JR四国2000系気動車
2000系気動車 (共通事項) | |
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2000系気動車による特急「南風」 (2008年10月12日 / 茶屋町駅) | |
基本情報 | |
運用者 |
四国旅客鉄道(JR四国) 土佐くろしお鉄道 |
製造所 | 富士重工業 |
製造年 | 1989年 - 1998年 |
製造数 | 80両(2000系 64両 N2000系 16両) |
運用開始 | 1989年3月 |
主要諸元 | |
軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
最高運転速度 |
120 km/h 130 km/h(N2000系) |
全長 |
21,300 mm(2000形) 20,800 mm |
全幅 | 2,839 mm |
全高 | 3,385 mm |
床面高さ | 1,105 mm |
車体 | ステンレス鋼 |
台車 | 制御付自然振子装置組込ロールゴム式ボルスタレス台車 |
車輪径 | 810 mm |
動力伝達方式 | ディーゼル(液体式) |
機関 |
水冷 直列6気筒 直噴式ディーゼル インタークーラー付ターボチャージャー |
変速機 |
液体 (電磁油圧式 液体式自動変速式) |
制動装置 |
電気指令式空気ブレーキ (機関・排気ブレーキ併用) |
保安装置 | ATS-SS |
2000系気動車(2000けいきどうしゃ)は、四国旅客鉄道(JR四国)と土佐くろしお鉄道の特急形気動車。
概要
四国島内の高速道路網整備に伴い、特に四国山地を縦断し急勾配・急カーブが続く土讃線における特急列車の速度向上を目的としてJR四国と鉄道総合技術研究所(鉄道総研)が共同で開発した形式である。
西暦2000年を目前に開発されたことから、『2000系』という、日本国有鉄道(国鉄)式の「キハ」等の文字を使用せず四桁数字だけで表記する私鉄車両のような形式称号が付与され[1][注 1]、以後、JR四国の新製車両はすべて四桁数字の形式称号を名乗ることとなった[注 2]。
ブレーキシステムは電気指令式空気ブレーキで、制動距離の短縮のために機関ブレーキ、排気ブレーキを併用している。重心を下げるため車輪径を810mmに小径化し、客用扉部分のステップをなくす[注 3]とともに、ステンレス製の車体外板に1.2mm厚[注 4]の薄いものを使用して車体の軽量化を図っている。連結器は密着連結器が採用された。
エンジンはコマツ製の直噴式SA6D125H形[注 5]で出力は330PS。新潟コンバータの直結2段式液体変速機TACN22-1601との組み合わせで、25パーミル上り勾配での均衡速度は95km/hを達成している。
客用扉にはプラグドアを採用。キハ185系気動車に合わせて片側2箇所となっており、これはのちのJR四国の特急車両にも踏襲されている。また、客用扉が開いたまま動き出しても、5km/hを超えると自動的に閉まるようになっている。
製作年度により以下の3種類があり、相互に連結することで柔軟に運用することができる。
制御付自然振り子式気動車の実現
気動車における自然振り子式は、エンジンから台車への動力伝達の反作用として生じる車体への回転力によって技術的に困難と考えられていたが、当形式では1両に2基のエンジンを対称に搭載し、エンジンの回転方向を互いに逆向きにし反作用を相殺させることで実現した[注 6]。
同時に当形式では、遠心力による車体傾斜に先行して油圧装置によって車体傾斜・傾斜復元をさせ、381系電車で課題であった傾斜タイミングの遅れによる乗り心地の問題の改善を図る「制御付自然振り子方式」が採用された。振り子式気動車としては世界初、制御付振り子式車両としては日本初の車両である。
この方式はあらかじめ走行線区の線形データをコンピュータに記憶させ、これに応じて車体傾斜させるため、線形データが入っていない線区では振り子が使用できない。また、当形式では宇野線・本四備讃線においては振り子を使用しない。振り子機構はコロ式。振り子作用時の車体最大傾斜角は5°で、曲線半径600mで本則+30km/hの120km/hの運転を可能とした。
詳細は車体傾斜式車両の当該項目を参照のこと。
種類別解説
試作車両「TSE」
2000系気動車 (試作車 TSE) | |
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![]() 2000系試作車「TSE」による特急「しまんと51号」 | |
基本情報 | |
運用者 | 四国旅客鉄道(JR四国) |
製造年 | 1989年 |
製造数 | 3両 |
運用開始 | 1989年3月 |
引退 |
2018年3月17日(定期運用) 2018年7月3日(臨時運用) |
廃車 | 2019年3月31日 |
主要諸元 | |
最高運転速度 | 120 km/h |
車両定員 |
46名→48名(2000形) 43名[注 7]→48名(2100形) 54名→56名(2200形) |
自重 |
38.9 t(2000形) 39.6 t(2100形) 37.0 t(2200形) |
台車 | S-DT56形(台車枠は溶接構造) |
機関 | SA6D-125H形 |
機関出力 | 330 PS/2,000 rpm×2基 / 両 |
変速機 | TACN22-1601形 |
変速段 | 変速1段・直結2段 |
制動装置 | 踏面両抱式(特殊鋳鉄制輪子) |
1989年(平成元年)に富士重工業で製作された試作編成3両で[4]、「TSE」[注 8]の愛称を持つ。最高運転速度は120km/h。テープ式(1993年に音声合成式へ交換)の自動放送装置やLED式車内案内表示装置、行先表示器(2201を除く)を備えている。
座席、冷房吹き出し口はキハ185系の流れを汲んでおり、冷風吹き出し口は観光バスのように荷物棚の下に各自で風量・風向の調節が可能なタイプが設けられている。
