バットマン (架空の人物)
バットマン | |
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出版の情報 | |
出版者 | DCコミックス |
初登場 | Detective Comics #27 (1939年5月) |
クリエイター | ボブ・ケイン(デベロッパー) ビル・フィンガー(コンセプト) |
作中の情報 | |
本名 | ブルース・ウェイン |
所属チーム | バットマン・ファミリー ジャスティス・リーグ ウェイン・エンタープライズ アウトサイダーズ バットマン・オブ・オール・ネイション バットマン・インコーポレイテッド |
パートナー | ロビン バットガール ジェームズ・ゴードン キャットウーマン スーパーマン ワンダーウーマン |
著名な別名 | Matches Malone(マチス・マローン)[1] Lefty Knox(レフティ・ノックス)[2] Minuteman(ミニットマン)[3] |
能力 |
バットマン(Batman)は、DCコミックスの出版するアメリカンコミック『バットマン』に登場する架空のスーパーヒーロー。ボブ・ケインとビル・フィンガーによって創造され、1939年に登場した。
概要
アーティストのボブ・ケインとライターのビル・フィンガーによって創造され[4][5]、“Detective Comics”#27(1939年5月)で初登場した。「Dark Knight(闇の騎士)」「World's Greatest Detective(世界最高の探偵)」「Caped Crusader(ケープを纏った十字軍騎士)」などの異名を持つ[6]。ジョーカーやキャットウーマンからは「Pointy Ears (とんがり耳)」と呼ばれる。
1939年に『ディテクティブ・コミックス』で初登場してからすぐにバットマンは人気となり、1940年にはコミックブック『バットマン (コミック)』が発刊された。人気は1986年のフランク・ミラーの『バットマン: ダークナイト・リターンズ』で最高潮に達する。ワーナー・ブラザースのバットマンの実写映画は、キャラクターに対する国民の関心を維持することに役立っている[7]。
アメリカのアイコンとして、バットマンはライセンスを取得し、世界中で様々な商品が販売されている。2011年5月のIGNの“Top 100 Comic Book Heroes“(コミックブックのヒーロートップ100)では2位になった[8]。
テレビアニメやテレビゲームではケビン・コンロイ、ブルース・グリーンウッド、ピーター・ウェラー、ジェイソン・オマラがバットマンの声を担当した。
実写作品ではルイス・ウィルソン、ロバート・ロウリー、アダム・ウェスト、マイケル・キートン、ヴァル・キルマー、ジョージ・クルーニー、クリスチャン・ベール、ベン・アフレックによって演じられている。
創造
影響
1939年にナショナル・アライド(後のDCコミックス)が発行した『スーパーマン』が人気となり、編集者は多くのスーパーヒーローを要求した。ボブ・ケインがバットマンを設計した[9] 。ビル・フィンガーは「ケインがバットマンと呼ばれるキャラクターのアイデアを持っていた」と語った。フィンガーはブルース・ウェインの名前を考案し、ロバート・ブルースとアンソニー・ウェインから取って名付けた。
ケインとフィンガーはバットマンの外観、性格、方法、および兵器の多くについてのインスピレーションを得るためにパルプフィクション、コミックストリップ、新聞に掲載された漫画など1930年代の大衆文化を参考にした[10] 。バットマンは『紅はこべ(1903年、バロネス・オルツィ)』や『怪傑ゾロ(1919年、ジョンストン・マッカレー)』のような二重のアイデンティティーを持つ貴族の主人公のように、人前で馬鹿を演じることにより疑いを回避して英雄的行為を行う。ケインは“The Mark of Zorro”(1920年) や“The Bat Whispers ”(1930年)からインスピレーションを受けてキャラクターを設計した。フィンガーはパルプのヒーローからインスピレーションを受け、ドック・サヴェジ、シャドウ、ディック・トレイシー、及びシャーロック・ホームズのような探偵のキャラクターにした。
権利
ボブ・ケインは報酬と引き換えにバットマンの所有権を得る契約をした。彼はすべてのバットマンのコミックで署名欄を作成し、彼の名前は各話のタイトルページに必ず書かれていた。1960年代にコミックブックから姿を消した後は、各話の作家やアーティストに置き換えられた。 1970年代には他の作家もケインと同じ手法を取った。しかし、ビル・フィンガーは同じ扱いを受けなかった。1974年にフィンガーが死亡した時点では、DCはバットマンの共同製作者として報酬を受け取っていなかった。2015年9月にDCエンターテイメントは、フィンガーがバットマンを創造した報酬を受け取る事を明らかにした。フィンガーの遺族とDCは交渉し、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』と『GOTHAM/ゴッサム』の第二シーズンの報酬を初めてバットマンの作成者として受け取った。コミックブックには「ビルフィンガーとボブ・ケインによって作成されたバットマン」と表記された[5]。
