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調

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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調(ちょう、key)は音楽用語の一つ。

メロディー和音が、中心音(tonal centre)と関連付けられつつ構成されているとき、その音楽調性(tonality)があるという。伝統的な西洋音楽において、調性のある音組織調と呼ぶ。

狭義には、伝統的な西洋音楽において、全音階(diatonic scale)の音から構成される長調(major key)と短調(minor key)の2つの調が知られ、それぞれ全音階のドの音とラの音が中心音である(長調と短調の場合には、中心音を主音(tonic)と呼ぶ)。すなわち、長音階を用いる調が長調であり、短音階を用いる調が短調である。

バロック以降の西洋音楽にあっては、調性を確立する(聞き手に調性を確実に把握させる)ために和声(harmony)が重要な働きをする。

西洋音楽においては、必ずしも調は一定ではなく、転調(modulation)と呼ばれる手法によって、一時的に他の調に移行することがあるが、古いものにあっては調性を保持するため、必ず曲頭の調と曲尾の調が同じであるか、同じ主音を持つ長調と短調の関係にある調(同主調(parallel key、same tonic key)となる。この調性が崩れるのは20世紀の最初頃である。

各調

西洋音楽で使われる調は、次の24(異名同音の調を異なるものとすると30)である。それぞれ、長調(メジャー,major)、短調(マイナー,minor)の語の前に主音の音名を付して呼ぶ。長短、メジャー/マイナーとあるが単なる分類であり長さや優劣の違いがあるわけでは無い。

調性のイメージ

●調号無し(ハ長調・イ短調) 色は、ハ長調なら白、イ短調なら灰色。#♭がないので、この調性からは、ストレートで透明感があり、ニュートラルな感じと晴れた空のイメージを持つ、にぎやかな感じ。単純、純粋、素朴であり、安定感があり、自然的風景を持ち、すっきりした雰囲気がする。一番オーソドックスな調。

ハ長調…透明感があり、ストレートな雰囲気を持つ明るさ。元気でにぎやかな雰囲気が十分にある。

イ短調…調性としてはすっきりしていて、ストレートな陰りが魅力で、素朴な哀しみを持つ。

シャープ系

シャープ系の調性は、暖かいイメージを持ち、調号#の数が2個までならハ長調と同様、透明感はあり、晴れた空のようなにぎやかなイメージがする。 シャープの数が増えることにより、温度が暑く(熱く)なった感じらしく聞こえる。

●調号#×1(ト長調・ホ短調)…色はオリーブ色。調号#の数が1つだけなので、この調性からは、調号無しの調性と同様、明るく快活な曲に向いている調。すっきりした空のような温かさを持つ。でも、音高としては調号無しの調性に比べたら遠い。

ト長調…健康的な明るさ、若さ、新緑、穏やかで、日々の幸せもする。

ホ短調…林・森の中にいる雰囲気で、なまめかしさと哀愁を表現する。

●調号#×2(ニ長調・ロ短調)…色は黄色。音の高さは調号なしの調性から見たら近く、ストレートな感じ。この調性からは、晴れた空のようなにぎやかなイメージがする。ハ長調に比べて光や太陽や夏のイメージをもち、温かい感じで、気高さで、明るく輝かしい感じがする。オーケストラに演奏しやすい調性である。

ニ長調…太陽の光、元気でにぎやかさがあり、明るく輝かしく、お祝いのイメージがする。意気揚々とした感じ。

ロ短調…暗い、不吉な表現にも向いている。

●調号#×3(イ長調・嬰ヘ短調)…#3つで一見難そうに見える。この調性からは、調号#2個に比べると、音高は遠く、透明感やにぎやかさが無く、すっきりしていなくて、どこか孤独感があり、駅の地下街や夕方のイメージもする。調号#の数がやや多いため、暖かいイメージもする。