登場当初は、万が一量産化に失敗した時に備え、AV装置を搭載して前面展望の映像を流したりしたほか、連結面の幌内側に化粧板パネルを設置したり、座席は少し窓側を向くように固定できるようにしたなど、団体専用列車としても使用可能であった[5]。その後、量産化改造時に座席を窓側へ固定出来ないようにしたほか、AV装置は撤去し、2001、2201ではAV装置前に二人用座席を1つ増設、2101ではソファーを撤去し二人用座席を8つ取り付けた。
座席の前後間隔はキハ185系より40mm拡大した980mmとしている。2001、2201の座席は増設部も含めて全面モケット張りの同じ座席だが、2101の座席は元ソファースペースを含む4列が量産車と同じバックシェルタイプ(後述)の座席とされた。
鉄道友の会「ローレル賞」「日本機械学会賞」を受賞。これを受けて一時期、2001の前面中央部に大型の、2101運転席上部に小型横長の「'90 LAUREL PRIZE」と表記されたステッカーが貼付されていた。
-
ローレル賞ステッカー付きの2001
(1990年 / 高松駅) -
ヘッドマークとローレル賞ステッカー付きの2101
(1990年 / 高松駅)
1989年に高松運転所に配置され、特急「南風」、「しまんと」の臨時列車として運用開始。1990年(平成2年)には編成ごと方向転換し、量産化改造のうえで松山運転所に転出、主に岡山駅 - 松山駅間で「しおかぜ」増結車として使用された。
1993年(平成5年)には予讃線特急に8000系電車が投入されたことにより、方向転換されて再度高松運転所に配置された。土讃線特急の「あしずり」「しまんと」の特定運用や、中間車2201を外した2001と2101の2両での運用、2101の外側貫通扉の代替とされる板を外し2001+2101+2100形の編成を組んで「しまんと」での運用などに用いられた。2001、2101の連結側と2201の連結器が量産車と同じ密着連結器+電気連結器に交換された後は、2001 + 2201 + 2100形または2400形の3両、2150形または2450形 + 2101の2両で伊予西条駅 - 高松駅 - 徳島駅間の「うずしお」に運用されるなど、様々な使い方がされていた。
2003年(平成15年)10月に松山運転所に再転属され、2200形1両を組み込んだ4両編成で特急「宇和海」のほか2005年(平成17年)3月までは朝の高松発宇和島行き1本と夜の松山発高松行き1本の特急「いしづち」でも運用されていた。2006年(平成18年)3月18日改正からはTSEとして落成した車両のみの3両編成に減車し、一部の「宇和海」で運用されたが、2018年(平成30年)3月17日の宇和海2号の運行をもって定期運行を終了し、2018年7月3日に廃車を前提とした多度津工場への運転で客扱いを終了、3両とも2019年3月31日付で廃車された[6]。
- 2000形 (2001)
- 編成の下り方先頭に組成される、運転台付きの普通車。定員48名(登場時は46名)。振子制御装置を搭載し、行先表示器とトイレ・洗面所が設置されている。登場時は密着自動連結器で、運転台がある側に大きなカバーを備えていたが、後にカバーを撤去したうえで密着連結器+電気連結器に変更された。後に運転台がない側も密着連結器+電気連結器に変更された。
- 2100形 (2101)
- 編成の上り方先頭に組成される、運転台付きの普通車。定員48名。2001とは異なり平面的な前面である。行先表示器とトイレ・洗面所が設置されている。
- 登場時は2分割式プラグドアの外側貫通扉が設置されていた。後に板式のヘッドマークが取り付けられた時期もあったが、量産化改造の際にプラグドアレールを外して外側貫通扉を撤去し、幌が取り付けられた。高松運転所に転属した際に幌は撤去されて外側貫通扉の代替となる板が付いた。この板にはヘッドマーク掛けがないため、ヘッドマークが掲出されていない。
- かつては運転台がない車端寄りに、線路方向に座席を配したソファースペースが設けられていた(この当時の定員は座席36名、ソファー7名)。登場時は密着自動連結器で、キハ185系と併結できるような仕様になっていたが、実際に連結されて営業運転されたことはなかった。後に量産化改造で運転台がある側が密着連結器+電気連結器に変更された。後に運転台がない側も密着連結器+電気連結器に変更された。
- 2200形 (2201)
- 編成の中間に組成される、運転台なしの普通車。定員56名(登場時は54名)。業務用室、車販準備室、車掌室、テレホンカード式公衆電話をそなえた電話室を設置(公衆電話は2000年に撤去)。登場時は密着自動連結器だったが、後に密着連結器+電気連結器に変更された。
-
2000形 2001
(2011年9月 / 松山駅) -
2100形 2101
(2011年9月 / 松山駅) -
2200形 2201
(2011年9月 / 松山駅)
車両 形式 |
車両 番号 |
落成 | 除籍 | 除籍理由 | ||
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年月日 | 配置 | 年月日 | 配置 | |||
2000形 | 2001 | 1989年 | 2月28日高松 | 2019年 | 3月31日松山 | 老朽化 |
2100形 | 2101 | 1989年 | 2月28日高松 | 2019年 | 3月31日松山 | 老朽化 |
2200形 | 2201 | 1989年 | 2月28日高松 | 2019年 | 3月31日松山 | 老朽化 |
量産車
JR四国2000系気動車 | |
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![]() 2000系量産車による特急「南風」(児島駅) | |
基本情報 | |
運用者 |
四国旅客鉄道(JR四国) 土佐くろしお鉄道 |
製造年 | 1990年 - 1992年 |
製造数 | 61両 |
運用開始 | 1990年7月 |
主要諸元 | |
最高運転速度 | 120 km/h |
車両定員 |