初期
バットマンの最初の物語"The Case of the Chemical Syndicate "が“Detective Comics”#27に掲載された。フィンガーは「バットマンはもともとパルプのスタイルで描いていた」と述べた。バットマンは人気となり、その時点で“Detective Comics“のベストセラーとなった。同社の主要なスーパーヒーロー、バットマンとスーパーマンは同社の成功の礎であり[11] 、業界で最も影響力のある出版社となった。最初のバットマンの要素にいくつかを加え、バットマンの描写はより進化した。ケインは、バットマンの下顎の輪郭をより顕著に描き、頭部の耳を長くした。ケインは「約一年後、彼は完全な姿の、私の成熟したバットマンだった」と述べた[12]。
“Detective Comics”#29(1939年7月)にユーティリティベルト、#31(1939年9月)でバットラング、バットモービル、バットプレーン(後のバットウイング)が登場した。“Detective Comics”#33(1939年11月)にキャラクターの原点が掲載され、彼の両親の死によって行動するバットマンの陰気なペルソナを確立する2ページの物語が繰り広げられる。フィンガーによって描かれたそれは、強盗に殺された両親の殺人を目撃した若いブルース・ウェインであることが示唆されている。数日後、両親の墓石の前で子供が「私の両親の霊に掛けて、すべての犯罪者と戦争し、私の人生の残りをかけて彼らに復讐する」と誓う [13][14][15]。“Detective Comics”#38(1940年4月)でバットマンのサイドキック、ロビンが初登場した。ケインは「フィンガーの提案によって導入されたワトソン」と述べた[16] 。“Batman”の売上が倍増し、それが「子供のサイドキック」の増殖を引き起こした[17] 。
1942年にはバットマンの背後にいるライターやアーティストがバットマンの神話の基本的な要素のほとんどを確立していた[18]。第二次世界大戦の次の年には、DCコミックスは「社会的な論評の陽気な少年ファンタジー」に賛成した。このアプローチの影響で、1940年代の「荒涼と威嚇するような世界観」は消え去り、バットマンは明るくカラフルな「社会の為に行動する立派な市民」として描かれるようになった[19]。
人物
本名:ブルース・ウェイン (Bruce Wayne)
アメリカの億万長者、慈善家、プレイボーイ、および「ウェイン・エンタープライズ」のオーナー。幼い頃に眼前で両親のトーマスとマーサを強盗に殺害され、以来執事のアルフレッド・ペニーワースに育てられる。表舞台では著名な慈善家として福祉や雇用拡大のために活動する一方で、裏では両親の命を奪った犯罪への復讐と恐怖からバットマンとして戦う。
トラウマの原因は幼少期の事件による。幼少期に洞窟で大量のコウモリに襲われた彼は、その後両親と観覧した演劇に登場したコウモリを怖がり、両親にせがんで劇場を途中退場した。その直後に強盗に両親を目の前で射殺され、「自分があと少し恐怖に耐えてさえいれば両親は死ななかった」という悔恨の念を今も抱える。
ほとんどのスーパーヒーローと違って、バットマンはスーパーパワーを持っていない。彼は知恵と努力、武術、科学技術、莫大な富、脅迫、そして不屈の意志を駆使する。14歳から複数の大学で犯罪学・化学・法医学の知識を得るも、より実用的な技術を欲し世界各地を巡る。ヘンリー・ドゥカードからは犯人捕捉法、キリギ率いる忍び達から忍術、アフリカの部族から狩猟技術、世界有数の暗殺者デビッド・カイン、ボクシング世界チャンピオンのテッド・グラントらから格闘技[20]、オリバー・クイーンことグリーンアローからアーチェリー[21]、ネパールの僧侶から地域伝来の治癒法、開業医から腹話術[22]を教わる。20歳でFBIに入ろうとするも法律に沿った活動に限界を感じ、ゴッサム・シティに帰還する。
犯罪者に恐怖を与える「恐怖の象徴」が必要であると考え、彼自身の恐怖心の象徴でもあるコウモリを元にするバットマンというアイデンティティーを作り、活動を始める。大邸「ウェインマナー」の地下には洞窟があり、そこを秘密基地のバットケイブにしている。事件が起こるとゴッサムの警察署に設置されたサーチライトのバットシグナルが照射される。バットマンは執事のアルフレッド、警察本部長のジェームズ・ゴードン、相棒のロビンというような様々な人間の支援を受けてゴッサム・シティで活躍している。
バットマンは様々な女性と恋愛関係を持ってきたが、そのどれもが任務の一環や一時的なもので終わっている。しかし、キャットウーマンとは長年にわたり仕事のパートナーとして、また男女の関係としての付き合いが続いていた。"Batman #24"(2017年8月)でバットマンはキャットウーマンにプロポーズをする。"Batman #32"(2017年12月)で再びバットマンが尋ねるとキャットウーマンは「イエス」と答えた。2人は"Batman/Catwoman: The Wedding Album"(2018年9月)で改めて結ばれた。
能力と技術
