空気質
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空気質(くうきしつ)は、一般に建物内等の空気中のガス成分量を指す。略称はIAQ (indoor air quality) 。この "indoor" を明示した「室内空気質」という表現も用いられる。
近年は新築建物におけるシックハウス症候群の問題や、博物館施設における文化財に与える影響の問題などから注目されている。博物館施設においては収蔵庫や展示環境における空気質は収蔵品に影響を与える要素として湿度や照明と並び管理が徹底され、施設の設立段階から安全な建材の検討を行い、空調設備にフィルターを設置し空気の浄化を行っている。
対象物質
以下に厚生労働省指定13化学物質と指針値を示す。
- ホルムアルデヒド — 0.08 ppm — 建築基準法により仕様規定あり
- アセトアルデヒド — 0.03 ppm — 現在、WHOで指針値のミスを認めて取り下げられている。
- トルエン — 0.07 ppm
- キシレン — 0.2 ppm
- スチレン — 0.05 ppm
- エチルベンゼン — 0.88 ppm
- パラジクロロベンゼン — 0.04 ppm
- フタル酸ジ-n-ブチル — 0.05 ppm
- クロルピリホス — 0.07 ppb (小児は 0.007 ppb) — 建築基準法により仕様規定あり
- テトラデカン — 0.04 ppm
- フタル酸ジ-2-エチルヘキシル — 7.6 ppm
- ダイアジノン — 0.02 ppm
- フェノブカルブ — 3.8 ppm
- TVOC(総揮発性有機化合物) — 400 μg/㎥
学校施設
以下は、文部科学省が規定する学校施設における換気の基本方針[1]。照度、騒音など、空気質と関係ないものも記しておく。詳しくは「学校環境衛生管理 マニュアル」を参照。
- 二酸化炭素 — 1500 ppm以下[2][3]
- 塩素ガス — 0.5 ppm以下
- 水平面照度 — 200 lx以上
- 温度 — 17度以上、28度以下
- 相対湿度 — 30%以上、80%以下
- 浮遊粉塵 — 0.10 mg/㎥以下
- 気流 — 0.5m/秒以下
- 一酸化炭素 — 10 ppm以下
- 二酸化窒素 — 0.66 ppm以下
- 揮発性有機化合物
- ホルムアルデヒド — 100μg/㎥以下
- トルエン — 260μg/㎥以下
- キシレン — 870μg/㎥以下
- パラジクロロベンゼン — 240μg/㎥以下
- エチルベンゼン — 3800μg/㎥以下
- スチレン — 220μg/㎥以下
- ダニまたはダニアレルゲン — 100匹/㎥以下、またはこれと同等のアレルゲン量
- 照度 — 下限値は300lx、500lx以上が望ましい。
- まぶしさ — 児童生徒から見て黒板の外側15度以内の範囲に輝きの強い光源(昼光の場合は窓)がないこと。など。
- 騒音 — 窓閉鎖時LAeq 50dB以下、窓開放時 LAeq 55dB以下。
関連項目
- 揮発性有機化合物
- 換気
- 空気調和(空調) - 空気調和工学 - 空気調和設備
- シックハウス
- 特定建築物
- 建築物環境衛生管理技術者
- アメリカ暖房冷凍空調学会
脚注
- ^ “学校環境衛生管理マニュアル”. 文部科学省. 2021年2月6日閲覧。
- ^ “学校の新型コロナウイルス対策: 換気の目安がわかるCO2チェッカー(エアチェッカー)”. koyama.verse.jp. 2021年2月6日閲覧。
- ^ “学校施設の換気設備に関する調査研究報告書 第2章 換気設備計画の立案(1)1):文部科学省”. www.mext.go.jp. 2021年2月6日閲覧。