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坂元裕二

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さかもと ゆうじ
坂元 裕二
プロフィール
誕生日 (1967-05-12) 1967年5月12日(57歳)
出身地 日本の旗 日本 大阪府
主な作品
テレビドラマ東京ラブストーリー
愛し君へ
ラストクリスマス
西遊記
わたしたちの教科書
猟奇的な彼女
Mother
それでも、生きてゆく
最高の離婚
Woman
問題のあるレストラン
いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう
カルテット
anone
映画世界の中心で、愛をさけぶ
西遊記
ゲームリアルサウンド ~風のリグレット~
受賞
略歴参照
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坂元 裕二(さかもと ゆうじ、1967年5月12日 - )は、日本脚本家作詞家戯曲家東京芸術大学教授

大阪府出身。妻は女優森口瑤子1998年結婚)。

経歴・概要

自動車整備工場を営む両親のもと、3人兄弟の長男として育つ。奈良育英高等学校卒業。高校時代から本に触れだし、映画では相米慎二、小説では中上健次に憧れる[1]

高校卒業後、フリーターをしながら脚本を学ぶ。1987年、第1回フジテレビヤングシナリオ大賞を19歳で受賞しデビュー。同時期にディレクターズ・カンパニーが行っていた脚本募集にも応募していたが、そちらでは採用されなかったためテレビの道に進んだ[1]。上京し、テレビ局のアシスタントをしながら脚本の腕を磨いた。

1991年、『東京ラブストーリー』が大ヒットし、最高視聴率は32%。「月曜日の夜9時は街から女性(もしくはOL)たちが消えた」と言われるほどの社会現象となる。ラブストーリーの脚本の依頼が次々舞い込むようになり、20代の若さで後の北川悦吏子などの源流となるトレンディドラマの旗手として、脚光を浴びた。伊藤ちひろと共に、行定勲監督の映画『 世界の中心で、愛をさけぶ』の脚本に関わり後の世のシリアス系ラブロマンスの定跡にも影響を与えている。また、織田裕二松たか子小室哲哉などの楽曲の作詞も手掛けた。

「明らかにテレビが嫌で逃亡した」との理由で脚本家休養を宣言し、一度テレビ界から離れる。当初は飯野賢治率いる株式会社ワープでゲーム関連の仕事に携わり、『リアルサウンド ~風のリグレット~』などのシナリオを手掛け、1998年に同社を退社。小説家への転向を試みるが、3年間一つの小説をずっと書き続け原稿用紙2000枚ほどの分量になるも未完成のままに終わり、発表には至っていない[1]。『きらきらひかる』のドラマ版(脚本は井上由美子)を見たことで再びテレビ界への興味がわき脚本家に復帰した[1]。この休養期間中に、森口との結婚や長女の誕生を経験した。妻は女優業を続けていたため、家で執筆をしながら育児を担当する主夫生活を送るようになったことが転機となった。テレビ復帰作となったのは2002年の『恋愛偏差値』第3章「彼女の嫌いな彼女」から。

復帰後はフジテレビ以外でも執筆するようになり、児童虐待をテーマとした『Mother』、シングルマザー生活保護を扱った『Woman』、男性社会におけるパワハラセクハラを取り上げた『問題のあるレストラン』、犯罪被害者家族と加害者家族の交流を描いた『それでも、生きてゆく』など、かつてのトレンディドラマのイメージを大きく転換させ、シリアスな社会問題を題材としたオリジナル脚本ドラマを次々と発表し、トレンディドラマ時代の成功とはまた違った側面において高い評価、注目を集める。

また、『Mother』や『Woman』は海外からの評価も高く、『Mother』においては韓国トルコフランスウクライナタイランド中華人民共和国などの日本国外でリメイク作品が制作[2]される。さらにそのリメイクされたドラマも重ねてヒットし、高視聴率及び多数のドラマ賞を受賞するなどの高評価を受け、現時点でアジア10ヶ国、世界35ヶ国で展開されるなど異例の広がりを見せている[3][4]