34名[注 9](2000形) 52名(2100形・2150形) 68名(2200形) |
自重 |
39.7 t(2000形) 39.5 t(2100形) 39.6 t(2150形) 37.0 t(2200形) |
台車 |
S-DT56形(台車枠はプレス構造) S-DT69形(リニューアル車、一部) |
機関 | SA6D-125H形 |
機関出力 | 330 PS/2,000 rpm×2基 / 両 |
変速機 | TACN22-1601形 |
変速段 | 変速1段・直結2段 |
制動装置 | 踏面両抱式(増粘着式合成制輪子) |
試作車両「TSE」での性能試験を経て1990年から富士重工業で量産された車両である[4]。このグループには、JR四国の所有車と土佐くろしお鉄道の所有車がある。最高運転速度は「TSE」と同じ120km/h。
TSEからの変更点として、先頭車には幕式の列車愛称表示器が設けられたほか[4]、前照灯を2灯式から4灯式に変更、前面ブラックフェイス化による昼間時の遠方視認性低下を考慮して、前照灯・尾灯ユニット付近に警戒色として黄橙色の帯が入れられた。座席の背面をFRP製化粧板で覆ったバックシェルタイプに変更。座席の前後間隔は新設のグリーン席がキハ185系より10mm拡大した1,170mm、普通車はTSEと同じ980mm。各席の荷物棚下の冷風吹き出し口を廃止し、車体側面の乗降ドア脇にはLED式の号車番号表示器が設置され、車内の仕切扉の機構は空気式から電気式に、連結器は密着自動連結器から密着連結器+電気連結器に変更されている[4]。なお、自動放送装置は音声合成型のテープ音源が導入されていたが、2004年にTSEを含む全車両がICメモリ音源に変更された。
土佐くろしお鉄道所有の4両 (2030, 2130, 2230, 2231) は車体中央に土佐くろしお鉄道のロゴマーク (TKT) が、2030と2130は車端に国民休暇県高知のマークがそれぞれあること以外は同一仕様で製造され、高知運転所に配置された。車両番号は十位を3として区別している。1990年11月の運用開始時は4両が同じ運用に入っており、後に1両単位で運用されるようになったが、「アンパンマン列車」となった現在は4両固定編成で運用されている(後述)。
1990年7月からダイヤはキハ185系のまま「南風」「しまんと」運用に入り、同年11月21日のダイヤ改正後は当初の狙い通り、従来キハ181系やキハ185系により運行されていた岡山発着の「しおかぜ」「南風」の大部分を置き換え[注 10]、2000系のダイヤとしての運転開始当初は宇多津駅 - 高松駅間には入線しなかった。なお、1991年には西日本旅客鉄道(JR西日本)広島支社に貸し出され、芸備線で試験走行を行った[7]。
当初は瀬戸大橋上での騒音対策のため、キハ181系、キハ185系と同様に神道山トンネル - 北備讃瀬戸大橋中央付近で65km/h運転を行う措置が取られていたが、曲線通過速度や最高運転速度の引き上げにより、所要時間が最大で約40分短縮された。なお、1993年(「うずしお」のみ1998年)からは8000系電車と同じ95km/hで減速区間を通過している。
また、一部列車が児島駅を通過していた時期のJR西日本とJR四国の乗務員交代は多度津駅で行うか、乗務員交代を行わずにJR四国の乗務員が岡山駅まで乗務していた。2020年現在は全ての特急列車が児島駅に停車し、JR西日本とJR四国の乗務員交代を行っている。
2007年頃には、大半の車両の客用扉が窓ガラス面積の小さいものに交換され、2008年からは同年3月15日の完全禁煙化に先行し、喫煙車として運用されない車両は肘掛けの灰皿の撤去も行われた。
- 2000形 (2002 - 2011, 2030)
- 編成の下り方に組成される、運転台付きの非貫通型先頭車。「TSE」の全席普通車からグリーン・普通合造車に変更されている。定員はグリーン席18名(3列×6)・普通席16名(4列×4)。振子制御装置を搭載しており、行先表示器とトイレ・洗面所が設置されている。グリーン室の荷物棚には当初蓋が設置されたが、蓋の落下事故を受けて通常の荷物棚に改修された。車販準備室とカード式公衆電話が普通席寄りデッキに設置されていたが、後に撤去され車販準備室跡には清涼飲料水の自動販売機が設置された。
- 2100形 (2102 - 2123, 2130)
- 編成の上り方に組成される、運転台付きの貫通型先頭車。全席普通車で、定員52名。行先表示器とトイレ・洗面所が設置されている。2101から前面デザインが変更され、貫通扉も一般的な片開き式になった。機器配置の見直しで、2101より定員が増えた。一部の車両では洗面所を撤去して喫煙ルームを設置する改造がされている。
- 2150形 (2151 - 2157)
- 編成の下り方に組成される、運転台付きの貫通型先頭車。全席普通車で、定員52名。内装・外装ともに2100形とほぼ同一だが、グリーン車非連結の運用に対応するため、振子制御装置を搭載している。行先表示器とトイレ・洗面所を設置。
- 2200形 (2202 - 2219, 2230, 2231)
- 編成の中間に組成される、運転台なしの普通車。定員68名。2201にあった業務用室、車販準備室、車掌室、電話室が廃止され、定員が増えた。
車両 形式 |
車両 番号 |
落成 | 除籍 | 除籍理由 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
年月日 | 配置 | 年月日 | 配置 | |||
2000形 | 2002 | 1990年 | 7月16日高松 | |||
2003 | 1990年 | 7月25日高松 | 2019年 | 12月31日松山 | 余剰廃車 | |
2004 | 1990年 | 9月29日高松 | ||||
2005 | 松山 | 2019年 | 11月30日高知 | 余剰廃車 | ||
2006 | 1990年11月18日 | 松山 | ||||
2007 | 1990年11月27日 | 高知 | ||||