バットマンは固有の超人的な力を持っていない。彼は自身の科学的知識、探偵のスキル、及び競技的な腕前に依存している[16] [23]。バットマンは世界で最も偉大な探偵の1人、もしくは世界最大の犯罪解決者とみなされている[24]。DCユニバースにおける最大の武術家の1人であり、天才レベルの知性を持ち人間の限界まで鍛えたフィジカルコンディショニングを有する者として記載されている[25] 。
博学であり、彼の知識は数え切れないほどの分野に渡り、DCユニバースの他のキャラクターでは並ぶ者はいないとされる[26] [27]。彼は犯罪との闘いに必要なスキルを取得するため、世界を旅してきた。“Superman: Doomed“ではスーパーマン、バットマンは地球上で最も華麗な心を持つ者であると考えられている[28]。バットマンは無尽蔵の富を使い高度な技術を探求でき、そして熟練した科学者としてそれらを修正して使用することができる。
バットマンはDCユニバースの中で最高の白兵戦を行える者として、127種類以上の様々な武道の訓練を受けている。彼はテレパシーとマインドコントロールを物理的な苦痛で耐える事ができる。彼は変装、多言語、スパイ活動、悪名高いギャングであるマチス・マローンのアイデンティティーの下で情報収集する。彼はエクスポロジーを駆使する事で、現れたり消えたり不可避の脱却をすることができる。
バットマンの尋問は、建物の端で人を切るなど容疑者から情報を聞き出すために極端な方法を使用する。彼の威圧的で恐ろしい外見は、多くの場合に容疑者から情報を取得する際に必要なものである。バットマンの最も決定的な特徴にかかわらず、彼の敵が彼を害する可能性を持つ者でも、彼の強い正義感から命を奪わない。
犯罪と戦う為の修行の中で、彼は様々なスキルを身に付けた。これにより多くの機械を操作することができる。いくつかの出版物では、彼は魔術師の訓練を受けていた。
テクノロジー
- バットスーツ
バットマンのコスチュームは犯罪者を恐怖させるためにコウモリのイメージを内包している[29]。数十年間、様々なストーリー、メディア、アーティストの解釈を通してバットマンのコスチュームは変更されても、最も特徴的な要素は一貫性を維持している。顔のほとんどを覆うカバーカウル、コウモリのような耳のペア、胸に様式化されたバットエンブレム、そして常に存在するユーティリティベルトである。ケインとフィンガーは、もともと黒いマントとカウルとグレーのスーツを持つものとしてバットマンを創造したが、黒は着色される時の規則で青色で強調される[29]。したがって、コスチュームの色は濃いブルーとグレーで登場していた[29] 。
- ティム・バートンの監督した『バットマン』及び『バットマン リターンズ』では、真ん中に黄色のバットエンブレムがある完全に黒として描かれている。
- クリストファー・ノーランの監督した『ダークナイト・トリロジー』では、真ん中の黒いバットエンブレムがある完全に黒のハイテクギアとして描かれている。
- ベン・アフレックが演じる『DCエクステンデッド・ユニバース』では、灰色のスーツに黒いカウル、黒いケープ、黒いバットシンボルとコミックブックにより忠実なスーツを着ている。
バットスーツはケブラーとノーメックスの特性を持ち、敵との戦闘を助け、重大な危機から身を守る。初期のコスチュームでは手袋は無地の物を身に着けていたが、現在の手袋は両腕の手甲部分に三枚の刃を備えている[30]。キャラクターの外観、特にコウモリの耳とケープの長さはアーティストによって大きく異なる。編集者のデニス・オニールは「我々には彼を同じにする必要性はありません。バットマンのバットケイブには200ぐらいのスーツがぶら下がっていることでしょう」と述べた[31]。
- バットモービル
バットモービルは黒い車として描かれており、車体後部にはコウモリを示唆する特徴がある。航空機のバットプレーン(後のバットウイング)を使って呼び出すなど、様々な手段で輸送される。
バットマンの兵器には、バットを接頭辞にした名前が付けられている(バットラング、バットモービルなど)。バットマン自身はバットを接頭辞にした名前を採用した可能性が低いことを示唆している。『バットマン: ダークナイト・リターンズ』でバットマンはキャリー・ケリーに、子供がバットマンの車をそう呼んだため、若い頃にバットモービルを思い付いたと語った。
- テレビドラマの『怪鳥人間バットマン 』では、使用された車はフォード・モーターが1955年に発表したコンセプトカーのリンカーン・フューチュラをベースに製作されている。テレビではキャットウーマンに乗られて持ち去られ、映画では変装したペンギンに盗ませジョーカー・リドラー・キャットウーマンの本拠地を探す為に利用した。2018年の映画『レディ・プレイヤー1』にもこの車種が登場する。
- ティム・バートンの監督した『バットマン』及び『バットマン リターンズ』では、機関銃や爆弾を搭載している。緊急時に側面部の外装を外す事でより変形して機動性を高める事が出来る。駐車時は盗難防止の為に装甲を展開する機能がある。『ルーニー・テューンズ:バック・イン・アクション』にもバートン版のバットマンと共に登場した。
