松城家住宅
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| 松城家住宅 | |
|---|---|
| 情報 | |
| 建築主 | 松城兵作[1] |
| 構造形式 | 木造、寄棟造、桟瓦葺 |
| 敷地面積 | 2,045.44㎡ m² |
| 建築面積 | 主屋266.76㎡、ミセ32.23㎡、文庫蔵16.52㎡、東土蔵39.66㎡、北土蔵32.23㎡ m² |
| 階数 | 2階建[1] |
| 着工 | 1872年 |
| 竣工 | 1876年 |
| 開館開所 | 非公開 |
| 所在地 | 静岡県沼津市戸田 |
| 文化財 | 重要文化財（7棟） |
| 指定・登録等日 | 2006年7月5日指定 |
松城家住宅（まつしろけじゅうたく）は、静岡県沼津市戸田にある歴史的建造物である。松城邸（まつしろてい）とも呼ばれる。2006年（平成18年）7月5日に主屋、文庫蔵、門などの7棟が国の重要文化財に指定された[1][2]
概要
回船業を生業とした商家の邸宅である。屋敷構えが全体的によく現存しており、2006年（平成18年）7月5日に主屋、文庫蔵、門などの7棟が国の重要文化財に指定された[1][2][3][4]。なかでも1873年（明治6年）の主屋は、和風建築を基調としながら、外観はベランダを設けた擬洋風建築という特徴的な設計となっている。屋敷内の壁や、天井のランプ釣りに静岡県を代表する鏝絵師・入江長八の鏝絵が数点残されている[3][1]。
歴史
松城家について
松城家は戸田村で廻船業を営み、江戸時代後期には戸田〜江戸や戸田〜瀬戸内方面への船を運行していた[5]。 1818年〜1829年に起こった飢饉で当時の当主 秋元兵作鎮陳（あきもとひょうさくやすのぶ）が私財を投じて戸田村を救ったことにより、松城の姓と帯刀を領主から与えられ、松城兵作と名前を変え、それ以降松城家後継の名前は代々「松城兵作」となる[6]。
二代目松城兵作は事業を米や穀物食品の輸送販売に拡大し、大阪、兵庫、中国地方へ交易を広げていき現在の松城邸を建てた[7]。
三代目松城兵作は伊豆浦汽船会社の社長、田方郡会議員、静岡県会議員、1912年に衆議院議員、戸田村長を努めた[8]。
建築の経緯
建築時の棟札から1873年に上棟され、地元の大工植田儀兵衛が国内最古の擬洋風建築で作った[9]。1872年のものと思われる家相図が残されており、図からは住宅の西側以外には戸田大川からの水路が引かれており、南門には船着石が設けられている[10]。
文化財指定
1999年に「主屋」を含む7棟が国の登録有形文化財に指定された[11]。その後の、2006年7月5日に敷地内にある「主屋」「ミセ」「文庫蔵」「東土蔵」「北土蔵」「門」「塀」の７棟の建造物が国指定重要文化財に指定された[12]。
保存修理工事
2016(平成28)年に保存修理事業として計画が立てられ9月より調査が開始され、2017年3月7日、建物の保全と耐震化、調査を目的に初の大規模修繕工事が始められた[1][13]。主屋は半解体[1]、北土蔵、東土蔵、石塀などはすべて解体し[1]、部材の修復を行ったうえで2022年（令和4年）3月までに復元する計画である[13]。ポルトガル製の2階の天井クロスは張り替えられる[1]。東京都荒川区に本部を置く文化財建造物保存技術協会が設計・管理を担う[13]。大規模改修は明治6年の完成以来初めてである[1]。
工事により非公開とされるまえまで、松城家住宅は月に2回の一般公開を行っていた[1]。2016年4月から6月の3カ月には、前年の同時期に比べ1.4倍の98人が見学に訪れている[1]。修繕工事中も年1回は工事の進捗状況を紹介する説明会を実施するとしている[13]。
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修復中の松城邸の様子（2020年3月現在）
建築・内装
2階建ての主屋と、ミセ、文庫蔵、東土蔵、北土蔵などの建物群と、外周の石塀、石積の庭塀蔵から成る[2]。現存する蔵は2階建てで、味噌や米を貯蔵するためのものだった[13]。