2008 | 1991年10月31日 | 高知 | 2005年 | 3月31日高知 | 事故廃車 | |
2009 | ||||||
2010 | 1991年11月26日 | 高知 | ||||
2011 | 2019年 | 12月31日高知 | 余剰廃車 | |||
2100形 | 2102 | 1990年 | 7月16日高松 | |||
2103 | ||||||
2104 | 1990年 | 7月25日高松 | ||||
2105 | ||||||
2106 | 1990年 | 9月29日高松 | ||||
2107 | 松山 | 2019年 | 9月30日松山 | 余剰廃車 | ||
2108 | 1990年11月13日 | 松山 | 2019年 | 3月31日松山 | 余剰廃車 | |
2109 | ||||||
2110 | 1990年11月18日 | 松山 | ||||
2111 | ||||||
2112 | ||||||
2113 | 1990年11月27日 | 高知 | ||||
2114 | 1991年10月31日 | 高松 | ||||
2115 | ||||||
2116 | ||||||
2117 | ||||||
2118 | 1991年11月26日 | 高松 | ||||
2119 | ||||||
2120 | ||||||
2121 | ||||||
2122 | 1992年 | 6月30日高松 | ||||
2123 | 松山 | |||||
2150形 | 2151 | 1990年 | 9月29日松山 | |||
2152 | 1991年10月31日 | 高松 | ||||
2153 | ||||||
2154 | 1991年11月26日 | 高松 | ||||
2155 | ||||||
2156 | 1992年 | 6月30日高松 | ||||
2157 | 松山 | |||||
2200形 | 2202 | 1990年 | 7月16日高松 | 2018年 | 3月31日高知 | 余剰廃車 |
2203 | 2018年 | 12月31日高知 | 余剰廃車 | |||
2204 | 2019年 | 9月30日松山 | 余剰廃車 | |||
2205 | 1990年 | 7月25日高松 | ||||
2206 | 2019年 | 9月30日高知 | 余剰廃車 | |||
2207 | 2018年 | 3月31日松山 | 余剰廃車 | |||
2208 | 1990年 | 9月29日高松 | ||||
2209 | 松山 | 2020年 | 1月31日高知 | 余剰廃車 | ||
2210 | 1990年11月13日 | 松山 | ||||
2211 | ||||||
2212 | 1990年11月18日 | 松山 | ||||
2213 | 1990年11月27日 | 高知 | ||||
2214 | 1991年10月31日 | 高松 | ||||
2215 | ||||||
2216 | 1991年11月26日 | 高松 | ||||
2217 | 2019年 | 9月30日高知 | 余剰廃車 | |||
2218 | 1992年 | 6月30日高松 | 2005年 | 3月31日高知 | 事故廃車 | |
2219 | 松山 | 2019年 | 9月30日高知 | 余剰廃車 |
車両 形式 |
車両 番号 |
落成 | 除籍 | 処遇 | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
年月日 | 配置 | 年月日 | 配置 | ||||
2000形 | 2030 | 1990年10月 | 1日高知 | ||||
2100形 | 2130 | 1990年10月 | 1日高知 | ||||
2200形 | 2230 | 1990年10月 | 1日高知 | ||||
2231 |
ギャラリー
-
2000形2004
グリーン・普通合造車 -
2100形2120
-
2150形2155
-
2200形2211
-
普通車車内
-
グリーン車車内
-
土佐くろしお鉄道所属車(前4両)
-
台車 S-DT56
N2000系
2000系気動車 (改良型 N2000系) | |
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ファイル:JR Shikoku N2000.jpg N2000系による特急「うずしお」 (2003年8月13日 / 徳島駅) | |
基本情報 | |
運用者 | 四国旅客鉄道(JR四国) |
製造所 | 富士重工業 |
製造年 | 1995年 - 1998年 |
製造数 | 16両 |
運用開始 | 1997年 |
主要諸元 | |
最高運転速度 | 130 km/h |
車両定員 |
47名(2400形) 52名(2450形) 68名(2500形) |
自重 |
39.5 t(2400形 2424) 39.8 t(2400形 2425 - 2429) 39.6 t(2450形 2458) 39.9 t(2450形 2459 - 2463) 37.0 t(2500形) |
台車 | S-DT61形 |
機関 | SA6D-125H-1形 |
機関出力 | 355 PS/2,000 rpm×2基 / 両 |
変速機 | TACN22-1601形 |
変速段 | 変速1段・直結2段 |
制動装置 | ディスクキャリパ式(車輪ディスクブレーキ) |
N2000系の通称を持つこのグループは、最高速度130km/h運転を目的として高徳線向けに製造された改良型で、16両全車が富士重工業で製造された。
改良には智頭急行HOT7000系の技術がフィードバックされており、搭載エンジンの出力は330PSから355PS(コマツ製SA6D125H-1A)に増強された。基礎ブレーキ装置も量産車の踏面ブレーキからディスクブレーキに改められ、滑走防止装置が搭載された。また、環境問題を考慮して、冷房装置の冷媒には代替フロンが使用されている。
