style for A.T.F(ブックマン・オールドスタイルとしても知られる)を改造したもので、マーケティング目的でセンチュリーの名を冠したものであった。名前とは違って、純粋なオールドスタイルのセリフフォント(1750年以前頃に使用された鋳造活字の字体)ではないが、カールした大文字Qのような現代的特徴をより沢山持っている。

  • センチュリー・オールドスタイル+ イタリック + ボールド(1909)
  • センチュリー・オールドスタイル・ボールド・イタリック (1910)
  • センチュリー・オールドスタイル・ボールド・コンデンスド(1915)

溶銑組版

「センチュリー・オールドスタイル」は前作ほどの人気はなかったが、ローマンとイタリックはライノタイプ社、Intertype社、Monotype社によってコピーされた[10]

写植

オールドスタイル書体は写植時代において人気を集めたため、「センチュリー・オールドスタイル」は溶銑組版時代よりも広くコピーされた。 以下の名前でコピーが作られた[12]

センチュリー・カタログ

センチュリー・カタログ
Century Catalogue
様式 セリフ
分類 Modified Old Style
デザイナー モリス・フラー・ベントン英語版
委託元 アメリカ活字鋳造社(ATF
制作会社 アメリカ活字鋳造社(ATF)
制作年月日 1917年
発表年月日 1917年
ベース書体 センチュリー・エクスパンデッド

「センチュリー・カタログ(A.T.F見本帳での綴りはCentury Catalogue)」 はセンチュリー・エクスパンデッドよりもエックスハイトが低くなっているが、長いアセンダーにもかかわらず、同じ一般的デザインを踏襲している。センチュリー・カタログ・イタリックは、基本的にバスカヴィル英語版・イタリックの再加工であり、A、V、Wだけが異なる。どちらも1917年にM.F. ベントンとA.T.Fよりリリースされた[10]。知られる限り「センチュリー・カタログ」は、他の鋳造社や組版機械にも、写植にもコピーされなかった。 デジタル版では存在する可能性がある。

センチュリー・スクールブック

センチュリー・スクールブック
Century Schoolbook
様式 セリフ
分類 トランジショナル
デザイナー モリス・フラー・ベントン英語版
委託元 ジン&カンパニー英語版
制作会社 アメリカ活字鋳造社(ATF
制作年月日 1918年
発表年月日 1918-1923年
提供元 Linotype社, Intertype社, Monotype社, Ludlow
別名 センチュリー・モダン(Ludlow社)
ベース書体 センチュリー・エクスパンデッド

センチュリー・スクールブック(Century Schoolbook)は、1919年にM.F. ベントンによって設計されたトランジショナル・セリフの書体である。教科書向けの特に読みやすい書体を求めていた教科書出版社ジン&カンパニー英語版の要請があったATFのために設計された。センチュリー・スクールブックには、ディドーン英語版様式に似た要素がある。センチュリー・スクールブックは、かつてのセンチュリー・ローマンをベースにしている。

「センチュリー・スクールブック」は、多くの北米地域で大勢の人が最初に読み方を学んだ書体として馴染みがある。M.F. ベントンは、クラーク大学で行われた研究を利用して、若い読者がコントラストのある太さで文字の形状をより素早く特定することを示したが、軽めなストロークでの存在を維持した。同研究では、より小さなサイズで活字を認識するために、カウンターフォーム(黒い文字のまわりにある白いスペース)を維持することの重要性も示された[8]。センチュリー・スクールブックをデザインする際、M.F. ベントンはエックスハイト、ストローク幅、全体の文字間隔を増やした。この書体は5年間にわたって発行され、その全てがベントンによって設計され、A.T.Fにより発行された[10]

  • センチュリー・スクールブック (1918)
  • センチュリー・スクールブック・イタリック (1921)
  • センチュリー・スクールブック・ボールド (1923)

センチュリーファミリーの最後の書体は「スクールブック・オールドスタイル」と呼ばれる旧式のバージョンで、1920年に始まって1926年にリリースされ、1928年にイタリック体が続いた。これは姉妹書体の人気にも全く届かず、組版機械にも全く採用されなかった(当然ながら写植やデジタルにもない)。最終的にはお蔵入りとなった。