建築
| [12]面積・長さ | [12]造り | [12]階数 | [12]屋根 | [12]その他 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 主屋 （おもや) |
266.76平方メートル | 木造 | 二階建て | 桟瓦葺 | 擬洋風建築 |
| ミセ （みせ ) |
32.23平方メートル | 木造 | 二階建て | 桟瓦葺 | ミセの西面が主屋に接続 |
| 文庫蔵 （ぶんこぐら) |
16.52平方メートル | 土蔵造 | 二階建て | 桟瓦葺 | 文庫蔵の南面が主屋に接続 |
| 東土蔵 （ひがしどぞう) |
39.66平方メートル | 土蔵造 | 二階建 | 桟瓦葺 | |
| 北土蔵 （きたどぞう) |
32.23平方メートル | 土蔵造 | 二階建 | 桟瓦葺 | |
| 門柱及び外塀 （もん) |
81.4メートル | 石造 | 一棟 | ||
| 底門及び塀 （へい) |
8.0メートル | 石造 | 一棟 |
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松城邸の平面図
外装
主屋の2階外壁は白漆喰塗りで建築されており、2階西面には、鎧窓が設置されている。鎧窓の1つはガラスの付いている本物の窓であるが、残り2つは漆喰で作られた見せかけの窓である[14]。2020年3月の段階では撤去されているが、かつて2階西側南面と北側にはバルコニーが、最低3回は明治6年から90年間で改造されている。当初は、西洋式のバルコニーを真似て建築したため簡易なものであったと推定される[15]。
内装
主屋については、2階天井には、ポルトガル製とされる幾何学模様の紙が一面に貼られており、これは、明治当初の輸入品と言われている一方、2階の床は、畳敷きとなっている[16][1]。また、2階に設置されていたオイルランプは、戸田村に隣接する井田村住人がアメリカへの出稼ぎから帰る際、明治30年代に作成されたB・H社オイルランプを明治末頃寄贈したものである[17]。主屋には漆喰彫刻が施され、主屋2階の天井の龍と、主屋2階の廊下の雨中の虎が設置されている[18]。
脚注
- ^ a b c d e f g h i j k l m “重文「松城家住宅」改修へ”. 静岡新聞. (2016年6月30日)
- ^ a b c “松城家住宅 主屋”. 文化遺産オンライン. 2020年3月21日閲覧。
- ^ a b 静岡県教育委員会文化課『文化財ガイドブック 建造物偏』静岡県教育委員会、2000年、92頁。
- ^ 静岡県教育委員会文化課『文化財ガイドブック 建造物偏』静岡県教育委員会、2000年、92頁。
- ^ 沼津市教育委員会 重要文化財松城家住宅 1P
- ^ 沼津市教育委員会 重要文化財松城家住宅 1P
- ^ 沼津市教育委員会 重要文化財松城家住宅 1P
- ^ 沼津市教育委員会 重要文化財松城家住宅 1P
- ^ 沼津市教育委員会 重要文化財松城家住宅 2P
- ^ 沼津市教育委員会 重要文化財松城家住宅 2P
- ^ “重文に松城家住宅”. 伊豆日日新聞. (2018年4月22日)
- ^ a b c d e f 重要文化財松城家住宅保存修理工事〜特別公開第1回〜, p. 10.
- ^ a b c d e “松城家住宅保全へ工事”. 静岡新聞. (2017年3月10日)
- ^ 重要文化財松城家住宅保存修理工事〜特別公開第1回〜, p. 8.
- ^ 重要文化財松城家住宅保存修理工事〜特別公開第2回〜, p. 4.
- ^ 沼津市教育委員会 文化振興課 文化財センター. 重要文化財 松城家住宅保存修理工事〜特別公開第1回〜. 沼津市教育委員会 文化振興課 文化財センター
- ^ 沼津市教育委員会 文化振興課 文化財センター. 重要文化財 松城家住宅保存修理工事〜特別公開第3回〜. 沼津市教育委員会 文化振興課 文化財センター
- ^ 沼津市教育委員会 文化振興課 文化財センター. 重要文化財 松城家住宅保存修理工事〜特別公開第1回〜. 沼津市教育委員会 文化振興課 文化財センター