1995年(平成7年)に先行車2両 (2424, 2458) が、1997年(平成9年)に中間車2500形が量産車として落成し、同年の年末年始繁忙期輸送で営業運転を開始した。1998年から量産車の先頭車2400・2450形が登場し、最終的に量産車は3形式合わせ14両が製造された。しかし、これらの増備を最後にJR四国は2003年に快速マリンライナー向け5000系電車が登場するまでの約5年間、車両の新製投入がなかった(その間、2000年にJR東日本から113系12両を購入)。
先行車は当初、従来の2100形と外観や座席がほぼ同じだが、貫通扉、客用扉の色が赤色とされ、黄色の前面警戒色の帯が太いことで区別されていた(2424には車椅子対応の座席及び2000系で初の洋式トイレを設置)。その後の量産車2400・2450形では従来車よりも運転台を高くした構造のスタイリッシュな前頭部、車体側面の窓周りの帯を紺色とローズピンクのツートンカラーとし、先行車2両のカラーリングも量産車に準じたものに変更された。
量産車の座席は8000系電車と同様全面モケット張りになっている。客用扉のロック方式が2000系量産車、N2000系先行車と異なり、5km/hを超えるとロックされる。座席の前後間隔はTSE、量産車、N2000先行車と同じ980mmとしている。グリーン・普通合造車はなく、2400形・2450形・2500形の各形式があり、車両番号は従来車の続番+300とされた。2425 - 2429では小便所も設置されている。
- 2400形 (2424, 2425 - 2429)
- 上り方先頭車で、全席普通車。定員47名。行先表示器を装備し、洋式トイレ、小便所(2424は設置なし)、洗面所、車椅子対応座席が設置[注 11]されている。前面助士席寄り窓下には「SHIKOKU」の文字が、乗務員室下側面に「N2000」の文字が表記されている。洗面所を撤去して喫煙ルームを設置する改造がされている。
- 2450形 (2458, 2459 - 2463)
- 下り方先頭車で、全席普通車。定員52名。行先表示器と振子制御装置を搭載し、トイレと洗面所を設置。量産車はトイレ寄りデッキにカード式公衆電話が設置されていたが、後に撤去された。
- 2500形 (2520 - 2523)
- 編成の中間に組成される、運転台なしの普通車。定員68名。
-
先行車2424(登場時の配色)
-
先行車2424(2013年現在)
-
先行車2458(登場時の配色)
-
先行車2458(2013年現在)
-
量産車2428
-
量産車
現況
運用
2020年7月18日以後、以下の列車で使用されている。N2000系の一部は量産車との共通運用で、量産車の運用に入ることもある。
- 量産車
- N2000系
- 特急「宇和海」
- 特急「しまんと」「あしずり」のうち、2700系運用以外の列車
- 量産車と共通で使用。
-
「宇和海」(量産車)
-
「しまんと」4号
-
「南風」11号と「南風」24号
-
「うずしお」4号
-
「モーニングEXP高松」
配置・所属
量産車は松山運転所・高知運転所・高松運転所に59両が在籍するが、グリーン・普通合造車の2000形および中間車の2200形は高松運転所には配置されていない。なお、2005年3月2日に土佐くろしお鉄道宿毛駅構内で発生した列車衝突事故で、事故編成3両の前2両(2008・2218)が大破した。宿毛駅復旧作業の開始により、当初は現地にて解体搬出の予定だったが、大型クレーンでつり上げて撤去された(2両とも同年3月31日付で罹災廃車となり解体された)。比較的損傷の少なかった2116は多度津工場へ回送・修理された後に営業運転に復帰した。
宿毛駅の営業が再開した2005年11月1日以降、廃車となった2両の代替新造はされていないが、その代替分として松山運転所の2006が高知運転所配置とされ、続いて2006年3月18日付で2206も同所に転入した。予備のすべての車両が高松・松山・高知の共通運用となっている。
高松運転所に所属していた2218と2219は、それぞれ松山運転所と高知運転所へ転属している。また、松山運転所に所属していた2211(2011年3月12日付)と2209(2012年3月17日付)が高知運転所へ転属している。
16両製造されたN2000系に関しては、当初、2424のみ高知運転所に配置されていたが、2018年3月改正の数日前までは全車両が高松運転所に配置されていた。
2016年3月には、同月26日のダイヤ改正から「宇和海」の指定席車両が2150形から2100形に変更されることに対応して、すでに車内天井に指定席区画表示板を取り付け済みだった高知運転所所属車 (2105, 2106, 2108, 2115 - 2117) と、取り付けていない松山運転所所属車 (2109-2114, 2118) との相互転配属が実施された。
2018年3月には、TSEを置き換えるためにN2000系が初めて松山運転所に3両配置された。これは、「うずしお」の2600系気動車で運転される列車を増やしたり、高松~伊予西条の通勤特急を5両で運転の日は8000系電車での運転としたりすることで3両を捻出できたためである[8]。なお、転入したN2000系は従来の2000系(アンパンマン列車を除く)と共通運用であり、最高速度も120km/hに抑えられている。また、「宇和海」の2両編成で運転の列車が増えたことにより、2217が松山運転所から高知運転所へ転属した[9]。
- 各運転所の配置内訳
- 高松運転所:20両
- 2100形:4両 (2120 - 2123)
- 2150形:3両 (2153 - 2155)
- 2400形:4両 (2424,2427 - 2429)
- 2450形:4両 (2458,2459,2462,2463)
- 2500形:2両 (2520,2521)
2019年3月現在、S-DT69台車交換車は4両(土讃線方面の運用のみ)。
- 松山運転所:20両
- 2000形:1両 (2003)
- 2100形:7両 (2105 - 2107,2110,2114 - 2117, 2119)
- 2400形:2両(2425,2426)