- ジョエル・シュマッカーの監督した『バットマン フォーエヴァー』及び『バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲』では、スケルトンデザインを使い、生物的なボディになっている。車体後部にはコウモリのウィングデザインが用いられている。『Mr.フリーズの逆襲』では『フォーエヴァー』のものよりフロントと後部のウイングが長くなり大型になっている。
- クリストファー・ノーランの監督した『ダークナイト・トリロジー』では、ランボルギーニとハマーの組み合わせで作られた。別称「タンブラー(曲芸師)」。
- ザック・スナイダーの監督した『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』では、流線形や軍用車両を意識してデザインされ、サスペンションによる巡航速度の効率化も特徴となっている[32]。
- ユーティリティベルト
ユーティリティベルトには犯罪と戦うツール、武器、調査機器などを携帯している。ベルトの異なるバージョンでは、ポーチやハードシリンダーとしてこれらのアイテムを携帯している。バットマンは携帯されたグラップネル・ガンを発射して空を飛ぶように描かれている。これはアンカーの付いたワイヤーを射出して、遠くの物体に取り付け、ワイヤーを巻き取る事でゴッサムシティの屋上をスイングする。銃は彼の両親の殺人事件で使用されたため、使う事を拒んでいる。
1960年代のテレビドラマではバットマンが滅多に使わない兵器が描かれた。例を挙げれば、バットコンピューター、バットスキャナー、バットレーダー 、バットカフス、バットポンツーン、バットドリンキングウォーターディスペンサー、バットカメラとバット偏光フィルター、 バットサメ除けバットスプレー、バットロープなど。
- バットシグナル
バットマンが必要になると、ゴッサムの警察署に設置されたサーチライトが照射され、夜空に輝くバットシンボルが作られる。
- バットケイブ
地下洞窟に作られたバットマンの秘密基地。これはローカルとグローバルの両方の監視のために彼のコマンドセンターとして機能するだけでなく、犯罪との戦いのために彼の車や機器を収容する。また、バットマンの記念品のための倉庫として使われる。『Batman: Shadow of the Bat (issue #45)』や『バットマン ビギンズ』、『インジャスティス2』では洞窟は地下鉄道の一部だったと言われている。他にもアーカム・アサイラムの地下や月にもバットケイブを作っている[33]。
出典
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- ^ Detective Comics #846 (Sept. 2008)
- ^ Silver Age 80-Page Giant #1 (July 2000)
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- ^ Fleisher, Michael L. The Encyclopedia of Comic Book Heroes Volume 1 Batman Collier Books 1976 ISBN 978-0-02-080090-3 p. 31
- ^ “The Big Question: What is the history of Batman, and why does he still appeal?”. The Independent (London). (July 22, 2008). オリジナルのJuly 29, 2008時点におけるアーカイブ。
- ^ “Batman – Top 100 Comic Book Heroes”. IGN Entertainment. February 20, 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。May 27, 2011閲覧。
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- ^ Daniels, Les. DC Comics: A Celebration of the World's Favorite Comic Book Heroes. New York: Billboard Books/Watson-Guptill Publications, 2003, ISBN 978-0-8230-7919-3, p. 23.
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- ^ Batman: The Ultimate Guide to the Dark Knight, 2nd edition, 2005, DK Publishing
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- ^ Greenberger, Robert (2008). The Essential Batman Encyclopedia. Del Rey Books. ISBN 0345501063
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- ^ Superman (vol.4) #5