イ長調…ニ長調に比べて透明感が無く、ストレートでないが、陽気で牧歌的な雰囲気を持つ。硬質のイメージは無く、夕日が差し込む素朴な田舎を思い浮かべる。

嬰ヘ短調…くすんだ響きを持つ個性的な感じ。薄暗い感じ。駅の地下街も思い浮かぶ。

●調号#×4(ホ長調・嬰ハ短調)…色は茶色。この調性からは#系の中の夕方や夜、牧歌的な楽想を連想するように見える。

ホ長調…明るい響きで、のびやかさと温和で喜ばしい。夕方や夜のイメージもする。

嬰ハ短調…シャープ系の中で最も陰暗な調で、痛々しい雰囲気を持つ。響きにくい・使いにくい調性であり、ロマン派的な調とされている。

●調号#×5(ロ長調・嬰ト短調)…色はベージュ。この調性からは、成熟した優雅さ。敵対的で硬質な感じ。音高は調号無しの調性に近いが、調号無しの調性に比べると音響効果に乏しく、すっきりしていない。荒々しい情熱で、夕日のイメージがする。

●調号#×6(嬰ヘ長調・嬰ニ短調)/調号♭×6(変ト長調・変ホ短調)…色はピンク(薄紅色)。この調性からは、繊細なロマンティックさを持ち、優和で華美さを持ち、ホテルのイメージで、ロマン派的な感じがする。調号無しの調性に比べて一番遠い調性にいるため、がらりと変わった雰囲気がするため、どことなく非現実的で、落ち着いた柔らかさがある。


フラット系

♭系は、温度が寒く(冷たく)感じられ、夜のイメージも持つ。♭の数が増えると、雰囲気がホテルのような柔らかさも感じられる。

●調号♭×1(ヘ長調・ニ短調)…色はセルリアンブルー。この調性からは、♭系の中の夕方や夜を連想する。

ヘ長調…優しさやのどかさ、柔らかさを持ち、田園的な雰囲気や、夕方や夜のイメージもする。

ニ短調…短調の中では素朴で、沈んだ雰囲気を持つ。

●調号♭×2(変ロ長調・ト短調)…色は群青色。この調性からは、柔和で、寒くて、夜のイメージという暗めの音色に聞こえる。調号無しの調性に比べて憂鬱で沈んだ雰囲気を持ち、すっきりしないため、にぎやかな感じがしない気がする。吹奏楽にとっては最も得意とする調。音の高さは調号なしの性(ハ長調・イ短調)から見たら近い。

変ロ長調…素朴な夜の田舎の背景。落ち着きがあり、柔和で寒い感じ。長調の中では少し空虚感のある雰囲気。

ト短調…暗さが重く、強い哀愁を感じさせる。

●調号♭×3(変ホ長調・ハ短調)…色は紫。この調性からは、背景はすっきりしていなくて、柔和な中に、華麗さ、雄大さがある。柔和な包容力と英雄的な気分を持つ。

変ホ長調…壮大な曲想で英雄的なイメージ。柔和な包容力をもつ。

ハ短調…荘厳で、

●調号♭×4(変イ長調・ヘ短調)…色はオレンジ色。この調性からは、夢想的で、喫茶店みたいな雰囲気がする。ハ長調に比べてすっきりしていない感じ。情熱的な雰囲気とロマン派的な感じがする。オレンジ色のスポットライトが照らされたイメージ。

変イ長調…喫茶店にいて、すっきりしない雰囲気を持つ。

ヘ短調…全体的には暗さがやや薄れている。深い憂鬱さもある。

●調号♭×5(変ニ長調・変ロ短調)…色は赤。この調性からは、ハ長調に比べて透明感が失われていて、すっきりしていない感じで、楽な感じには見えない。ロマンティックさ。ロマン派的な感じがする。色彩的には赤っぽい光を照らしたホテルのイメージで、情熱的な雰囲気を持つ。

変ニ長調…ホテルのイメージを持ち、上品な華やかさで、柔らかい雰囲気を持つ。

変ロ短調…ヘ短調に比べて暗さが重く、情熱的であり、痛々しく、陰鬱で恐ろしい。響きの悪い調。

関連項目