- 2150形:4両 (2151, 2152,2156,2157)
- 2450形:2両(2460,2461)
- 2200形:5両 (2204,2208,2216)
- 2500形:2両(2522,2523)
- ※2150形と2450形は5両配置で5両使用のため、検査期間中は2003が1号車に連結される。
2月25日~27日までに松山運転所所属2005は高知運転所へ、高知運転所所属2003は松山運転所へ相互転属。2019年3月現在、S-DT69台車交換車は3両所属
- 高知運転所:31両
- 2000形:9両 (2002, 2004 - 2007, 2009 - 2011, 2030*)
- 2100形:11両 (2102 - 2104, 2109, 2111 - 2113,2118,2130*)
- 2200形:11両 (2205, 2206, 2209 - 2215, 2217, 2219, 2230*, 2231*)
※太字の2030、2130、2230、2231の4両(*)は土佐くろしお鉄道の車両。2月25日~27日までに高知運転所所属2003は松山運転所へ、松山運転所所属2005は高知運転所へ相互転属。2019年3月現在、S-DT69台車交換車は1両のみ。
アンパンマン列車
量産車の一部は「アンパンマン列車」として運転されている。数回のリニューアル後、車内を「アンパンマン」の内装にし、車内チャイムもオルゴールの「アンパンマンのマーチ」に変更する改造が実施された。特に2000形の普通車指定席部分は「アンパンマンシート」となっており、座席や内壁にアンパンマンのキャラクターが描かれている。
2016年3月26日現在、「アンパンマン列車」として運転されている車両は以下の通り。なお、高知運転所所属の2006は量産車と同一であるが、内装はアンパンマンシートである。このため、「アンパンマン列車」の2000形が運用を外れている場合は、2006が代走運用に入る(内外装とも一般車である2000形の予備車は松山運転所の2003である)。
土讃線
高知運転所所属車による土讃線の「アンパンマン列車」は2種類が存在し、いずれも固定編成で運用される。なお、現在のカラーに変更されるまではアンパンマンの顔が描かれた専用のヘッドマークを使用していたが、現在のカラーへのリニューアル時に表示窓が埋められた[注 12]。
- 1号(グリーン)
- 2007 + 2212 + 2104の3両編成。特急「南風」2往復(下り:3・25号/上り:2・24号)で使用。当初は4両編成で運行されていたが、運用の変更で2203が外されて3両になった。土曜日は一般車1両を増結した4両編成で運転される。2019年3月ダイヤ改正からは特急「あしずり」(下り:3・11号/上り:4・10号)で使用されている。
- 2号(オレンジ)
- 2030 + 2230 + 2231 + 2130の4両編成。特急「南風」(下り:7・19号/上り:6・18号)と「あしずり」(下り:9号)で使用。全車両を土佐くろしお鉄道が所有している。なお、中間の2230と2231は順番が入れ替わる場合がある。
予讃線
予讃線の「アンパンマン列車」は、2016年3月25日まで以下の松山運転所所属の11両が特急「しおかぜ」・「いしづち」(いずれも下り:9・21号/上り:10・22号)、「宇和海」(下り:5・11・23・29・31号/上り:2・8・14・26号)で使用された。なお、すべて1両単位で運用されていたが、基本的に「しおかぜ」・「いしづち」運用と「宇和海」運用とを交互に繰り返すローテーションとなっており、「アンパンマンシート」は「ばいきんまん号」と「ドキンちゃん号」が隔日で連結されていた。
- 2000形
-
- 「ばいきんまん号」:2004
- 「ドキンちゃん号」:2005
- 2100形
-
- 「カレーパンマン号」:2107
- 「しょくぱんまん号」:2109
- 「クリームパンダ号」:2110
- 「メロンパンナちゃん号」:2113
- 2150形
-
- 「ロールパンナ号」:2152
- 2200形
-
- 「おむすびまん号」:2204
- 「どんぶりまんトリオ号」:2208
- 「あかちゃんまん号」:2210
- 「パンこうじょうのなかま号」:2217
なお、2016年3月26日のダイヤ改正で8000系電車による「アンパンマン列車」が登場したことで、2000系「アンパンマン列車」は「しおかぜ」・「いしづち」の運用から撤退。引き続き「宇和海」で運用される2107、2152、2204を除く8両が一般塗装に戻され、2004、2109、2110、2113、2210は高知運転所へ転属した。2019年9月28日より2117が新たにラッピングされて「宇和海アンパンマン列車」として、リニューアルされた2152とともに運用入りした。同時に2107, 2204の2両が運用から外れている。
沿革
- 2000年(平成12年)10月14日:土讃線に「アンパンマン列車」1号(ブルー)が登場。当初は2007 + 2203 + 2212 + 2104の4両編成。
- 2001年(平成13年)
- 3月3日:土讃線に「アンパンマン列車」2号(ピンク)が登場。2030 + 2230 + 2231 + 2130の4両編成。
- 10月1日:予讃線に「アンパンマン列車」11両(2000形2両、2100形4両、2150形1両、2200形4両)が登場。同時に土讃線の2編成をリニューアル(2代目)。
- 2002年(平成14年)10月:全車両をリニューアル。土讃線が3代目、予讃線が2代目。
- 2003年(平成15年)12月:土讃線の2編成をリニューアル(4代目)。同時に1号(ブルー)の2203が「アンパンマン列車」の運用から外れる。
- 2005年(平成17年)10月:予讃線の「ばいきんまん号」・「ドキンちゃん号」に「アンパンマンシート」を導入[10]。
- 2008年(平成20年)
- 2009年(平成21年)10月1日:土讃線の2編成をリニューアル(5代目)。1号はグリーン、2号はオレンジに塗装を変更し、ヘッドマークの使用を停止。