溶銑組版

A.T.FとM.F. ベントンにとって非常に人気の高い書体「センチュリー・スクールブック」は、ライノタイプ社Intertype社、Monotype社、Ludlow社を含む機械的な組版機の全ての製造業者によってライセンスまたはコピーされた。 変種のひとつ、センチュリー・スクールブックのボールドイタリック体までもIntertype社によって追加された[10]。ライノタイプ社は、教科書市場向けのセンチュリー・スクールブックと直接競争することを意図した書体「Primer」 を設計するようルドルフ・ルツィカ英語版に依頼した。

写植

センチュリー・スクールブックの人気は、写植時代のセンチュリーの人気を上回っていて、以下の名前で全ての製造業者によって提供された[12]

デジタルコピー

最も一般的なデジタルバージョンは、多くのマイクロソフト製品に付属のMonotype社のものである[15]URW++社, DTP Types社, Elsner+Flake社,ビットストリーム (企業) ほかによる「ニュー・センチュリー・スクールブック」というバージョンもある[16]

URW++社によってデジタル化された非常に限定された字体のセットは、オープンソースソフトウェアとしてGhostscript プロジェクトの一部として、タイプ1のフォーマットでリリースされている[17]。TeX Gyre Scholaは、ポーランドのグループによるURWリリースの適応版である。キリル文字版や小文字を含め、おそらくセンチュリー・ファミリーの最も完全なオープンソースのデジタル化である[18]

紛らわしいことに、マイクロソフト製品で提供されているMonotypeバージョンは、恐らくファイル名を短くする必要があった時期との下位互換性による理由から、単に「Century」と呼ばれている。現代のマイクロソフト製品には、この「Century」(ローマン体のみだがキリル文字を含む)と「センチュリー・スクールブック」という同じデザインが含まれている。後者はボールド体やイタリック体のファミリー全体を含む[19]

デジタル変種

Grad」は元のA.T.Fセンチュリー・スクールブックをベースにした、フィル・マーティンによる(マーク・シモンソン英語版によってデジタル化された)変種である。それはテキスト数字とスモールキャピタルがある広範なデジタル化で、非対称セリフなどの珍しい特徴も追加している[20]

センチュリー・スクールブック・インファント

これは子供が読み方を学ぶのを手助けするために使用される書体の単一バージョンである。 それは非常に稀だが、エリック・ヒルの絵本『Spot』で見られる。

キリル文字適応版

センチュリー・スクールブックの書体はまた、ソビエトのタイポグラフィーにも適応された。「Pioner(ロシア語で、開拓者)」と名付けられた最初のキリル文字適応版は1939年に設計され、後の1961年には2回目の適応が科学研究所(NII)のPoligrafmashで行われた。 後者のバージョンは「Shkol'naya(ロシア語で、学校の)」と命名され、以後はそれが標準となり、ソ連および後のロシアの子供向け出版物や学校の教科書に最も広く使われている書体である[21]

センチュリー・ノヴァ

センチュリー・ノヴァ+ イタリック (1964) は、活版(ホットタイプ)とオフセット(コールドタイプ)再生産の両方に等しく適合しなければならない、というA.T.Fからの規定に合わせてチャールズ・E・ヒューズによって設計された[22]。細い線が多くて、小文字ではエックスハイトがより大きく、そして(恐らく皮肉なことに)元祖センチュリー・ローマンの狭い文字幅の性質に戻っている[23]。これはA.T.Fによって製作された最後から2番目の書体だった。 Scangraphic社がデジタル版をリリースしている[24]

関連のデジタル復刻版

アレクセイ・クリューコフ英語版による、センチュリー・スクールブック(monotype社のデジタル版)とオールド・スタンダード(特に19世紀ロシアの印刷物に基づいたもの)との比較。両方とも基本の文字構造は同じだが、オールド・スタンダードはよりきめ細かいヘアラインとセリフがあり、特にイタリック体で顕著である。