トレンディドラマ時代は「自分が書きたいのはこういうものじゃないという気持ちがずっと常にあった」とも語るが[5]、メインから少し外れた道を歩いているという意識はあるものの実験的なものを書きたいとまでは考えておらず、「テレビという器にちょっとこぼれているものを書きたい」と思っている点はトレンディドラマをやっていた頃から変わらないとも語っている[1]。事実、復帰以降の作品において、その中でも社会派とよばれるようなものでも坂元のトレンディドラマ時代のような軽快な会話劇のシーンが多々見られ、特定のジャンルに括られる作品は少ない。

2016年4月、東京芸術大学大学院映像研究科映画表現技術脚本領域教授に就任。

2018年3月、連続ドラマ『anone』最終回後に、Instagramで同作品を最後にしばらくの間連続ドラマの脚本執筆を休み、舞台や映画など他の形態での仕事に挑戦することを宣言した。この件については4年前から決めており、周囲に説明した上で4年間、1月期に各1本の連続ドラマ執筆を手掛けていた。テレビ脚本の休業発表後、オリジナル脚本ドラマanoneは10月16日(火)にフランスのカンヌで開催された「MIPCOM2018」において日本のドラマの中で「ぜひ買いたい作品」「自国で放送したい作品」として『Woman』以来2度目である「MIPCOM BUYERS' AWARD for Japanese Drama」のグランプリを受賞した[6][7]。ただ、連ドラの仕事をこれから一切やらないという意味ではなく「テレビの世界では、仮に、もしいま仕事が決まったとしても、それは早くて2年後の放送分。いま何も決めていないということは、しばらく休むことになるんです」として、あくまでスケジュールの関係で連ドラを休むことになったと語っている[1]

2018年9月、小泉今日子が代表を務める制作事務所株式会社明後日による企画・制作で、自身初の戯曲である『またここか』(豊原功補演出)を書き下ろし、第63回岸田國士戯曲賞の最終候補にあがる。

2019年3月29日から始まった株式会社明後日主催の「全国へゆこうか!朗読ジャーニー 『詠む読む』 ~坂元裕二の詠む言葉と満島ひかりは読む旅にでる~」という〝坂元裕二が書き上げたシナリオ小説を、俳優満島ひかりと地域ごとに招待したゲストに朗読してもらう〟といった内容の企画を、全ての都道府県制覇という目標の元、不定期に開催している[8]

エピソード

  • フジテレビの月9ドラマである「ラブジェネレーション」のために大瀧詠一が書き下ろした『幸せな結末』の歌い出しである〝髪をほどいた 君のしぐさが 泣いているようで胸が騒ぐよ〟というワンフレーズの作詞に関して、当時この曲のレコーディングをしている時に坂元が演出の永山耕三に呼び出され、その歌い出しのフレーズだけ手伝ったというエピソードがある[9]

作品受賞歴

作品

テレビドラマ

映画

舞台

  • スタンド・バイ・ミー(1991年8月) - 演出:永山耕三
  • 恋と革命(1992年 ※作・演出)、(2009年:再演、演出:松浦徹
  • 朗読劇 不帰の初恋、海老名SA(2012年)※脚本・演出
  • 朗読劇 不帰の初恋、海老名SA /カラシニコフ不倫海峡(2014年)※脚本・演出
  • またここか (2018年)※脚本