- 2010年(平成22年)10月:予讃線の全車両をリニューアル(3代目)。
- 2012年(平成24年)10月:予讃線の全車両をリニューアル(4代目)。
- 2013年(平成25年)12月20日:予讃線の「アンパンマンシート」をリニューアル。「ばいきんまん号」は「ばいきん城」、「ドキンちゃん号」は「ドキンちゃんの部屋」をイメージした内装となる[10][11]。
- 2016年(平成28年)3月26日:「いしづち」で先行的に運用していた8600系電車[12]を「しおかぜ」にも10両追加投入し、「アンパンマン列車」については8600系の投入によって捻出された8000系電車に置き換えられ、予讃線伊予西条駅 - 松山駅間での定期運用はなくなった。また、「宇和海」の全列車普通車化により捻出した2000形により、「南風」は全列車グリーン車付き編成に変更された[13]。
- 2019年(令和元年) 9月28日:予讃線の宇和海アンパンマンをリニューアル(5代目)[14]。同時に2117がラッピングされ、2107 + 2204が「アンパンマン列車」の運用から外れる。デザインが8000系アンパンマン列車に準じた虹を基調としたものとなった。
- 2020年(令和2年)
-
予讃線「2代ばいきんまん号」 (2004)
-
予讃線「4代ばいきんまん号」 (2004)
-
予讃線「2代ドキンちゃん号」 (2005)
-
予讃線「4代ドキンちゃん号」 (2005)
-
予讃線「2代カレーパンマン号」 (2107)
-
予讃線「4代カレーパンマン号」 (2107)
-
予讃線「2代クリームパンダ号」 (2110)
-
予讃線「4代クリームパンダ号」 (2110)
-
予讃線「2代メロンパンナちゃん号」 (2113)
-
予讃線「4代メロンパンナちゃん号」 (2113)
-
予讃線「2代ロールパンナ号」 (2152)
-
予讃線「4代ロールパンナ号」 (2152)
-
予讃線「2代おむすびまんトリオ号」 (2204)
-
予讃線「4代おむすびまん号」 (2204)
-
予讃線「2代あかちゃんまん号」 (2210)
-
予讃線「4代あかちゃんまん号」 (2210)
-
予讃線「2代パンこうじょうのなかま号」 (2217)
-
「4代パンこうじょうのなかま号」 (2217)
-
予讃線・ドキンちゃん編成(4代)
-
予讃線・ばいきんまん編成(4代)
-
土讃線「4代ブルー」 (2007)
-
土讃線「4代ブルー」 (2104)
-
土讃線「4代ピンク」 (2030)
-
土讃線「4代ピンク」 (2130)
-
土讃線「5代グリーン」 (2007)
-
土讃線「5代オレンジ」 (2130)
リニューアル
登場から20年が経過した2010年、行先表示器や室内設備の老朽化が目立ち始めたため、一部の車両は室内設備のリニューアルを図ることとなった。対象は2000系38両(うちグリーン席付き車9両)、N2000系12両の先頭車両・計50両[注 13]で、中間車の2200形、2500形は対象外となる。コンセプトは8000系のリニューアル時に掲げていた「癒しの国四国」を踏襲し、床や壁、デッキを木目調とし、2000系普通車は全面モケット張り座席に交換し、腰掛けモケットを変更した。また、2000形の一部のトイレを洋式化し、ベビーシート・ベビーキープを設置。一部の2000形・2100形・2150形・2450形の各形式は和式トイレのままだが、壁面と便器をリニューアルする。なお、アンパンマン列車におけるリニューアルとは別であるため、アンパンマンシートは変更されていない。
2010年9月24日、完成した普通車先頭車 (2121) が報道陣に公開された。同年以降年間で7、8両の改造を予定していた[16][17]。
2012年からは以下の23両がリニューアル施工車であり(うち、2003と2107は廃車済み)、2004と2007はトイレを洋式としている。2004と2007のグリーン席全てにモバイル用コンセントを設置している。
- 2000形:4両 (2003, 2004, 2007, 2010)
- 2100形:14両 (2103 - 2105, 2107, 2109, 2110, 2113 - 2115, 2117 - 2119, 2121, 2123)
- 2150形:5両 (2151 - 2153, 2155, 2156)
-
グリーン席
-
普通席
トイレについて
本系列に設置されているトイレは、2400形が洋式であるほかはすべて和式である。従来、JR四国は地域性を理由に車内トイレの洋式化を見送っており、6000系電車では和式トイレが設置された。しかし、交通バリアフリー法制定後、1000形気動車に追加設置されたトイレや1500形気動車では車椅子対応の洋式とされた。8000系電車のリニューアルでも5箇所中3箇所は洋式[注 14]とされている。
なお、2010年度のJR四国の事業計画に盛り込まれたリニューアルによって一部の2000形にも洋式のトイレが設置されている。
車両の動向及び後継車両
2014年(平成26年)から2016年(平成28年)にかけ、予讃線の電化区間部分を走行する本系列の取り換え名目で空気ばね車体傾斜式の8600系電車が新製され、「しおかぜ」「いしづち」に投入されたが、実際はこれに伴う本系列の廃車は発生せず、この2つの特急列車からの撤退に伴う予備車の捻出に留まった。
2017年(平成29年)2月には本系列の老朽取り換え用として、同じく空気ばね車体傾斜式で最高運転速度120km/hの2600系気動車の量産先行車4両が新製され[18]、試験運転後、同年12月から高徳線の「うずしお」の3往復に投入された[19]。しかし、同系列については土讃線の連続曲線での走行に課題があるため、量産は断念された[20]。以後の新製・本系列の置換えは、2600系をベースとした最高運転速度130km/hの振子式車両「2700系」の製造により行われ[19][21]、2019年1月に4両(2編成)が導入された[22]。報道では国の支援措置の活用により2020年度までに40両導入し、老朽車両を置換える。[20][23][24]9月28日より高松・高知運転所で2700系の正式運用が始まり、以後は同系列で運転の列車が増えるたびに高松→松山、松山→高知といった転属及び廃車が行われている。