ニック・シン英語版のスコッチ・モダン復刻版は、センチュリーに触発されたスコッチ・モダン字体の光学サイズ3つのデジタル版である[5]。 批評家のマーク・シモンソンに「恐ろしい完成度」と評されたそれはセンチュリーのデザインよりもコントラストの度合いが強く、よりシャープなディドーンのセリフを有し、スモールキャピタルと適応範囲のある数字デザインが特徴である[25][26]。シンはこの復刻を、1873年のニューヨーク州の野生動物に関する本で使用されたものに基づいて行なった。

アレクセイ・クリューコフ英語版のオールド・スタンダードWebフォントは、20世紀初頭にヨーロッパで使用された類似の字体に基づいている。古典研究で使用するための、キリル文字と複数アクセント記号の複式ギリシャ文字記号が含まれている[27]

マシュー・カーターMillerは、センチュリーの遠い祖先、19世紀初頭におけるスコッチローマン字体の復刻版である。非常に控え目なストロークのコントラスト度合いが特徴となっている。それは新聞でよく使われる非常に大きなファミリーで、5つの光学サイズがあり、スモールキャピタルや代用数字のデザインといった多くの専門的機能もある[28]Hoefler & Frere-Jones社 によるクロニクル・テキスト&ディスプレイ(Chronicle Text and Display)は、また別の新聞や専門家の使用を意図された光学サイズの、スコッチローマンに触発された大きなファミリーである[29]

イームズ・センチュリー・モダンは、家具デザイナーのチャールズ&レイ・イームズによるファミリーの使用に触発されたデジタル版である[30]。それはコメディ・セントラルなどで使われている[31]

ビットストリーム (企業) から出ているセンチュリー751は、実際にはルドルフ・ルツィカの書体Primerのデジタル復刻版である[32]

関連項目

脚注

注釈
  1. ^ 文字の書き出しや最後が球形になっている部分で、右上のサンプル図で言うと小文字rの右上留め部分。英語ではball terminalだが、日本では独自にこれを「ケルン」と呼んでいる。
  2. ^ ストロークのコントラスト(Stroke contrast)とは、書体の文字における描線の太さの変化[4]。太線箇所と細線箇所との対比。
  3. ^ 1912年にLudlow Typograph Co.から発売された鋳植機。
  4. ^ 印刷版を使わずに、印字トナーやインクジェットなどで直接デジタルデータを紙に転写する方式[7]
  5. ^ 大文字RとQは右上のサンプル図参照。大文字Cは右の図にあり、その書き始めが上へ突起した形(top spur)である(なお、小文字のcだとここはケルン)。
  6. ^ 基準よりも横幅が狭く設計された書体のこと。文字が縦長になるため和文フォントでは「長体」とも言う。これとは逆に、横幅が広いものはエクステンデッド、エクスパンデッドと呼ばれる。
出典
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  2. ^ Drucker, Margaret Re ; essays by Johanna; Mosley, James (2003). Typographically speaking : the art of Matthew Carter (2. ed.). New York: Princeton Architectural. p. 36. ISBN 9781568984278. https://books.google.com/books?id=WqXd_w4S4SsC&pg=PA35 
  3. ^ Cost, Patricia A. (2011). The Bentons : how an American father and son changed the printing industry. Rochester, N.Y.: RIT Cary Graphic Arts Press. ISBN 978-1-933360-42-3 
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  7. ^ 澤田善彦, 玉虫幸雄「コンピュータtoプリント」DTPエキスパート用語辞典、JAGAT、 2005年、83頁。2019年2月21日閲覧
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  10. ^ a b c d e f g h MacGrew, Mac. American Metal Typefaces of the Twentieth Century. New Castle, Delaware: Oak Knoll Books, 1993. ISBN 0-938768-34-4, pp. 76-81.
  11. ^ American Specimen Book of Type Styles. Jersey City: American Type Founders Company, 1912. p. 359. Archived: https://archive.org/stream/americanspecimen00amerrich#page/n15/mode/2up
  12. ^ a b c Lawson, Alexander, Archie Provan, and Frank Romano. Primer Metal Typeface Identification. Arlington, Virginia: Printing Industries of America: National Composition Association 1976, pp. 34-35.
  13. ^ Berlow, David and Roger Black. "New Fonts: Benton Modern Display, Rocky & ITC Franklin" from The Font Bureau, Inc. Blog. 15 September 2008. http://www.fontbureau.com/news/2008-09-15
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