ゲーム

テレビアニメ

漫画

書籍

※その他、脚本を手がけた各テレビドラマ・映画が書籍化されている。

作詞提供アーティスト

脚注

  1. ^ a b c d e f 「テレビからこぼれているものを書きたい」――人気脚本家・坂元裕二が語る連ドラの役割 - Yahoo!Japanニュース・2018年9月23日
  2. ^ 「日本のドラマはどこに向かっているのか」脚本家・坂元裕二氏、海外展開に希望 マイナビニュース 2019年4月24日、2019年11月4日閲覧
  3. ^ |url=https://mi-mollet.com/articles/-/15802 |title=あの芦田愛菜の出世作『Mother』が海外でも天才子役を輩出
  4. ^ 「日本のドラマはどこに向かっているのか」脚本家・坂元裕二氏、海外展開に希望 マイナビニュース 2019年4月24日、2019年11月4日閲覧
  5. ^ プロフェッショナル 仕事の流儀』2018年11月13日放送分。
  6. ^ この段落の出典。坂元裕二 / SAKAMOTO YUJIさん(@skmtyj)のInstagramアカウント”. Instagram. 2018年3月22日閲覧。
  7. ^ この段落の出典。「これにてちょっと連ドラはお休みします」脚本家・坂元裕二氏「anone」でひと区切り”. スポニチアネックス. スポーツニッポン新聞社 (2018年3月22日). 2018年3月22日閲覧。
  8. ^ |url=https://asatte.tokyo/yomuyomunoki/=全国へゆこうか!朗読ジャーニー 『詠む読む』 ~坂元裕二の詠む言葉と満島ひかりは読む旅にでる~
  9. ^ ニッポン放送『大滝詠一 Happy Endingの世界』2020年3月22日放送分
  10. ^ "第39回「放送文化基金賞」表彰対象について" (PDF) (Press release). 放送文化基金. 31 May 2013. 2013年5月31日閲覧
  11. ^ 第50回ギャラクシー賞受賞作品放送批評懇談会、2013年6月3日閲覧。
  12. ^ 日本民間放送連盟賞/2013年(平成25年)入選作品・事績日本民間放送連盟、2013年9月20日閲覧。
  13. ^ 『あまちゃん』7冠! 東京ドラマアウォード2013授賞式”. オリコンスタイル. オリコン (2013年10月22日). 2013年10月22日閲覧。
  14. ^ “【コンフィデンスアワード】ドラマ作品賞は『いつ恋』 最終回15分の長回しが絶賛”. ORICON STYLE. (2016年4月22日). http://www.oricon.co.jp/news/2070493/full/ 2016年4月22日閲覧。 
  15. ^ “ギャラクシー賞 テレビ部門【月間賞】発表  2016年3月度”. AERA dot.. (2016年5月10日). https://dot.asahi.com/galac/2016050900206.html?page=1 2018年8月24日閲覧。 
  16. ^ “世界に見せたい日本のドラマ 『あさが来た』『赤めだか』がグランプリ”. ORICON STYLE. (2016年11月7日). http://www.oricon.co.jp/news/2081070/full/ 2016年11月7日閲覧。 
  17. ^ 17年1月期“最も質の高いドラマ”は『カルテット』〜「第7回コンフィデンスドラマ賞」で最多5部門受賞(2017年4月28日)、オリコンニュース、2017年4月28日閲覧。
  18. ^ “【2017年間ドラマ賞】脚本賞は『カルテット』坂元裕二氏「そろそろ出所した巻さんが、みんなと再会を果たす頃でしょうか」”. ORICON NEWS (oricon ME). (2018年2月26日). https://www.oricon.co.jp/news/2106373/full/ 2018年2月26日閲覧。 
  19. ^ 【特集】第92回ドラマアカデミー賞 結果発表 | ザテレビジョンザテレビジョンKADOKAWA、2017年5月10日閲覧。
  20. ^ “松たか子、5年ぶり連ドラ主演 満島ひかりと初共演で“弦楽四重奏”挑戦”. ORICON STYLE. (2016年11月30日). http://www.oricon.co.jp/news/2082246/full/ 2016年11月30日閲覧。 
  21. ^ “有村架純&菅田将暉、坂元裕二ワールドへ! 映画「花束みたいな恋をした」製作決定”. 映画.com. (2019年10月30日). https://eiga.com/news/20191030/3/ 2019年10月30日閲覧。 
  22. ^ 開発者インタビュー「Creators Note」 #12 ササキトモコ

外部リンク