2018年3月31日付で2202と2207が除籍廃車された[25]。
これらとは別に、2018年(平成30年)3月17日のダイヤ改正当日にて試作車「TSE」が「宇和海2号」で定期運行を終了し(このうち2001については、改正後も当分の間予備車として活用されていた[26])、同年6月から3回にわたってさよなら運転ツアーを実施、3回目となる同年7月3日に多度津工場への営業運転をもって引退した[27][28][29]。
また、リニューアル車のうち、一部の2150型では台車をS-DT69形に換装[30]し、2100型には台車換装とトイレ洋式化の両方または一方を施工[31]しているが、2700系への置き換え対象になっているかは明らかにされていない。
脚注
注釈
- ^ 四桁数字だけで形式を表記する私鉄としては、阪急・阪神・京阪などが存在する。近鉄や名鉄などは車両自体は四桁数字のみの表記だが、形式としては「モ」や「ク」等の文字が使用されている。
- ^ このほか国鉄から継承した121系も2016年から改造工事に伴い7200系に形式変更されている[2]。
- ^ TSEおよび量産車導入に際して、ホームの高さが低い駅では嵩上げが実施された。
- ^ 通常の軽量ステンレス車は1.5mm、他はJR東日本209系0番台車に例がある程度である。
- ^ JR四国での社内制式名称はないが、東日本旅客鉄道(JR東日本)ではこのエンジンにDMF11HZという社内制式名称を与えている。
- ^ 実際には後の実験で、エンジン1基で振り子を作動させても問題はないことが判明している。機関故障で予備車両のやりくりがつかない場合は、エンジン1基のみで振り子を作動させている[3]。
- ^ 座席36名、ソファー7名。
- ^ 「Trans Shikoku Experimental」(四国横断実験)の略[1]。
- ^ グリーン席18名、普通席16名。
- ^ キハ181系は8000系電車量産車が投入された1993年に全車が廃車された。キハ185系は20両が九州旅客鉄道(JR九州)に譲渡され、JR四国に残った32両のうち一部は普通列車仕様(3000, 3100番台)に改造された(詳細については「国鉄キハ185系気動車」を参照)。
- ^ ベースとなった2100形には設置されていなかったこれらの設備設置場所を確保するため、定員は5名(1列4名+車椅子対応座席横の1名)減少した。このため、車端寄りの小型の客窓がない。
- ^ 代替として、両編成とも、貫通型先頭車は貫通扉上に、非貫通型先頭車は左ライトケース下に「南風 ANPANMAN」の文字が記されている。
- ^ 実際には先頭車が土佐くろしお鉄道籍の2両を含めて53両あるが、どの先頭車両が対象外かは不明。
- ^ 1箇所は落成時から洋式である。
出典
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- ^ “JR四国 121系近郊形直流電車 リニューアル工事実施”. 鉄道ホビダス (ネコ・パブリッシング). (2016年5月12日) 2017年2月24日閲覧。
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- ^ a b c d 「JRの現役試作車・量産先行車」『鉄道ジャーナル』第588巻、鉄道ジャーナル社、2015年、99頁。
- ^ “風光明媚!長距離特急「南風」に乗ってみた”. 東洋経済ONLINE (2016年8月23日). 2016年8月23日閲覧。
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- ^ 西日本旅客鉄道広島支社編『JR西日本広島支社10年史 : 次なる10年に向かって 1987〜1997』西日本旅客鉄道広島支社、1997年、p.380。
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- ^ a b "予讃線アンパンマン列車 「アンパンマンシート」をリニューアルします" (Press release). 四国旅客鉄道. 25 November 2013.
{{cite press release2}}
:|archive-url=
を指定する場合、|url=
も指定してください。 (説明) - ^ "予讃線アンパンマン列車 「アンパンマンシート」リニューアル完成記念出発式について" (Press release). 四国旅客鉄道. 16 December 2013.
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を指定する場合、|url=
も指定してください。 (説明) - ^ "特急形直流電車の新製について" (Press release). 四国旅客鉄道. 25 November 2013.
{{cite press release2}}
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を指定する場合、|url=
も指定してください。 (説明) - ^ 平成28年3月ダイヤ改正について - 四国旅客鉄道プレスリリース 2015年12月18日
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- ^ 一例:松山運転所 所属車一覧
関連項目
- 車体傾斜式車両
- JR北海道キハ281系気動車 - 2000系気動車の技術を基に設計された車両。
- 智頭急行HOT7000系気動車 - 2000系気動車の技術を基に設計された車両。本系列の技術がN2000系にフィードバックされている。
外部リンク
- 車両情報<2000系特急気動車> - 四国旅客鉄道
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